株式会社アトム[7412]は、「ステーキ宮」や「にぎりの徳兵衛」などを展開している外食企業で、コロワイドグループのひとつです。
これまで、少ない株数でもお得な株主優待がもらえることで、たくさんの個人投資家に人気がありました。
ところが、2024年5月に発表された優待制度の見直しにより、もらえるポイントがこれまでの半分になってしまいました。
この変更にがっかりした投資家も多く、株価も大きく下がっています。さらに、外食業界では原材料の値上げや人手不足などの問題もあり、アトムの業績も思うように伸びていません。
この記事では、アトムの株価や会社の状態、そして株主優待の内容をくわしく見ていきます。
これからアトムに投資してみようかと考えている人にとって、参考になる内容になっています。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
21.33倍 | 25.96倍 | 15.8% | -5.1% | 1.5倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
2.9% | 0% | 2.9% | 3月、9月 | 66,400円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
現時点でアトムの株式を優待目的で長期保有することは、以前ほどの魅力がなくなっていると判断できます。特に、100株保有での優待利回りが低下したため、少額投資家にとってはカッパ・クリエイトの方が有利な選択肢となります。また、より多くの資金を投入できる投資家であれば、コロワイド500株の方が優待利回りが高く、今後の制度変更リスクも相対的に低いため、そちらを選択する方が合理的です。アトムに投資する場合は、業績回復の兆しや優待制度の再評価が進むかどうかを慎重に見極める必要があります。現在のように業績が厳しい状況では、さらに優待が縮小されるリスクも考慮すべきであり、短期的な値上がりを期待するのも難しいでしょう。 |
会社情報

株式会社アトムは、1972年1月に福井県福井市で「徳兵衛寿司」という名前でスタートしました。
もともとはお寿司屋さんとして始まりましたが、1980年に「鉄腕アトム」というアニメキャラクターの名前を使えるようになり、「アトムボーイ」という店名を使いはじめました。
その年の10月に、今の「株式会社アトム」という会社名になりました。
その後、1994年に株式を公開し、1998年には名古屋の証券取引所、2000年には東京の証券取引所にも上場しました。
2005年には「コロワイド」という大きな外食グループに入って、さらに事業を広げていくようになりました。
会社の本社は、神奈川県横浜市のみなとみらいにある「ランドマークタワー」の12階にあります。また、名古屋には別のオフィス(名古屋事業所)もあります。
アトムが行っている事業はとても幅広く、ステーキやお寿司、焼肉、とんかつ、和食、洋食、カフェなど、さまざまなレストランを運営しています。
そのほかにも、居酒屋やカラオケのお店も展開しています。
代表的なお店の名前には、「ステーキ宮(みや)」、「にぎりの徳兵衛」、「カルビ大将」、「寧々家(ねねや)」、「時遊館(じゆうかん)」などがあります。
これらのお店は、主に東北から関西の地域にかけて出店していて、会社が直接運営しているお店と、他の会社がアトムの名前を借りて運営しているフランチャイズ店の両方があります。
アトムは、地域の人たちに愛されるお店を目指して、いろいろなタイプの飲食店を展開してきました。
これからも、お客さんのさまざまなニーズに応えるために、サービスの質を上げたり、新しいことにチャレンジしたりしていくことが期待されています。
株主優待情報

株式会社アトムは、株を持っている人に対して「株主優待」としてポイントをプレゼントしています。もらえるポイントの数は、持っている株の数に応じて変わります。
このポイントは、アトムが運営するレストランだけでなく、同じグループ会社である「コロワイド」や「カッパ・クリエイト」のお店でも使うことができます。
株主優待の内容
アトムの株主優待は、年2回(3月末日および9月末日)実施され、保有株数に応じて以下のように優待ポイントが付与されます。
保有株数 | 年間優待ポイント(3月末) |
---|---|
100株以上500株未満 | 2,000ポイント(年間) |
500株以上1,000株未満 | 10,000ポイント(年間) |
1,000株以上 | 20,000ポイント(年間) |
これらの優待ポイントは、1ポイント=1円として、アトムが運営する「ステーキ宮」や「にぎりの徳兵衛」などの自社店舗だけでなく、コロワイドグループやカッパ・クリエイトの各店舗でも利用可能です。
さらに、ポイントは全国各地の特産品との交換も可能で、株主の多様なニーズに応える柔軟な制度設計となっています。
株主優待の利用可能なブランド
アトムが運営するブランド
- ステーキ宮
- カフェ&ビヤレストラン 宮
- みなとみらい食堂
- 小さな森珈琲
- なぎさ橋珈琲
- にぎりの徳兵衛
- 海鮮アトム
- カルビ大将
- がんこ炎&がんこ亭
- 寧々家
- 暖や
- 海へ
- 鳥の蔵
- CANTINA
- 時遊館(カラオケ)
コロワイドが運営するブランド
- 甘太郎
- いろはにほへと
- 北海道
- やきとりセンター
- 酒場ヤキセン
- カフェ・レストラン
- ラパウザ
- KITEKI
- M.M MARKET&CAFÉ
- 和牛ステーキ 桜 那須高原店
- フラムドール
- スカイルーム
- 隅田川ブルーイング
- Beer&Spice
- Beer Thirty
- 3・6・5酒場
- 贔屓屋
- ウルフギャング・パック
- ほのぼの横丁
- 朝陽閣
- BW STATION
カッパ・クリエイトが運営するブランド
- かっぱ寿司
株主優待が利用できないブランド
レインズインターナショナル(コロワイドグループ)
- 牛角
- 牛角食べ放題専門店
- 牛角焼肉食堂
- しゃぶしゃぶ温野菜
- 土間土間
- かまどか
コロワイドが運営するブランド(利用不可)
- とんかつ神楽坂さくら
- あじフライ神楽坂さくら
- 酒場トリノ
- 鮨処「濱」
- 濱一貫
- 濱いちもんめ
- バンノウ水産
- 焼肉 飛車角
- シルスマリア
- エヌカカオチョコレート
- ピュアココトーキョー
- LITORANEO
- はまやカレー
- 大戸屋ごはん処
- 大戸屋おかず処
- ASIAN CAFE 蓮屋珈琲店
- チーズガーデン
- クリオロ
- グリンデルベルグ
- カフェ&ガーデン しらさぎ邸
その他
- コロワイドグループの海外展開店舗は全て利用不可
- カラオケ:時遊館(他社へ譲渡されたため利用不可)
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
アトムの株価は、2015年から2018年ごろまではゆるやかに上がっていましたが、2019年ごろからは下がり続けています。
とくに2020年からは、新型コロナの流行で外食する人が少なくなり、アトムのような飲食の会社にとっては厳しい時期となりました。
お店の売上が落ちたことで、株価もずっと低いままになっています。
さらに2024年5月には、株主に人気だった優待制度の内容が悪くなってしまい、多くの投資家ががっかりして株を売ることになりました。
そのときには「ストップ安」といって、株価が急に大きく下がる場面もありました。
会社の財務の状態を見ると、アトムは利益があまり出ておらず、資産のバランスもよくありません。
ROE(自己資本利益率)という会社のもうけやすさを表す数字もマイナスで、経営があまりうまくいっていないことがわかります。
今の外食業界は、食材や人件費が高くなっていて、どの会社も利益を出すのがむずかしい状況です。
アトムもその影響を受けていて、直近の決算では、売上が大きく増えているわけではなく、利益は赤字になっています。
たしかに、親会社のコロワイドグループにはたくさんのお店があり、仕入れやキャンペーンなどで助け合える強みはあります。
ただ、コロワイド自身も業績がしっかりしているとは言えず、アトムへのサポートもいつまで続くかは分かりません。
今のところ、アトムの株を買うには注意が必要です。
会社の利益が回復したり、優待制度が元にもどったりすれば、また注目されるかもしれませんが、今は急いで買うようなタイミングではないでしょう。
とはいえ、株価がさらに下がって、かなり安くなったときには、「そろそろ買い時かも」と考える投資家が出てくる可能性もあります。
投資を考えるなら、最新の決算や会社の方針がどうなっているかをよく調べることが大事です。
株主優待にみる分析
アトムではこれまで、100株を持っていると1年間で4,000円分の優待ポイントがもらえるという仕組みがありました。
ところが、2024年5月に優待制度が変わり、100株でもらえるポイントが2,000円分に半分に減ってしまいました。
他にも、500株で20,000円分→10,000円分に、1,000株で40,000円分→20,000円分にそれぞれ減らされました。
この変更にがっかりした投資家が多く、発表されたあとすぐに株を売る人が増えてしまい、株価は急に下がりました。
飲食店の会社では、こうした「優待の割の良さ」が株を買う理由になることも多く、優待が魅力的であれば株価も保たれやすくなります。
ですが、今回のように優待の内容が悪くなると、「もう持っている意味がない」と思う人が増えて株価が下がりやすくなります。
アトムの株価がいまも低いままなのは、まさにこの優待の魅力が下がってしまったからであり、長く持ち続ける理由が弱くなってしまったことが大きな原因と考えられます。
今回の優待改定は、業績の悪化によるコスト削減策の一環として実施されました。
外食産業は、原材料価格や人件費の高騰など厳しい環境にさらされており、今後さらに優待制度の縮小や廃止に向かう可能性も否定できません。
実際、外食企業の中には過去に優待制度を縮小・廃止したケースも多く、アトムも同様のリスクを抱えています。
アトムの優待利回りが大幅に低下したことで、コロワイドやカッパ・クリエイトとの競争力が低下しました。もしコロワイドの500株を購入できる資金があるなら、アトム100株よりもコロワイド500株を選択する方が、優待の利回り・安定性の観点から有利と言えます。
総合評価
今の時点では、アトムの株を「株主優待を目的に長く持ち続ける」のは、以前ほどお得とは言えなくなっていると考えられます。
とくに、100株だけを持っている人がもらえる優待ポイントが減ってしまったため、少ないお金で投資したい人には、同じグループの「カッパ・クリエイト」のほうが向いているかもしれません。
また、もっと大きな金額を投資できる人であれば、親会社の「コロワイド」の株を500株持つほうが、もらえる優待も多く、制度が変わるリスクも少ないので、おすすめできる選択です。
もしアトムに投資を考えているなら、まずは会社の業績や、優待制度がまた良くなるかどうかを、しっかり見てから判断する必要があります。
今のように、会社の成績がよくない状態では、さらに優待の内容が悪くなる可能性もありますし、株価がすぐに上がることも期待しにくいです。
将来的に、外食産業全体が元気を取り戻し、アトムの売上や利益が改善していけば、そのときにもう一度投資を検討するのが良いでしょう。
まとめると、今のタイミングでは、アトムの株に投資するおすすめ度は「低め」です。焦らず、会社の動きをよく見てから判断するのが安心です