「味の素」や「ほんだし」など、誰もが一度は使ったことのある商品を手がける味の素[2802]。
実はこの会社、世界中で事業を展開しているグローバル企業なんです。
食品だけでなく、健康や医薬の分野にも力を入れていて、じわじわと株価も上昇中。
しかも、株主優待がかなり充実していて、長く持つほどお得になる仕組みも魅力のひとつ。
この記事では、そんな味の素の最新の株価情報や会社の特徴、優待の内容をわかりやすくまとめたうえで、長期的な投資先として本当におすすめできるのかを、10年以上株式投資をしている筆者の視点からじっくり解説します。
「優待も欲しいけど、ちゃんと将来性もある会社に投資したい」という方には、ぜひ読んでいただきたい内容です。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
38.53倍 | 3.51倍 | 45.9% | 11.0% | 3.50倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
1.57% | 1.4% | 0.17% | 3月 | 285,400円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
味の素は、配当・優待・株価成長の「三拍子」がバランスよく揃った銘柄であり、「長期的に安心して保有できる株を探している」「インカムと優待の両方を楽しみながら資産形成したい」と考えている投資家にとっては、非常におすすめできる銘柄です。 |
会社情報

味の素株式会社は、1909年に創業された日本を代表する食品メーカーで、調味料や加工食品、飲料、医薬品、化粧品など多岐にわたる製品を手掛けています。
同社の代表的な製品であるうま味調味料「味の素」は、創業者である池田菊苗博士が昆布のうま味成分であるグルタミン酸を発見し、それを商品化したものです。
この発見により、味の素は世界中で広く知られるブランドとなりました。
味の素は、1922年に東京株式取引所に上場し、以来、日本の食品業界をリードする存在として成長を続けています。
同社の事業内容は多岐にわたり、主に以下の分野で展開しています。
- 調味料・食品事業:うま味調味料「味の素」をはじめ、しょうゆ、みそ、ソース、ドレッシングなどの調味料や、冷凍食品、即席麺、スープなどの加工食品を製造・販売しています。これらの製品は、日本国内のみならず、海外市場でも高い評価を受けています。
- ヘルスケア事業:アミノ酸の研究を基盤として、医薬品やサプリメント、化粧品の原料供給を行っています。特に、アミノ酸を活用した医薬品の開発や、健康食品の提供に力を入れています。
- アニマルニュートリション事業:家畜や水産動物向けの飼料用アミノ酸を製造・販売し、畜産業や水産業の生産性向上に貢献しています。
- バイオ・ファイン事業:発酵技術を活用し、食品や化粧品、医薬品などの原料となるアミノ酸や核酸、酵素などを提供しています。
味の素は、国内外で多くのブランドを展開しており、主なものとして以下が挙げられます。
- クノール(Knorr):スープやブイヨンなどの製品を展開するブランドで、家庭用から業務用まで幅広いラインナップを持っています。
- Cook Do(クックドゥ):中華料理の素を中心とした調味料ブランドで、家庭で手軽に本格的な中華料理を楽しむことができます。
- ほんだし:かつお節をベースにした和風だしの素で、日本の家庭料理に欠かせない存在となっています。
- パルスイート:低カロリー甘味料のブランドで、健康志向の消費者から支持を得ています。
- アミノバイタル:スポーツ時の栄養補給をサポートするアミノ酸サプリメントで、アスリートやスポーツ愛好家に広く利用されています。
同社は、国内外に多数の生産拠点や販売拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。
具体的な店舗数については、味の素は主に製造業であり、直営の小売店舗を多数展開しているわけではありませんが、同社の製品はスーパーやコンビニエンスストアなど、全国の小売店で広く取り扱われています。
味の素は、「食と健康の課題解決企業」として、持続可能な社会の実現に向けた取り組みも積極的に行っています。
例えば、食品ロスの削減や環境負荷の低減、地域社会への貢献など、多岐にわたるCSR活動を展開しています。
また、研究開発にも力を入れており、アミノ酸の可能性を追求することで、新しい製品や技術の開発を進めています。
これにより、食品分野のみならず、医療や健康、美容といった多様な分野での事業展開を実現しています。
総じて、味の素株式会社は、創業以来の伝統を守りつつも、常に革新を追求し、国内外で多くの人々の食生活や健康を支える企業として、その存在感を高めています。
株主優待情報

味の素株式会社は、毎年3月31日現在の株主名簿に記録された株主様を対象に、保有株式数と継続保有期間に応じた株主優待制度を実施しています。
2025年3月31日を基準日として1株を2株に分割する株式分割が行われ、これに伴い、2026年3月31日基準日以降の株主優待制度が変更されます。
以下、株主優待の内容と贈呈基準について、株式分割前後で詳しくご紹介いたします。
2025年3月31日基準日までの株主優待制度(株式分割前)
2025年3月31日基準日までは、以下の基準で株主優待が実施されます。
保有株式数 | 継続保有期間 | 優待内容 |
---|---|---|
100株以上 | 6か月以上 | 1,500円相当の自社商品詰め合わせ |
500株以上 | 6か月以上 | 3,000円相当の自社商品詰め合わせ |
1,000株以上 | 6か月以上 | 4,000円相当の自社商品詰め合わせ |
1,000株以上 | 3年以上 | 7,000円相当の自社商品詰め合わせ |
- 6か月以上:株主名簿基準日(3月31日および9月30日)において、同一株主番号で100株以上の保有記録が2回以上連続していること。
- 3年以上:株主名簿基準日(3月31日および9月30日)において、同一株主番号で1,000株以上の保有記録が7回以上連続していること。
2026年3月31日基準日以降の株主優待制度(株式分割後)
2025年3月31日を基準日とする1株→2株の株式分割に伴い、2026年3月31日基準日以降の株主優待制度は以下の通り変更されます。
保有株式数 | 継続保有期間 | 優待内容 |
---|---|---|
100株以上200株未満 | 6か月以上 | 500円相当の自社商品詰め合わせ |
200株以上1,000株未満 | 6か月以上 | 2,000円相当の自社商品詰め合わせ |
1,000株以上2,000株未満 | 6か月以上 | 4,000円相当の自社商品詰め合わせ |
2,000株以上 | 6か月以上 | 5,000円相当の自社商品詰め合わせ |
2,000株以上 | 3年以上 | 8,000円相当の自社商品詰め合わせ |
- 6か月以上:株主名簿基準日(3月31日および9月30日)において、同一株主番号で100株以上の保有記録が2回以上連続していること。
- 3年以上:株主名簿基準日(3月31日および9月30日)において、同一株主番号で2,000株以上の保有記録が7回以上連続していること。
株主優待品の内容
味の素グループの製品詰め合わせが優待品として贈呈されます。2024年度の1,500円相当の優待品の一例として、以下の8品が含まれていました。
- 味の素KKコンソメ
- Cook Do®
- ほんだし®
- クノール®カップスープ
- パルスイート®
- アミノバイタル®
- AGF®ブレンディ®スティック
- オリーブオイルエクストラバージン
なお、パッケージ変更や製品ラインナップの変更により、実際の優待品は上記と異なる場合があります。
株主優待の申込方法と発送時期
株主優待の申込方法や詳細については、毎年6月頃に送付される「株主優待のご案内」に記載されています。
申込期間内に所定の方法で申し込むことで、優待品を受け取ることができます。
優待品の発送は、申込締切後、7月下旬から9月下旬頃にかけて順次行われます。
寄付の選択肢
株主優待品の代わりに、公益財団法人 味の素ファンデーションへの寄付を選択することも可能です。
この場合、優待品相当額が同財団に寄付され、食と栄養に関する社会貢献活動に活用されます。
注意事項
- 株式分割により、2025年3月31日を境に保有株数のカウントが変わります。これにより、従来の「1,000株保有」が「2,000株保有」となり、2026年3月以降の新しい優待制度での対象範囲に入るかどうかに影響します。
- 継続保有期間のカウントは、分割前後にかかわらず、同一株主番号での保有継続が条件になります。株主番号が変更される名義変更や証券会社の変更などがある場合、継続保有期間がリセットされることがあるため、注意が必要です。
- 優待品は、事前に送付される案内をもとに、オンラインまたは郵送での申込手続きが必要となる場合があります。申し込みをしない場合は、寄付扱いになる場合もあります。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
過去10年以上の株価チャートを見ると、同社の株価は明らかに右肩上がりの成長基調にあり、一時的な調整局面を挟みつつも、全体的には力強い上昇トレンドを描いてきました。
特に、2010年代半ばから後半にかけては、国内市場での高付加価値製品へのシフトや、海外事業の拡大戦略が功を奏し、株価の水準が一段上に切り上がった印象があります。
長期的な視点で味の素を評価する際、まず着目すべきはそのビジネスモデルの堅牢さです。
うま味調味料「味の素」や「ほんだし」などの基幹商品は、すでに国内の家庭で長年親しまれてきたブランドであり、リピーター率の高い生活必需品です。
加えて、冷凍食品や中食向け製品などの分野でも高いシェアを持ち、収益の安定性が際立っています。
加えて、アミノ酸を中心としたヘルスケア分野への展開が進んでおり、これが近年の成長ドライバーとなっています。
特に、医薬品原料や健康食品素材の供給事業は、高齢化社会において今後も持続的なニーズが見込まれ、企業の収益源の多様化にもつながっています。
海外展開も、味の素の中長期的な成長性を支える大きな要素です。
アジア・南米を中心に海外売上比率を高めており、現地の食文化にローカライズした製品開発が評価され、シェアを拡大中です。
円安傾向が続く局面では、海外収益が円ベースで増えるため、為替の面でも一定のメリットを享受しています。
こうした国際展開の進展が、将来的な業績のブースト要因になると見ることができます。
財務的な健全性にも注目すべき点があります。
自己資本比率は高めであり、過剰な借入に依存しない経営体制が敷かれています。
ROE(自己資本利益率)も水準としては比較的高く、効率的な資本活用がなされている印象です。
加えて、連続増配実績もあり、株主還元に対する姿勢も明確です。
配当利回りこそ相対的に高くはないものの、減配リスクが低く、安定配当が期待できるという意味では、インカム狙いの投資家にとっても安心材料となるでしょう。
また、株主優待制度の存在も、長期保有のインセンティブとして機能しています。
とりわけ3年以上の継続保有で優待額が増える仕組みは、企業との長期的な関係を築く株主に対してのメリットが大きく、実際に個人投資家の支持も厚い銘柄です。
今後予定されている株式分割も、より幅広い層の投資家が参入しやすくなる好材料といえます。
一方で、PERはやや高めの水準にあるため、割安感が強い銘柄とは言えません。
ただし、それは投資家が将来の成長性に対して期待を織り込んでいる証でもあり、同社の安定収益モデルを評価してのものと考えられます。
成長企業としての評価を受けていることは、長期的に株価が高い水準を維持している背景のひとつです。
総じて言えるのは、味の素は「大きなキャピタルゲインを狙う」というよりも、「着実に配当と優待を受け取りつつ、安定した値上がり益を期待する」という長期投資に適した銘柄です。
x生活に密着した商品を手掛け、なおかつ時代の変化にも適応していける柔軟性を持つ企業であるため、今後も中長期での資産形成を志向する投資家にとっては、ポートフォリオの中核となり得る存在だといえるでしょう。
株主優待にみる分析
味の素の優待制度は「保有株数」だけでなく「継続保有期間」にも着目した仕組みになっている点が特徴的で、これは企業側が一過性の保有ではなく“応援してくれる長期株主”との関係性を重視している姿勢の表れでもあります。
まず、味の素の株主優待の最大の特長は、自社製品を詰め合わせた「実用的なギフト」が毎年届くことです。
これは、単なる金券やポイントとは異なり、企業の魅力を“体験”として届ける優待です。
毎年贈られる調味料や冷凍食品、アミノ酸サプリなどは、味の素グループの技術力や品質へのこだわりを実際に家庭で味わうことができるものであり、これによって商品への愛着やブランドロイヤリティが自然と高まっていく構造になっています。
企業のマーケティング視点から見ても、非常に優れた株主との関係構築手段であり、受け取る側にとっても実利と満足感の両方が得られる貴重な体験です。
次に、継続保有によって優待の内容が段階的にグレードアップしていく点も、長期的に保有するインセンティブを高めています。
2025年3月までは、1,000株以上を3年以上保有することで、最大7,000円相当の自社商品が贈呈されており、2026年3月以降は株式分割を踏まえた新制度に移行します。
新制度では、2,000株以上を3年以上保有することで、8,000円相当の優待が受け取れる設計となっています。
これにより、「長く持てば持つほど、報われる」という仕組みが明確化され、優待を目的とした“短期売買”を抑制し、企業との継続的な関係を重視する投資家が自然と集まる土壌が整っています。
優待制度を通じたこの「長期保有インセンティブ」は、株価の安定性にも寄与していると考えられます。
株主が優待目的で株式を保有し続けることにより、一定の下値支持が形成されやすく、特に市場全体が不安定な局面でも投げ売りが起こりにくい構造を作り出しています。
さらに、味の素の優待は「社会性」にも通じています。
優待の代替手段として寄付(公益財団法人 味の素ファンデーションへの寄付)を選択することも可能であり、単なる消費だけでなく「社会貢献」という価値を投資活動に取り込める点も注目すべきでしょう。
企業としてのESG的な取り組みが投資家にも共有されているこの仕組みは、今後の企業価値を評価するうえでも重要な側面です。
こうした背景を総合的に踏まえると、味の素の株主優待は単なる“お得感”を超えた、企業の姿勢や戦略が透けて見える長期投資向けの制度設計となっています。
商品を通じてブランドを知ってもらい、長く保有してもらい、やがて企業価値の理解と応援につなげる——その流れが自然と形作られている点は、投資先としての評価を大きく引き上げる要素です。
そのため、長期保有を前提に資産を築いていくタイプの投資家にとって、味の素の株式は“優待付きの成長株”として高いおすすめ度を持つ銘柄と言えるでしょう。
特に日々の生活の中で自社製品に触れる機会が多く、優待を「使って楽しむ」ことができる点は、投資をより実感を持って続けられる大きなモチベーションにもつながります。
そういった意味でも、味の素は“株主とともに成長する”企業の好例として、長期投資家にとって大変魅力的な存在です。続的なウォッチが必要です。
総合評価
味の素株式会社(2802)は、長期的な資産形成を目指す投資家にとって、「堅実な成長性」と「株主との信頼関係構築」の両面から高い評価に値する銘柄です。
株価の短期的な変動に一喜一憂する必要がなく、長期保有を前提としたポートフォリオの“コア”銘柄として安心して保有できる理由が、株式情報と優待制度の両面から明確に見えてきます。
総じて、味の素は、配当・優待・株価成長の「三拍子」がバランスよく揃った銘柄であり、「長期的に安心して保有できる株を探している」「インカムと優待の両方を楽しみながら資産形成したい」と考えている投資家にとっては、非常におすすめできる銘柄です。
特に投資初心者〜中級者で、生活に身近な企業を選びたいという方にとって、身近でありながら実はグローバルに挑戦している味の素は、“投資の楽しさ”を教えてくれる良質な銘柄といえるでしょう。