「せっかく株を買うなら、毎年なにか“実感できるお得”があるとうれしい。」そんな方におすすめなのが、ANAホールディングス[9202]の株です。
国内最大級の航空会社であるANAは、株主優待制度が充実しており、飛行機の運賃が半額になる割引券をはじめ、ホテルやツアーの割引、空港のお土産店や通販のクーポンなど、旅をもっと楽しく、お得にしてくれる特典が満載です。
30年の株価推移を見ると、大きな値上がりは見込めないものの、安定した企業運営と充実した優待内容は、長期的に持つことでじっくりと恩恵を受けられる魅力があります。
この記事では、ANAホールディングスの株価情報、企業概要、優待内容、そして投資のおすすめ度を、実際に長期保有を前提にしている投資家の視点からわかりやすく解説します。
ANA株が自分のライフスタイルに合うかどうか、一緒にじっくり見ていきましょう。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
9.2倍 | 1.13倍 | 29.3% | 16.48% | 17.02倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
1.83% | 1.83% | – | 3月、9月 | 273,250円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
長い目で見ても、大きく株価が上がるタイプではないと言える一方で、倒産リスクが低いため、優待をうまく活用できる人にとっては、配当や優待を楽しみながら持ち続けられる銘柄です。 |
会社情報

ANAホールディングス株式会社は、日本を代表する航空グループで、その歴史は1952年に設立された日本ヘリコプター輸送株式会社にまでさかのぼります。
この会社は1957年に全日本空輸株式会社(ANA)へと社名を変更し、国内航空業界での地位を確立しています。
その後、2013年4月1日に持株会社体制へと移行し、現在のANAホールディングス株式会社が誕生しました。
ANAグループは、航空輸送事業を中心に多岐にわたる事業を展開しています。
主力の全日本空輸株式会社(ANA)は、国内外の定期・不定期航空輸送を行っており、東京(羽田・成田)を主要ハブとして、国内外の多くの都市に就航しています。
また、地域路線を担当するANAウイングスや、格安航空会社(LCC)であるPeach Aviation、国際貨物輸送を担うANA Cargoなど、多様な航空関連子会社を擁しています。
さらに、航空機の整備や地上支援業務、機内食の提供、旅行商品の販売、ITサービスの提供など、航空事業を支える幅広い関連事業も展開しています。
ANAグループは、航空業界の変化に対応するため、近年では新たな取り組みも進めています。
例えば、2022年には中距離国際線向けの新ブランド「AirJapan」を立ち上げ、東南アジアやオセアニア地域へのサービス拡充を図っています。
また、貨物輸送事業の強化や、デジタル技術を活用した新サービスの開発など、持続可能な成長を目指した取り組みを積極的に進めています。
このように、ANAホールディングスは、長年にわたり培ってきた航空事業のノウハウを活かしつつ、新たな挑戦を続けることで、国内外の顧客に高品質なサービスを提供し続けています。
その多角的な事業展開と安定した経営基盤は、長期的な視点での投資先としても注目される要因となっています。
株主優待情報

ANAホールディングスの株主優待は、旅行や出張が多い方にとって非常に魅力的な内容となっています。
ANAの株主優待は、年に2回(3月末と9月末)実施され、100株以上保有している株主が対象です。
株主優待の内容
主な優待内容は以下の通りです。
- 株主優待番号ご案内書:ANA国内線の片道1区間が50%割引で利用できる優待券です。
- ANAグループ優待券:ホテルやツアー、空港内の買い物などで利用できる割引クーポンが含まれた冊子です。
- オリジナルカレンダー:6か月以上継続保有している株主には、希望者にオリジナルカレンダーが贈られます。
株主優待番号ご案内書の詳細
この優待券を使うと、ANAが運航する国内線の「普通運賃」が50%割引で利用できます。
LCCのPeachなどは対象外です。
割引対象は以下のように柔軟で、片道ごとの使用が可能です。
- 大人・小児ともに利用可
- 予約変更可能な普通運賃に適用(早割などとは併用不可)
- 搭乗者は株主本人でなくてもOK(家族や友人も利用可)
また、保有株数に応じて発行枚数は段階的に増加します。
保有株数 | 発行枚数(年2回) | 備考 |
---|---|---|
100株~199株 | 各回1枚(年2枚) | 最低取得単位。100株保有で年2枚の優待券を受け取れます。 |
200株~299株 | 各回2枚(年4枚) | 200株保有で年4枚の優待券を受け取れます。 |
300株~399株 | 各回3枚(年6枚) | 300株保有で年6枚の優待券を受け取れます。 |
400株~999株 | 各回4枚+400株超過分200株ごとに1枚(年8枚~) | 例:600株保有で各回5枚、年10枚の優待券を受け取れます。 |
1,000株~99,999株 | 各回7枚+1,000株超過分400株ごとに1枚(年14枚~) | 例:2,000株保有で各回9枚、年18枚の優待券を受け取れます。 |
100,000株以上 | 各回254枚+100,000株超過分800株ごとに1枚(年508枚~) | 大口保有者向け。例:100,800株保有で各回255枚、年510枚の優待券を受け取れます。 |
2025年5月発行分より「株主優待番号ご案内書」の有効期間は、1年から1年半に延長されています。
ANAグループ優待券の内容
国内・海外問わずANAグループのサービスをお得に使える優待クーポン集です。
旅行の前後に活用することで、航空券以外にもさまざまな面で恩恵を受けられます。
具体的には以下のようなサービスが対象です。
- ANA国内・海外ツアー(ANAトラベラーズ):7%割引
- IHG・ANA・ホテルズグループジャパンの宿泊割引:最大20%引き(公式サイト予約が対象)
- 空港売店 ANA FESTA:10%割引(ただし酒類・タバコなど一部対象外)
- ゴルフ場割引:提携コースにて割引(対象施設は変動あり)
- ANAショッピング A-style:10%割引クーポンを複数枚提供
- 空港宅配・レンタカー・空港内ラウンジサービス等:各種割引あり
1冊で家族全員分使える内容になっており、ANA旅行をフル活用したい方には非常に重宝します。
オリジナルカレンダー
9月末時点で6か月以上継続保有している株主には、希望者にオリジナルカレンダーが贈られます。
壁掛け型と卓上型から選択可能で、株主専用サイトでの申込みが必要です。
注意点と活用アドバイス
割引の上限価格が決まっているわけではないため、繁忙期や長距離路線で使うほどお得になります。(例:那覇、石垣、北海道など)。
また、「株主優待番号ご案内書」は、株主以外の方も利用できます。家族やパートナーと一緒に使うのもおすすめです。
とはいえ、転売は固く禁止されています。メルカリやオークションでの転売が発覚した場合、無効になる可能性があるので注意しましょう。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
ANA(全日本空輸)の株は、30年間のチャートを見てみると、「波がありながらも長く横ばいに近い動き」をしています。
1996年ごろは1万円を超える高値をつけていましたが、2000年代に入ると下落。
その後もリーマンショック(2008年)やコロナ(2020年)などの大きな出来事で株価が大きく下がり、横ばいの水準にあります。
つまり、この30年を振り返ってみると「長く持っても株価が大きく伸びていない」というのが正直なところです。
むしろ、高値づかみをしてしまうと、長年にわたって含み損を抱える可能性もあります。
一方で、ANAは「値上がり益をねらう」株ではなく、「配当や優待をもらいながら、長く持っていくことで価値を得る」タイプの銘柄と言えます。
株価自体は大きく上がるか判断しにくいですが、倒産リスクのかなり低い企業で、安定した航空事業を続けている点は評価できます。
PERは「わりと低め」で、今の株価は高すぎるという印象はなく、PBRも「妥当な水準」です。
つまり、会社の中身と今の株価のバランスは悪くないということです。
ただし、ROEや自己資本比率などは、航空業界全体が抱える難しさもあって、決して高いとは言えません。
このように、ANAの株は「長い目で見ても、大きく株価が上がるタイプではない」と言える一方で、「ANAに乗ることが多い人」や「優待をうまく活用できる人」にとっては、配当や優待を楽しみながら持ち続けるには向いている銘柄です。
株主優待にみる分析
ANAホールディングスの株主優待は、「旅行をよくする人」にとっては非常にメリットが大きく、使い方次第で投資価値が高くなる制度です。
ですが、その一方で「優待の内容が人を選ぶ」タイプでもあるため、全員に向いているとは限りません。
まず、最も価値が高いのは「ANA国内線が50%オフになる割引券」です。
この券は、ふつうの航空券に比べて、使える期間も長く、予約変更もできるので使い勝手がとても良いです。
とくに、正規運賃が高くなりやすい年末年始や大型連休、急な出張などに使うと、本来4~5万円かかる区間が2万円台になることもあります。
1枚の優待券で2万円近い割引が受けられるケースもあるため、「1枚あたりの実質利回り」が高くなりやすいのです。
この優待券は100株で年2枚もらえますが、1,000株を超えると枚数が加速的に増えていくので、たとえば年に何度も飛行機に乗る人や、家族でANAを使う機会が多い人には特に相性が良いです。
大量保有している個人投資家の中には、優待券を家族全員で分け合って、実質的に「交通費を毎年かなり節約」しているケースもあります。
ただし、ANAの優待は「実際に使って初めて価値がある」タイプです。
たとえばANAの就航していない地域に住んでいたり、そもそも飛行機に乗る機会がない人にとっては、宝の持ち腐れになります。
また、ANA便の割引が効くのは「正規運賃」だけで、早割やLCC(格安航空会社)には使えないため、価格の安さだけで見れば、他社の格安チケットのほうが安いケースもあります。
ANAグループのホテルや旅行サービスに使えるクーポン冊子も同様で、「ANA系列を利用する人」にとっては割引率が高く、とてもお得です。
ただし、自分が使うサービスがANAグループでなければ、これもメリットを活かせません。
つまり、「自分のライフスタイルと合っているか」が、ANA優待を評価するうえでとても大切です。
また、ANAの優待制度はここ10年以上、安定して継続されており、突然の改悪や廃止といったリスクはこれまで低い傾向にあります。
これは、長期保有を前提とする投資家にとって非常に安心できる要素です。
以上のように、ANAの優待は、「使う人にとってはとてもお得」ですが、「使わない人にとっては意味がない」という、はっきりとした性格を持っています。
以上のように、ANAの優待は、「使う人にとってはとてもお得」ですが、「使わない人にとっては意味がない」という、はっきりとした性格を持っています。
そのため、「ANA便に年1~2回でも乗る予定があるか」「旅行にANAを選ぶ習慣があるか」が、投資判断のひとつの分かれ道になります。
総合評価
シンプルに言えば「値上がりで大きくもうける」というタイプの株ではありません。
30年という長いチャートを見ても、何度も大きな波はあるけれど、全体的には横ばいで、長く持っていても株価がグンと上がったわけではないことがわかります。
でも、それでもANAの株を「長く持つこと」に意味があるのは、優待と配当があるからです。
ANAは長い歴史と強いブランド力を持っていて、景気が回復すればまた戻してくる力も持っています。
さらに、優待制度が長年続いているというのも、安心材料のひとつです。
「毎年の旅行や出張でANAを使っている」「優待で実際に得をしていきたい」と考えている人にとっては、とても相性の良い銘柄です。
安定して優待をもらいながら、コツコツ持ち続けるスタイルがぴったりの株だと思います。