カジュアルな洋服を手ごろな価格で買えるお店として知られているマックハウス[7603]。
実はこの会社、株を持っていると年に2回、お得な買い物券がもらえる“株主優待”を実施しています。
そんなマックハウスの株は、本当に長く持つ価値があるのでしょうか?
この記事では、株価の動きや会社の状況、優待の内容などをやさしく解説しながら、「投資先としておすすめできるのかどうか」をプロの視点でていねいに考察していきます。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
– | 2.14倍 | 16.9% | -18.8% | – |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
72.72% | 0% | 72.72% | 2月、8月 | 16,500円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
優待利回りが高く、少額から始められる点では魅力があります。ただし、業績や株価は長期的に低迷しており、成長性や安定性には不安が残ります。優待を活用できる環境がある人にとっては“生活に役立つ株”として保有するのはありですが、あくまでサブ的な位置づけでの保有が無難です。 |
株主優待情報

マックハウスでは、毎年「2月末」と「8月末」の年に2回、株主に向けた優待制度を行っています。
株主優待の内容
内容はシンプルで、自社のお店や通販サイトで使える割引券がもらえます。
以下に、保有株数ごとの優待内容を表にまとめます。
保有株数 | 優待内容(年2回) |
---|---|
100株以上 | 1,000円分の優待券(1,000円券×1枚 × 年2回) |
500株以上 | 3,000円分の優待券(1,000円券×3枚 × 年2回) |
1,000株以上 | 5,000円分の優待券(1,000円券×5枚 × 年2回) |
※1回の買い物につき、税抜1,000円ごとに1枚(1,000円分)の利用が可能です。
優待券が使えるブランド
この優待券は、全国のマックハウス各店舗や、同社が運営する一部のオンラインショップで使うことができます。
たとえば、洋服を2,000円(税抜)分買うと、優待券を2枚まで使える仕組みです。
- Mac-House(マックハウス)
- Mac-House SUPER STORE
- Mac-House OUTLET(一部店舗を除く)
- Navy
- Real Standard(リアルスタンダード)
- Navy Goods
- C-Lover(シーラバー)
注意点
- マックハウスの優待券が使えるのは、全国の「マックハウス」直営店です。大型ショッピングモール内の店舗や、郊外の独立型店舗など、幅広い場所で展開されています。
- 一部の「業態転換店」や「アウトレット店舗」では利用できないことがあります。
- 1,000円(税込1,100円)ごとに1枚(1,000円券)使用可能です。
- おつりは出ません。
- インターネット通販では使えないケースもあるため、都度確認が必要です。
- 有効期限があるため、届いた優待券の裏面を確認しましょう。
会社情報

マックハウスは、カジュアルな服を売っているお店をたくさん展開している会社です。
ジーンズやシャツ、パーカーなど、普段着として着られる服を中心に、男性用・女性用・子ども用まで幅広く取りそろえています。
お店ではオリジナルブランドの商品を多く扱っていて、値段も手ごろなので、家族で気軽に買い物ができるお店として知られています。
この会社の本社は東京都杉並区にあります。全国に店舗があり、特にショッピングセンターやロードサイドといわれる車で行きやすい場所に多く出店しています。
最近では少しずつ店舗数を減らしていますが、それでも全国に約300店舗近くの展開があり、地方の人にもなじみのある存在です。
マックハウスが展開している主なブランドには、「Mac-House(マックハウス)」という名前そのままのブランドのほかに、「Navy」、「Real Standard(リアルスタンダード)」、「Navy Goods」、「C-Lover」などがあります。
これらはどれも日常使いできる、カジュアルでシンプルなデザインが特徴で、どんな年代の人でも取り入れやすい商品です。
会社としては、ネット通販にも力を入れていて、公式サイトや楽天・Amazonなどでも商品を購入できます。
特に最近は、スマホからの注文も多くなってきていて、ネット経由での売上を伸ばそうといろいろな工夫をしています。
ただし、会社の業績はここ数年あまりよくありません。少子化やファストファッションブランドの競争が激しくなったことで、売上や利益が減ってきており、店舗の統廃合などを進めて経営を立て直そうとしている段階です。
それでも、配当や優待など、株主への還元は続けており、長く応援してくれる投資家に対しては一定のメリットがある会社ともいえます。
全体としては、「お手頃価格で家族みんなの服がそろうお店」としてのポジションを守りながら、変化する市場に対応しようとしている企業です。
コツコツとした改善を積み重ねることで、今後の成長も期待できるかもしれません。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
マックハウスの株について、長期的な投資の視点で見ると、「強くおすすめするのは難しい」というのが正直な評価です。
まず、30年チャートを見てみると、マックハウスの株価は長期にわたって右肩下がりです。
一時的に上がる時期もありましたが、全体としては下落傾向が続いており、ここ10年ほどは300円台で停滞しています。
つまり、長く持っていたからといって株価が上がって得をするような展開にはなりにくい銘柄です。
株の指標を見ると、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)はどちらも「非常に低い」水準で、これだけを見ると「割安株」と考えられるかもしれません。
ただし、これは投資家からの評価が低い=成長への期待が薄いという裏返しでもあります。
業績も安定しているとは言えません。
少子化の影響で衣料の需要が減っている中、ユニクロやしまむら、通販型ファッションなど強力なライバルが多い業界にあって、マックハウスの売上や利益はなかなか伸びていません。
特に近年は赤字の年もあるなど、財務面での心配も見られます。
自己資本比率はやや低めで、ROE(自己資本利益率)も高くありません。
これは「会社が自分のお金をうまく使って利益を出していない」という意味で、経営の効率があまり良くないともいえます。
信用倍率はやや高めなので、個人投資家の買い意欲はあるようにも見えますが、それが株価を大きく押し上げるほどの力にはなっていないのが実情です。
また、株主への還元という点では、配当と優待をあわせた利回り高めで、一見お得に見えるかもしれません。
しかし、これは株価が安いからそう見えるだけで、業績悪化が続けば減配や優待の改悪のリスクもあるため、そこだけを見て飛びつくのは危険です。
もちろん、100株で3万円台という低価格なので、「お試しで長期保有してみたい」「優待目当てで持ちたい」という目的であれば、大きなリスクを負わずに保有は可能です。
ただし、それでも“投資としておすすめか”と聞かれたら、現状では“慎重な判断が必要”と答えるのが妥当でしょう。
総合的に見て、マックハウスの株は「価格は手ごろでも、業績・株価の推移・将来性をふまえると、長期で保有して大きなリターンを期待するタイプの株ではない」と言えます。
株主優待が継続されていることだけが支えになっている印象もあり、今後の経営状況によっては、優待自体が見直される可能性もゼロではありません。
株主優待にみる分析
マックハウスの株主優待は、優待目的で投資を考える人にとっては、いちど注目してみる価値のある内容です。
ですが、長期的な視点で見ると、これだけを理由に株を買うのは慎重になった方が良いかもしれません。
まず、優待の内容はとてもシンプルで、年に2回、自社で使える買い物券がもらえるというものです。
100株を持っていれば、1,000円券が2枚、つまり年間で2,000円分がもらえます。優待券は全国のマックハウスのお店で使えますし、家族で一緒に買い物をする機会があるなら、自然に使いやすい優待です。
ここで気をつけたいのが、「利回りが高いのは、株価が下がっているから」という点です。
つまり、会社の業績が悪化していて株価が安くなっているから、見かけ上の利回りが高くなっているのです。
さらに、こうした優待や配当は会社の利益から出しているものです。
業績がよくない状態が続けば、いずれ減配されたり、優待が縮小されたりする可能性も出てきます。
実際、過去には同じようなカジュアル衣料業界の企業が、業績悪化にともなって優待の廃止や改悪をした例もあります。
また、優待券はおつりが出ないうえに、使える条件が「税抜1,000円ごとに1枚」となっており、実質的には満額使いきるには計画的に買い物しないと損をする設計です。
これも人によっては不便に感じるかもしれません。さらに、マックハウスの店舗が近くにない地域の人には、そもそも使いにくいという問題もあります。
もう一点付け加えるなら、マックハウスには長期保有特典がないため、ずっと株を持ち続けても追加の優待などが増えるわけではありません。
つまり、優待を長く楽しめる反面、「長期で持って得になる工夫」は少ないとも言えます。
とはいえ、3万円ちょっとで購入できる銘柄としては、年2回の優待+配当があるのは貴重です。
マックハウスで日ごろから洋服を買っている人や、家族でよく使うという人にとっては、「生活に役立つ株」としての価値はあると思います。
総合評価
マックハウスの株は、手ごろな価格で始められて、年に2回の優待と配当もあるので、一見とても魅力的に見えるかもしれません。
特に優待の利回りは高く、少ない金額で毎年お得な買い物ができるというのは、大きなポイントです。洋服をよく買う人にとっては、普段の生活に役立つ優待といえるでしょう。
長期的に見れば、今のままの業績が続くようであれば、優待や配当が見直されるリスクも無視できません。
その点を考えると、リスクを理解した上で、生活に役立つ優待を楽しむ“サブ的な保有銘柄”として考えるのが良いでしょう。