ミニストップ[9946]は、イオングループの一員として全国にお店を持つコンビニチェーンです。
店内で作るソフトクリームやホットスナックが人気で、他のコンビニとは少しちがった雰囲気を持っています。
そんなミニストップの株を買うと、毎年2回、ソフトクリームなどに使える「無料券」がもらえるなど、ちょっとうれしい株主優待があります。
では、株の値動きや企業としての成長性をふまえたとき、長く持っておくのに向いている株なのでしょうか?
今回は、ミニストップの最新株価情報と優待の内容、そしてプロの視点から見た投資としての魅力を、わかりやすくまとめました。
株式投資が初めての人にも伝わるように、やさしい言葉でご紹介していきます。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
758倍 | 1.63倍 | 43.5% | –18.8% | 0.34倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
2.35% | 1.08% | 1.27% | 2月、8月 | 182,700円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
ミニストップの株は、ソフトクリームやコーヒーの無料券といった、日常で使える優待が魅力です。ただし、会社の成長性や株価の動きはあまり元気がなく、大きな利益を期待するには少し心もとない印象があります。生活にちょっとした楽しみをプラスしたい人には向いていますが、「お金を増やす」ことを目的とするなら、ほかの選択肢も検討したほうがよいかもしれません。 |
株主優待情報

ミニストップでは、ソフトクリームやコーヒーの無料引換券、さらにイオンラウンジの会員証がもらえる優待制度を実施しています。
保有株数に応じて内容がグレードアップするため、長期保有・買い増しのメリットもある構成です。
優待獲得株数 | 優待内容 |
---|---|
100株以上 | ソフトクリーム無料交換券 5枚 |
200株以上 | ソフトクリーム無料交換券 5枚 コーヒーSサイズ無料交換券 3枚 「イオンラウンジ」会員証(※2月権利分のみ) |
1,000株以上 | ソフトクリーム無料交換券 20枚 コーヒーSサイズ無料交換券 3枚 「イオンラウンジ」会員証(※2月権利分のみ) |
※全国のミニストップ店舗(一部除外あり)で利用可能です。
※券の種類により対象商品や引換条件が異なります(例:コーヒーはSサイズ限定)。
※「イオンラウンジ」会員証は、会員専用スペースの利用が可能です(一部のイオンモール等で対応)。
権利確定日と有効期限
項目 | 内容 |
---|---|
権利確定日 | 毎年2月末・8月末 |
優待到着時期 | 2月分:5月下旬、8月分:11月下旬 |
有効期限 | 発行から約6か月間(例:5月到着分 → 翌年1月末まで) |
利用対象店舗 | 全国のミニストップ店舗(※一部除外店舗あり) |
会社情報

ミニストップ株式会社は、1980年にジャスコという会社(今のイオングループ)によって作られたコンビニの会社です。
本社は千葉県千葉市美浜区にあり、東京証券取引所のプライム市場に上場しています。
ミニストップは自分たちのお店を運営するだけでなく、全国のフランチャイズ店舗に対しても経営のアドバイスや商品開発を行っています。
2025年5月時点で、日本国内には約1,845店があり、海外には約182店があります。
全部合わせると、約2,027店舗を展開していることになります。
日本では関東を中心にお店が多く、とくに東京には257店舗と集中的に出店しています。
海外では主にベトナムでお店を広げていて、現地法人を通じて店舗運営を行っています。
ミニストップの特徴は、店内にイートインスペースがあることです。
ここでは店内でつくったサンドイッチやホットスナック、ソフトクリームなどをその場で食べることができます。
これらのサービスは「コンボストア」と呼ばれる業態で、他の一般的なコンビニとは少し違う個性があります。
お店のマークは黄色と青とオレンジでできていて、あたたかく親しみやすいイメージになっています。
このロゴは「ちょっと立ち寄れる憩いの場」を表していて、南カリフォルニアの明るい雰囲気がイメージされています。
最近では、環境にやさしい取り組みにも力を入れています。
たとえば、国産の木材を使って店舗を建てたり、ペットボトルの回収機を設置したり、プラスチックのスプーンをやめて食べられるスプーンに変えたりしています。
また、スマホで使えるクーポンや電子レシート、WAONといった便利な決済サービスも導入しています。
店内にある端末を使ってチケットを購入できるなど、日々の買い物がもっと便利になる工夫がされています。
ミニストップはイオングループの一員でもあるので、トップバリュの商品を扱っていたり、イオン銀行のATMを使えたり、イオンラウンジの優待サービスとつながっていたりします。
このように、ミニストップは日本と海外で店舗を広げながら、独自のサービスや社会への取り組みを続けている会社です。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
ミニストップの株について、長期投資という視点で改めて全体を見てみると、「今すぐ買いたい」と思わせる決定的な材料には欠けるというのが正直なところです。
30年の株価チャートを見ると、かつては勢いのあった時期もありましたが、ここ10年以上はなだらかな下り坂をたどっているように見えます。
一時的に株価が戻る場面もありますが、その後に再び下がることが多く、全体としては下降トレンドを否定しにくい状況です。
企業としてのミニストップは、イオングループの一員として安定感のある経営をしているものの、コンビニ業界全体で見ると、やや小粒な存在にとどまっています。
セブン-イレブンやファミリーマートといった大手と比べて、店舗数・売上ともに見劣りするのが実情で、規模の経済が働きにくい立場にあります。
また、商品やサービスの独自性が強みであった時期もありましたが、今は競合他社も似たような商品を展開しており、差別化が難しくなっています。
ソフトクリームやホットスナックの店内加工はユニークではあるものの、それだけで企業価値全体を支えるのは厳しい面があります。
経営も「大きな赤字」ではないものの、しっかりと利益を積み上げて成長していくイメージは持ちにくいのが現実です。
もちろん、今の時点で株価が極端に高いわけではなく、一定の安定性はあります。
しかし、それをもって「割安」や「買い場」と考えるには根拠が弱く、企業全体の成長ストーリーが見えてこないのは投資判断として致命的です。
とくに長期保有を前提とする場合は、10年後に企業価値が高まっている可能性がどれほどあるのかを冷静に見極める必要があります。
ミニストップは、配当や優待で一定のリターンが見込めるとはいえ、企業そのものの競争力や市場での立ち位置を考えると、あくまで「守り」の選択肢です。
大きく化ける可能性が低いという点をふまえると、今のタイミングで新たに買い増すにはやや慎重にならざるを得ません。
「現状維持の企業」という印象を持たせる株は、長期投資家にとっては機会損失にもつながりやすいため、保有の優先順位は自然と下がってしまいます。
総合的に判断すると、ミニストップの株は、安定性重視の投資家には悪くない選択かもしれませんが、積極的に成長を狙う投資家にとっては物足りない内容です。
今後もこのような状況が続くと仮定するなら、他の銘柄と比較したうえで、無理にポートフォリオに組み込む必要はないという結論になります。
株主優待にみる分析
ミニストップの株主優待は、日常的に使いやすい「ソフトクリーム」や「コーヒー」の無料券がもらえるという、わかりやすくて親しみやすい内容になっています。
しかも年に2回もらえるので、頻繁にミニストップを利用する人にとっては、ちょっとした楽しみとして受け取れる点が魅力です。
また、200株以上を持っている人には「イオンラウンジ」の会員証がもらえるのも、イオングループならではの優待です。
ラウンジでは静かな空間で飲み物を飲みながら休憩できるので、買い物の合間のちょっとした贅沢として重宝する人も多いです。
このように、日常に「小さなうれしさ」を加えてくれるのが、ミニストップの優待の良いところです。
ただし、優待の内容はあくまで「金銭的に大きな得がある」というより、「ちょっとしたごほうび」に近いものです。
実際、優待の利回りはそれほど高くはなく、長期的に大きな節約になるほどの金額ではありません。
そのため、株主優待だけを目的にこの銘柄を保有するのは、やや非効率な投資になってしまう可能性があります。
もう1つ気になるのは、優待内容が今後も継続されるかどうかという点です。
近年は、株主優待を廃止したり縮小する企業が増えてきており、ミニストップのような比較的利益の少ない会社では、そのリスクも無視できません。
特に「イオンラウンジ」の会員証はイオングループ全体の方針変更に影響を受ける可能性もあるため、今後どうなるかは注意して見守る必要があります。
ただ、長期で考えると「株を持っていることで自分の生活にちょっとした彩りが加わる」という意味では、ミニストップの優待には独自の価値があります。
単なる金銭的な得ではなく、「行く楽しみ」や「使う喜び」が感じられる優待であることは、長く保有するモチベーションにもつながります。
実際に、ソフトクリームを家族と一緒に食べたり、イオンラウンジで休憩したりする中で、「持っていてよかったな」と感じられる瞬間があるかもしれません。
その一方で、ミニストップをあまり利用しない人にとっては、この優待の魅力は正直言ってあまり響かないかもしれません。
生活圏に店舗がなかったり、ソフトクリームに興味がなかったりする場合は、優待の価値を実感しづらいからです。
その場合、利便性の高い「QUOカード」などを配る他社銘柄の方が、投資対象としては優れていると感じることもあるでしょう。
まとめると、ミニストップの株主優待は、日常にちょっとした楽しみを加えてくれる「生活密着型の優待」であり、そうした価値を重視する人には向いています。
ただし、利回りとしては高くないため、あくまで「使う楽しみ」を目的とした長期保有の補助的な理由として考えるのが現実的です。
投資の主目的を「お金を増やすこと」と考えるなら、優待を軸にこの株を選ぶのは少し慎重になるべきかもしれません。
総合評価
ミニストップの株は、株価の動きや企業の成長性という面では、正直なところやや物足りない印象があります。
過去のチャートを見ても、ここ10年以上は右肩上がりとは言えず、企業としても大きな飛躍が見込めるような状況にはありません。
大手コンビニチェーンと比べて規模も小さく、競争の激しい業界の中では苦戦しているように見えます。
今後、業績が大きく伸びていく姿はなかなか想像しにくいため、長期的に株価の上昇を期待するのは難しいかもしれません。
最終的に、ミニストップ株をどう評価するかは「何を目的として投資するか」によって変わります。
生活の中に小さな楽しみを取り入れたい人にとっては、“買って満足できる”株。
成長性や利益を重視する人にとっては、“見送りも選択肢”となる株。
それが、この銘柄に対する総合的な評価と言えるでしょう。