電子部品の調達から製造、そして物流までを一貫して手がけるシークス[7613]は、世界中に拠点を持つグローバルものづくり企業です。
30年という長い時間をかけて事業を育ててきたこの会社は、派手さこそありませんが、安定した成長を続けてきました。
業績は景気や為替に左右される部分もあるものの、地域と事業の分散によって大きく崩れることが少なく、長期で見ても安心感のある経営が特徴です。
2014年頃から右肩上がりに上がった株価も、近年は一定のレンジ相場となっています。
また、株主への還元にも誠実で、安定した配当に加え、毎年もらえるギフトカードの優待が魅力です。
派手さはなくても「地に足のついた」企業姿勢が感じられ、長期でじっくりと付き合いたくなる会社といえます。
世界の製造を支えながら、株主にも確かな利益を返す。
そんな堅実さと温かさを併せ持つのが、シークスという企業です。
株式情報
| 割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
| PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
| 約12.5倍 | 約0.68倍 | 約46% | 約4% | 約2.9倍 |
| 優待&配当 | ||||
| 総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
| 約4.5% | 約3.5% | 約1.0% | 12月末 | 約136,600円 |
| 編集部おすすめ度 | 理由 |
| 堅実な成長と安定した株主還元が魅力のグローバル製造企業です。世界各地に生産拠点を持ち、景気の波をうまく分散しながら着実に利益を積み上げてきました。配当も優待も長く続いており、株主を大切にする姿勢がはっきり見える企業です。 短期的な値動きには派手さがないものの、長期保有で安心して持てる“守りの優良株”といえます。 |
株主優待情報

株主優待の内容
下記は シークス株式会社(証券コード 7613)の株主優待制度について、わかりやすく整理した内容です。
| 保有株数 | 優待内容(毎年12月末日時点での株主) |
|---|---|
| 100株以上〜499株未満 | ギフトカード 1,000円分 |
| 500株以上〜999株未満 | ギフトカード 2,000円分 |
| 1,000株以上 | ギフトカード 3,000円分 |
| 長期保有株主優待(抽選) | 保有株数100株以上かつ 1年以上継続保有 の株主を対象に、抽選で 10名 を「海外工場の視察を含む旅行」に招待 |
権利確定日と有効期限
ギフトカードに有効期限の記載は特段明示されておらず、カード会社発行のギフトカードの一般利用ルールに準じるものと思われます。
具体的な「有効期限」情報は別途カード裏面等で確認が必要です。ます。
権利確定月:12月末日 です。
優待ギフトカードの発送時期:毎年3月の定時株主総会終了後、株主名簿に記載された住所宛てに送付される見込みです。
長期保有抽選旅行の対象となる「継続保有期間1年以上」とは、毎年12月末日時点の株主名簿に、前期末および当中間期末(6月末)と同一株主番号で連続して記載されている必要があります。
会社情報

シークスは大阪市中央区に本社を置く、電子機器の受託生産(EMS)と電子部品の調達・物流を一体で提供している会社です。
1992年にサカタインクスの海外事業部が独立して設立され、現在は東京にも本社機能を持つ二本社体制になっています。
ものづくりの会社と言っても、日本の工場だけで製品をつくるわけではありません。
中国や東南アジア、ヨーロッパ、アメリカなど、世界15か国におよそ50の拠点を持ち、そこでお客さんの製品を生産したり、部品を集めたり、世界中に運んだりしています。
これは「お客さんの近くでつくって届ける」ためで、自動車関連機器や産業機器など、現地での生産が求められる製品を支える仕組みです。
一般消費者向けの店舗はありませんが、企業向けの営業拠点や生産拠点が世界中に広がっています。
日本国内では大阪・東京・名古屋に主要オフィスを構え、国内外の取引を統括しています。
事業の柱は大きく分けて「EMS」「TRADING(部材調達と物流)」「プラスチック成形」「JDM(お客さんと共同で設計・開発する事業)」の4つです。
パソコンや家電といった分野だけでなく、車載機器や産業用機器のように、品質が特に重視される分野にも強みを持っています。
近年ではDX(デジタルトランスフォーメーション)にも力を入れており、世界中の拠点で同じ品質基準を保つために、教育制度やデータ共有の仕組みを整えています。
2025年には「シークス・マニュファクチャリング・アカデミー」を立ち上げ、製造技術の教育をグローバルに展開するなど、人材育成にも積極的です。
また、経営を「日本」「中華圏」「東南アジア」「欧州」「米州」の5つの地域に分けて管理しており、地域ごとの景気変動を分散できる体制を整えています。
これは長期的に見て、収益の安定性を高める強みとなっています。
取り扱う製品は、車載関連機器、産業機器、家電・情報機器などが中心で、それぞれの分野でお客さんのブランド製品を支える存在として機能しています。
つまり、シークスは自社ブランドを前面に出す会社ではなく、世界中のメーカーの裏方として「ものづくり」を支えるグローバルな企業です。
安定した経営基盤と幅広い顧客層を持ち、長期的な成長が期待できる企業として位置づけられています。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
シークスを長期で見るときに一番大事なのは、個々の指標の数字を細かく評価することよりも、「この会社は時間を味方につけられる構造になっているか」「景気や為替の波を受けても事業を続けられるか」「株主にきちんと戻してくれるか」という3つをまとめて見ることだと思います。
まず事業構造ですが、シークスは特定の国だけで組み立てをしている会社ではなく、アジア・欧州・米州に分散して生産と調達の拠点を持っています。
この形だと、どこか1地域の需要が落ちても、別の地域や別の産業向けの仕事でカバーしやすくなります。
受託製造の会社はどうしても景気の上下や為替に振られやすいのですが、シークスの場合は「お客さんのすぐ近くでつくる」「部材の調達と物流まで自社で面倒を見る」というところまでやっているので、価格だけで競争する会社よりも関係が長く続きやすいです。
長期投資では、この「やめられにくい取引」をどれだけ持っているかが効いてきます。
次に収益と財務のバランスです。
この会社は急成長タイプではないので、ある年だけドンと利益が出るというより、何年かに一度の外部環境の揺れを受け止めつつ、また元の利益水準に戻してくる動きをしてきました。
2014年頃から右肩上がりに上がった株価も、近年は一定のレンジ相場となっています。
これは裏を返すと、足元だけを見ると「物足りない数字」が出る年もあるということです。
でも長期保有者にとっては、毎年最高益を更新しているかどうかよりも、10年スパンで見たときに自己資本が積み上がり、設備や人材に再投資されたかどうかのほうが重要です。
シークスはこの点で、派手さはないけれどコツコツ型の企業と言えます。
株主還元の考え方も長期投資と相性がいいです。
業績の波はあるのに、配当は大きく崩さず出してくるタイプで、優待も維持しています。
これをやるには、経営側が「この会社の株を長く持ってもらいたい」という意思を持っていないと続きません。
短期で株価を上げることだけを考えている会社だと、すぐに自社株買いに偏ったり、逆に不況のときは配当をすぐ落としたりしますが、シークスはそこまで極端な動きをしていません。
つまり、株主に対して中庸な姿勢を取っている会社です。
長期で持つ側からすると、この「極端じゃない」というのが実は一番ありがたいところです。
次に市場からの評価という意味での「割安っぽさ」ですが、これは数字だけを見て「安い・高い」と言ってしまうと本質を外します。
この会社は、世界に拠点を持って分散しているわりに、株価が将来の高成長を先取りして大きく買われるような局面はそんなに多くありません。
つまり期待値が暴走していない。
期待値が暴走していないということは、景気が少し悪くなったときも株価が大崩れしにくいということです。
長期でポートフォリオを組むときは、伸びそうな成長株ばかり入れるのではなく、こうした「つくれる・運べる・売上が地域に分散している・でもそんなに人気化していない」銘柄を1〜2本入れておくと全体のブレが小さくなります。
今回の評価が10段階で8というのは、この「長期で組み込みたい落ち着いた製造・物流系のグローバル企業」として見たときの点数だと考えるとしっくりきます。
残り2点がどこにあるかというと、ひとつは外部環境への依存がゼロではないことです。
世界の製造業の設備投資が止まるような局面では、さすがにシークスも受注が鈍くなります。
もうひとつは、事業モデルが比較的堅いぶん、景気がすごく良いときでも株価が爆発的に上がるタイプではないということです。
つまり「守りは強いが、大相場をつくるタイプではない」。
これは逆に言えば、長期保有で配当と優待をもらいながら、チャートがじわじわ右に上がっていくのを待つスタイルにすごく合っています。
短期トレードで値幅を抜く人には物足りないけれど、10年先を見てポートフォリオを組んでいる人には扱いやすい。
そして国内株でこういうタイプのグローバル製造・流通系はそこまで多くないので、1銘柄として押さえておく価値は高いです。
総合的に見ると、シークスは「地域分散」「取引の継続性」「株主への中庸な還元」「過度に高くないバリュエーション」「長期チャートの安定」という、長期投資で大事な要素をひと通りそろえている会社です。
だからこそ、個別の指標を一つずつ眺めるよりも、まとめて評価したときのほうが魅力がはっきりします。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
シークスの株主優待は、金額だけを見ると派手ではありません。
しかし、長期保有を前提にすると、かなりバランスが取れた優待制度になっています。
この会社の優待は、毎年12月末時点での株主に対して、保有株数に応じてギフトカードがもらえるというシンプルな仕組みです。
100株で1,000円、500株で2,000円、1,000株で3,000円分と、段階的に増えていくスタイルで、日常の買い物などに使える実用的な内容です。
また、1年以上の継続保有を条件に、抽選で海外工場の見学旅行に招待されるというユニークな特典もあります。
このような「企業の中身を見てもらう優待」は珍しく、株主に自社の事業をより深く理解してもらおうという姿勢が感じられます。
こうした優待制度は、単なる金銭的なおまけではなく、「企業と株主のつながり」を育てる役割を果たしているといえます。
長期で持つ株主にとっては、こうした取り組みがある企業ほど安心感があります。
優待の魅力は金額よりも“安定性”にあります。
シークスはこれまで優待制度を長く維持しており、内容の変更や廃止といった不安要素が少ない点が大きな魅力です。
業績が良くても悪くても、一定の還元を続ける姿勢は、経営が安定している証拠でもあります。
また、優待と配当を合わせた「総合利回り」で4%台というのは、製造業としてはかなり高水準です。
優待の価値を含めて考えると、銀行預金や国債の利回りと比べてもはるかに高く、インカムゲイン目的の投資先として十分魅力があります。
さらに、優待が「生活に使いやすいギフトカード」であることもポイントです。
食品や日用品のように使い道が限定されないため、家計の補助としてもありがたい存在です。
優待を使うことで企業への親近感が生まれ、結果的に保有期間が長くなるという“良い循環”も期待できます。
長期保有を続ける投資家の中には、こうした“日常で恩恵を感じられる優待銘柄”をポートフォリオに組み込む人が多いですが、シークスはまさにその代表格のひとつです。
また、抽選による工場見学は単なる観光ではなく、自社の現場を見せるという意味で「誠実な企業姿勢」の象徴とも言えます。
製造業としての自信や透明性を示しており、株主との距離を近づける良い取り組みです。
長期的に見ても、こうした優待制度は企業イメージの向上にもつながります。
つまり、優待を通じて企業と株主が信頼関係を築く仕組みになっているのです。
短期的な利回りだけを求める人にとっては物足りないかもしれませんが、長期投資の観点では、安定して受け取れる配当と、生活に役立つ優待の組み合わせがしっかり機能しています。
優待内容の派手さよりも、「続けられる仕組み」「誠実な姿勢」「株主とのつながり」を重視する人にとって、シークスの優待は長期保有に非常に向いた内容です。
この優待をきっかけに企業の事業を理解し、応援する気持ちで持ち続けられるという点が、数字以上の価値を持っています。
その意味で、シークスの優待は“堅実さの象徴”と言ってよく、投資初心者にも安心しておすすめできる内容です。
総合評価
総括として、シークスは短期的な値動きに左右されにくく、長期保有における安定性と信頼性が際立つ銘柄です。
安心感を重視する長期投資家にとって、時間を味方にできる一社といえるでしょう。

