フェリシモ[3396]は、ちょっとユニークな商品や雑貨を自社で企画・販売している会社です。
ファッションや手づくりキット、猫グッズなど、他にはないオリジナル商品が人気で、カタログやインターネットを通じた通信販売が中心です。
そんなフェリシモの株を買うと、毎年もらえる株主優待では、自分で選べるプレゼントが届くのも魅力のひとつです。
でも、実際の株価や会社の成長はどうなのか、配当はちゃんともらえるのかなど、投資先として見たときのメリット・デメリットも気になりますよね。
この記事では、プロの視点からフェリシモの株について、数字だけでなく「実際に長く持っていたいかどうか」までしっかりと考えてみました。
優待目当てで買っていいのかどうか、これからチェックしてみましょう。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
33.4倍 | 0.31倍 | 66.7 % | 0.71% | 0.00倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
3.57 % | 2.38 % | 1.19% | 8月 | 84,000円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
フェリシモは、優待内容に個性があり、長期保有で楽しめる設計が魅力です。しかし、株価の成長性や収益性はやや物足りず、配当利回りも平均的です。数字だけを重視する投資には向きませんが、ブランドや世界観に共感し、企業とのつながりを大切にしたい人にはおすすめできます。 |
株主優待情報

フェリシモの株主優待は、保有年数に応じて自社製品の詰め合わせがもらえるユニークな制度です。
内容はファッション雑貨や食品、手作りキットなど多岐にわたり、選ぶ楽しさも魅力のひとつです。
また、長期保有するほど優待内容がグレードアップするのも、長期投資派にとってはうれしいポイントです。
株主優待の内容
保有期間 | 優待内容(自社製品詰め合わせ) |
---|---|
1年未満 | 約1,000円相当の商品をカタログから選択・送付 |
1年以上10年未満 | 約3,000円相当の商品をカタログから選択・送付 |
10年以上 | 約8,000円相当の商品をカタログから選択・送付 |
優待対象となる商品は、「食品・生活雑貨・ファッション・美容関連・手づくりキット」など幅広く用意されています。
優待カタログは12月頃に発送され、申し込み後の商品は翌年の春頃に届きます。
権利確定日と有効期限
- 権利確定月:毎年8月末
- カタログ案内発送:12月頃
- 優待商品お届け:翌年4~5月頃
- 有効期限:申し込み受付後、カタログに記載(例年12月中旬締切が多い)
会社情報

フェリシモは1965年に大阪で創業し、現在は神戸市中央区に本社を構えています。
もともとは小さな通信販売会社としてスタートしましたが、現在では自社企画のオリジナル商品を中心に、ファッションや雑貨、食品など幅広いジャンルを展開する企業へと成長しています。
東京にもオフィスを構え、首都圏を含めた全国展開を進めています。
従業員数はグループ全体で約750名ほどで、比較的コンパクトな組織ながらも、柔軟な企画力と独自のブランド展開で根強いファンを獲得しています。
売上高は300億円前後で推移しており、安定した事業運営が続いています。
フェリシモの事業の柱は、自社制作のカタログやインターネットを通じた定期便形式の通信販売です。
ユニークな商品を多数取り扱い、例えば「手づくりキット」や「猫部」「魔法部」など、趣味やライフスタイルに寄り添う商品ラインが特徴です。
ブランドとしては、「IEDIT(イディット)」や「Live in comfort(リブインコンフォート)」「Sunny clouds(サニークラウズ)」といったファッションブランドのほか、「Kraso(クラソ)」「el:ment(エルメント)」などの生活雑貨ブランドも展開しています。
さらに、「YOU+MORE!(ユーモア)」など、遊び心を感じる雑貨シリーズがSNSでも人気です。
店舗展開は大規模ではなく、基本的には通販に特化したビジネスモデルですが、一部で常設ショップやポップアップストアも展開しています。
神戸本社内には「Stage Felissimo(ステージ・フェリシモ)」というブランド体験施設があり、カフェやワインの直営販売スペースも併設されています。
また、フェリシモは単なる販売だけでなく、社会貢献活動にも積極的です。
環境保全や復興支援に取り組む「基金つき商品」の販売、社会教育活動の「神戸学校」など、企業の姿勢として“誰かのしあわせをカタチにする”というテーマを大切にしています。
こうした姿勢が、顧客との長期的な信頼関係の礎になっているといえるでしょう。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
フェリシモの株価は、長期の30年チャートを見ると、明確な右肩上がりとは言えません。
一時的に大きく上昇する局面もありましたが、全体としては長期的に横ばい〜下落気味の傾向が見られます。
これは、業績や成長性が安定しきれていないことの現れともいえるでしょう。
財務面では自己資本比率が高く、倒産リスクが低いという安心感はあります。
また、PBRが非常に低く、株価が割安に放置されているようにも見えます。
しかしその一方で、PERは高めに位置しており、投資家からの成長期待があまり感じられないというのが現状です。
ROE(自己資本利益率)も低水準にとどまっており、株主資本を活かした利益創出が弱いと評価できます。
また、信用倍率を見ても、買い残はあるものの売り残が極めて少ないため、投資家からの注目度も高いとはいえません。
市場参加者が限られているため、急騰・急落のリスクも比較的高めです。
配当利回りは標準的ですが、年々の業績により減配や無配のリスクも残っている点には注意が必要です。
安定配当というよりも、景気や売上に左右されやすい配当性向となっているため、配当収入を重視する長期保有投資家にはやや不向きです。
ブランド力や社会的な活動は評価できるものの、それが明確に収益や成長性につながっているかといえば疑問が残ります。
また、小売業やEC市場は競争も激しく、規模拡大やグローバル展開をしていない点も成長性の足かせとなっています。
総じて、財務基盤はしっかりしているが、成長性や収益性には物足りなさが残る銘柄です。
今後、大きく株価が伸びるような材料も現時点では少なく、保守的な投資スタンスであれば、現段階では“様子見”が妥当な判断といえるでしょう。
すでに保有している人は、長期のブランド戦略や優待制度に価値を見出すなら継続保有も検討の余地がありますが、新規で積極的に買い進めるほどの魅力はやや薄いと評価されます。
株主優待にみる分析
フェリシモの株主優待は、保有年数に応じて自社商品の詰め合わせがもらえる制度になっています。
内容は、カタログから選べる生活雑貨やファッション小物、手づくりキット、食品など多岐にわたり、日々の生活にちょっとした楽しみを提供してくれるものです。
保有年数が1年未満だと1,000円相当と控えめな内容ですが、1年以上で3,000円相当、10年以上で8,000円相当と、長期保有者にしっかり報いる設計となっているのが特徴です。
このように、保有期間に応じて優待が大きくグレードアップする仕組みは、長期投資との相性が良いといえます。
中でも10年以上の長期保有者向けの8,000円相当という水準は、金額ベースで見ても上位クラスの優待内容となっており、「ずっと持っていたくなる理由」になるでしょう。
また、優待の中身がフェリシモ独自のオリジナル商品であることも、差別化された価値といえます。
市販品やQUOカードのような汎用品ではないため、企業としての世界観やファン層を大切にしている姿勢が伝わってきます。
ただし、注意すべき点もあります。
優待のもらえるタイミングは年に1回であり、発送までのスケジュールもやや長めです。
たとえば、8月末の権利確定からカタログ到着までが12月ごろ、商品が届くのは翌年春という流れになっています。
そのため、優待を「すぐに使えるお得感」で捉える人にとっては、少し実感しにくいタイミングになるかもしれません。
さらに、優待利回りとしては年数に応じて変動するため、短期保有の人にとっては恩恵が少ないという点にも留意が必要です。
1年未満の保有だと1,000円相当のみで、現在の株価と比較しても、利回りは低水準です。
3,000円相当になるのは1年以上の保有からなので、最低でも1年間は継続保有しないと、優待のメリットは感じにくい設計です。
その反面、企業としての姿勢は明確です。
フェリシモは“ファンと長く付き合う”ことを前提とした優待制度を整えており、安易な「株主狙い」の設計ではありません。
優待内容も自社商品の詰め合わせという、企業ブランディングと密接に関わった形になっており、商品を通じて「フェリシモらしさ」に触れてもらいたいというメッセージが感じられます。
総合的に見ると、フェリシモの優待は、金額的な利回り以上に「生活を楽しむ価値」や「会社とのつながり」を重視する人にとって魅力があります。
短期保有では旨みが少なく、やや受け取りまでの時間が長い点がネックですが、フェリシモの商品が好きな方や、長くゆったりと株を持ち続けたい方にとっては、十分検討に値する優待制度といえるでしょう。
総合評価
フェリシモは、堅実な財務体質と独自の世界観を持ったブランド展開が魅力の企業です。
しかし、フェリシモの株式は、成長株や配当株としてはややインパクトに欠けます。
「フェリシモの商品が好き」「世界観に共感している」「長くゆっくり応援したい」といった気持ちを持つ株主にとっては、持っていて心地よい銘柄といえるかもしれません。
数字だけを追い求める投資には向いていませんが、優待を通じてブランド体験を楽しみたい方にとっては、一定の魅力がある銘柄です。
長期投資を前提にした場合でも、まずは会社の理念や商品に共感できるかが、投資判断のカギになるでしょう。
その意味では、株価の上昇益や高利回りを狙う目的よりも、「企業とのつながり」を楽しみたい投資家向けの1銘柄と言えそうです。