ハピネス・アンド・ディ[3174]は、宝飾品や時計、バッグなどを販売する会社です。
全国に店舗を展開していて、ジュエリーやファッションアイテムを身近に提供しています。
この会社には年二回の株主優待があり、割引券や自社商品、店舗で使える優待券などが用意されています。
投資の魅力は優待にある一方で、業績や財務面では課題も多く、株価の動きも安定していません。
そのため、優待を実際に活用できる人にとってはメリットがありますが、長期的な投資先としては注意が必要です。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
– | 3.45倍 | 13.7% | −47.3% | – |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
2.84% | – | 2.84% | 2月、8月 | 70,300円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
長期的な成長性や財務の安定性に欠けるため、投資先としての魅力は低いといえます。一方で、年二回の株主優待は割引券や商品券、自社商品など実用性が高く、店舗を利用する人にとっては保有価値があります。株価の成長や安定配当を狙う投資家には不向きですが、優待を目的に楽しみながら株を持ちたい人には一定の魅力がある銘柄です。 |
株主優待情報

ハピネス・アンド・ディでは、100株以上を保有する株主を対象に年2回の株主優待があります。
内容は割引券や自社商品、または優待券で、基準日によって異なります。
保有株数 | 2月末の内容 | 8月末の内容 |
---|---|---|
100株以上 | 10%割引券1枚 + 自社商品(ネックレスまたはキーケース) | 10%割引券1枚 + 優待券2,000円分 |
200株以上 | 10%割引券2枚 + 自社商品1点 | 10%割引券2枚 + 優待券4,000円分 |
400株以上 | ― | 優待券6,000円分 |
600株以上 | ― | 優待券8,000円分 |
800株以上 | ― | 優待券10,000円分 |
権利確定日と有効期限
権利確定日は 2月末 と 8月末 の年2回です。
優待の申込方法や有効期限は、送付される案内に記載されます。
期限までに申し込みを行わなければ、優待が受けられない場合があるため注意が必要です。
会社情報

株式会社ハピネス・アンド・ディは、宝飾品や時計、バッグなどのブランド商品を販売する小売会社です。
本社は東京都中央区銀座にあり、銀座という立地を活かしてファッション性の高い商品を取り扱っています。
会社の始まりは1946年の「デン時計店」にさかのぼります。
そこからジュエリーや時計を中心に事業を広げ、1990年に株式会社ジュエリーデンとして設立されました。
その後、事業の多角化を進め、現在のハピネス・アンド・ディという社名に変更しました。
店舗数は全国で70店舗以上を展開しています。
北は北海道から南は九州まで、ショッピングモールや都市部の商業施設に出店しており、地方でも商品を手にとれる環境を整えています。
自社ブランドの「GINZA Happiness」をはじめ、「ブランドショップ ハピネス」などの名称で運営されています。
商品ラインナップは、ネックレスやリングなどのジュエリー、腕時計、バッグ、財布、小物など多岐にわたります。
特にジュエリー分野に強みを持ち、パールやダイヤモンドなどのアイテムを幅広く展開しています。
近年はオリジナルデザインの商品や、コラボレーション企画の商品を増やし、独自性を出しています。
会社は店舗販売だけでなく、インターネット通販にも力を入れています。
公式オンラインショップを開設し、自宅にいながらブランド商品を購入できる仕組みを整えました。
また、実店舗での接客とオンラインの利便性を組み合わせる「オムニチャネル戦略」を進めています。
これにより、来店した顧客にECサイトを案内するなど、購買体験の幅を広げています。
一方で直近の業績は厳しい状況にあります。
2025年8月期の第3四半期決算では、売上高が約67億円と前年より減少しました。
営業損益も赤字となっており、特に雑貨部門の不振が影響しています。
ただし、宝飾品部門は堅調であり、強みを活かした展開が引き続き期待されています。
このように、ハピネス・アンド・ディはブランド商品を広く取り扱う小売業者であり、全国に店舗を展開する一方で、ECとの連携や新しい取り組みにも挑戦しています。
今後は主力であるジュエリー分野を中心に、ブランド力を高めて収益改善を目指していく姿勢が見られます。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
ハピネス・アンド・ディの株式は、長期的に見ると非常に厳しい状況にあるといえます。
十年以上の株価チャートを振り返ると、上場後に上昇局面を見せた時期もありましたが、その後は下落と停滞を繰り返してきました。
ここ数年では株価が大きく戻る兆しは見られず、長期的な低迷傾向が鮮明になっています。
財務の指標を見ても、自己資本比率は低い水準にとどまっており、会社の安全性という観点では弱さが目立ちます。
PBRは高めで、資産価値に比べると株価が割高に評価されている状態です。
一方でROEはマイナスに近い非常に低い数値となっており、株主資本を効率的に活用できていないことが明らかです。
このように、収益性や効率性の面で課題を多く抱えていると判断できます。
また、PERは赤字のため算出できない状況が続いています。
これはすなわち、利益が出ていないために企業の価値を利益ベースで測れないということを意味します。
投資家から見れば、将来の黒字転換が見込めなければ株価の下支えは弱く、不安定な状況が長引く可能性があります。
株式市場での評価も限られており、出来高は少なく、流動性は非常に低いです。
そのため、大口の投資家が参入しにくく、株価が急に動くリスクが高まる傾向があります。
信用取引の利用もほとんどなく、市場からの関心は薄いといえます。
一方で、宝飾品やブランド商品という分野は一定の需要があり、景気が回復すれば消費が戻る可能性も残されています。
特に宝飾分野は比較的安定しており、この会社の事業の中では強みになっている部分です。
ただし、その強みを生かしても、現状の財務体質や収益力では株価の安定的な上昇を支える力は弱いと言わざるを得ません。
長期投資という観点で考えると、株主にとって魅力があるのは優待の存在です。
しかし、それを除けば、株価上昇や安定配当といった面での期待は薄く、リスクの方が大きいと評価されます。
安全性が低く、成長力も見えにくいため、あえて保有し続けるには強いこだわりや優待への価値を感じる必要があるといえるでしょう。
総合的に判断すると、ハピネス・アンド・ディの株式は長期的な投資対象としては魅力度が低く、投資おすすめ度はかなり低い水準です。
優待を目的とした保有であれば検討の余地はありますが、資産形成や長期的な株価の成長を狙う投資家にとってはリスクが高く、注意が必要です。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
ハピネス・アンド・ディの株主優待は、投資家にとって一定の魅力があります。
まず、優待は年に二回あり、二月末と八月末の二つの基準日で異なる内容が提供されます。
二月末では、自社で使える一〇%割引券と、自社商品である淡水パールのネックレスや革製のキーケースなどが贈られます。
八月末では、割引券に加えて二千円から最大一万円分の優待券が保有株数に応じて贈られます。
このように、割引券と商品券、さらに実用品である自社商品が組み合わされている点は、投資家にとってわかりやすく、使い勝手が良いといえます。
特に、優待券は全国の店舗で直接使えるため、普段からショッピングモールや百貨店で買い物をする人にとっては現金同様の価値があります。
株数を増やすことで金額が増える仕組みもあり、リターンを計算しやすいことも利点です。
また、割引券は高額商品を買うときに利用すると、実際のメリットが大きくなります。
たとえば数十万円するジュエリーを購入する場合、一〇%の割引は数万円の節約になる可能性があります。
これは株主優待としては比較的珍しい仕組みであり、ハピネス・アンド・ディならではの特徴です。
一方で、注意すべき点もあります。
まず、この会社の商品や店舗を普段から利用しない人にとっては、優待の価値は薄れてしまいます。
割引券や優待券は他社の商品券のように使える場所が広くないため、利用する人を選ぶ優待といえます。
また、優待券は金額が固定されており、長期的に保有しても利回りが大きく改善するわけではありません。
株価が下がれば最低取得額も下がりますが、同時に会社の経営状況が悪化している可能性があり、優待が廃止されるリスクもあります。
つまり、優待はあくまで「今ある制度」が前提であり、将来の保証はありません。
投資家が優待を目的に長期保有する場合は、このリスクを理解したうえで判断する必要があります。
それでも、実際に自社商品や店舗をよく利用する人にとっては、かなり魅力的な内容です。
特にパールやアクセサリーに関心がある人にとっては、実用品がもらえる点は長期的な満足度につながります。
また、割引券をうまく活用できる層にとっては、配当がなくても優待だけで十分に投資の楽しみを感じられるでしょう。
総合的に見ると、優待制度は「投資で利益を得たい人」よりも「買い物やブランド商品に興味がある人」に適しています。
そのため、株主優待のおすすめ度は利用者のライフスタイルに大きく左右されます。
投資としてのメリットは限定的ですが、生活に直結するお得さを感じられる人にとっては、長期保有する価値があります。
総合評価
ハピネス・アンド・ディの株式を総合的に見ると、投資判断は慎重にならざるを得ません。
株式面では、長期的な株価の推移が低迷しており、財務の安全性も十分とはいえません。
自己資本比率が低く、ROEもマイナスに近い状態であることから、企業としての収益力や安定性には大きな課題があります。
株価の流動性も乏しく、投資家からの注目度も低いのが実情です。
これらを考えると、長期的な資産形成を目的とした投資先としては、おすすめ度はかなり低いと評価せざるを得ません。
一方で、株主優待はユニークで実用的です。
自社商品や割引券、そして店舗で使える商品券は、普段からブランド商品やジュエリーを購入する人にとっては魅力があります。
特に割引券は高額商品を買うときに大きな効果を発揮するため、活用できる人にはメリットが大きい制度です。
ただし、利用機会がない人にとっては価値が薄れ、投資魅力は大きく下がります。
また、業績悪化によって将来的に優待が縮小や廃止されるリスクもあり、安定した還元が続く保証はありません。
総合的に見れば、ハピネス・アンド・ディの株式は「優待を実際に使える人」にとってのみ保有価値があります。
純粋に株価の成長や安定配当を狙う投資家にとっては適した銘柄ではなく、投資おすすめ度は低いといえます。