and factory[7035]は、スマホアプリやIoT事業を手がける新興企業で、株主優待としてプレミアム優待倶楽部ポイントを提供しています。
長期投資家にとっては、財務や収益の安定性に課題があるため資産形成の中心に置くには慎重さが必要です。
一方で、優待を楽しみながら応援するというスタンスなら魅力があり、生活に直結する特典を得られる点はメリットといえます。
ここでは、株式の特徴や優待の内容、投資判断のポイントを整理していきます。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
– | 約2.74倍 | 46.0% | 7.56% | – |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
1.9% | – | 1.9% | 8月 | 25,400円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
長期投資家にとって積極的におすすめできる水準ではありません。株価は割高感があり、財務体質や収益力も不安定で、長期的な成長は見えにくい状況です。優待としてグループ店舗で使えるクーポン券はありますが、有効期限が短く利回りも高くないため、投資の強い動機にはなりにくいです。総合的に判断すると、現時点では見送りが妥当であり、新規事業の成果や財務改善が見えた時に再検討するのが現実的でしょう。 |
株主優待情報
株主優待の内容
and factoryでは、保有株数に応じてプレミアム優待倶楽部ポイントが進呈されます。
ポイントはWILLsCoinへ交換でき、他社の優待ポイントと合算して使うこともできます。
交換手数料は保有年数に応じて低減し、2年以上の継続保有で手数料がゼロになります。
まずは保有株数ごとの進呈ポイントを下表にまとめます。
保有株数(1回の権利確定時) | 優待ポイント(1ポイント = 約1円) |
---|---|
1,000株以上〜1,999株 | 5,000ポイント |
2,000株以上〜2,999株 | 12,000ポイント |
3,000株以上〜3,999株 | 20,000ポイント |
4,000株以上〜4,999株 | 40,000ポイント |
5,000株以上〜5,999株 | 60,000ポイント |
6,000株以上〜6,999株 | 100,000ポイント |
7,000株以上 | 120,000ポイント |
ポイントの有効期限は、WILLsCoinへの交換または商品交換から12か月間です。
未使用のまま期限を過ぎると失効するため、計画的な利用がおすすめです。
権利確定日と有効期限
株主優待の権利は毎年8月末日時点の株主に付与されます。
権利付き最終日は通常、権利確定日の2営業日前となり、年によって具体的な日付は異なります。
付与後にWILLsCoinへ交換した場合の有効期限は12か月で、交換や商品申込みのたびに起算し直されます。
長期保有を前提に、失効しないように計画して使うと安心です。
会社情報

and factoryは、スマートフォン向けのアプリ開発と、IoT(モノのインターネット)を使った新しいサービスを組み合わせたビジネスで成長している会社です。
まず、会社の基本情報です。and factory株式会社は、2014年9月に設立されました。東京都目黒区青葉台の「住友不動産青葉台タワー」に本社があります。
and factoryは、「日常に&を届ける」をミッションに掲げていて、普段の暮らしに「ちょっと新しい何か」を加えてくれるサービスを作っています。
事業内容は、大きく二つあります。
ひとつは「APP事業」です。
これは、マンガアプリ(「マンガUP!」「マンガPark」「マンガMee」「サンデーうぇぶり」など)や占いアプリ、ゲームアプリなど、スマホで楽しめるコンテンツを作っている事業です。
出版社や開発会社と一緒にサービスを制作し、50以上のアプリに携わっています。
もうひとつは「RET事業(Real Estate Technology事業)」です。
これは、IoTを活かした「スマートホステル」ブランドの「&AND HOSTEL」の運営をしています。
ここでは、部屋の鍵や証明、エアコン、カーテンなどをスマホで操作できるようになっていて、未来の暮らしが体験できます。
東京・大阪・福岡などに数施設あり、今後さらに拡大する予定です。
and factoryの目指すところは、今の事業だけにとどまらず、培ったアプリ開発やUI/UX設計、運用の力を活かして、これからも異なる分野に広がるサービスを提供し続けることです。
そして、いつか日本だけでなく世界中に「日常に&を届ける」存在になることがそのビジョンです。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
長期投資の視点でand factoryを見たとき、10年スパンの株価推移は力強い右肩上がりとは言いにくく、むしろ停滞からの回復待ちという印象が強いです。
上場初期の期待先行局面を経て、その後は業績や事業構造の変化に株価がついてこられなかった期間が長く、長期のトレンドは弱含みから横ばいに近い流れに見えます。
この形は、放っておいても増えるタイプの資産ではなく、再成長の物語が具体化して初めて評価余地が開くタイプの銘柄だと読み取れます。
財務の安定度は極端に弱いわけではない一方で、収益性は高いとは言えず、資本効率も突出して優れているとは言いにくい水準です。
つまり守りは最低限あるけれど、攻めの強さに課題が残る構図で、長期で複利を利かせたい投資家には物足りなさが出やすいです。
配当がなくインカムの下支えが期待しづらい点も、長期保有の快適さを下げる要因です。
総合利回りは優待頼みになりがちで、相場の逆風期に気持ちを支える現金リターンがないため、含み損に耐える心理的コストは高くなります。
事業の中身に目を向けると、スマホアプリ運営というデジタル資産の積み上げは魅力があり、IPやパートナーとの連携がハマれば収益の質は改善し得ます。
一方で、ヒットの波に影響されやすく、案件ごとの収益のブレが大きくなりやすい点は、長期の安定成長という観点では弱みになりがちです。
リアル×デジタルを掲げる取り組みも、シナジーが噛み合えば面白いのですが、投下資本の回収速度が遅いと評価は伸びません。
外部パートナーやプラットフォームに依存する部分が多いモデルは、マージンが圧迫されやすく、持続的に高い利益率を確保する難度が上がります。
市場全体の視点に広げると、同業は競争が激しく、ユーザーの可処分時間の奪い合いも厳しいため、差別化の明確さが問われます。
プロダクトの磨き込みに成功しても、広告単価やストア手数料など外部要因に利益構造が左右されやすい点も留意が必要です。
流動性は高いとは言えず、需給が悪化した局面では価格が滑りやすいリスクがあるため、買い下がりや売却の計画性がより重要になります。
こうした要素を総合すると、現時点のand factoryは「応援したい人が生活優待を楽しみながら少量で長く付き合う」という保有スタンスがしっくり来ます。
一方で、老後資金や教育資金の土台に据えるような、安定配当と持続成長の両立を求める長期コア銘柄としては適性が高いとは言えません。
ここから評価が切り上がるためのカタリストとしては、収益のブレを抑える運営力の強化、継続課金の積み上げによる売上の安定化、そして資本効率の「低いから普通」ではなく「普通から高い」への段階的な改善が鍵になります。
さらに、配当や自己株買いなど株主還元の強化が打ち出されれば、インカム面の安心感が生まれ、長期保有の心理的コストはぐっと下がります。
今は「期待先行に乗る」段階ではなく、業績の底上げとビジネスの再現性を見届ける時間だと捉えるのが健全です。
したがって、エントリーするならポートフォリオのサテライトに小さく、優待の実利と将来の選択肢を買うイメージで、定点観測を続けながらゆっくり判断を積み重ねるのが良いでしょう。
逆に、安定した配当と確かな右肩上がりを長年積み上げてきた企業群と比較すると、現時点の相対的な魅力度は見劣りしやすい点を冷静に受け止めたいところです。
結論として、and factoryは「相当好きでなければ見送る」評価を基本線とし、物語が具体化して指標の「低い」が「普通」へ、やがて「高い」へと移るプロセスが見えたときに、初めて長期の本線候補として再評価するのがプロの慎重な立ち回りだと考えます。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
and factoryの株主優待は、保有株数に応じてプレミアム優待倶楽部ポイントが付与される仕組みになっており、生活に直結するサービスや商品に交換できる点で魅力があります。
特に、2年以上の長期保有で交換手数料がゼロになるため、時間を味方につけて保有を続けるほどに実質的な還元率が高まる仕組みは、長期投資家にとってポジティブに働きます。
一方で、総合利回りの柱は優待のみであり、配当がゼロのためインカムゲインを優待だけに依存する構造となっています。
優待の価値はあくまで利用者のライフスタイルや好みに強く左右されるため、万人にとって「確実にうれしいリターン」になるわけではありません。
優待に魅力を感じる人にとっては、毎年の権利確定月を楽しみに長く保有する理由になりますが、生活に直結しない人にとってはメリットが小さく見えてしまいます。
また、優待ポイントの付与水準は1,000株以上とハードルが高いため、最低取得額が大きくなる点も忘れてはならないポイントです。
少額で気軽に優待を楽しむというより、ある程度の資金をまとめて投じて優待を獲得する仕組みなので、投資家の資金状況によって向き不向きが明確に分かれます。
長期的な視点に立つと、and factoryは業績が安定していないため、株価自体の上昇を期待して持ち続けるにはリスクが大きいです。
しかし、優待を目的として「商品やサービスをお得に楽しむ」ことを重視するなら、一定の魅力を持っています。
ただし、企業の業績が悪化して優待制度が縮小・廃止されるリスクは常にあるため、優待頼みで投資する場合にはその前提を理解しておく必要があります。
総合すると、and factoryの優待は「好きな人には価値があるが、万人向けではない」という性質が強く、応援消費やライフスタイル重視の投資家には一定のおすすめ度があるといえます。
一方で、資産形成を目的とした長期投資の軸にはなりにくく、あくまでポートフォリオの中で補助的に楽しむ存在にとどめるのが適切でしょう。
総合評価
ここまで株式情報と優待情報の両面からand factoryを見てきましたが、結論としては積極的に長期投資する銘柄ではないと判断できます。
株式情報の観点からは、長期チャートが右肩下がりに近く、配当もなく、収益性や資本効率も際立って高いわけではありません。
自己資本比率は一定の安心感を与えるものの、投資家が期待する安定的な利益成長や株主還元は物足りず、長期で資産を増やすには頼りない印象です。
一方で優待情報の観点では、プレミアム優待倶楽部のポイント付与は実用的であり、保有株数が多いほど還元率が上がる仕組みになっています。
さらに長期保有で交換手数料がゼロになる点は魅力で、優待を楽しみたい投資家にとっては安心材料になります。
しかし、総合利回りは優待頼みで、インカムゲインを支える配当がないため、投資の根拠としては弱さが目立ちます。
結果として、and factoryは「優待を目的とした愛着型の投資」には向いていますが、資産形成の中核を担う銘柄にはなりにくいといえます。
どうしても同社の事業やブランドを応援したい気持ちがあるなら、優待を楽しむスタンスで少額を持つのは一つの選択肢です。
しかし、安定成長や配当を重視する長期投資家であれば、他の銘柄を優先する方が無難でしょう。