静岡ガス[9543]は、静岡県にガスや電気を届ける、地域密着型のインフラ企業です。
ガス会社らしく財務は安定しているものの、人口減少や脱炭素の流れなど長期的な逆風が強く、成長性という意味ではやや厳しい立ち位置にあります。
株主優待はプレミアム優待倶楽部方式で、静岡の特産品などと交換できるポイントがもらえますが、300株以上が条件で利回りも控えめと、コスパはあまり高くありません。
そのため本記事では、静岡ガスの株価指標・優待内容・事業内容を長期投資の目線からじっくりチェックしていきます。
「地元愛で応援する銘柄としてアリか」「限られた資金をここに置いておく価値があるのか」を、具体的な数字や優待の使い勝手を踏まえながら一緒に考えていきましょう。
株式情報
| 割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
| PER(予想) | PBR(実績) | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
| 約10.2倍 | 約0.71倍 | 約69.4% | 約7~8% | 約1.0倍 |
| 優待&配当 | ||||
| 総合利回り(予想) | 配当利回り(予想) | 優待利回り(目安) | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
| 約3.74% | 約3.47% | 約0.27% | 12月 | 約362,700円(300株) |
| 編集部おすすめ度 | 理由 |
| 「安定感はあるが、わざわざ選ぶ決め手に欠ける地方インフラ株」です。財務は健全で配当もそこそこ出ていますが、成長性は限定的で、優待も300株以上かつ利回りは控えめです。静岡を応援したい人には悪くない選択肢ですが、全国から銘柄を選べる個人投資家にとっては、他により魅力的な優待株・高配当株が多く存在するため、基本スタンスは「見送り寄りの要注意銘柄」として位置づけるのが無難です。 |
株主優待情報

静岡ガスの株主優待は、「静岡ガス・プレミアム優待倶楽部」という専用サイトで使えるプレミアム優待ポイントがもらえる仕組みです。
ポイントは、静岡県の特産品やグルメ、日用品、自社ポイントサービス「エネリアmottoポイント」などと交換することができます。
株主優待の内容
| 保有株数 | 継続保有3年未満 | 継続保有3年以上 |
| 300株以上 | 1,000円相当 | 1,500円相当 |
| 1,000株以上 | 5,000円相当 | 7,000円相当 |
| 2,000株以上 | 8,000円相当 | 10,000円相当 |
| 3,000株以上 | 10,000円相当 | 15,000円相当 |
もらったポイントは、インターネット上の専用サイトでログインして商品を選ぶ方式です。
静岡県の名産品セットやお米、お菓子、飲料、雑貨など、カタログギフトのように多くの選択肢から選べるのが特徴です。
商品を選ばず、エネリアのポイントに変えて光熱費の支払いに使うといった使い方もできます。
注意点として、優待は300株以上の保有が条件で、一般的な優待銘柄のように100株だけではもらえません。
また、ポイントの金額も300株で1,000円相当と控えめで、利回りだけを見るとあまり高いとは言えない水準です。
権利確定日と有効期限
静岡ガスの株主優待の権利がもらえるのは毎年12月末です。
12月末の権利付き最終売買日までに株を保有していれば、その年のポイントがもらえるイメージです。
継続保有3年以上の判定は、2021年12月末の株主名簿を起点として、6月末と12月末の名簿に同じ株主番号で一定回数以上載っているかどうかで判断されます。
途中で売って買い直したり、証券会社を乗り換えたりすると番号が変わる可能性があるので、長期優遇を狙う場合は注意が必要です。
ポイント自体には交換期限が設定されており、その年ごとに案内される締切日までに申し込む必要があります。
サイトでの操作が前提になるため、高齢の方などネットが苦手な人には少しハードルが高い優待と言えるかもしれません。
会社情報

静岡ガス株式会社は、1910年に創業した、100年以上の歴史を持つエネルギー会社です。
本社は静岡県静岡市駿河区にあり、静岡市や富士市、沼津市、三島市など、県中東部の都市を中心にガスを供給しています。
もともとは都市ガスの製造と販売が中心でしたが、時代の変化に合わせて事業の幅を広げてきました。
現在は都市ガスだけでなく、LPガスの販売、発電・電力販売、リフォームやガス機器の販売、ガス工事など、暮らしに関わるサービスをトータルで提供しています。
ガスや電気は、家庭のコンロや給湯器、工場のボイラー、オフィスの空調など、生活や産業にとって欠かせないインフラです。
静岡ガスはこのインフラを安定して届けるために、ガス導管の整備や保守点検を行い、365日24時間の保安体制を整えています。
また、近年はエネルギー業界全体で脱炭素の流れが強まっており、静岡ガスも再生可能エネルギーや省エネ提案に力を入れています。
太陽光発電や高効率給湯器、エネファームなどを組み合わせた提案を通じて、地域のCO2削減に貢献しようとしています。
グループ全体では、住宅関連会社やリフォーム会社、設備工事会社なども抱えており、「エネルギーを中心に住まい全体をサポートするグループ」として動いているのが特徴です。
最近では、注文住宅・建売住宅の会社を子会社化するなど、暮らし全体に関わるビジネスへ広げる動きも見られます。
静岡県内には「エネリアショールーム」と呼ばれる拠点をいくつも構えており、ガス機器の展示や省エネ相談、料理教室などを通して、地域の生活者と直接コミュニケーションを取っています。
こうしたショールームは、単なる商品販売の場というより、地元の生活文化を支えるコミュニティ拠点のような役割も担っています。
静岡ガスは派手さはないものの、静岡という地域に深く根ざし、暮らしと産業を支えるインフラ企業として役割を果たしている会社です。
投資の観点で見ても、「地域密着」「インフラ」「脱炭素への対応」というキーワードで語られることが多い企業と言えるでしょう。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
静岡ガスの株式は、数字だけを見ると一見バランスの良い銘柄に見えます。
PERやPBRは極端な割高感も割安感もなく、自己資本比率は高く、ROEもインフラ企業としてはまずまずの水準です。
財務的な安全性は高く、倒産リスクのような心配はほとんど感じません。
一方で、長期投資家の視点で重要になるのは「そこからどれだけ伸びしろがあるのか」という点です。
30年チャートを眺めると、確かに長期では右肩上がりではあるものの、急激な成長局面は少なく、どちらかというと地味にじわじわ上がってきた印象です。
人口減少が続く地方都市を主なエリアとしていることを考えると、今後も大きな需要拡大は期待しにくいでしょう。
さらに、エネルギー業界は脱炭素の流れが強まり、ガス事業そのものが長い時間軸では構造的な逆風にさらされています。
静岡ガスも電力や再エネ、住宅関連など周辺ビジネスを広げて対応していますが、それでも「成長産業に乗って大きく伸びる」というイメージとは少し距離があります。
配当利回りはそこまで悪くなく、インフラ株らしい安定した水準です。
ただ、同じような利回りで、より事業の成長性が高かったり、全国展開でスケールメリットを取れている企業は他にも多く存在します。
あえて静岡ガスを選ぶ決定的な理由が見えづらいのが正直なところです。
信用倍率は落ち着いており、過度な買い残・売り残に振り回されるような銘柄ではありません。
値動きもインフラ株らしく比較的マイルドで、短期で大きく上下するイメージではないため、「値動きが怖い」という意味でのリスクは小さめです。
ただしその分、長期で見ても株価の大きな上昇は期待しにくく、リターン面では物足りなさが残ります。
総合的に見ると、「財務は堅いが、成長の柱が見えにくいインフラ株」という位置づけになります。
ポートフォリオの中で守りの一角として持つ、という考え方もありますが、同じ役割を果たせる銘柄は他にも多く、静岡ガスを最優先で選ぶ理由は薄いと言わざるを得ません。
あくまで「地元静岡を応援したい」「ガス会社に思い入れがある」といった感情面の理由がある人向けであり、純粋なパフォーマンスを重視する長期投資家には積極的にはおすすめしにくい銘柄です。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
優待面で見ると、静岡ガスはプレミアム優待倶楽部方式のポイント制を採用しており、商品ラインナップはかなり豊富です。
静岡の特産品やビール、お米、日用品など、優待ブロガーの間でも実際に届いた商品が紹介されていて、内容そのものは悪くありません。
しかし、投資効率という観点で見ると、評価は厳しくなります。
まず、優待をもらうためには300株以上が必要で、現在の株価水準では30万円台後半の投資額になります。
しかも、300株でもらえるポイントは1,000円相当と少額で、優待利回りはかなり低めです。
長期保有3年以上でポイントが増える仕組みは、企業側から見ると「長く持ってもらう」ための工夫として評価できます。
ただ、投資家側からすると、その間ずっと資金を固定することになり、他の高利回り優待株に乗り換えるチャンスを逃す可能性もあります。
長期優遇が付いても、トータルの利回りが飛び抜けて高くなるわけではない点もネックです。
さらに、プレミアム優待倶楽部はインターネットでの会員登録やポイント交換が前提になっており、操作に慣れていない人にとっては少し扱いづらい制度です。
サイトの締切日までに申し込みを忘れてしまうとポイントを使い切れないリスクもあり、「必ず価値を取り切れる優待」とは言いにくい面があります。
もちろん、「静岡の特産品を毎年楽しみたい」「地元企業を応援しつつ、ちょっとしたお礼をもらえれば十分」というスタンスなら、静岡ガスの優待はそれなりに楽しめます。
特に地元在住でガスや電気も静岡ガスを使っている人なら、エネリアポイントに替えることで生活費の一部を実質的に節約することもできます。
しかし、全国の優待銘柄を横並びで比較すると、同じ投資金額でより高い優待利回りや使い勝手の良い金券、汎用性の高いポイントがもらえる企業がたくさんあります。
そうした銘柄と比べると、静岡ガスの優待はどうしても見劣りしてしまうのが現実です。
このため、優待だけを目的に静岡ガスを新規で購入するのは、長期投資家のコスパという意味ではあまりおすすめできません。
すでに保有していて「地元応援枠」として割り切るならアリですが、これから優待投資を始める人が最初に選ぶ銘柄ではないと感じます。
優待制度そのものは面白いものの、最低投資額と利回り、手間をすべて考え合わせると、「長く資金をロックしてまで取る価値が高い優待」とは言いにくいのが正直な印象です。
総合評価
株式情報と優待情報を合わせて考えると、静岡ガスは「財務は安定しているが、リターン面では物足りない銘柄」という結論になります。
インフラ企業として大きく崩れる可能性は低い一方で、人口減少や脱炭素といった長期の逆風を抱えており、成長ストーリーは限定的です。
優待はプレミアム優待倶楽部方式で楽しいものの、最低300株からで利回りも低く、「優待目的でガッツリ買う」タイプではありません。
同じ資金を使うなら、より高配当・高利回りの優待銘柄や、成長性のある企業を選んだ方が、長期的な資産形成にはプラスになりやすいと考えます。
地元愛や静岡とのつながりが強く、「あえて静岡ガスを応援したい」という明確な理由がある人以外は、無理にポートフォリオに組み込む必要はないでしょう。

