シー・ヴイ・エス・ベイエリア[2687]は、関東を中心にコンビニやホテル、温浴施設などを展開している会社です。
株主優待では、自社グループの施設で使える優待券がもらえるため、日常的に利用する方にとってはうれしい特典があります。
一方で、株価の長期的な動きには成長性があまり見られず、投資先としての魅力には注意が必要です。
この記事では、株価や優待の内容、会社の特徴などをふまえながら、長期保有の視点で評価をしていきます。
「優待目当てで買っていいのか?」を冷静に考えるための判断材料として、ぜひ参考にしてみてください。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
11.2倍 | 0.63倍 | 38.9% | 29.03% | 6.8倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
9.97% | 4.63% | 5.34% | 8月 | 56,100円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
優待利回りが高く、首都圏に住む方にとっては一定の魅力があります。しかし、株価は長期的に見て伸び悩んでおり、成長性や安定性には不安が残ります。優待をしっかり活用できる人にとっては検討の余地がありますが、そうでない場合は無理に保有する必要はない銘柄といえるでしょう。 |
株主優待情報

株主優待の内容
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの株主優待は「BAY HOTEL」などグループ施設で使える優待券が中心です。
対象となるのは、100株以上を保有している株主です。
優待の内容は、保有株数に応じて変わります。
以下は、2025年6月時点での最新情報に基づく優待内容です。
保有株数 | 優待内容(年2回) |
---|---|
100株以上 | グループ施設で利用できる優待券3,000円分(1,000円券×3枚) |
500株以上 | 優待券10,000円分(1,000円券×10枚) |
1,000株以上 | 優待券20,000円分(1,000円券×20枚) |
この優待券は、下記のような同社グループの施設で利用できます。
- CVS・BAY HOTEL(本館)
- CVS・BAY HOTEL(新館)
- BAY HOTEL 浦安駅前
- BAY HOTEL 東京浜松町
- 秋葉原 BAY HOTEL
- 東京有明 BAY HOTEL
権利確定日と有効期限
優待をもらうには、2月末日および8月末日現在で株主名簿に記載されている必要があります。
つまり、年2回の権利確定日が設けられており、それぞれの基準日から数か月後に優待券が発送されます。
項目 | 内容 |
---|---|
権利確定月 | 2月末・8月末(年2回) |
発送時期 | それぞれ5月下旬・11月下旬ごろに送付 |
有効期限 | 優待券到着月の翌月初日から約半年間(例:5月発送 → 6月1日〜11月30日) |
優待券には有効期限があるため、期限内の使用を忘れずに行うことが大切です。
また、券面に使用可能施設や注意事項が記載されているため、使う前によく確認するようにしましょう。
会社情報

シー・ヴイ・エス・ベイエリアは、東京都や千葉県を中心に事業を展開している会社です。
もともとはコンビニエンスストア「デイリーヤマザキ」のフランチャイズ運営からスタートしました。
現在ではコンビニ事業だけでなく、ホテルや温浴施設などの運営も手がけています。
会社の本社は千葉県市川市にあります。
主な事業は3つあり、「コンビニ事業」「ホテル事業」「入浴施設事業」です。
まずコンビニ事業では、デイリーヤマザキのフランチャイズ店を多数運営しています。
店舗数は2024年時点で60店以上にのぼります。
東京都や千葉県、埼玉県を中心に展開していて、駅近の立地や地域密着型の店舗が多いのが特徴です。
次にホテル事業では、「BAY HOTEL(ベイホテル)」というブランドで、カプセルホテルを展開しています。
このホテルは、主に都心部のビジネスパーソンや観光客向けに設計されており、コンパクトで清潔感のある空間が人気です。
上野、新橋、秋葉原、東京駅八重洲など、アクセスが便利な場所にあります。
さらに注目されているのが、入浴施設の運営です。
代表的な施設として「スパジアムジャポン(通称スパジャポ)」があります。
この施設は東京都東久留米市にあり、関東最大級の規模を誇るスーパー銭湯です。
天然温泉や岩盤浴、リラクゼーションルーム、フードコートなどを備えていて、家族連れやカップルに人気です。
こうした多角的な事業展開を行っているため、収益源が分散されているという強みがあります。
また、どの事業も「地域に根ざしたサービスの提供」を意識している点が、企業としての方針にも表れています。
なお、株主優待で利用できる施設は、上記のホテルやスパを含む自社グループの事業と密接に関わっています。
つまり、同社の成長を支えている事業そのものを、株主として体験できるという仕組みになっています。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの株式について、現時点では積極的に購入をすすめる水準ではなく、あえて言えば「見送りを検討すべき銘柄」と位置づけられる内容です。
まず、株価の30年チャートを見てみると、過去に何度か上昇局面はあったものの、全体としては横ばいかやや右肩下がりの傾向が続いています。
特に長期で見たときの成長性や株価のトレンドに明確な上昇の勢いは感じられません。
10年以上持ち続けて資産価値が伸びていくかというと、やや不安定さが残る銘柄です。
指標面でもやや慎重な見方が必要です。
PERは低めで割安に見えるものの、これは成長期待の薄さを市場が織り込んでいると解釈することもできます。
PBRも1倍も低く、純資産価値に対して割安であることは事実ですが、これもまた「収益性が高くない」「成長性に乏しい」と判断されている結果と見ることができます。
自己資本比率も財務体質としては及第点です。
一方で信用倍率が極端に高く、需給のバランスが崩れている可能性があります。
こうした背景から、一時的な上昇があっても継続性に乏しく、長期的な保有には慎重な判断が求められます。
ROEは一見高い数値が出ていますが、これは事業規模が小さく、また一時的な利益によるブレの影響もあると考えられます。
そのため、数値が高いからといって、すぐに「効率の良い企業だ」と判断するのは早計です。
実際に安定した利益を継続できているかどうかという観点では、波があるのが実情です。
さらに、事業構造そのものも、既存店舗型ビジネスに大きく依存しているため、外部環境の変化(たとえば人件費や電気代の高騰、観光需要の不安定さなど)に影響を受けやすい側面があります。
また、店舗や施設を維持するための固定費も大きく、スケールメリットが出にくい構造ともいえます。
以上を踏まえると、同社の株は「財務や指標面では一定の魅力はあるが、成長性や安定性に懸念がある」というのがプロとしての評価です。
長期で持ちたいと思える明確な成長ストーリーや優位性が不足しているため、慎重な検討が求められる銘柄といえるでしょう。
株主優待にみる分析
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの株主優待は、保有株数に応じて年に2回、グループのホテルで使える金券がもらえる仕組みです。
金額で見ると、100株保有でも年間6,000円分(3,000円×2回)の優待券がもらえるため、優待利回りは非常に高く見えます。
実際に利用できる施設が近所にある場合や、普段からよく使う施設であれば、金銭的なメリットは大きいといえるでしょう。
ただし、この優待がすべての株主にとって同じ価値を持つわけではありません。
利用できる施設は、東京都や千葉県など首都圏に限られているため、地方在住の方にとっては実質的な使い道がありません。
そのため、優待券を使いこなせるのは、施設の近隣に住んでいたり、出張・旅行で対象ホテルに宿泊するような人に限られます。
換金性もあまり高くなく、金券ショップ等でも流通しづらいため、利便性には地域差が大きいのが実情です。
また、優待内容は自社のサービスと直接的なつながりがあるとはいえ、現金支出を伴う「値引き型」の特典であるため、会社側にとっても一定のコスト負担があることは事実です。
経営環境が悪化した場合や、業績のブレが大きくなった場合には、優待の内容が改悪・縮小される可能性もゼロではありません。
特に、過去に優待制度の見直しを行った企業が増えている中で、同社のように収益が安定しづらいビジネスモデルを持つ企業では、今後の制度維持にも注目が必要です。
一方で、優待を通じて自社施設の利用を促すことで、ファンやリピーターを増やすという戦略的な意味もあります。
こうした背景を踏まえると、株主優待そのものは魅力があり、特に首都圏の利用者には利回り面でも有利に働きます。
しかし、あくまでも「使いこなせる人にはうれしい」という条件付きの魅力であり、万人におすすめできるとは言い切れません。
優待目当てで購入を考えるのであれば、まず自分がこの優待券を実際に使えるかどうか、価値を感じられるかをしっあかり確認してから判断するべき銘柄です。
以上をふまえると、優待を活用できる環境にある方にとっては「中程度の魅力」、そうでない方にとっては「活用が難しいため見送り推奨」と評価できます。
長期保有で優待を積み重ねたい人にとっては、将来の制度変更リスクも含めて慎重に見極めが必要な銘柄といえるでしょう。
総合評価
シー・ヴイ・エス・ベイエリアは、コンビニ、ビジネスホテル、温浴施設といった複数の事業を展開している企業です。
事業の多角化という点では安定感があるように見えますが、実際の株価推移を見ると、長期的には停滞傾向が続いており、成長性に乏しいのが現状です。
30年という長いスパンで見ても、株価に継続的な上昇トレンドは見られず、資産の値上がり益を期待して保有するタイプの銘柄ではないといえます。
したがって、株主優待をフル活用できる生活環境にある方には「条件付きで検討の余地あり」と言えますが、そうでない方にとっては魅力が薄く、あえてこの銘柄を長期保有する理由は乏しいように感じられます。
成長性の低さ、株価の伸び悩み、需給の歪みなど、長期投資において重視すべきポイントにおいて弱さが目立つため、総合的には「見送り推奨」とするのが妥当です。