三陽商会[8011]は、歴史ある洋服メーカーで、自社ブランドを中心に全国で展開しています。
過去にはバーバリーの日本代理店としても有名でしたが、現在は自分たちのブランド力を活かして再出発しています。
株主優待では、東京で行われるセールへの招待があり、ファッションに興味がある人にとっては特別な楽しみになる内容です。
株価は長年の低迷を経て少しずつ回復していますが、投資には慎重な姿勢も大切です。
企業としての地道な再建を見守る気持ちで、長期的な視点で考えることがポイントになります。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
7.0倍 | 0.75倍 | 68.9% | 9.95% | 3.04倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
5.18% | 5.18% | 優待セール招待券のため試算不可 | 2月、8月 | 268,500円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
財務の安定性や業績回復の兆しがあるものの、過去の高値水準からはまだ遠い位置にあります。優待はセールの招待のみで、使える人を選ぶ内容です。そのため、「ブランドのファンであり、東京のセールに行ける人」にとっては長期保有の楽しみがありますが、万人向けではありません。長期的に応援する気持ちを持てる人には、検討の余地がある銘柄です。 |
株主優待情報
株主優待の内容(修正版)
三陽商会の株主優待は、東京で開催されるファミリーセールへの招待です。
100株以上を保有している株主に対して、年2回(2月末・8月末権利確定)のファミリーセール招待状が送られます。
※優待会場は東京のみとなっており、地方在住の方にとってはやや使いづらい内容となっています。
優待内容名 | 優待獲得株数 | 備考 |
---|---|---|
優待セール招待 | 100株以上 | ※開催地:東京 |
権利確定日と有効期限
項目 | 内容 |
---|---|
権利確定月 | 2月、8月 |
次回権利付最終日 | 2025年8月27日 |
前回権利付最終日 | 2025年2月26日 |
会社情報

三陽商会(さんようしょうかい)は、東京に本社をかまえるアパレル会社で、洋服をつくって売っている会社です。
1943年に設立された歴史ある企業で、最初は軍服などを作っていましたが、戦後はスーツやコート、シャツなど、ふだん着る洋服の製造・販売に力を入れてきました。
長いあいだ、イギリスの有名ブランド「バーバリー(BURBERRY)」の商品を日本国内でつくって売るライセンス契約を結んでいましたが、2015年にこの契約は終了しました。
バーバリーの契約終了後は、三陽商会自身のブランドを育てる方針に転換し、今では複数のオリジナルブランドを展開しています。
たとえば、トレンチコートやスーツが人気の「マッキントッシュ ロンドン」や、女性向けにエレガントなファッションを提案する「エポカ」、20〜30代向けのカジュアルライン「LOVELESS(ラブレス)」など、さまざまなブランドがあります。
他にも「サンヨーコート」「ブルーレーベル・クレストブリッジ」なども有名です。
これらのブランドは、百貨店や駅ビル、ショッピングモールなどに出店しており、三陽商会の商品は全国で購入することができます。
また、店舗だけでなく、公式オンラインショップも展開しています。
「SANYO ONLINE STORE」では、自社のさまざまなブランドの商品をインターネットで購入することができ、忙しくてお店に行けない人にも使いやすくなっています。
最近では、サステナブル(環境にやさしい)なものづくりにも力を入れていて、たとえば「100年コート」という、長く大切に着られることを前提に作られたコートを販売しています。
このような取り組みは、環境問題に関心のある消費者からも注目されています。
会社としては、ここ数年で業績が少しずつ回復してきています。
ただ、洋服業界はライバルも多く、安いファストファッションや、海外ブランドとの競争も激しいため、今後の成長には新しい戦略やブランド力の強化が求められています。
それでも、品質にこだわりながら丁寧なものづくりを続けてきた姿勢は、多くのファンに支持されており、信頼を持っている企業といえるでしょう。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
三陽商会の株は、過去30年の長いチャートを見てもわかるように、かつてはとても高い株価の時代がありました。
2005年ごろには1万円をこえる場面もありましたが、その後は大きく下がり続け、2020年ごろまでは長い低迷期が続きました。
三陽商会は長年、日本でバーバリーを作って売る権利を持っていたことで、売上も利益も安定していました。
しかし2015年にその契約が終わったことで、売上が急激に落ち込み、株価も下がっていったのです。
その後、三陽商会は自社ブランドでの再スタートを切ることになります。
「マッキントッシュ ロンドン」や「エポカ」、「LOVELESS」など、独自ブランドを育てながら、店舗だけでなくネット通販も強化してきました。
さらに、会社全体のコストを見直したり、不採算ブランドを整理するなど、収益改善のための取り組みも続けています。
こうした努力の成果もあり、2021年から2024年ごろにかけては、業績もある程度持ち直し、株価も2,000円台〜3,000円台まで回復してきています。
しかし、過去のピークと比べると、現在の水準はまだまだ低く、企業としても再成長の途中段階にあると言えるでしょう。
PER(株価収益率)は7倍前後とわりと割安な水準にありますが、これはあくまで「今の利益水準が続けば」という前提での数字です。
PBR(純資産倍率)も1倍を下回っており、資産価値と比べても割安な状態です。
また、自己資本比率が高いことから、借金に頼りすぎない健全な財務状況であることも評価できます。
ROE(自己資本利益率)もここ最近では改善傾向にあり、経営効率は少しずつ良くなってきています。
こうした財務の安定感は、長期投資を考えるうえでとても重要なポイントです。
ただし注意点もあります。
アパレル業界は流行に左右されやすく、景気の影響も受けやすいため、業績が安定しにくいという側面があります。
また、ユニクロなどの低価格ブランドとの競争も激しく、三陽商会のような中価格帯〜高価格帯ブランドは、差別化が難しいところでもあります。
さらに、現在の株価は少しずつ回復しているとはいえ、今後再び大きく上昇するかどうかは、ブランド戦略や販売の工夫にかかっています。
総合的に見て、三陽商会の株は、「すぐに大きく儲かる」というようなタイプの投資ではありません。
ただ、しっかりとした財務基盤があり、再建の道を着実に歩んでいる点は評価できます。
将来の成長に期待しつつ、少しずつ積み立てるようなイメージで保有するのが、三陽商会に向いている投資スタイルだと言えるでしょう。
株主優待にみる分析
三陽商会の株主優待は、東京で開催される「株主優待セール」への招待のみとなっています。
この優待は、100株以上を保有している株主に対して年に2回提供され、2月末と8月末の権利確定日に株を持っていれば、セールの招待状が送られてきます。
このセールでは、三陽商会が展開しているブランドの商品を通常よりもお得な価格で購入することができます。
ただし、セールの会場は東京に限られており、開催時期も春と秋の年2回です。
この優待のメリットは、三陽商会のブランドが好きな人や、東京近郊に住んでいてセールに参加できる人にとっては、かなり魅力的だということです。
三陽商会の商品はもともと品質が高く、しっかりした素材や縫製で知られています。
そのため、定価だと少し高いと感じる商品でも、セール価格で購入できるなら、お得感は十分にあります。
普段から三陽商会のコートやジャケット、ワンピースなどを買っている人にとっては、この優待は「実際に使える価値のあるもの」と言えるでしょう。
一方で、東京に行くのがむずかしい人や、三陽商会のブランドにあまり興味がない人にとっては、あまり活用できる内容ではありません。
近年の株主優待では、QUOカードやギフト券のように全国どこでも使えるタイプが人気ですが、三陽商会のように場所が限定されている優待は、人を選びます。
また、2020年代前半にあった「オンラインショップの割引クーポン」などは、現時点では確認できず、優待の内容としては少し物足りなさも感じられます。
長期的に考えると、セールを通じてブランドに親しみを感じるようになったり、ファンが増えたりすることで、三陽商会のイメージ向上にもつながる可能性はあります。
また、毎年のようにセールに通うことで、「この会社を応援していきたい」と思える気持ちが生まれる人もいるかもしれません。
こうした気持ちを大切にする投資家にとっては、数字だけでは測れない価値のある優待だと感じられるでしょう。
とはいえ、投資判断としては、優待内容だけを理由に三陽商会の株を選ぶのはややリスクがあるとも言えます。
自分がセールに通えるか、三陽商会のブランドに興味があるか、という「自分との相性」をしっかり考えたうえで、投資を検討することが大切です。
「優待で得したい」という気持ちだけで飛びつくと、あとで使わずに終わってしまった…ということにもなりかねません。
結論として、三陽商会の優待は、「都内でのセールに参加できて、ブランドにも親しみがある人」にはおすすめです。
それ以外の人には、無理に選ぶ必要のない優待だといえるでしょう。
総合評価
三陽商会の株は、昔はとても人気がありましたが、今は少し落ち着いた印象のある銘柄です。
「ブランドを応援したい」「セールを楽しみにしている」という人には、長期保有でゆっくり見守る投資として向いています。
でも、数字でのお得さや大きな株価の伸びを求める人には、ほかの銘柄の方が合っているかもしれません。
自分の価値観に合っているかを考えてから、投資を判断するのがよいでしょう。