東建コーポレーション[1766]は賃貸住宅の建設と管理を中心に、暮らしのサービスまで手がける会社です。
長期で見ると株価は大きく上がり下がりを繰り返すタイプで、無理に追いかけず押し目を待つのが合います。
株主優待はゴルフやホテル、通販の割引などで、使いこなせる人には実利が出やすい内容です。
一方で生活動線と合わない人には価値が薄くなるため、相性の見極めが大切です。
本記事では最新の株価情報と優待の使い勝手、会社の全体像を整理し、長期投資の視点でわかりやすく解説します。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
13.4倍 | 1.46倍 | 58.5% | 12.36% | 0.31倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
3.84% | 2.47% | 1.37% | 4月 | 1,457,000円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
建設と賃貸管理の二本柱で安定感はありますが、金利や建設コストの逆風には弱めです。株価は長期でレンジ色が強く、押し目の分散買いが前提になります。優待はゴルフ・ホテル・通販の実用型で、生活動線に合えば実利が出ます。合わない人は配当のみの魅力となり、中庸です。受注の質と管理戸数の伸びを確認しつつ、無理はしない保有候補です。 |
株主優待情報

株主優待の内容
東建コーポレーションの優待は、保有株数に応じて「ゴルフ場または通販サイトの割引」「ホテル多度温泉の優待」「食品などの選択ギフト」などが組み合わさる設計です。
長期保有との相性も良く、家族旅行や趣味に合わせて使い分けできる点が特徴です。
保有株数 | ゴルフ場・通販系 | 追加の主な特典 | 選択ギフト |
---|---|---|---|
100株以上 | ①東建多度CC・東建塩河CCで使える5,000円割引券×4枚 または ②「ハートマークショップ」4,000円割引券 | ホテル多度温泉 宿泊30%割引券(10名まで有効・希望者) | ― |
1,000株以上 | ①平日1年カード または ②「ハートマークショップ」5,000円割引券 | ホテル多度温泉 無料宿泊ペア招待券(希望者) | 新米5kg または ミネラルウォーター500ml×48本 または 焼酎(規格記載の本数) |
2,000株以上 | ①全日1年カード または ②「ハートマークショップ」6,000円割引券 | ホテル多度温泉 無料宿泊ペア招待券(希望者) | 新米10kg または ミネラルウォーター500ml×96本 または 焼酎(規格記載の本数) |
割引券は同伴者も対象になる条件があり、カードは「メンバー料金で利用できる権利」という扱いです。
通販割引はグループの生活雑貨ECで利用可能です。
食品の選択ギフトは実用性が高く、金券系が苦手な方にも使いやすい内容です。
また、賃貸マンション・アパートの工事請負契約を結んだ株主向けに、請負金額の一定割合を住宅機器付与で還元する優待も用意されています。
建設本業と連動したユニークな特典です。
権利確定日と有効期限
権利確定は毎年4月末です。
優待案内は期末後に発送され、各種クーポンや招待券は翌年夏頃までが有効期限になる設計が一般的です。
実券には具体的な有効期限が印字され、ホテル優待は「翌年8月末」までの設定例が多く、ゴルフの「平日1年カード」「全日1年カード」は発行から一年間が基本です。
実際の期日や除外日は年度の案内に従ってください。るため、県外居住の株主は使い勝手を事前に確認しておくと安心です。
会社情報

東建コーポレーションは愛知県名古屋市に本社を置く建設と不動産のグループです。
土地を持つ人に賃貸住宅の建築と運用を提案し、建てるところから入居者募集と管理までを一気通貫で担います。
建てて終わりではなく、満室を保つための仕組みまでグループ内で回せるのが強みです。
事業所は全国に広がり、賃貸仲介の拠点や営業所、管理拠点が各地に配置されています。
賃貸仲介のブランドはホームメイトです。
直営店とフランチャイズを合わせた広いネットワークを持ち、地域ごとに部屋探しの窓口として機能しています。
物件の検索サイトや周辺情報をまとめた自社メディアも運営し、入居希望者が探しやすい環境を整えています。
建築の現場では、共同住宅の企画から設計、施工、引き渡し後のアフターサービスまで自社で統合しています。
オーナーには家賃保証や募集支援のメニューを示し、長い目で資産運用を支えます。
管理部門は家賃の集金、点検、修繕の手配を通じて、入居者とオーナーの双方の手間を減らします。
暮らしに関する通販はハートマークショップで展開しています。
家電や日用品、食品などを扱い、株主優待の割引ともつながっています。
レジャー分野ではゴルフ場を運営しています。
中部地方のコースを中心に、競技の開催や会員向けサービスで知名度を高めています。
隣接するホテル多度温泉は温泉とスポーツ施設を備え、滞在型で楽しめる拠点です。
優待での宿泊招待や割引設定があり、株主がサービスに触れる機会をつくっています。
文化活動として博物館の運営にも取り組んでいます。
地域に根ざした施設として、展示やイベントを通じた貢献を続けています。
全体としては、建てる力と埋める力と維持する力を一社で循環させる設計が特徴です。
建設と仲介と管理に生活サービスやレジャーを組み合わせることで、顧客との関係を長く保つモデルになっています。
長期保有の投資家にとって、景気の波だけに左右されにくい収益構造が魅力といえます。
一方で建設需要の変化や人手不足といった課題にも対応が求められます。
同社は全国のネットワークと複合サービスを土台に、空室を減らし、物件の価値を保つ取り組みを続けています。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
東建コーポレーションは、建設で収益を生みつつ、賃貸管理で安定収入を積み上げる二本柱のビジネスモデルを持ちます。
この組み合わせは景気の波をある程度ならしてくれる一方で、新規着工の動きや金利環境に左右されやすい面も残ります。
長期で見ると、株価は大きな上昇と下落を繰り返しながらレンジを形成してきた印象が強く、右肩一直線というより、景気循環や不動産投資意欲の強弱に沿って山谷を作るタイプです。
直近高値を素直に更新していく力強さよりも、一定水準でのもみ合いが続きやすい銘柄特性がうかがえます。
財務のクッションは比較的厚く、自己資本の厚みと採算意識は業界内でも見劣りしにくい水準です。
収益性は安定志向で、極端な薄利多売というより、建てた後の管理で息の長い利益を積む設計に強みがあります。
一方で、建設部門のコスト上昇や人手不足は常に監視が必要です。
資材価格や外注費が上がる局面では、受注価格への転嫁が遅れるとマージンが圧迫されやすく、四半期ごとの利益の振れが出やすくなります。
需給面では、短期的な思惑に振られにくい落ち着いた出来高の反面、流動性が薄い時間帯は値が飛びやすい注意点があります。
信用取引のバランスは極端な片寄りではないことが多く、長期投資目線では過度に気にする要素ではありませんが、イベント前後の逆回転には配慮が必要です。
配当は安定志向で、総還元の姿勢は保守的です。
利回り水準は市場平均と比べて大きく見劣りするわけではないものの、突出して魅力的とも言い切れず、株価の位置次第で妙味が変わるタイプと言えます。
バリュエーションの感触は、絶対的な割安さを強く主張できるほどではなく、全体相場が落ち着いている時には中立寄りの評価に落ち着きやすいです。
資産の質と収益の安定性を踏まえると、長期保有でじわじわと恩恵を受ける設計ですが、成長の加速や新しい収益源の可視化がない限り、評価の切り上がりは限定的になりがちです。
加えて、国内の人口動態や相続税制、土地活用のトレンドが追い風になる年もあれば、逆風になる年もあり、マクロ要因の影響は無視できません。
このため、長期チャートのレンジ上限付近では無理をせず、レンジ下限での拾いを待つくらいの腰の据え方が現実的です。
総合すると、長期保有の受け皿にはなり得るものの、いま積極的に比重を上げる強い理由は限定的です。
財務の安定感と事業の粘り強さは評価しつつも、株価の位置と相場地合いを重ねて慎重に入り場を選ぶのが妥当です。
プロの視点では、現状は中立よりわずかに控えめの評価で、十段階の六という判断に整合します。
押し目での分散的な拾いを検討しつつ、決算でのコスト転嫁状況と管理戸数の伸び、受注の質の変化を確認するまでは、無理に踏み込まないスタンスが堅実です。
株主優待にみる分析
東建コーポレーションの優待は、使いこなせる人には満足度が高く、使いにくい人には価値が薄くなる「選別的な設計」が特徴です。
長期保有を前提にすると、この相性の良し悪しが投資判断の重みを大きく左右します。
優待の中心はゴルフ場の優待や会員カード、関連ホテルの優待、グループ通販の割引、実用品のギフトといったラインナップです。
金券のように誰でもすぐ現金同等で使えるタイプではないため、実際に利用する予定があるかどうかで体感価値が変わります。
まず、ゴルフ優待は距離の壁とライフスタイルの合致がカギになります。
中部圏に足を運びやすく、週末に家族や仲間とラウンドする習慣がある人には恩恵が大きい設計です。
一方で、居住地が遠方で年に数回しか行けない場合や、ゴルフをほとんどしない世帯にとっては、額面の魅力ほどの価値を引き出しにくくなります。
会員料金での利用権や同伴者適用などは魅力ですが、繁忙期の混雑や予約調整の手間は現実的なコストとして認識しておくべきです。
ホテル優待は、旅行の予定を組める家庭には使い勝手が良く、レジャーの固定費を抑える効果が期待できます。
ただし、有効期限や除外日の設定、同行者の人数制限など、実際に使う段階での細かな条件が価値に影響します。
優待は取っておくだけでは価値が目減りするため、家族の行事や長期休暇に合わせて計画的に消化できるかを長期視点で点検しておきたいところです。
通販割引と実用品ギフトは、地域の制約を受けにくいのが長所です。
生活雑貨や食品は家計への貢献度が高く、毎年コンスタントに使い切れる想定が立てやすいカテゴリーです。
とくに長期保有では「確実に使うものを優待でまかなう」という発想が利回りの安定につながります。
一方で、送料や同時購入の条件、割引対象の品揃えが価値を左右するため、実際の利用前にルールを毎期確認する習慣があると安心です。
建設請負と連動した優待は、この会社ならではのユニークさがあります。
オーナー層や将来の建築ニーズがある家庭には好相性ですが、一般の個人投資家にとっては発動頻度が低く、投資判断のコアには据えにくい要素です。
「当たれば大きいが、平均すると平準的」という性質を理解し、基本はレジャー系と通販系の消化可能性で価値判断を行うのが現実的です。
長期の視点では、優待制度そのものの継続性と柔軟性も重要です。
景気やコスト環境の変化で、優待内容の見直しや改定が行われる可能性は常にあります。
金券色が薄いぶん、制度が変わっても家計インパクトが急激に悪化しにくい設計ではあるものの、改悪や廃止リスクはゼロではありません。
毎期の案内で有効期限や内容の変更点を確認し、使い切れる範囲で保有株数を決めるのが堅実です。
投資家のタイプ別にみると、ゴルフや温泉旅行を年に数回以上楽しむ家庭、あるいは中部圏に定期的に行く予定がある人は、優待価値を実利に落とし込みやすいです。
逆に、レジャーよりも現金配当を重視し、移動の手間をかけたくない人は、通販とギフト以外の価値が薄くなりがちです。
この乖離は年数がたつほど効いてくるため、「自分の生活にどれだけ組み込めるか」を最初に見極めることが、長期保有の満足度を分けます。
総合的に見ると、東建コーポレーションの優待は「使えば強いが、使わないと重くなる」タイプです。
配当と合わせた総合リターンの底上げを狙える一方で、地域と趣味の適合が取れないと評価は中庸に落ち着きます。
よって、優待を主目的に積極的な買い増しを進める銘柄というより、「自分の生活動線で確実に消化できる自信があるなら検討余地あり」という位置づけが妥当です。
現在の総合評価が十段階で六という前提とも整合し、長期派は無理に比重を上げず、使い切り計画と保有水準を丁寧に合わせるのが現実的な結論です。
総合評価
投資判断としては、中立より少し控えめのスタンスが妥当です。
レンジの上側で慌てて買うより、押し目で分散して拾い、時間を味方につける戦い方が合います。
チェックする指標は、受注の質と管理戸数の伸び、コスト転嫁の進み具合です。
これらが堅調なら保有を続け、鈍るようなら比重を落としてリスクを整える発想が安全です。
優待を自分の生活で確実に使える人は「保有候補」、使いにくい人は「見送り寄り」と整理すると判断がぶれません。
長期投資なら、無理に比重を上げず、地合いと価格帯を見ながら静かに付き合う銘柄です。