大倉工業[4221]情報(株主優待・配当・おすすめ情報)

大倉工業[4221]は、香川県丸亀市に本社を置く包装用フィルムと建材を中心とした素材メーカーです。

コンビニやスーパーで見かける食品包装フィルム、住宅に使われる床材やボード、さらに自社グループが運営するホテル事業まで、生活のさまざまな場面を裏側から支えています。

株主優待では、クオカードと自社系ホテル「オークラホテル丸亀」で使える食事優待券がもらえます。

配当利回りも高めで、数字だけを見ると魅力的な「高配当+優待」銘柄に見えます。

ただし、30年チャートを見ると、過去にも急騰とその後の長い停滞を何度か繰り返しており、足元も大きく上昇した局面にあります。

長期の主力銘柄としてポートフォリオに積極的に組み込みたいとは言いづらい位置づけです。

ここからは、株価指標や優待内容、事業内容を一つずつ確認しながら、「配当+優待狙いで長く持つ価値がどこまであるか」を落ち着いてチェックしていきましょう。

目次

株式情報

大倉工業[4221] 東証P
時価総額
604億円

株価 4,865
更新:2025年11月21日終値

30年チャートを掲載

割安度 安全度 値動き傾向
PER PBR 自己資本比率 ROE 信用倍率
12.5倍 0.88倍 61.6% 7.0% 22.97倍
優待&配当
総合利回り 配当利回り 優待利回り 権利確定月 優待最低取得額
4.61% 4.01% 0.61% 12月 486,500円
編集部おすすめ度理由
高配当と優待で数字上の魅力はあるものの、景気や建設需要の影響を受けやすい「景気敏感な素材メーカー」です。長期チャートでは急騰とその後のもみ合いを何度か繰り返しており、足元も上昇局面の終盤に見えるタイミングです。財務体質は健全で倒れにくい一方、構造的な高成長は期待しにくいと判断します。

株主優待情報

株主優待の内容

大倉工業の株主優待は、クオカードと自社グループホテルで使える食事優待券のセットという、やや個性の強い組み合わせになっています。

具体的には、毎年12月末時点で100株以上保有している株主に対して、以下の内容が提供されます。

保有株数クオカードオークラホテル丸亀等 食事優待券
100株以上1,000円相当2,000円相当
1,000株以上2,000円相当4,000円相当
2,000株以上3,000円相当6,000円相当

クオカードはコンビニやドラッグストアなど全国の加盟店で使えるため、誰でも使いやすい優待です。

一方で、食事優待券は香川県の「オークラホテル丸亀」など自社系ホテルのレストランでのみ利用できるため、四国方面に行く機会がないと価値を感じにくい点には注意が必要です。

権利確定日と有効期限

権利確定月は年1回の12月末です。

12月末時点で100株以上を保有し、名義が株主名簿に記載されていれば、翌年3月ごろをめどに優待が発送されます。

優待券にはそれぞれ利用可能期間が設定されており、おおむね発送から1年前後が有効期限となります。

長期保有による優待内容のグレードアップ制度はなく、保有年数にかかわらず株数ベースで一律の内容です。

会社情報

引用:大倉工業株式会社

大倉工業株式会社は、香川県丸亀市に本社を置く素材メーカーです。

戦後間もない1947年に設立され、もともとはポリエチレン製品などの合成樹脂を扱う会社としてスタートしました。

今では、包装用フィルムや光学用フィルム、住宅用建材、さらにはホテル事業まで手がける、少し変わった多角化企業になっています。

主力の「合成樹脂事業」では、食品や日用品を包むプラスチックフィルムを中心に製造しています。

スーパーで並んでいるお菓子や冷凍食品の袋、レトルト食品のパッケージなど、私たちが日常的に目にする包装の多くに大倉工業の技術が生かされています。

見た目には目立ちませんが、内容物を守り、長く品質を保つためには欠かせない存在です。

次に、「新規材料事業」では液晶用の光学フィルムなど、より高機能なフィルム製品を展開しています。

スマートフォンやテレビ、パソコンの画面に使われる部材の一部を担っており、こちらは技術力が求められる分野です。

景気や電子機器の需要に左右されやすい面はありますが、付加価値が高い分、利益面への貢献も大きい事業といえます。

「建材事業」では、木質ボードや床材など、住宅やオフィスの内装に使われる材料を製造しています。

新築住宅やリフォームの需要に影響を受けるため、景気の波を受けやすい側面はありますが、長年国内の建設業界と取引を続けてきた安定感があります。

さらに少し意外なところでは、「ホテル事業」も行っています。

香川県の「オークラホテル丸亀」などを運営しており、ここで使える食事優待券が株主優待として配布されています。

事業規模としてはグループ全体の中でそこまで大きくはありませんが、地域密着型のサービスとして地元では知られた存在です。

従業員数は連結ベースでおよそ1,800人台と、決して小さくはない規模です。

国内だけでなく海外にも拠点を持ち、東南アジアなどでフィルム製品を展開しています。

とはいえ、売上の多くはまだ日本国内に依存しているため、国内景気や建設需要、食品・生活関連の需要動向に業績が影響を受けやすい体質です。

財務面を見ると、自己資本比率は高めで、借金に頼りすぎない堅実なバランスシートを維持しています。

長年にわたり黒字を継続しており、突然経営が傾くようなリスクは比較的低い会社といえます。

一方で、事業の中身は成熟産業が中心で、爆発的に成長していくイメージではなく、「安定はしているが大きく化ける可能性は限られる」という印象です。

まとめると、大倉工業は「生活に欠かせない素材を地味に支える堅実な会社」です。

包装フィルムや建材といった安定した需要に支えられつつ、光学フィルムなど少し成長性のある分野にも取り組んでいる、守り寄りの中堅メーカーとイメージしておくとわかりやすいでしょう。

編集部からのおすすめ情報

編集部のおすすめ:

株式情報にみる分析(長期視点)

大倉工業の株式を長期保有の目線で見ると、まず目につくのは「高めの配当利回り」と「比較的低い株価指標」、そして「財務の健全さ」です。

PERは市場平均と比べてやや割安寄り、PBRも低い水準で推移しており、株価だけを見ると「評価されすぎている」という印象はありません。

自己資本比率も高く、ROEも決して高収益企業とは言えないものの、それなりの水準は確保しています。

配当利回りも高めで、数字だけ見ると長期投資向きのディフェンシブ銘柄に見えるはずです。

しかし、30年チャートを落ち着いて眺めると、印象は少し変わります。

この銘柄は、業績や相場環境が良いときに大きく買われて急騰し、その後、長い期間にわたって株価がだらだらと下がったり、横ばいになったりするパターンを、過去に何度か繰り返しています。

足元の株価も、直近数年で急角度の上昇トレンドを描いた後の高値圏にあり、ここからさらに長期的に右肩上がりで伸びていくというよりは、一旦どこかで息切れして調整に入ってもおかしくない位置に見えます。

事業構造にも目を向けると、合成樹脂や建材といった分野はどうしても景気や建設投資の影響を受けます。

需要は「ゼロにはならない」ものの、世界的な景気減速や住宅着工の減少が起きると、売上も利益もそれなりに振れやすい業種です。

光学フィルムなど成長分野もありますが、全体としては「安定成長」よりも「景気の波を受けつつ、緩やかに前進する」イメージです。

そのため、長期保有で大きな資産成長を狙うというより、「配当をもらいながらほどほどの値動きに付き合う銘柄」と考える方が現実的です。

財務基盤がしっかりしているため、倒産リスクや極端な減配リスクは相対的に小さく、守りの面では評価できます。

一方で、設備投資や研究開発を継続しても、産業全体の成熟度合いから、売上・利益が長期で大きく伸びていく姿はイメージしづらいのが正直なところです。

高配当という魅力がある反面、成長性と株価の上昇余地を考えると、ポートフォリオの中心に据えるほどの「主役銘柄」にはなりにくいと感じます。

安定性と配当の高さは評価しつつも、業種特性と長期チャートの動き、成長ストーリーの弱さを踏まえると、「あえてこの銘柄でリスクを取りに行く理由は薄い」というのがプロ目線での率直な結論です。

守り重視のポートフォリオでも、他により分散効果の高い銘柄や、同じ高配当でも成長余地のある企業を選びたいところです。

優待情報から見る投資おすすめ度と根拠

優待内容に限定して見ると、大倉工業は「悪くはないが、人を選ぶ優待」です。

まずクオカードは、誰でも使いやすい万能型の優待です。

コンビニやドラッグストア、書店など幅広いお店で利用できるため、地方に住んでいても都会に住んでいても価値はほぼ共通です。

ただし100株保有でもらえる金額は1,000円と控えめで、投資金額に対する優待利回りは高くはありません。

もう一つの柱である「オークラホテル丸亀などで使える食事優待券」は、香川県やその近隣に足を運ぶ人にとっては魅力的です。

レストランでの食事が割引価格で楽しめるため、旅行や出張で四国を訪れる頻度が高い人にとっては、お得感のある優待といえるでしょう。

しかし、首都圏や関西圏に住んでいて四国にほとんど行かない人にとっては、「そもそも使う機会がない」という可能性も十分あります。

この「使う人と使わない人の差」が大きい点が、この優待の一番のクセです。

また、優待内容は株数に応じて段階的に増えますが、1,000株・2,000株と株数を増やすと必要投資額も一気に膨らみます。

優待目的でそこまで多くの株数を持つよりは、100株で最低限の権利だけ押さえ、残りの資金は他の優待株やインデックスなどに分散した方がリスクの観点ではバランスが良いと考えます。

優待利回りと配当利回りを合わせた総合利回りは数字上はなかなか魅力的です。

ただ、そのうち優待部分はすくなく、ほとんどを配当が占めています。

「優待目当て」でこの銘柄を選ぶというより、「高配当株の一つとして検討しつつ、ついでに優待もついてくる」と考えた方が実態に近いバランスです。

長期的な視点で見ると、優待制度そのものはすぐに廃止されるリスクは高くないと考えられます。

会社側にとっても、自社ホテルへの送客や地域での知名度向上につながる施策であり、コスト負担もそこまで大きくはありません。

ただし、金額的なインパクトは限定的なので、「優待の魅力だけで長期保有を決める銘柄」にはなりにくいでしょう。

香川県や四国方面にゆかりがあり、「年に1回はオークラホテル丸亀で食事をする」という人であれば、旅行と組み合わせて楽しめる優待として十分アリです。

一方で、そうした利用シーンがない投資家にとっては、クオカード1,000円のために約50万円を投じる意味は薄く、他の優待株に資金を回した方が効率的だと考えます。

総合評価

株式情報と優待内容を総合して考えると、大倉工業は「高配当で財務は健全だが、成長力と優待の汎用性に乏しい銘柄」という位置づけになります。

長期チャートでは過去にも何度か大きな山を作った後、長い調整局面に入っており、足元も急騰後の高値圏と見えるため、ここから長期で積極的に買い増したいタイミングとは言いづらいです。

優待についても、香川のホテルをよく利用する人以外には恩恵が小さく、汎用性の面で他銘柄に劣ります。

高配当株として資産の一部に少額を置くのはアリですが、ポートフォリオの主役に据えるより、ほかの銘柄を軸にした方がバランスは取りやすいでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次