システムインテグレータ[3826]は、ITサービスを提供している小型の上場企業です。
自社でソフトを作り、それを企業向けに販売しているまじめな会社ですが、株価の動きはこの30年間で大きな上昇を見せることなく、近年は低迷気味です。
また、株主優待としてお米がもらえる制度がありますが、事業内容とは関係がなく、将来も続くかどうかに少し不安もあります。
長期的にじっくり保有したい人にとって、何を重視するかが判断のカギとなる銘柄です。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
16.2倍 | 1.01倍 | 82.5% | 14.18% | 19.18倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
2.37% | 2.37% | – | 8月 | 75,800円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
安定した経営基盤はあるものの、長期的に株価が伸び悩んでおり、将来的な成長性にも不透明感があります。優待としてもらえるお米は実用的ですが、事業と無関係で継続性にも疑問が残る点はマイナス材料です。200株以上という取得ハードルも高めで、コストパフォーマンスにも劣ります。堅実性はあっても、積極的におすすめできる銘柄とは言えず、慎重な判断が必要な銘柄です。 |
株主優待情報

システムインテグレータ株式会社は、株主優待制度として、新潟県産の特別栽培米「コシヒカリ」の新米を贈呈しています。
この優待は、長期保有を奨励する目的で設けられており、保有株数と継続保有期間に応じて受け取ることができます。
株主優待の内容
保有株式数 | 優待内容(新米の量) |
---|---|
200株以上 | 1kg |
1,000株以上 | 2kg |
4,000株以上 | 5kg |
16,000株以上 | 10kg |
※優待を受け取るには、毎年2月末日および8月末日現在の株主名簿に、同一株主番号で記載されている必要があります。

贈呈されるお米は、同社の会長である梅田氏の故郷・新潟県で栽培された「減農薬減化学肥料(特別栽培農作物)」のコシヒカリです。
権利確定日と発送時期
- 権利確定日:毎年8月末日
- 発送時期:新米の収穫後、10月中旬頃に発送予定
会社情報

システムインテグレータは、埼玉県さいたま市に本社をかまえるIT企業で、1995年に設立されました。
名前の通り、システムの開発や導入を支援することが中心の会社ですが、特徴的なのは「自社開発のパッケージソフト」を中心にビジネスを展開している点です。
つまり、他社からシステムをもらってくるのではなく、自分たちでソフトウェアを作り、それを企業に販売したり、クラウド上で使ってもらったりする形で収益を得ています。
取扱うサービスは多岐にわたりますが、主なものには「SI Object Browser」というデータベース開発支援ツールや、ネットショップの構築ができる「SI Web Shopping」、プロジェクト管理ツールの「OBPM Neo」などがあります。
特にSI Object Browserシリーズは、全国の多くのITエンジニアに利用されており、技術職の現場では定番とも言える存在です。
また、最近ではプログラミングスキルを客観的に測る「TOPSIC」というクラウドサービスにも力を入れており、IT人材の採用や育成にも役立つツールとして注目されています。
このように、単にソフトを売るだけでなく、企業の「人材」や「開発環境」まで支援する広い領域で事業を行っています。
拠点は、さいたま本社のほかに、大阪と福岡にも事業所があります。全国対応が可能で、東京の企業にも多くの導入実績があります。
また、会社としての規模は大企業ほど大きくはないものの、財務はとても安定しており、自己資本比率が8割を超えていることから、経営基盤のしっかりした優良企業と言えます。
AI技術の活用やSaaS(クラウドサービス)型の製品強化にも積極的で、時代に合わせた進化を続けています。
安定性と革新性をあわせ持つ、中小型のIT企業として、今後の成長にも期待がもてる会社です。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
システムインテグレータ株式会社の株は、長期で見たときの投資対象としては「やや厳しめの評価」となります。
まず、30年チャートを見ると、2017〜2020年頃のピークを最後に、株価は下落基調が続いており、現在はピーク時の半分以下にまで値を下げています。
こうした「高値掴みリスク」が見える形は、長期投資家にとっては不安要素です。
また、業績自体は安定していて、自己資本比率は非常に高く、一見健全に見えます。
しかし、時価総額だけみると小型株に分類されるため、買収や倒産リスクの高さは否めません。
ROEは一定の水準を保っており、経営の効率もそこまで悪くありません。
PERやPBRも市場平均から大きく外れているわけではなく、割安株とも言い切れません。
言い換えれば、割安感や成長期待といった「買いたくなる材料」が乏しいのです。
こうした小型株は、よほど明確な成長ストーリーがない限り、資金が入りづらく、出来高の少なさから値動きも不安定になりがちです。
長期でじっくり資産形成をしたいという投資家にとっては、安定感のある大型株や高配当株に比べて相対的な魅力は劣ると言えるでしょう。
さらに、システムインテグレータの属するIT業界は変化のスピードが速く、競争も激しい業界です。
その中で、この企業は独自のプロダクトを持ちつつも、市場を大きく揺るがすような革新を起こしているわけではなく、いわばニッチで堅実な会社という印象です。
悪く言えば、成長の勢いが見えづらい、ということです。
もちろん、今後のAIやSaaS事業の進展によって業績が伸びる可能性はあります。
ただ、現時点ではそれが株価に反映される兆しは見えていません。
つまり、長期でじっくり持つには、もう一段階上の企業成長ストーリーや戦略の転換が欲しいところです。
総じて、財務体質や収益構造は堅実であるものの、株価の長期低迷、成長性の物足りなさ、流動性の低さなどを考慮すると、現時点での投資魅力は限定的です。
株主優待にみる分析
システムインテグレータ株式会社の株主優待は、新潟県産の特別栽培米「コシヒカリ」がもらえるという一風変わった内容です。
優待品としてのお米は実用性が高く、誰にとってもありがたいものではあります。
しかしながら、この優待制度には、いくつか注意すべきポイントが存在します。
まず最大の特徴は、「優待内容と本業の関連性がまったくない」という点です。
システムインテグレータは、SaaS型の業務支援ソフトやITコンサルティングを展開する純粋なIT企業です。
そのような業種でありながら、優待品が“お米”というのは、正直なところ少し違和感があります。
もちろん、会長の出身地のご縁や、地域貢献といった意味もあるのかもしれませんが、企業と株主の中長期的な信頼関係の構築を目的とするならば、事業に関係した製品やサービスを提供したほうが自然です。
次に、優待の継続性という観点でも若干の懸念が残ります。
というのも、この優待制度は「会長の故郷の農家による生産米を株主に届ける」という、かなり属人的な設計になっており、企業の経営体制や農家との契約に変化が生じた場合、制度そのものが廃止または大きく変更されるリスクも否定できません。
たとえば後継者問題や取引先農家の事情などが発生すれば、すぐに維持が難しくなる可能性もあります。
また、優待をもらうには最低でも200株が必要で、100株では何ももらえません。
これは多くの優待銘柄が100株から優待対象になっている中では、やや敷居が高い印象を受けます。
さらに保有株数に応じてお米の量が増えますが、最大の10kgをもらうには16,000株が必要で、コストパフォーマンスとしても疑問が残るところです。
一方、長期保有を前提とした優待設計となっており、売買を繰り返す短期トレーダーではなく、長く企業と関わってくれる投資家を重視している点は評価できます。
そうした意味では「優待をきっかけに企業と長く付き合うきっかけになる」という考え方もできます。
とはいえ、優待の内容が「企業のサービスと直接関係ない」「継続性が経営者の個人性に依存している」「200株からという取得ハードルが高い」といった点を総合すると、この優待だけを目的に投資するにはやや不安が残るのも事実です。
特に、優待利回りが極端に高いわけでもないため、他の「優待+配当」でバランスの取れた銘柄と比べて、相対的な魅力はそれほど高くありません。
つまり、お米という内容自体はうれしいけれど、それが会社の本質や株主との関係性をどれだけ強めているのか、と考えると少し疑問が残る優待制度です。
優待目的で買うのであれば、他の銘柄との比較や、優待の持続性も含めて慎重に検討すべきでしょう。
総合評価
システムインテグレータ株式会社は、IT業界の中ではまじめで安定した経営をしている企業です。
30年という長いチャートを見ると、株価は長く低迷しており、2020年ごろの高値をピークに右肩下がりとなっています。
決して悪い企業ではありませんが、現時点での株価の動きや優待内容の不安定さを考えると、投資の優先度としてはやや控えめな位置づけになります。
無理に飛びつくよりも、他の銘柄としっかり比較しながら検討するのがよいでしょう。