メタプラネット[3350]は、かつて音楽関連の会社からスタートし、いまはビットコインを中心に事業を展開しているユニークな企業です。
株価の動きは大きく上下することがありますが、将来の成長性を期待して投資家から注目を集めています。
また、株主優待も暗号資産やホテル割引など独自性があり、人によっては大きな魅力となります。
一方で、誰にでも使いやすい優待ではなく、安定感を求める投資家には向かない部分もあります。
このページでは、そんなメタプラネットの株価情報や会社概要、株主優待、そして投資のおすすめ度をわかりやすく整理して解説します。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
26倍 | 39倍 | 55.9% | 49.1% | 197倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
4.93% | 0% | 4.93% | 12月 | 60,800円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
ビットコインを資産に組み込み成長を狙う独自の戦略を持つ会社です。株価は大きな変動を繰り返してきたため安定感には欠けますが、テーマ株として将来の可能性を秘めています。株主優待は暗号資産やホテル割引など個性的で、興味のある人には魅力的です。ただし万人向けではないため、資産の一部として挑戦的に保有するのが現実的です。 |
株主優待情報
株主優待の内容
100株以上保有の株主が対象です。主な優待内容は次の通りです。
優待項目 | 詳細 |
---|---|
SBI VCトレードでのビットコイン抽選プレゼント | 新規に口座を開設した株主を対象。 抽選の賞品は「総額 3,000 万円相当」のビットコイン。 ・50 名に 10 万円分 ・100 名に 3 万円分 ・2,200 名に 1 万円分 |
ビットコインカンファレンス入場割引券 | 入場券代金の 21%割引。有効期間中何度でも利用可能。 |
ビットコインマガジンストア割引券 | 購入代金の 21%割引。こちらも有効期間中何度でも利用可能。 |
ホテルロイヤルオーク五反田 宿泊料金割引 | 宿泊料金の 15%割引。 |
ウィブル証券での口座開設キャッシュバック | 新規口座開設者が条件を満たした場合に 3,000 円 のキャッシュバック。 |
その他の割引 | プラネットギア(Planet Gear)特別コラボ商品割引(10%)、プラネットギア商品割引(15%)なども含まれていることが確認されています。 |
権利確定日と有効期限
株主優待を受けるための期日・手続きに関する情報は次の通りです。
有効期限:各優待サービスの “割引券” や “入場券” 等については、「有効期間中何度でも利用可能」とされており、具体的な期間は優待案内により定められます。従って、割引券等を使う時期はその「有効期間」を必ず確認する必要があります。
権利確定月:毎年 12月末日 に株主名簿に記載または記録された株主が対象。
権利付き最終日(株主優待を取得するために株を保有しておく必要がある最終日):例として 2025年は 12月26日。
贈呈時期:株主優待特典を利用するために必要な株主番号などの案内は、毎年 2月初旬頃に株主に郵送で送られてくることが多いです。
会社情報

株式会社メタプラネットは、1999年にダイキサウンド株式会社として設立されました。
もともとは音楽CDやレコードの企画や制作、販売を行う会社としてスタートしました。
その後、社名の変更や事業形態の転換を繰り返し、2011年にはホテル事業に進出しました。
飲食業や宝飾品などの事業も手がけましたが、現在は整理されており、規模を縮小しています。
2023年2月には、社名をレッド・プラネット・ジャパンから現在のメタプラネットへと変更しました。
社名変更をきっかけに、ビットコインを会社の資産として保有し、運用する方針を明確に打ち出しています。
これはインフレなどに備え、将来の価値上昇を狙う戦略であり、会社の大きな特徴となっています。
本社は東京都港区六本木にあり、代表取締役社長はサイモン・ゲロヴィッチ氏です。
従業員数は連結で20名から30名程度と小規模で、単独では10名前後の少数精鋭体制となっています。
平均年収は1000万円を超えており、経営陣や専門人材を中心とした組織であることがうかがえます。
事業の柱は大きく3つあります。
1つ目はビットコイン・トレジャリー事業で、会社の資産としてビットコインを保有し、長期的な成長に活かそうとしています。
2つ目はホテル事業で、東京の五反田にあるホテルロイヤルオーク五反田を運営しています。
このホテルをビットコインホテルとして展開する計画もあります。
3つ目はメディアや教育事業で、ビットコインに関する情報発信や普及活動を行っており、Bitcoin Magazine Japanといった専門メディアを通じて暗号資産の理解を広めています。
店舗数については、現在はホテル1件が中心であり、かつてのように複数の飲食店やブランドを運営している状況ではありません。
今のところはホテル事業とビットコイン関連の事業に集中している段階といえます。
このように、メタプラネットは音楽関連の会社から大きく転換を遂げ、現在は暗号資産とホテル事業を軸にしたユニークな企業となっています。
小規模ながらも、ビットコインという新しい分野に早くから取り組んでいる点は、他の上場企業にはあまり見られない特徴です。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
メタプラネットの株価を長期で見ると、2000年代前半に急騰し、その後は長く低迷した歴史が特徴的です。
一時は数万円に迫る水準まで上がったものの、事業の成長が追いつかず、株価は大きく値を崩しました。
その後10年以上にわたり低位株として放置され、投資家からの関心も薄れていました。
しかし直近では、ビットコインを会社の資産として組み込む方針を打ち出したことから再び注目を集め、株価は再浮上の兆しを見せています。
この動きは過去の急騰と同じくテーマ性に左右された部分もありますが、今回は会社の方針転換が明確であるため、一定の裏付けがある点が違いといえます。
財務面では自己資本比率が高く、経営基盤は比較的安定しています。
ROEも高水準で、効率的な資本運用ができているように見えます。
ただし、この数値は本業による持続的な収益成長ではなく、ビットコインの価格変動による影響を強く受けやすい構造です。
PERやPBRは高く、市場の期待が大きく先行しているため、実際の業績がそれに追いつかない場合は株価が再び大きく下落するリスクもあります。
信用倍率の高さも、短期的な思惑による売買が活発であることを示しており、値動きは不安定になりやすい状況です。
長期的に見ると、この銘柄は「安定的に持って配当を得るタイプ」ではなく、「成長テーマを信じて将来性にかけるタイプ」の投資先です。
ビットコインの普及や暗号資産市場の拡大が現実のものとなれば、会社の戦略は追い風となり、株価にも大きな上昇余地が期待できます。
一方で、市場環境が逆風になれば、株価は再び長期低迷に陥る可能性があります。
つまり、この銘柄はハイリスク・ハイリターンの性格を色濃く持っており、分散投資の中の一部として組み入れるのは有効ですが、資産の大部分を託すには適しません。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
メタプラネットの株主優待は、他の上場企業と比べてもかなり個性的です。
多くの企業が飲食券や商品詰め合わせを優待にしているのに対し、この会社はビットコインや暗号資産関連の特典を提供している点に大きな特徴があります。
たとえば、SBI VCトレードでのビットコイン抽選プレゼントや、ビットコイン関連のイベント入場割引、専門誌の割引などは、暗号資産に関心のある投資家にとって非常に魅力的な内容です。
一方で、暗号資産に興味がない人にとっては利用しにくい優待ともいえます。
つまり、優待の価値は人によって大きく異なり、投資家の属性によって評価が分かれるのが特徴です。
ホテル宿泊の割引や証券会社でのキャッシュバックといった実用的な優待も含まれていますが、こちらも実際に利用できる人が限定される可能性があります。
そのため、万人向けの「お得感」を提供する優待ではなく、テーマに共感する人にとってのみ強いメリットを持つ仕組みになっています。
優待利回りは約5%とされ、数字だけを見れば高水準です。
しかし、実際の利用頻度や使いやすさを考えると、全ての株主が満額の利回りを享受できるわけではありません。
長期的な視点で考えると、この優待は会社の方向性を示す「ブランド戦略の一部」として見るのが適切です。
暗号資産という新しい市場をテーマにした優待は、他社との差別化につながりますし、投資家に対して企業の姿勢を強くアピールしています。
ただし、暗号資産の市場そのものが変動の大きい分野であるため、優待の価値や魅力も相場環境によって大きく揺れ動く可能性があります。
たとえば、ビットコインの価格が高騰している時期には優待の注目度も増し、話題性から株価にもプラスに働くことが期待できます。
逆に、相場が低迷している時期には優待の魅力が薄れ、投資家からの関心も落ち込むリスクがあります。
このように、優待制度自体が市況に左右されやすいため、安定的に長く恩恵を受けられる優待とは言いにくい側面があります。
総合的に見ると、優待はユニークであり、特定の投資家層にとっては強い魅力を持っていますが、普遍的な使いやすさには欠けています。
そのため、長期投資の観点からは「おまけ」として楽しむ程度に考え、優待目的だけで大きな資金を投じるのは避けたほうがよいでしょう。
投資おすすめ度は10段階のうち6程度と評価でき、興味のある人には面白いが、万人に勧められるわけではない優待です。
総合評価
メタプラネットの株は、過去に大きな急騰と暴落を経験しており、その値動きの激しさが長期チャートからもはっきり見て取れます。
直近ではビットコインを資産として持つという新しい戦略を打ち出し、再び注目を集めていますが、業績の安定感という点ではまだ不十分です。
財務の安全性は比較的高い一方で、収益の源泉がビットコイン価格に大きく左右されるため、株価が再び長期的に低迷するリスクも残っています。
そのため、株式情報の観点からは「成長性はあるが不安定」という評価が妥当で、長期保有する場合はリスクを理解したうえでポートフォリオの一部に組み入れるのが適切です。
一方で、株主優待は非常にユニークで、暗号資産やビットコインに関心を持つ投資家にとっては大きな魅力があります。
ただし、万人が使いやすい優待ではなく、興味のない人にとっては価値を感じにくい内容です。
利回りは数字の上では高いものの、実際の恩恵をどれだけ享受できるかは利用者次第となるため、投資判断の中心には据えにくいといえます。
株と優待を合わせて考えると、この銘柄は「テーマに共感できる人が長期的に挑戦する銘柄」であり、「安定配当や普遍的な優待を重視する人には向かない銘柄」となります。