株価が大きく動くタイミングといえば 「決算発表」 のとき。
でもいざ「決算短信」を見ようと思っても、 数字がたくさん並んでいて難しそう… と感じてしまう方も多いのではないでしょうか?
実は決算短信は、初心者でも見るべきポイントさえ押さえれば、とてもシンプルな情報源 なんです。
通期予想の純利益を見るだけでも、株価の動きがグンと読みやすくなります。
この記事では、はじめて決算短信を見る方にもわかりやすく、どこをどう見れば良いかを順番に解説 します。
難しい財務分析は一切不要! 今日から使える 超シンプルな見方 をマスターして、投資判断の質を一歩アップさせましょう。
決算短信とは?株式投資に必須の企業情報

決算短信とは、企業が 四半期ごと(通常は年4回)に発表する速報版の決算報告書 のこと。
「今期は儲かったの?赤字だったの?来期はどうなりそう?」という情報がギュッと詰まっています。
上場企業は法律により、投資家や株主に対して 「自社の経営状況を適時・適切に公開する」 義務があります。
その情報公開の一環として作られるのが決算短信です。
通常、 売上高、利益、資産状況、配当方針、今後の業績予想 などがまとまっており、最新の企業の状態がわかる貴重な資料です。

ニュースで「○○社、通期予想を上方修正」などと報じられると株価が急上昇したりしますが、その情報の元ネタがまさにこの 決算短信 です。
株価が動く最大の材料のひとつ と言っても過言ではありません。
いつ、どこで見られる?
企業は通常、年4回 決算短信を発表します。
- 1Q(第1四半期)
- 2Q(第2四半期・中間決算)
- 3Q(第3四半期)
- 本決算(通期のまとめ)
発表されるタイミングは 企業のIRサイト や 証券取引所のサイト、Yahoo!ファイナンス や 証券会社の画面 などで確認できます。
初心者におすすめなのは 企業の公式IRサイト。
PDF形式で誰でも無料でダウンロード できるので、ぜひ一度チェックしてみましょう。
まずはここだけ見ればOK!決算短信の超シンプルな見方
決算短信にはたくさんの数字が並んでいて 「難しそう…」 と思ってしまいますが、全部読む必要はありません!
最初は たったこれだけのポイント だけ押さえておけばOKなんです。
最初に見るべきは「通期予想」
まずは 「通期予想」 が一番大事。

株価というのは 「これから会社がどうなるか」 に一番反応します。だからまずは 今後の見通し(通期予想) に注目しましょう。
- 売上高の予想
- 営業利益の予想
- 純利益の予想
- 配当の予想
この4つの項目が前年より 「増えているのか」「減っているのか」 をざっくりチェックするだけでOK!
良い予想なら株価は上がりやすい、悪い予想なら下がりやすい というのが基本です。
1ページ目の一番下の「純利益」に注目
本にも書かれていた 「1ページ目の一番下の純利益」 はとても重要なチェックポイント。
- 「通期純利益予想」 が前年より 増えているか?減っているか? をまず見ましょう。
- さらに 直近の四半期の純利益 が 前年同期比でどうか? もあわせて見ます。
ここを押さえておくだけで、企業の 稼ぐ力のトレンド がパッとつかめますよ。
純利益は株価に最も影響しやすい数字 なので、ここを見るだけでもだいぶ判断材料になります。
一番新しい期の数字と前期を比べるコツ
実際に純利益などを比較する時は
- 最新の期の 純利益実績 と 前年同じ時期の純利益 を比べる
- 通期予想の純利益と 前年の通期実績 を比べる
- 前年比がプラス → 良いニュース → 株価にプラス材料
- 前年比がマイナス → 要注意 → 株価にマイナス材料になりやすい
この 「前年比の増減」だけに集中して見れば、最初は十分 です。
いきなりROEやキャッシュフローを細かく見なくても大丈夫。
良し悪しをざっくり判断する方法
初心者のうちはこの流れで判断すればOK
① まず通期予想(純利益予想)を前年と比べる
② 次に直近四半期の純利益実績を前年同期と比べる
③ 良ければポジティブ、悪ければネガティブな印象で捉える
慣れてきたら 売上高や営業利益、さらに ROEやCF も徐々に見ていけばOKです。
まずは 純利益予想と実績を比べる だけでも、株価がなぜ動くのかがグッとわかりやすくなりますよ。
もう一歩進んだ決算短信の読み方

純利益の予想と実績を見るだけでも投資判断の大きなヒント になりますが、少し慣れてきたら 他の数字や指標も見られるようになると、もっと深い判断ができる ようになります。
ここでは 「初心者が次に押さえるべき4つの視点」 を紹介します。
売上・利益の推移をチェック
まずは 売上高や営業利益の推移 も見てみましょう。
- 売上高 → 企業が商品やサービスをどれだけ売り上げたか
- 営業利益 → 本業の儲け。会社の「本業の強さ」がわかる
純利益はときどき 一時的な要因(特別利益・特別損失)でぶれる こともあります。
でも 営業利益は本業の実力 を表すので、安定して伸びているかを確認するのが大事。
売上・営業利益が毎年コツコツ右肩上がりの企業 は、長期投資でも安心感がありますよ。
営業利益率・ROE・自己資本比率などを確認
さらに一歩進んで、会社の収益性や財務の健全性 も見ていきましょう。
- 営業利益率(営業利益 ÷ 売上高):何%の利益を売上から生み出しているか
→ 10%以上 あるとかなり優秀な企業 - ROE(自己資本利益率):株主資本に対してどれだけ利益を出しているか
→ 10%以上 が目安 - 自己資本比率:企業の資産のうち、自己資本(返さなくてよいお金)が占める割合
→ 40~50%以上 あると健全
これらの数字を 前年と比べて改善しているか/悪化していないか を見ることで、企業の質がわかってきます。
キャッシュ・フローも見られると安心
利益が出ていても、実際に現金が会社に入ってこなければ経営は苦しくなる ことがあります。
そのため キャッシュ・フロー(現金の流れ) も確認できると、より安心して投資判断ができるようになります。
ただし注意したいのは、キャッシュ・フロー計算書は通常「本決算(通期)の決算短信」にしか掲載されない という点です。
中間決算(第2四半期)や四半期決算(1Q・3Q)には載っていないケースがほとんど。
そのため
- 通期決算短信のときは、必ずCF計算書もチェック!
- 中間決算短信のときは、売上・利益や財務状況を中心に確認
というスタンスで読み進めるのが基本です。
本決算短信でチェックするなら、特に
- 営業キャッシュ・フロー(営業CF)
→ 本業で生み出した現金。 安定してプラスなら安心 - 投資キャッシュ・フロー(投資CF)
→ 設備投資などに使ったお金。 一時的なマイナスはOK - 財務キャッシュ・フロー(財務CF)
→ 借金の返済や配当・自己株買いなどに使ったお金。
営業CFが安定してプラス であれば、企業は 実際にキャッシュをしっかり稼げている といえます。
逆に 営業CFがマイナス続きの場合は注意が必要 です。
まずは本決算短信のときだけでもキャッシュ・フローを確認する習慣 をつけるとよいでしょう。
配当予想も忘れずにチェック
配当狙いの投資をしている人にとっては、配当予想 も大切なチェックポイント。
- 配当金が前年より増えている → ポジティブ
- 配当金が減っている → ネガティブ(株価下落材料になることも)
また 配当性向(利益のうち何%を配当に回すか)もチェックできると◎。
無理に高い配当を出していないか にも目を配りましょう。
配当が安定していて増配傾向なら長期保有にも向いた銘柄 といえます。
決算短信を投資に活かすポイント
ここまで読んで 「決算短信のどこを見るか」 はだいぶわかってきたと思います。
でも実際に投資をするなら 「この情報をどう判断に活かすか」 がとても大事です。
ここでは 初心者でも今日から使える4つの活用ポイント を紹介します。
株価はどんなときに反応する?
まず知っておきたいのは、株価は数字そのものより「市場の期待」との差で動く ということ。
たとえば:
- 市場は「前年比+10%くらい」を期待していたのに、実際は+5% → 株価は下がることも
- 逆に市場が「マイナス予想」だったのに実際は横ばい → 株価は上がることも
つまり 「予想を超えたか?下回ったか?」 が大事なのです。
この視点を持って 決算短信の通期予想や純利益を読む習慣 をつけましょう。
慣れてきたら 証券会社のアナリスト予想や、みんかぶなどのコンセンサス予想 との比較も活用するとさらに良いです。
見るたびにメモを取って自分なりの基準を作ろう
初心者のうちは 決算短信を読むたびに簡単なメモを残す のがおすすめ。
メモする内容はたとえば
- 通期予想 → 前年比どうだった?
- 直近の純利益 → 前年同期比どうだった?
- 営業利益率やROEはどう推移している?
- 配当予想は変わった?
これを積み重ねていくと、その企業のトレンドやクセ がだんだんわかるようになります。
「この会社は保守的に予想を出すタイプだな」
「この会社は増配を毎年がんばっているな」
といった「感覚」がついてくると 投資判断の精度がグッと上がる ようになりますよ。
慣れてきたら「業績のトレンド」に注目しよう
決算短信を読み慣れてきたら、ぜひ 「業績のトレンド」を意識して見てみましょう。
単発の良い数字・悪い数字よりも
- 売上高や利益が数年単位でどう推移しているか
- 営業利益率やROEが改善傾向にあるか
こうした 中長期的な成長ストーリーが描ける企業は、株価も中長期的に上がりやすい 傾向があります。
逆に 数字がぶれやすかったり、利益率が下がり続けている企業 は、注意が必要なケースも。
決算短信を「数字の確認」だけでなく 企業の未来像を描く材料 として見るようになると、より質の高い投資ができる ようになります。
よくあるQ&A
決算短信と有価証券報告書はどう違う?
決算短信は速報版、有価証券報告書は詳細版 と思っておくとわかりやすいです。
- 決算短信 → 速報性が重視 され、発表後すぐに市場や投資家がチェックする。
→ 株価に直結する材料 になりやすい。 - 有価証券報告書 → より詳しい財務データや事業内容、リスク情報などが掲載される。
→ 法的に提出義務がある詳細資料。
まずは 決算短信を見てタイムリーな動きを押さえ、後から有価証券報告書でもっと深掘りする という使い方が一般的です。
決算短信って初心者でも使えるの?
むしろ 初心者こそ決算短信を読む習慣 をつけると、株価の動きの背景が見えてきます。
全部のページ・細かい数字を覚える必要はまったくありません。
このページで紹介したように、最初は
- 通期予想の純利益を見る
- 直近四半期の純利益を前年同期と比べる
これだけでも 投資判断の質がぐんとアップ しますよ。
慣れてきたら 売上や営業利益率、配当予想なども少しずつチェック していけばOK。
最初は 「まず見てみる」「続けて読む」ことが一番大切 です。
どれくらいの頻度で見るべき?
決算短信は 企業ごとに年4回(四半期ごと) 発表されます。
ですので 自分が投資している企業、または投資を検討している企業 の短信が出たタイミングでは必ずチェックしましょう。
■ 発表時期の例(日本企業の場合)
- 4月~5月頃 → 本決算(通期)
- 7月~8月頃 → 第1四半期
- 10月~11月頃 → 第2四半期(中間決算)
- 1月~2月頃 → 第3四半期
この時期は ニュースや株価が大きく動きやすい時期 でもあります。
カレンダーなどに決算発表予定日をメモしておくと便利です。
また、投資のない銘柄でも他社の決算短信を読む練習 をしておくと、相場全体の流れや 「良い決算・悪い決算のパターン」 がだんだん見えてきますよ。
まとめ
決算短信は 株価の動きを左右する最重要資料のひとつ。
最初は難しそうに見えても、見るべきポイントをしぼって確認するだけで、企業の今と未来がしっかり見えてきます。
まずは
- 通期予想の純利益 → 前年比でどうか?
- 直近の四半期純利益 → 前年同期と比べてどうか?
この2つだけでも押さえておけば、株価の変動に納得感が持てるようになります。
さらに慣れてきたら
- 営業利益や営業利益率の推移
- ROEや自己資本比率
- キャッシュ・フロー(本決算時)
- 配当予想や配当性向
なども少しずつ読み取れるようになると、より自信を持った投資判断ができる ようになります。
「まずは読んでみる → 続けて見る」 これを繰り返せば、決算短信は必ずあなたの武器になります。
ぜひ今日からチャレンジしてみてくださいね。