アルペン[3028]は、「アルペン」「スポーツデポ」「ゴルフ5」などを全国に展開する総合スポーツ専門チェーンです。
自社開発の「TIGORA(ティゴラ)」「IGNIO(イグニオ)」などのプライベートブランドも展開しており、シューズからウェア、アウトドア用品まで、スポーツライフをトータルで提案している企業です。
全国に約400店舗以上を構え、さらにゴルフ場やスキー場、フィットネスクラブなどの運営も行うことで、単なる物販にとどまらない「スポーツ・アウトドアの総合サービス企業」として事業を広げています。
株主優待では、グループ各店やスポーツ施設で使える優待券が年2回もらえるため、日頃からスポーツ用品を買ったり、家族でアウトドアやゴルフを楽しんだりする人にとって、実用性の高い内容になっています。
30年チャートで見ると、景気やスポーツ人気の波に合わせて株価の上下はあるものの、直近は業績の底打ちから持ち直している印象です。
総合的な評価は10段階で6と、「強く買いたい」ほどではないものの、優待や配当を楽しみながら長期で付き合う候補として検討できる水準といえます。
株式情報
| 割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
| PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
| 16.6倍 | 0.77倍 | 58.8% | 4.6% | 0.05倍 |
| 優待&配当 | ||||
| 総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
| 2.98% | 2.13% | 0.85% | 6月・12月 | 234,300円 |
| 編集部おすすめ度 | 理由 |
| 「スポーツ・アウトドア好き向けの実用的な優待」と「そこそこ安定した業績・財務」が魅力の長期保有向け銘柄です。成長性やROEは飛び抜けて高いわけではなく、株価の大化けもあまり期待できませんが、配当と優待を組み合わせた総合利回りは悪くなく、日常的にアルペングループを利用する人にとっては、生活と投資を一体で楽しめる1銘柄と言えるでしょう。 |
株主優待情報

アルペンでは、毎年6月末と12月末の年2回、基準日時点で株主名簿に記載された株主に対して、グループ各店やスポーツ施設で利用できる「株主特別御優待券」を贈呈しています。
スポーツ用品の購入だけでなく、ゴルフ場やスキー場、フィットネスクラブなどでも利用できるため、スポーツやアウトドアを楽しむ家庭にとって非常に使い勝手の良い優待です。
| 保有株数ごとの優待内容(1回あたり) | ||
| 保有株数 | 優待券金額(1回分) | 年間合計(年2回) |
| 100株~199株 | 1,000円相当(1,000円券×1枚) | 2,000円相当 |
| 200株~299株 | 2,000円相当(1,000円券×2枚) | 4,000円相当 |
| 300株~399株 | 4,000円相当(1,000円券×4枚) | 8,000円相当 |
| 400株~499株 | 6,000円相当(1,000円券×6枚) | 12,000円相当 |
| 500株~999株 | 10,000円相当(1,000円券×10枚) | 20,000円相当 |
| 1,000株以上 | 20,000円相当(1,000円券×20枚) | 40,000円相当 |
株主優待の内容
優待券は、アルペングループの全店および各種スポーツ施設で利用できます。
具体的には、「アルペン」「スポーツデポ」「ゴルフ5」「アルペンアウトドアーズ」などの店舗でのスポーツ用品やアウトドア用品の購入に使えるほか、グループが運営するゴルフ5カントリーのゴルフ場、ウイングヒルズ白鳥リゾートなどのスキー場、フィットネスクラブなどでも利用可能です。
1,000円券として発行されるため、少額の買い物でも使いやすく、家族で分けて使うこともできます。
スポーツ用品はどうしても単価が高くなりがちですが、ウェアやシューズ、子どもの部活用品、ゴルフボールなど、消耗品にも使えるため、日常的にスポーツをしている家庭ほど恩恵を感じやすい優待といえます。
300株以上を保有すると年間の優待金額が一気に増える設計になっており、「しっかり優待を活用したい人は300株以上も検討してね」というメッセージが感じられる構成です。
権利確定日と有効期限
権利確定日は年2回で、6月末日と12月末日です。
それぞれの基準日時点で株主名簿に記載されていると、夏季分は9月中旬ごろ、冬季分は翌年3月中旬ごろに優待券が発送されます。
有効期限はおおむね発行から約半年~1年程度に設定されることが多く、その期間内であればグループ各店や施設で繰り返し利用できます。
スポーツ用品の買い替えタイミングや、スキーシーズン・ゴルフシーズンに合わせて計画的に使えば、家計の負担を抑えながら趣味を楽しむことができます。
なお、優待制度の内容は企業側の判断で変更される可能性があるため、長期保有を考える場合は、ときどき公式IRページで最新の案内をチェックしておくと安心です。
会社情報

株式会社アルペンは、愛知県名古屋市中区丸の内二丁目9番40号「アルペン丸の内タワー」に本社を置く、スポーツ用品・アウトドア用品・ゴルフ用品を中心とした小売チェーンです。
1972年に設立され、現在では「アルペン」「スポーツデポ」「ゴルフ5」「アルペンアウトドアーズ」など、複数の業態で店舗を展開しています。
売り場では、ナイキやアディダスなどの有名ブランドに加えて、「TIGORA(ティゴラ)」「IGNIO(イグニオ)」「kissmark(キスマーク)」など、自社のプライベートブランドも幅広く展開しています。
これらの自社ブランドは、機能性と価格のバランスに優れたアイテムとして位置づけられており、初心者から上級者まで手に取りやすいラインナップになっています。
事業は小売だけにとどまらず、ゴルフ5カントリーのゴルフ場や、ウイングヒルズ白鳥リゾートといったスキー場、さらにはフィットネスクラブ「アルペンフィットネスクラブ」や「アルペンクイックフィットネス」など、スポーツ関連施設の運営も行っています。
つまり、商品を売るだけでなく、「スポーツをする場所」も自社で提供することで、スポーツライフをトータルでサポートするビジネスモデルを築いているのが特徴です。
売上構成をみると、ゴルフ用品、競技・一般スポーツ、スポーツライフスタイル(カジュアルウェアなど)、アウトドア、ウインター用品といった複数のカテゴリーに分かれており、特定の競技や季節に偏りすぎないようリスク分散が図られています。
近年は、ランニングやフィットネス、キャンプなどの需要増加を背景に、アウトドア専門店や大型旗艦店「Alpen TOKYO」などの出店・改装を進め、体験型・提案型の売り場作りにも力を入れています。
また、ECサイトやオンラインストアも運営しており、店舗とネットを組み合わせたオムニチャネル戦略を強化している点も、時代に合わせた動きといえます。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
アルペンの株式を長期目線で見ると、「大きく伸びる成長株」というよりは、「スポーツ・アウトドア好きが優待と配当を楽しみながら持つ安定株」という立ち位置がしっくりきます。
まず、PERはざっくり言うと「すごく割安でも、すごく割高でもない中庸レベル」です。
市場からは「爆発的成長は期待していないが、潰れる心配もあまりない普通の優良企業」として見られているバランスに近い印象です。
自己資本比率は高めで、借金に頼りすぎない財務構造になっており、景気の波や一時的な不振があっても、すぐに経営が傾くタイプではありません。
一方、ROEは突出して高いわけではなく、「効率よくガンガン利益を出す経営」というより、「手堅く利益を積み上げる経営」に近い数字です。
過去30年の株価チャートを眺めると、景気の悪化や暖冬・不況などで落ち込んだ時期もあれば、アウトドアやゴルフ人気の高まりで持ち直す時期もあり、スポーツ市場らしいアップダウンを繰り返していることが分かります。
ただし、長い目で見ると「ゼロに向かって沈んでいく銘柄」ではなく、一定のレンジの中で評価を保っているため、構造的な衰退業種というより「環境次第で浮き沈みがある生活関連銘柄」と捉えるのが現実的です。
信用倍率が非常に低く、空売りが多い状態になっている点もポイントです。
短期的には、業績への不安や株価の戻りを警戒する売りが多いとも読めますが、逆に言えば「過熱しすぎている状態ではない」「悲観がだいぶ織り込まれている」とも解釈できます。
長期投資の観点からは、「最高の買い場」とまでは言い切れないものの、「そこまで期待値は高くない代わりに、大崩れも起こりにくい水準」として、ポートフォリオの一部に置いておく選択肢にはなりえます。
中長期の成長ドライバーとしては、健康志向の高まりやランニング・筋トレブーム、キャンプやアウトドア人気の定着などが挙げられます。
一方で、ネット通販との競争や、人口減少による国内市場の縮小、気温・降雪状況に左右されるウインター需要など、逆風要因も無視はできません。
こうした追い風と向かい風を総合すると、アルペンは「急成長を狙う銘柄ではないが、生活に根付いたスポーツ・アウトドア需要の中で、しぶとく稼ぎ続けるタイプの企業」という位置づけになります。
「成長性はほどほど、財務は比較的安定、利回りはそこそこ、優待は人を選ぶが刺さる人にはうれしい」という、良くも悪くも“中庸寄りの優良株”という評価に近いと考えてよいでしょう。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
アルペンの株主優待は、「どれだけ自分や家族がスポーツ・アウトドアにお金を使うか」によって価値が大きく変わるタイプの優待です。
まず、優待券はアルペングループの全店と各種施設で利用できるため、スポーツ用品を定期的に購入する人にとっては、ほぼ現金同様の価値があります。
子どもの部活用シューズ、部活ウェア、部費で必要になる備品、ランニングシューズ、ゴルフクラブ、アウトドア用品など、生活の中でスポーツ関連の出費が多い家庭ほど、「あってよかった」と感じる場面が増えます。
一方で、まったくスポーツをしない人や、アルペンの店舗が生活圏にない人にとっては、優待券の使い道が限られ、実質的な価値はかなり薄れてしまいます。
そのため、この優待は「万人向け」ではなく、「対象となるライフスタイルを持つ人には強く刺さるニッチ型の優待」といえます。
「自分が普段から使う店の優待である」という要素が加わると、数字以上の満足感につながりやすく、「株を持っているから、ちょっといいシューズにしてみようか」といったプラスの心理効果も期待できます。
2025年6月期からは優待制度の内容が見直され、100株保有の優待金額は抑えられた一方で、300株以上の保有者にはより手厚い内容となりました。
これは、「本気でアルペンを応援してくれる長期株主を増やしたい」というメッセージとも読めますし、「優待目当ての小口短期保有を少し整理したい」という意図も垣間見える変更です。
長期投資の視点では、100株だけを優待目当てで持つよりも、300株や500株など、ある程度まとまった株数で保有した方が、優待金額と手間のバランスが良くなります。
もちろん投資資金との相談にはなりますが、「年に何回もアルペンで買い物をする」「家族全員がスポーツをしている」といった家庭であれば、300株以上の保有も検討する価値があります。
優待券は額面が1,000円単位なので、レジでの会計時にも使いやすく、細かい端数が残りにくいのも地味にうれしいポイントです。
また、スポーツ施設やスキー場などでも使えるため、「普段はあまり行かないけれど、優待があるから久しぶりに家族で滑りに行こうか」といった、体験型の楽しみ方にもつながります。
こうした体験型の優待は、単なる金券以上に「思い出」という価値を生み出しやすく、長期保有のモチベーション維持にも役立ちます。
注意点としては、優待はあくまで「おまけ」であり、将来の制度変更や廃止のリスクはゼロではないということです。
ただし、アルペンの場合はスポーツ・アウトドアという事業内容と優待の相性が非常に良く、「自社のファン作り」に直結する内容になっているため、企業としても簡単には手放しにくいタイプの優待と考えられます。
総合的に見ると、アルペンの優待は「利回り目当ての短期売買向き」ではなく、「スポーツライフを楽しみつつ、長く付き合う長期投資家向き」の優待です。
自分や家族のライフスタイルと合致している人にとっては、投資金額に対して十分に満足できる内容であり、長期でコツコツと優待を受け取りながら株を持ち続ける価値があるといえるでしょう。
総合評価
株式指標と優待内容を合わせて考えると、アルペンは「スポーツ・アウトドア好きにはハマるが、万人が飛びつく銘柄ではない」という、やや人を選ぶタイプの長期保有候補です。
財務は比較的安定しており、自己資本比率も高めで、配当もきちんと出してくれるため、「倒れにくさ」という意味では一定の安心感があります。
一方で、成長性やROEはほどほどで、「この銘柄だけで資産を大きく増やす」というイメージではなく、「ポートフォリオの中で、生活に密着した銘柄として優待を楽しみながら持つポジション」がしっくりきます。
総合評価10段階中6という水準は、「悪くないけれど、最優先で全力投資する銘柄でもない」というニュアンスで、そのぶん冷静に長期目線で付き合えるとも言えます。
アルペンやスポーツデポ、ゴルフ5を日常的に利用している人にとっては、優待と配当を合わせた実質利回りは悪くなく、「好きなお店を応援しながら、ゆっくり資産を育てる」というスタンスに向いた1銘柄といえるでしょう。
おすすめ度を一言でまとめると、「スポーツ・アウトドア好きなら“買ってもいい”、それ以外の人には“無理に追わなくていい”中庸寄りの優待株」という評価になります。
優待・配当・事業内容のバランスを考えると、攻めではなく守り寄りのポジションで、ポートフォリオの一部として長期保有を検討するのが現実的な使い方です。

