日本取引所グループ(JPX)[8697]は、東京証券取引所や大阪取引所などを運営している、日本の金融市場を支えるとても大切な会社です。
株を売ったり買ったりする場所を守る仕事をしていて、私たちの生活や経済と深くつながっています。
これまで、株を持っている人にはQUOカードがもらえる株主優待もありましたが、2025年3月を最後に優待制度は終わることになりました。それでも、JPXの株は長い目で見て、とても安定感があり、配当金を楽しみに保有する価値がある銘柄です。
この記事では、日本取引所グループの株価情報や会社の特徴、そして優待制度の変更点まで、わかりやすく紹介していきます。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
26.8倍 | 4.97倍 | 0.4% | 18.97% | 1.51倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
2.92% | 2.92% | 0.00% | 3月 | 155,900円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
日本取引所グループ(JPX)は、日本の金融インフラを支える安定したビジネスモデルを持ち、長期投資に適した銘柄です。株主優待は2025年3月で終了しましたが、配当による利益還元に一本化され、企業価値向上が期待されています。優待廃止後も株価は安定して推移し、市場から高く評価されています。証券取引所という堅実な収益基盤を持つJPXは、短期的な値動きに左右されず、安定配当を受け取りながらじっくり資産形成を目指せる銘柄といえるでしょう。 |
会社情報

日本取引所グループ(JPX)は、日本を代表する証券取引所グループです。
2013年に、東京証券取引所と大阪証券取引所が合併してできた会社で、株式や先物取引といった金融商品の売買をサポートする場所を運営しています。
東京証券取引所では、トヨタやソニーなど、日本を代表する大企業の株が売買されており、世界でも有数の規模を持つ株式市場です。
一方、大阪取引所は、日経平均株価などの先物取引やオプション取引といった、より専門的な金融商品を取り扱っています。
日本取引所グループには、東京証券取引所と大阪取引所のほかにも、東京商品取引所というグループ会社があります。
ここでは、金や原油、小麦などの商品先物の取引が行われています。
さらに、JPX総合取引所という新しい仕組みも導入しており、株式や先物、商品といったさまざまな金融商品を1つのシステムで売買できるようにする取り組みも進めています。
会社の本社は東京都中央区の日本橋兜町にあります。
この場所は、昔から日本の証券取引の中心地として知られており、日本経済の歴史に深く関わってきた地域です。
一般的な企業と違い、日本取引所グループは「店舗」や「ブランド」を持っているわけではありません。
レストランチェーンのようにお店を広げるビジネスではなく、取引所という公共性の高い場所を運営することが仕事だからです。
東京証券取引所、大阪取引所、東京商品取引所といった施設そのものが、いわば「ブランド」といえる存在になっています。
日本取引所グループのもうひとつ大きな役割は、金融商品の取引が安全・公正に行われるようにルールを整えたり、チェックをすることです。
たとえば、上場企業がきちんと情報を公開しているか、相場操縦のような不正が行われていないかを確認するなど、安心して取引できる環境づくりに力を入れています。
このように、日本取引所グループは、株式や先物といった金融商品を売買するための「場」を提供するだけでなく、日本の経済の成長を支えたり、投資家が安心して取引できる仕組みを作ったりする、非常に大切な役割を持った会社です。
株主優待情報
2025年3月権利分をもって優待制度を廃止しました。
2025年4月現在、優待制度の実施情報はありません。
過去にあった優待の内容
日本取引所グループでは、以前はプリペイドカード「QUOカード(クオカード)」が優待で贈呈されていました。
もらえるQUOカードの金額は次のようになっていました。
継続保有期間 | もらえるQUOカード金額 |
---|---|
1年未満 | 1,000円分 |
1年以上2年未満 | 2,000円分 |
2年以上3年未満 | 3,000円分 |
3年以上 | 4,000円分 |
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
日本取引所グループ(JPX)の株は、長期でじっくり持つ投資にとても向いている銘柄だといえます。
その理由を、わかりやすく説明していきます。
まず、日本取引所グループは「証券取引所」を運営している会社です。
証券取引所というのは、企業の株を売ったり買ったりする場所のことで、日本の経済活動にとってなくてはならない存在です。
つまり、日本経済が続く限り、日本取引所グループの仕事がなくなることは基本的に考えにくいのです。
こうした「ビジネスモデルの安定性」は、長期投資をする上でとても大きな安心材料になります。
次に、業績の安定感にも注目できます。
日本取引所グループは取引量に応じて手数料収入を得るビジネスモデルなので、景気が悪い時でも一定の収入が見込めます。
もちろん、株式市場がとても冷え込むと手数料収入も減ってしまいますが、それでもほかの業界に比べれば業績の上下は小さめです。
また、近年ではデリバティブ(先物やオプション取引)や、海外展開にも力を入れており、収益の柱が複数に広がっています。このように、収益源が分散している点も長期投資向きといえるでしょう。
株式の指標を見ても、堅実な経営がうかがえます。
PER(株価収益率)はやや高めで、市場平均よりも割安とはいえませんが、これは「安定した会社だからこそ、投資家から高い評価を受けている」という見方もできます。
PBR(株価純資産倍率)も高めですが、資産だけでなく、毎年安定して利益を生み出せる力が評価されている証拠です。
ROE(自己資本利益率)もかなり高い水準です。
会社が持っている資本に対してしっかり利益を上げられている、効率のいい経営ができていることを示しています。
さらに、自己資本比率は0.4%と非常に低い数字ですが、これはJPXが取引所という特殊な業態だからです。
一般企業のように大量の自己資本を必要とせず、むしろ効率的に運営しているということなので、必ずしもマイナスには考えなくて大丈夫です。
株価の動きに目を向けると、ここ10年以上の長期チャートでは、緩やかですが着実に右肩上がりの傾向が続いています。
世界的に株式市場の規模が拡大してきた流れもあり、日本取引所グループもその恩恵を受けて成長してきました。
とくに、ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)といった新しい金融商品の取引も伸びてきており、今後も市場全体の拡大とともに成長が期待できる立場にいます。
すぐに大きな値上がりを狙うような短期投資には向いていませんが、長期的に見れば安定的な成長と、手堅い配当収入が期待できる非常に魅力的な銘柄です。
日本経済とともに歩んでいく企業であり、金融市場全体の発展に合わせてじわじわと力をつけていくタイプの株といえるでしょう。
株主優待にみる分析
日本取引所グループ(JPX)は、以前まで株主優待制度を行っていましたが、2025年3月末を最後に廃止されました。
このため、これから株を買ったり、すでに持っている人が保有し続けても、QUOカードなどの株主優待は受け取れなくなります。
2023年10月に会社から「株主の公平性を考えた結果、優待はやめて、配当で利益を還元していく」という発表がありました。
優待を楽しみにしていた投資家にとっては残念なお知らせだったかもしれませんが、実はこの判断はとても理にかなったものだといえます。
まず、優待は現金ではないため、海外の株主や企業年金ファンドのような大口の投資家にとってはあまりメリットがありませんでした。
QUOカードをもらっても使えない人も多く、逆に不公平感が出る場合もありました。
こういった背景をふまえ、世界の投資のルールに合わせて「配当で平等に還元する」という方針に変えたのです。
これは日本取引所グループが、より世界標準の考え方に合わせたという意味でもあり、会社の成長にとってプラスに働く決断だったといえます。
実際、優待廃止の発表後も株価はほとんど下がらず、むしろ上昇傾向を見せました。
普通なら優待廃止で株価が下がることが多いのですが、日本取引所グループの場合は、配当をしっかり出すことが評価された結果です。
このことからも、短期的な人気取りではなく、長期的に見た企業価値向上を重視していることがわかります。
つまり、「優待がなくなったからこの株を持つ意味がなくなった」というわけでは全くありません。むしろ、今後は配当金による安定した利益を期待できる銘柄として、長期保有に向いていると言えます。
また、日本取引所グループのビジネスモデルはとても安定しています。
証券取引所を運営しているため、株の売り買いがある限り手数料収入を得ることができ、日本経済が続くかぎり必要とされる存在です。
さらに、近年は海外展開やデリバティブ取引など新しい収益源にも力を入れており、今後の成長も見込めます。
このような安定性や成長性を考えると、「QUOカードをもらえなくなったからがっかり」という視点ではなく、「これからも安心して配当金を受け取れる会社に投資できる」と前向きに考えるべきでしょう。
総合評価
日本取引所グループ(JPX)は、長期で株を持つ人にとって、とても安心感のある会社だと言えます。
まず、証券取引所を運営するという仕事自体が、日本経済にとってなくてはならないものであり、今後もずっと必要とされ続けることが期待できます。
仕事の内容がとても安定しているので、大きな景気の波があっても、極端に業績が悪くなるリスクは小さいです。
日本取引所グループはこれからも日本経済を支える安定した会社として、配当をもらいながらじっくりと成長を見守るのにぴったりの銘柄です。
短期的な株価の動きに惑わされず、長期的な視点で持ち続けることで、大きな安心感とリターンが期待できるでしょう。