歌舞伎座[9661]は、東京・銀座にある日本を代表する劇場を運営している会社です。
株主優待では観劇招待券や優待カードがもらえ、実際に歌舞伎を楽しむことができます。
一方で、配当や株価の成長性はあまり高くなく、投資先としての魅力は限定的です。
そのため、この株は利益を求めるよりも、文化を体験したい人に向いた銘柄といえます。
長期で持ち、優待を活用して歌舞伎を楽しみたい人におすすめできる会社です。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
254倍 | 4.6倍 | 46% | 2.5% | 0.00倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
0.2% | 0.1% | 0.1% | 2月、8月 | 684,000円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
投資としてのリターンは大きくありません。配当利回りは低く、株価も割高感があり、成長株としての魅力は限定的です。しかし株主優待では実際に歌舞伎を体験できる招待券やカードがもらえるため、文化的な価値を重視する人には特別な魅力があります。投資としてよりも、歌舞伎を愛し優待を活用できる人に向いた銘柄といえます。 |
株主優待情報

歌舞伎座の株主優待は大きく分けて 観劇招待券 と 株主優待カード の2種類があります。
まず、観劇招待券は歌舞伎座本公演で使えるもので、保有株数に応じてもらえる枚数が変わります。
1枚につき1名が指定の座席で観劇でき、半年ごとに設定される優待月の公演から希望する日程を選んで利用します。
保有株数 | 招待券枚数(年間) |
---|---|
150株以上 | 1枚 |
450株以上 | 3枚 |
750株以上 | 6枚 |
1,000株以上 | 8枚 |
1,500株以上 | 12枚 |
2,000株以上 | 16枚 |
3,000株以上 | 24枚 |
5,000株以上 | 36枚 |
また、新規株主には観劇用チケットを発券する際に必要な 株主優待カード が配布されます。
本人が使うゴールドカードに加え、一定以上の株数を持つとファミリー用のシルバーカードも配布されます。
保有株数 | 株主優待カード |
---|---|
160株以上 | 本人カード(ゴールド)1枚 |
2,000株以上 | 本人カード(ゴールド)1枚 + ファミリーカード(シルバー)1枚 |
5,000株以上 | 本人カード(ゴールド)1枚 + ファミリーカード(シルバー)2枚 |
このカードは新規株主のみが対象で、実際にチケットを引き換えるときに提示が必要です。
観劇を前提とした制度設計になっているため、首都圏在住で定期的に歌舞伎を楽しみたい方に向いた優待といえます。
権利確定日と有効期限
株主優待の権利確定日は 年2回(2月末と8月末) です。
2月末時点で株主になると「6月~11月公演分」で、8月末時点で株主になると「12月~翌年5月公演分」で利用できる仕組みです。
招待券や優待カードの発送時期や公演案内は、毎回会社から郵送される「株主優待のしおり」に記載されます。
有効期限は半年ごとに区切られているため、利用できる期間内に公演を予約しないと失効してしまいます。
会社情報

歌舞伎座は、東京・銀座にある有名な劇場を運営している会社です。
名前のとおり、日本の伝統芸能である歌舞伎を専門に上演する劇場を中心に事業を行っています。
本社も劇場と同じ銀座にあり、劇場の運営と関連するサービスをメインにしています。
歌舞伎座は明治時代から続く長い歴史を持つ劇場です。
今の建物は五代目にあたり、2013年に建て替えが完成しました。
外観は昔ながらの和風建築を再現しつつ、中は最新の設備を取り入れています。
客席は約2,000席あり、一度に多くのお客さんが観劇できる規模です。
会社の事業は大きく分けて二つあります。
一つは劇場の運営で、歌舞伎の上演スケジュールを管理し、劇場内の販売やサービスも含めた運営を担っています。
もう一つは関連する不動産事業です。
歌舞伎座のビルにはオフィスや飲食店、土産物売り場が入っていて、それらの管理や賃貸収入も会社の収益になっています。
また、歌舞伎の魅力を広く伝えるため、会社は劇場の公演だけでなく映像やイベントの企画にも関わっています。
近年は訪日外国人観光客の増加により、海外の人に歌舞伎を紹介する取り組みも強化されています。
劇場内にはイヤホンガイドや英語のパンフレットも用意されていて、日本文化を体験したい外国人にとっても利用しやすい環境です。
会社としての規模は大企業と比べると小さいです。
しかし、銀座の一等地にある劇場を持ち、安定したブランド力があります。
「歌舞伎=歌舞伎座」というイメージは国内外で定着しており、日本文化の象徴的な存在として高い知名度を誇っています。
店舗数やブランド展開というよりは、劇場そのものがブランドです。
歌舞伎座ビルには「木挽町広場」という商業エリアがあり、歌舞伎グッズや伝統工芸品、飲食が楽しめるショップが並んでいます。
観劇をしない人でも訪れることができるスペースになっていて、銀座の観光名所の一つとしても人気です。
株主にとっては、会社の利益が大きく伸びるというよりは、安定的に歌舞伎を支える存在であり続ける点が特徴です。
つまり成長企業というよりは「文化を守り続ける会社」という位置づけになります。
そのため、株主優待として招待券を利用して実際に観劇を楽しむことで、最も魅力を感じられる会社だといえます。ービスを展開しながら全国に拠点を持って活動している会社です。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
歌舞伎座の株価は、30年という長いスパンで見ると、上がったり下がったりを繰り返しています。
安定して右肩上がりというよりは、一定のレンジの中で推移している印象です。
そのため、株価の成長を目的とする長期投資には、やや向きにくいと考えられます。
会社の規模は大きくなく、売上や利益が大きく伸びる業種でもありません。
主力事業は歌舞伎座という劇場の運営と、そこに付随する不動産収入です。
劇場の収益は観客数や演目の人気に左右されますが、大幅な成長が見込めるわけではなく、安定的に続いていく事業です。
ただし安定しているからといって、株主にとって常に安心というわけではありません。
経済の停滞や観光客の減少などがあれば、収益に影響が出やすい体質を持っています。
財務面を見ると、自己資本比率はおおむね50%前後とそこまで低くはなく、会社の基盤は安定しています。
一方で収益力を示すROEは低い水準にとどまっており、投資家にとって「効率的に利益を出す会社」だとは言いにくいです。
また、株価の指標であるPERやPBRは相対的に高い水準となっています。
これは利益の大きさに対して株価が割高であることを意味し、投資妙味を下げる要因になっています。
つまり、投資家が値上がり益を狙って保有するには、魅力が少ないといえるのです。
長期的な視点では、安定的に事業を続けられる点は評価できますが、大きな株価上昇を期待できる会社ではありません。
また、配当利回りも低く、株を持つことで得られるお金のリターンも小さいです。
結果として、株価や財務指標から見た投資のおすすめ度は低めといえます。
株主にとっての一番の魅力は、優待によって劇場で歌舞伎を楽しめることにあります。
したがって、投資というよりも「株を持って優待を楽しみたい」という目的がある人向けの銘柄です。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
歌舞伎座の株主優待は、観劇招待券と株主優待カードを組み合わせた内容になっています。
この仕組みは、投資というよりも歌舞伎を実際に楽しみたい人に向けた制度といえます。
まず観劇招待券は、保有株数に応じてもらえる枚数が増えていきます。
最も少ない150株から招待券が1枚もらえますが、株価水準が高いため、最低でも数十万円の投資が必要になります。
さらに多くの株を持つと招待券が増えていき、家族や友人と一緒に観劇できるようになります。
そのため、株主優待をフルに楽しむにはある程度のまとまった投資額が求められます。
加えて、新規株主には観劇用の株主優待カードも配布されます。
このカードがないと招待券を使った予約ができないため、実際の利用には欠かせない仕組みです。
本人カードとファミリーカードがあり、保有株数によってファミリー用カードも追加される仕組みになっています。
これにより、家族で一緒に歌舞伎を楽しむ体験がしやすくなっています。
優待の魅力は、実際に歌舞伎座という日本を代表する劇場で伝統芸能を体験できることにあります。
特に首都圏在住の株主にとっては、交通の便もよく利用しやすい優待です。
一方で、地方在住の株主にとっては利用が難しいという面もあります。
招待券は半年ごとの有効期限があるため、使わなければ権利が消えてしまいます。
また、公演日は会社側が指定する優待月に限られるため、自分の都合に合わない場合は利用できないこともあります。
この点は、金券や商品券のように誰でもいつでも使える優待とは違い、利用条件に制約がある制度といえます。
配当利回りは低い水準にとどまっているため、総合利回りの大部分を優待が占めています。
つまり、この株を保有する魅力は「株主優待で歌舞伎を楽しむこと」に集中しているのです。
長期的な視点で考えると、歌舞伎座という劇場は歴史と伝統があり、今後もなくなる可能性は低いといえます。
そのため、優待は今後も継続していく見込みが高いと考えられます。
総合的に見ると、優待を活用できる人にとっては価値のある投資先です。
しかし、優待を実際に使えない人にとっては魅力が小さく、投資のおすすめ度は高くありません。
優待の利用環境や居住地によって評価が分かれるため、人を選ぶ銘柄といえるでしょう。
総合評価
歌舞伎座の株は、株価や財務指標の面から見ると投資としての魅力はやや弱いといえます。
PERやPBRは高めで、利益に対して株価が割高な印象があります。
また、配当利回りも低いため、株を持つことで得られる金銭的なリターンは小さいです。
長期的な成長が期待できる業種でもないため、純粋に投資先として考えるならおすすめ度は高くありません。
一方で、株主優待は歌舞伎座ならではの特徴があります。
観劇招待券や株主優待カードを通じて、日本の伝統文化である歌舞伎を体験できるのは他にはない魅力です。
特に首都圏在住で、歌舞伎を定期的に観たい人にとっては優待の価値は大きいといえます。
ただし、地方在住の人や観劇に興味がない人にとっては利用しにくく、優待の魅力はあまり感じられないでしょう。
総合的に考えると、この株は値上がり益や配当を目的にする投資よりも、文化的な体験を楽しむことに価値を見いだす人向けです。
そのため、投資おすすめ度は10段階で5程度となり、購入は見送りレベルという評価になります。
株価の成長や配当を期待するのではなく、歌舞伎を愛する人が長期的に保有し、優待を楽しむための銘柄といえるでしょう。