【2025年最新版】プライム・スタンダード・グロースの上場条件を徹底比較

「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」ってなにがちがうの?

そんな疑問を持つ投資の初心者でもわかるように、この記事では日本の株式市場のルールや条件をやさしく解説します。

2022年に市場の仕組みが大きく変わって、今は会社の成長や規模にあわせた3つの市場にわかれています。

それぞれの市場にどんなルールがあるのか、どんな会社が入っているのかを知れば、ニュースや経済がもっと身近に感じられるはずです!

目次

上場するにはどんなルールがあるの?

会社が株を売ってお金を集めるために「上場」するには、いくつかのきまりをクリアしないといけません。

たとえば「ちゃんとたくさんの人が株を持っていること」や「会社に借金ばかりでなく、しっかりしたお金の土台があること」などです。

また、2年分の決算の数字をチェックしてもらうことや、会社の中にちゃんとルールがあるか、社長だけで勝手に決めない仕組みがあるかも見られます。

つまり、「この会社なら信じて投資しても安心だよ」と思ってもらえるような体制を作る必要があるんです。

プライム・スタンダード・グロースってなにがちがうの?

プライム・スタンダード・グロースの違い

東京証券取引所には、今は3つの株式市場があります。

それが「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」です。

会社がどの市場に上場するかは、その会社の大きさ、将来の成長力、そしてルールを守る体制などによって決まります。

それぞれの市場には、上場するためのルール(上場条件)があります。これらをわかりやすく表にまとめてみました。

3つの市場のちがい(かんたん比較表)

比べるポイントプライム市場スタンダード市場グロース市場
株主の人数800人以上400人以上150人以上
株の流通数(※)2万単位(約200万株)以上2,000単位(約20万株)以上1,000単位(約10万株)以上
時価総額(株の合計金額)100億円以上10億円以上5億円以上
流通株式の割合35%以上25%以上特に決まりなし
利益などの数字条件利益25億円以上または時価総額1,000億円以上債務超過(借金>資産)でないこと数字の条件なし(赤字でもOK)
社外取締役のルール取締役の3分の1以上1人以上設置が必要
特徴大企業向け。投資家の信頼が超重要中堅企業向け。安定した経営が必要成長企業向け。未来にかける市場
こんな会社が多いトヨタ、ソニー、NTTなど地方の有名企業、中堅メーカーなどスタートアップ、ベンチャー、IT企業など
  • ※単位は「100株ごとのかたまり」のことです。

東証1部・2部・マザーズ・JASDAQはどうなったの?

東証1部・2部・マザーズ・JASDAQ

実は、東京証券取引所の市場は2022年4月に大きく再編されました。

それまでは、次のように4つの市場がありました。

  • 東証1部(とうしょういちぶ)=大企業が多い
  • 東証2部(とうしょうにぶ)=中小企業が多い
  • マザーズ=成長企業向け
  • JASDAQ(ジャスダック)=ベンチャーや中小企業向け

これらを、今の3市場(プライム・スタンダード・グロース)に統一したのです。

旧市場 → 新市場の移行イメージ

旧市場主に移行した先
東証1部プライム市場またはスタンダード市場
東証2部スタンダード市場
マザーズグロース市場
JASDAQ(スタンダード)スタンダード市場
JASDAQ(グロース)グロース市場

どうして市場が再編されたの?

東証が市場を再編した理由は、かんたんに言えば「わかりにくかったから」です。

以前の4つの市場は、それぞれルールやイメージがバラバラで、「どの会社がどれくらい信頼できるのか」や「何を重視している市場なのか」が投資家にも企業にもわかりにくかったのです。

また、東証1部には「実はそこまで大きくない会社」も混ざっていて、「東証1部=すごい会社」と思って買う人が誤解することもありました。

そこで、以下のような考えで再編されました。

  • 投資家が選びやすくなるように、目的別にわける
  • 会社も、自分の成長段階にあった市場を選びやすくする
  • 上場後のルールも明確にして、信頼できる市場にする

こうして、2022年4月から、新しい「3市場体制」がスタートしたのです。

プライム市場に上場するには、ハードルが高い!

「プライム市場」は、たくさんの人や大きな会社がお金を投資している場所なので、そこに上場するにはとても厳しいルールがあります。

たとえば、800人以上の株主がいて、売り出す株も200万株くらい必要です。

そして、流通している株の合計の値段が100億円以上ないといけません。

さらに、会社のルールもしっかりしていないとダメです。

たとえば、社長のまわりに「外の立場から会社を見る人(社外取締役)」が3人に1人は必要になります

このプライム市場は、超しっかりした会社だけが入れる“特別なクラス”のようなイメージです。

条件

  • 株主数:800人以上
  • 流通株式数:2万単位以上(≒200万株)
  • 流通株式時価総額:100億円以上
  • 流通株式比率:35%以上
  • 純資産:プラスであること(債務超過でない)
  • 利益基準:直近2年の利益合計が25億円以上 または 時価総額1,000億円以上
  • 社外取締役:3分の1以上
  • コーポレート・ガバナンス報告書:義務あり(厳格)
  • 適時開示体制:整備必須

スタンダード市場は、ちょっと現実的な目標

「スタンダード市場」は、中ぐらいの会社が目指す場所です。

ルールはプライムほどは厳しくありませんが、それでもちゃんとした会社である必要があります。

株主は400人以上、売り出す株は20万株以上。そして、それらの株の合計金額が10億円以上でないといけません。

お金の面では、「借金ばかりじゃないよ」「資産がちゃんとプラスだよ」といったことが大事です。

また、会社のルールや情報の発信も必要で、「何かあったらすぐにお知らせする体制」がないといけません。

このスタンダード市場は、地方の会社やしっかり経営している中小企業がよく使う市場です。

条件

  • 株主数:400人以上
  • 流通株式数:2,000単位以上(≒20万株)
  • 流通株式時価総額:10億円以上
  • 流通株式比率:25%以上
  • 純資産:プラスであること(債務超過でない)
  • 社外取締役:1名以上
  • コーポレート・ガバナンス報告書:義務あり(やや緩め)
  • 適時開示体制:必要

グロース市場は、成長途中の会社向け!

「グロース市場」は、新しいことにチャレンジしている会社や、これから大きくなろうとしている会社が目指す市場です。

たとえば、まだ赤字でも、「これから成長するぞ!」という会社なら、チャンスがあります。

株主は150人以上、売り出す株は10万株以上で、合計で5億円以上の価値があればOKです。

利益がなくても、将来の計画をしっかり説明することで上場できます。

でも、そのぶん、ウソをついたり、情報をかくしたりしないよう、しっかりルールを守らないといけません。

いわば、「夢を見せる会社のステージ」と言えるかもしれません。

条件

  • 株主数:150人以上
  • 流通株式数:1,000単位以上(≒10万株)
  • 流通株式時価総額:5億円以上
  • 利益や純資産の条件:なし(赤字でもOK)
  • 成長可能性に関する資料:提出が必須
  • 社外取締役:設置必要
  • コーポレート・ガバナンス報告書:提出義務なし(成長可能性説明で代替)
  • 適時開示体制:必要

上場までのながれってどうなってるの?

上場するまでには、だいたい2〜3年くらいの時間がかかります。

まずは、数字のチェックをしてくれる「監査法人」や、お手伝いをしてくれる「証券会社」を選びます。

そして、社内のルールを作ったり、書類をそろえたりして準備を進めます。

そのあと、株式市場に「うちの会社、上場したいです!」と書類を出して、チェックしてもらいます。

OKが出ると、どのくらいの値段で株を売るか決めて、いよいよ市場デビュー!というわけです。

たくさんの人に自分たちの会社を知ってもらう大きなチャンスですね。

上場した後にも大事なことがある

会社は上場したら終わりではありません。

むしろ、そこからが本番です!

投資家たちにちゃんと情報を伝えることが、とても大事になります。

たとえば、3か月ごとに決算の結果を発表したり、大きなニュースがあったらすぐに伝えたりしないといけません。

さらに、会社のルールや、コンプライアンス(ルールを守る体制)もきちんとしていないと信頼をなくしてしまいます。

とくに「プライム市場」にいる会社は、そういったルールがとてもきびしく決められています。

つまり、上場したあとの会社は、「応援される会社でありつづける努力」が必要なんです。

中小企業はどこを目指せばいいの?

中小企業やスタートアップが最初に目指すなら、「グロース市場」か「スタンダード市場」が現実的です。

グロース市場は、赤字でも上場できるチャンスがあるので、「これから伸びていく会社」にピッタリ。

夢やアイデアをしっかり説明できればOKです。

一方で、「あるていど実績があるよ」「お金の流れもしっかりしてるよ」という会社は、スタンダード市場が合っています。

ブランド力アップや求人にも効果があるので、成長したい会社には魅力的です。

プライム市場は、大企業向けなので、最初からそこを目指すのはちょっと大変かもしれません。

まとめ

プライム市場、スタンダード市場、グロース市場は、それぞれ会社の大きさや成長のステージに合わせた「株を売るための場所」です。

プライム市場はルールがとてもきびしく、大企業向け。

スタンダード市場は中堅企業が多く、バランスのよいルールになっています。

グロース市場は、これから大きくなる会社がチャレンジできる場所で、赤字でも上場できるのが特徴です。

2022年に市場のルールが新しくなったことで、投資する人も会社を選びやすくなりました。

会社がどの市場にいるのかを見るだけで、「この会社は信頼できるか」「どんな成長をしているか」が少し見えてくるようになります。

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