安楽亭[7562]は、焼肉業態を中心に「ステーキのどん」「フォルクス」といった業態を取り込み、多角的な外食事業を展開しています。
本記事では、安楽亭の株価動向や財務状況、事業展開を分析しながら、長期投資における魅力とリスクを詳しく解説していきます。
特に、株主優待制度を活用した投資戦略や、長期的な視点での投資おすすめ度について深掘りすることで、「安楽亭は本当に長期投資に適した銘柄なのか?」という疑問に答えていきます。
財務面の課題や今後の成長可能性を踏まえながら、安楽亭への投資があなたの資産形成にどのような影響を与えるのかを理解できる内容となっています。
株式情報
安楽亭[7562] | 東証ST |
時価総額 161億円 |
株価 6,990円
※更新:2025年3月11日
![安楽亭[7562]株価30年チャート](https://kabulife.jp/wp/wp-content/uploads/2025/04/7562_20250311.png)
30年チャートを掲載
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
21.2倍 | 2.15倍 | 30.7% | 16.88% | 0.00倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
3.7% | - | 3.7%~ | 3月、9月 | 699,000円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
過去に大きな値動きを経験したものの、直近では業績回復や事業多角化を背景に安定した株価推移を見せています。自己資本比率の低さや無配当といった財務面の懸念はあるものの、100株保有で年間26,000円相当の優待が受け取れる点は大きな魅力です。店舗をよく利用する人にとっては実質的なリターンが高く、優待目的での長期保有に適した銘柄といえるでしょう。 |
会社情報

株式会社安楽亭は、1963年4月に埼玉県蕨市で焼肉店としてスタートしました。
最初のお店の名前も「安楽亭」で、地域の人たちに親しまれてきました。
その後、1978年に会社として正式に設立され、飲食店のチェーン展開を本格的に始めています。
1985年には大手商社の伊藤忠商事と手を組み、同じ年にフランチャイズ1号店を開店し、これをきっかけに全国にお店を広げています。
1992年には100店舗を突破し、1997年には株式を店頭に登録。
そして2000年には、東京証券取引所の第二部に上場し、より多くの人たちが株を買えるようになりました。
安楽亭の仕事は、焼肉店を中心にいろいろな飲食店を運営することです。
また、お店で使う食材や材料を他の飲食店に販売したり、お店の経営についてアドバイスしたりもしています。
さらに、肉や野菜などの材料を仕入れて加工し、自分たちのトラックでお店に運ぶなど、すべての流れを自分たちのグループで管理しています。
これにより、安全で安心な料理を提供することができています。
2020年には「ステーキのどん」や「フォルクス」といったステーキレストランを運営する会社「アークミール」を子会社にしました。
これによって、焼肉だけでなく、ステーキなど他の料理も提供できるようになり、グループ全体の事業の幅が広がりました。
また、2024年にはベトナムにもお店を出し、海外進出にも力を入れています。
安楽亭は、日本で長年親しまれてきた焼肉チェーンとして、これからも地域の人々においしい料理を届けながら、国内外での成長を目指しています。
同社の主なブランドには以下のものがあります。
- 焼肉レストラン 安楽亭:ファミリー層を中心に、幅広い客層に支持される焼肉レストラン
- 炭火焼肉 七輪房:炭火焼肉を提供する店舗
- ステーキのどん:ステーキを中心としたメニューを展開するレストラン
- しゃぶしゃぶすき焼 どん亭:しゃぶしゃぶやすき焼きを提供する店舗
- フォルクス:ステーキやハンバーグを提供するレストラン
2024年3月の時点で、安楽亭グループが運営しているお店の数は全部で307店舗になりました。
その内訳を見ると、「安楽亭」が143店舗、「七輪房」が23店舗、「ステーキのどん」が62店舗、「しゃぶしゃぶすき焼どん亭」が32店舗、「フォルクス」が38店舗あります。そのほかにも、「花炎亭」や「からくに屋」、さらにベトナムにあるお店などを合わせた「その他のブランド」が9店舗あります。
安楽亭は「安心しておいしいものを食べられるお店」を目指して、これからも成長を続けていくことを目標にしています。
株主優待情報

株式会社安楽亭は、安楽亭グループの各店舗で利用可能な優待食事割引券や割引券が贈呈されるもので、年に2回(3月末と9月末)実施されています。
株主優待の内容
保有株式数に応じて以下の優待が得られます。
保有株式数 | 優待内容 |
---|---|
100株以上 | 13,000円相当の優待食事割引券(500円券×26枚)および20%割引券6枚 |
200株以上 | 26,000円相当の優待食事割引券(500円券×52枚)および20%割引券12枚 |
500円の割引券と、20%割引券が両方貰えるのは珍しいですね!
優待食事割引券の利用方法
優待食事割引券は、以下の安楽亭グループの各店舗で利用できます。
- 安楽亭
- 七輪房
- からくに屋(狭山ヶ丘店)
- 花炎亭
- ステーキのどん
- フォルクス
- しゃぶしゃぶどん亭
- 上海菜館(アルーサ店)
- カフェビーンズ
権利確定日と発送日
権利確定日、発送日、優待の有効期限は次の通りです。
権利確定日 | 発送日 | 有効期限 |
---|---|---|
3月末 | 6月上旬 | 発行日から1年間(20%割引券は半年間) |
9月末 | 12月上旬 | 発行日から1年間(20%割引券は半年間) |
注意事項
株主ご優待券(500円割引券)
- 割引後の会計金額が1,000円以上の場合、1,000円ごとに1枚(500円券)利用可能です。利用枚数に上限はありません。
- 優待券は税込価格に適用されます。
20%割引券
- 株主優待券(500円割引券)、商品券、御飲食券、ジェフグルメカードとの併用が可能です。
- 他の10%・20%割引券やサービスクーポン券とは併用不可です。
- 宴会・食べ放題などの各種コースにも利用可能です。
20%割引券は、他の割引券やジェフグルメカードと併用できるのが、かなり便利です。
優待ギフトセットへの交換
国内の株主に限り、優待食事割引券1冊(500円券×26枚)と引き換えに、以下の「株主優待ギフトセット」を選択することが可能です。
Aコース:牛肉バラエティセット
- 国産牛厚切りカットステーキ(150g)×1
- 和牛カルビ(100g)×2
- 和牛赤身肉(100g)×1
Bコース:ブランド米バラエティセット
- お米(2kg×2袋)
- ビビンバ(1袋)
- サムジャン(1個)
- コチュジャン(1本)
- 安楽亭焼肉つけダレ(1本)
- 岩のり(3袋)
- 安楽亭ペパーミントキャンディー(1袋)
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株式情報にみる分析
株式会社安楽亭の株価推移を30年という長期スパンで見ると、一見「右肩上がりの安定成長」とは言い難い複雑な軌跡を描いています。
特に1999年から2000年にかけては、一時20,000円近い水準まで急騰する場面がありましたが、その後は大きく値を下げ、長期にわたり低迷する時期が続きました。
これは、当時の過剰な成長期待によるバブル的な上昇と、その反動としての急落という市場の典型的なパターンであり、企業の実力以上に評価されていたことが原因と考えられます。
2000年代から2010年代にかけては2,000円前後での横ばいが長く続き、目立った株価上昇は見られませんでした。
この時期は、業績の頭打ちや外食市場全体の競争激化により、同社が成長の踊り場に差しかかっていた時期とも言えるでしょう。
しかし、2020年以降は状況が変わり始めます。
ステーキ業態を展開する株式会社アークミールの買収により、従来の焼肉業態に加え、ステーキやしゃぶしゃぶといった業態への本格的な展開が始まり、事業ポートフォリオの強化が図られました。
2021年以降は株価が緩やかに回復基調に入り、現在では安定的に推移しています。
この動きは、過去の過熱相場とは異なり、実際の事業拡大や再構築に裏付けられたものであり、企業としての「再評価」が進んでいると見ることができます。
とはいえ、直近の自己資本比率はやや低く、配当は現在も出ていないため、財務面での不安定さは依然として投資判断におけるリスク要因です。
特に、人件費や原材料費の高騰が続くなか、利益率の維持ができるかどうかは、今後の成長を左右する重要なポイントになります。
このように、安楽亭は「高成長株」や「安定高配当株」といったカテゴリには当てはまりませんが、優待利回りを主な魅力とする実用性の高い銘柄として、生活に根ざした投資を行いたい方に適した選択肢です。
過去の極端な株価変動を教訓としつつ、現在の事業戦略や株主還元姿勢を評価すれば、特に外食を楽しみながら長期で資産を育てたい投資家には十分に検討する価値のある企業だと言えるでしょう。
株主優待にみる分析
同社の店舗を頻繁に利用する投資家にとっては、食事代の節約につながるだけでなく、長期的な視点で考えた場合の実質的な利回りの高さが投資メリットが大きいです。
株価の変動を考慮せずに優待だけを見ても、年間26,000円分の割引券を受け取れることは、株価の水準を考えれば非常に高い優待利回りを実現しています。
また、優待の内容が汎用性の高い食事券であることも評価ポイントの一つです。
企業によっては、自社の特定商品やサービスの割引券のみを提供するケースがありますが、安楽亭の場合は全国のグループ店舗で利用可能な優待食事割引券を提供しており、これが株主にとって使いやすい形で還元されている点も、長期的な投資価値を高めています。
また、長期的に見ても、安楽亭は飲食業界の中で安定したブランドを築いており、焼肉業態だけでなく、ステーキやしゃぶしゃぶなどの新たな業態も展開することで、事業の多角化を進めています。
このような取り組みは、株主優待の継続性にも寄与するものであり、長期的な保有に向いた銘柄であると評価できます。
加えて、優待制度が長期間にわたり維持されていることも、安楽亭の安定性を示す要素となります。
企業によっては業績の悪化やコスト削減の影響で株主優待を縮小・廃止するケースもありますが、安楽亭は長年にわたり優待制度を維持しており、これは株主還元の姿勢が明確であることを示しています。
特に、優待が定期的に実施されることによって、長期投資家にとって安定したリターンを得られる点が大きなメリットとなります。
また、優待制度があることで株主の定着率が高まり、株価の安定にもつながるため、企業側にとってもメリットのある仕組みとなっています。
ただし、安楽亭は現在のところ配当を行っておらず、インカムゲインを重視する投資家にとっては、優待だけでは不十分に感じる可能性があります。
とはいえ、外食の頻度が高い投資家にとっては、株主優待のメリットを最大限に活かすことができ、結果的に投資効果を高めることができます。
総合評価
長期的な視点で見ると、安楽亭は株価の大幅な上昇を狙う銘柄というよりも、安定した優待を享受しながら長期保有することで、着実にリターンを得ることができる銘柄と言えます。
特に、株価のボラティリティが比較的低く、長年にわたり一定の水準を維持している点も、優待目的の投資家にとっては重要な要素となります。
短期的な市場変動に左右されることなく、確実に優待を受け取ることで、長期的に資産を増やす戦略が取れるため、長期間保有することに意義のある銘柄と言えるでしょう。
外食を頻繁に利用する投資家にとっては、単なるキャピタルゲインを狙う投資よりも、優待を活用することで高いリターンを得ることができるため、投資先として検討する価値が十分にあると言えるでしょう。
株価の安定性や優待制度の継続性を踏まえ、安楽亭は「優待を目的とした長期投資」に適した銘柄であり、短期的な市場の変動を気にせずにじっくりと保有することで、そのメリットを最大限に享受できる企業の一つです。