「車は日産」というフレーズを聞いたことがある方も多いかもしれません。
世界中にファンを持つ自動車メーカー日産自動車[7201]は、株式市場でも有名な存在です。でも、実際に株を買ってみようと思うと、「今の株価って安いの?」「長く持っておくといいことある?」「株主優待って何かもらえるの?」といった疑問が出てくるかもしれません。
この記事では、日産の株について、長く持ちたい人に向けて、株の割安さや会社の将来性、そしてちょっと変わった株主優待の内容まで、やさしく、ていねいに解説しています。
投資の経験が少ない方でも読みやすいように、中学生にもわかる言葉でまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
48倍 | 3.15倍 | 47% | 6.1% | 1.18倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
14.43% | -% | 14.43% | 3月、9月 | 33,810円 |
- ※優待利回りは、お1人の購入者を紹介した場合(5,000円)の利回りです。
編集部おすすめ度 | 理由 |
現在の株価が割安で、将来的な成長に期待できる一方、業績や配当の不安定さが残るため、投資判断は慎重に行いたい銘柄です。優待制度も特徴的ですが、活用できる人が限られるため万人向けとは言えません。長期でじっくりと見守る覚悟がある人には「育てる投資先」としておもしろい存在ですが、安定性や利回り重視の方にはやや物足りない印象もあります。 |
会社情報

日産自動車株式会社は、日本を代表する自動車メーカーのひとつで、1933年に設立されました。
本社は神奈川県横浜市にあり長い歴史の中で、国内だけでなく世界中に多くのクルマを届けてきたグローバル企業です。
日産のクルマは、軽自動車からファミリーカー、高級車、スポーツカー、SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)、商用車まで幅広くそろっています。
代表的なクルマのブランドとしては、「ノート」「セレナ」「エクストレイル」「リーフ」「スカイライン」「フェアレディZ」などがあります。
中でも、電気自動車(EV)の「リーフ」は世界でも有名で、環境にやさしい車として人気があります。
店舗については、日本国内には日産の販売会社が各地にあり、日産の看板を掲げたディーラー(販売店)は全国に約2,800店舗ほどあります。
また、メンテナンスや修理などのサービスを受けられる整備工場もあちこちにあるので、買ったあとも安心です。
海外にもたくさんの工場や販売拠点があり、アメリカ、中国、タイ、メキシコ、スペイン、イギリスなど、多くの国で車をつくったり売ったりしています。
グローバルな企業として、世界中で働く社員は13万人をこえます(ルノーとのアライアンス含むグループ全体)。
また、日産はフランスの自動車メーカー「ルノー」との提携(アライアンス)を結んでいて、お互いの技術や資源を活かしながら、世界市場での競争力を高める努力をしています。
最近では、自動運転技術や次世代バッテリーの開発にも力を入れていて、未来のモビリティ(移動手段)を支える企業としても注目されています。
このように、日産は長い歴史と世界中での活動を持つ大きな会社で、私たちの生活に身近なクルマを通して社会に貢献しています。
株主優待情報

日産自動車の株主優待制度は、他の企業とは少し異なる特徴を持っています。
一般的な「自社製品の割引」や「クオカードの贈呈」といった優待ではなく、株主が新車購入者を紹介することで特典が得られる「株主様紹介特典制度」が設けられています。
株主優待の内容
この制度は、日産の株式を100株以上保有している個人株主が、新車の購入を検討している家族や友人を紹介し、その方が実際に新車を購入した場合に、紹介者である株主と購入者の双方に特典が贈られる仕組みです。
特典内容:
紹介者(株主) | 5,000円相当のデジタルカタログギフト |
購入者 | 5,000円相当のデジタルカタログギフト |
株主本人が新車を購入した場合 | 10,000円相当のデジタルカタログギフト |
この制度は、2025年4月1日から2026年3月31日までの期間に新車を注文した場合に適用されます。
注文日よりも前に100株以上の株式を取得し、注文後も権利確定日まで保有していることが条件です。
デジタルカタログギフトの内容
デジタルギフトは、約12,000点の商品の中から好きな商品を選択することができます。
- 食品・飲料:全国各地の特産品やグルメセット
- 日用品・生活雑貨:キッチン用品や生活便利グッズ
- 家電製品:小型家電や最新のガジェット
- ファッション・アクセサリー:衣類やバッグ、アクセサリー
- 体験型ギフト:レストランの食事券や旅行券
日産自動車専用のデジタルカタログギフトページが設けられており、そちらのページにログインして購入ができます。
注意点
- 特典の贈呈は新車の登録が確認された後となり、納車から約3ヶ月程度の時間がかかる場合があります。
- 特典の提供は株主1名につき年間10台までと制限されています。

日産自動車の株主優待制度は、株主が積極的に周囲の新車購入をサポートすることでメリットを得られる仕組みとなっています。家族や友人との関係を活かしながら、株主としての特典を享受できる点が特徴です。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
日産自動車の株を「買って長く持っておくべきかどうか」を考えるには、いくつかの大切な視点があります。
たとえば「今の株価は高いのか安いのか」「この先も会社は成長できるか」「経営は安定しているか」といったことです。
2025年5月時点で、日産の株価が安価に設定されているため始めやすい価格帯です。
特に、はじめて投資をする人にとっては手が出しやすい銘柄といえます。
ただし、会社の中身まで見てみると、少し気になる点もあります。
たとえば、会社の安全性を表す「自己資本比率」はそれほど高くはありません。
数字としてはふつうの範囲に入りますが、たとえばホンダを販売する本田技研工業のような同業と比べると、やや不安に感じる人もいるかもしれません。
また、「会社がどれだけ効率よく利益を出しているか」を示すROEも悪くはありませんが、とても高いというわけでもありません。
しかも、直近では赤字予想が出ていて、配当金も未定になっています。これでは、「株を買ってもすぐにお金が増える」とは言いづらい状況です。
株の価値が本当にお得なのかを見るPBRはかなり低く、「会社の価値のわりに株価が安すぎる」ということを意味します。
ここだけ見ると「今は買い時かも」と思うかもしれません。
ですが、30年スパンで株価の動きを見ると、日産は1,000円を超えていた時期もありましたが、その後はずっと下がり続け、長年300~500円のあたりをウロウロしています。
つまり、長期的に見ると、「下がってから、あまり回復していない会社」という印象になります。
経営の面でも、「ゴーン事件」や海外工場の見直し、EV(電気自動車)での競争の遅れなど、不安要素が重なってきました。
ここ数年は立て直しを進めているものの、トヨタやホンダと比べると、「安定感」「安心感」で見劣りするのが正直なところです。
もちろん、日産にも強みはあります。
世界中に工場や販売網を持っているグローバル企業ですし、リーフをはじめとしたEVの技術開発には力を入れています。
再び成長軌道に戻れる可能性はありますが、それには時間と環境の変化が必要です。
こうした状況を踏まえて、「今すぐ買って大きく儲けようとは思わないけれど、長い目で見て再評価される可能性もある」「でも、リスクもあるので慎重に見守る必要がある」という位置づけです。
投資に慣れていて、割安株を拾ってじっくり育てるのが好きな人にはおもしろいかもしれません。
けれど、「配当で安定した収入を得たい」「しっかり上がる株がいい」という人には、やや物足りないかもしれません。
株主優待にみる分析
日産自動車の株主優待は、他の企業のような「買えば誰でももらえる」という仕組みではありません。
ちょっと変わっていて、「株主が誰かに日産の新車を紹介して、その人が実際に買ったら、紹介した株主にもギフトが届く」という紹介制の優待です。
この制度は、日産が「販売台数を増やしたい」という考えから始めたもので、ある意味で営業活動の一部を株主に頼っているような形です。
しかし、この制度にはちょっとしたハードルがあります。
まず、新車を買う人がいないと、株主優待をもらえないという点です。
たとえば、家族や友人がすでに他社の車に乗っていて買い替えの予定がなかったり、自分自身も車を買う予定がない場合、この優待を使うチャンスがありません。
さらに、軽自動車だけのユーザーや都市部で車を持たない人にとっても、あまり関係のない優待になってしまいます。
もうひとつのポイントは、「ギフトがもらえるのは購入が完了して納車されたあと」なので、すぐに受け取れるわけではありません。
しかも、年間で紹介できる台数も上限が決まっているため、たくさん紹介すればそれだけ得するというものでもないのです。
その一方で、もしも家族や知人に「ちょうど車を買い替えたい」という人がいたら、かなり使い勝手のよい優待です。
たとえば、両親や子どもが車を買うタイミングだったときに、自分が株を持っていて紹介できれば、5,000円分のギフトが手に入るのはうれしいですよね。
日産の車種も多いので、ファミリーカーや電気自動車など、選択肢も十分あります。
また、自分自身が日産車に乗り換えるときには1万円分のカタログギフトがもらえるので、株を持っていて損はないという考え方もできます。
こうした特性を踏まえると、日産の優待は「人によって評価が大きく変わる」内容です。
使うチャンスがある人にとってはありがたい制度ですが、そうでない人にとっては、まったく使い道がない優待に感じてしまうでしょう。
総合評価
全体としては、「中立に近い評価」。
どちらかといえば「これからの成長を静かに期待しながら、気長に待てる人」向けの銘柄です。
配当もまだ未定で、優待も使い方が限られるため、株式投資初心者にとっては、まず“練習用”や“お試し用”として少額で買ってみるのもひとつの方法でしょう。
また、日産のような「回復途中の企業」に投資するのは、企業の変化を見守るという意味でとても勉強になります。
株価が動かない間でもニュースや決算を追いながら、「企業と一緒に成長していく感覚」を味わえるのは、長期投資の醍醐味です。
一方で、安定して成長している企業の株を探している人や、もっと使いやすい優待を求めている人にとっては、日産は「もう少し様子を見たい」銘柄だといえます。