ヤマザワ[9993]は、山形県や宮城県を中心に展開している、地域密着型のスーパーマーケットです。
株を買うことで、年に2回、お米や商品券などの優待がもらえることで知られています。
でも、実際にこの株を買う価値があるのかどうか、迷っている人も多いと思います。
この記事では、ヤマザワの株について、株価の動きや会社の状態、優待の内容などをくわしく調べた上で、長く持つべきかどうかを考えていきます。
長期保有を前提とした投資の目線で、やさしく丁寧に解説していきますので、初心者の方でも安心して読める内容になっています。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
179.8倍 | 0.48倍 | 46.7% | -9.6% | – |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
5.77% | 2.32% | 3.45% | 2月、8月 | 116,200円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
大きな値上がりは期待しにくいものの、年2回もらえる優待や配当を目的とした長期保有に向いています。優待内容は実用的で満足度も高く、配当と合わせた利回りは約5〜6%と魅力的です。ただし、業績は安定しているとは言いにくく、成長性もあまり見込めないため、リターンよりも“安心感”を重視する投資家に向いている銘柄です。 |
株主優待情報

株主優待の内容
ヤマザワでは、年2回(2月末・8月末)の権利確定日に、保有株数と居住地域に応じて異なる優待を受け取ることができます。
優待内容は、「自社買物優待券(100円券)」「全国共通ギフト券(1,000円)」「山形県産米(つや姫・雪若丸)」などから選択・付与され、山形・宮城・秋田の県内居住者と県外居住者で異なる取り扱いがされています。
2月末の優待内容
保有株数 | 優待内容 |
---|---|
100株以上 | 山形・宮城県内居住者:100円券×20枚(2,000円分) 県外居住者:ギフト券1,000円分 |
1,000株以上 | 山形・宮城県内居住者:100円券×50枚(5,000円分) 県外居住者:ギフト券3,000円分 |
3,000株以上 | 山形・宮城県内居住者:100円券×100枚(10,000円分) 県外居住者:ギフト券5,000円分 |
※100株以上を6か月以上継続保有している株主が対象
※100円券は「1,000円以上の買物につき1,000円ごとに1枚」利用可
8月末の優待内容
保有株数 | 優待内容 |
---|---|
100株以上 | ① 100円券×20枚(2,000円分)または② つや姫2kg |
1,000株以上 | ① 100円券×50枚(5,000円分)または② つや姫4kg+雪若丸2kg |
3,000株以上 | ① 100円券×100枚(10,000円分)または② つや姫4kg+雪若丸4kg |
※山形・宮城・秋田県内居住者は①または②から選択可能
※それ以外の地域の株主には②(お米)を自動送付
権利確定日と有効期限
項目 | 内容 |
---|---|
権利確定月 | 年2回:2月末(商品券またはギフト券)、8月末(商品券または新米) |
発送時期 | 5月下旬(2月分)、11月下旬(8月分) |
有効期限 | 商品券の有効期限は発送から約6か月間 |
会社情報

ヤマザワは、山形県山形市に本社を置く会社で、主にスーパーマーケットの運営を行っています。
「食料品を中心に、日用品や生活に必要なものをそろえたお店」として、山形県と宮城県を中心にお店を展開しています。
会社の創業は1953年と、70年以上の歴史があり、地域の暮らしに深く関わってきた会社です。
地元の人にとっては「生活に欠かせないスーパー」として親しまれています。
ヤマザワのお店では、地元でとれた新鮮な野菜や果物、お肉やお魚などを販売しています。
また、お弁当やお惣菜も豊富で、手作り感のある味が人気です。
スーパーだけでなく、「ヤマザワ薬品」というドラッグストアもグループ内にあり、薬や日用品を手軽に買えるようになっています。
店舗数はスーパーマーケットが約50店舗、ドラッグストアが約40店舗ほどで、あわせて90店舗近くのネットワークを持っています(2025年現在)。
最近では、高齢化が進む地域にも対応できるよう、お客さんが買い物しやすい店づくりや、宅配サービスの導入などにも取り組んでいます。
また、地元の農家や食品会社と連携して、地域ならではの商品を取り扱ったり、地産地消をすすめる工夫もしています。
こうした取り組みが評価されており、「地域密着型の企業」として信頼されています。
会社の理念には、「お客様に安全で安心な商品を届け、より良い暮らしをサポートする」という思いが込められています。
従業員一人ひとりが丁寧な接客を心がけ、地域社会に役立つ企業を目指しているのもヤマザワの特徴です。
なお、ヤマザワの店舗ブランドはシンプルに「ヤマザワ」という名称で統一されており、地元では看板を見ればすぐにわかるほど知られています。
派手な宣伝はあまりしていませんが、堅実な経営と地域密着の姿勢が長年支持されている理由です。
以上のように、ヤマザワは地元の人々の暮らしに寄り添いながら、安定した経営を続けている企業です。
特別に大きな成長はしていないものの、その安定感と親しみやすさが、長期投資の対象として注目される理由のひとつとなっています。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
ヤマザワの株価推移を30年スパンで見ると、2004年ごろに一度ピークをつけたあと、長い時間をかけてゆるやかに下落し、その後は1,200円前後で横ばいが続いている印象です。
2015年~2020年ごろまでは比較的安定しており、1,500円を中心に推移していましたが、2022年以降はやや元気がなく、チャートとしては下降傾向が続いています。
このような値動きから見ると、短期的な値上がりを期待する投資対象ではなく、配当や優待を目的とした長期保有向きの銘柄と言えます。
数値面を見ると、PERは非常に高く、利益に対して株価が割高に評価されている状態です。
一方で、PBRはかなり低く、資産価値と比べると株価は割安な水準にあります。
自己資本比率は中堅企業としては標準的ですが、ROEはマイナスで、直近は赤字決算となっていることが読み取れます。
これらの数字から見ても、「利益をしっかり出して成長している企業」とは言い難い状況にあります。
また、チャートと業績を重ね合わせて見ると、安定的に右肩上がりの成長をしてきた企業ではなく、どちらかというと地域密着型の安定企業という立ち位置です。
全国展開を進めて大きな成長を目指すというよりは、東北地方に深く根を張って事業を維持している企業なので、ダイナミックな成長性は見込みにくいでしょう。
一方で、安定的な経営姿勢や、長年にわたる地域からの信頼感は評価できる点です。
信用倍率は買い残のみで売り残がなく、信用取引の観点でも積極的に売買されている銘柄ではありません。
つまり、株価に対して短期的な投機の動きが少なく、長期保有を前提にしている投資家が多いと考えられます。
総合的に判断すると、ヤマザワの株は「キャピタルゲイン(値上がり益)」を期待して買う銘柄ではありません。
あくまでも優待と配当を目的に、長期でのんびり保有するスタンスに向いた銘柄です。
ただし、業績や財務の回復が見えないまま保有を続けるのはリスクにもなるため、定期的に決算の内容や経営方針の確認を行う必要はあります。
以上から、ヤマザワの株式は、長期保有型の優待・配当目的の投資先としては一定の魅力があるものの、株価の上昇余地や成長性には期待が持ちにくく、投資判断としてはやや慎重な評価となります。
株主優待にみる分析
ヤマザワの株主優待は、地域密着型企業ならではの「自社商品券」または「地元の特産品」を選べる仕組みになっています。
まず、2月権利の優待では、山形県・宮城県内の株主には「自社買物優待券(100円券)」が配布され、県外の株主には「全国共通ギフト券(1,000円)」が贈られます。
このギフト券は、特定の地域外の株主でも受け取れるよう工夫されていて、どこに住んでいてもメリットがあるのは嬉しいポイントです。
優待券は1,000円以上の買い物ごとに1枚使用可能という制限はありますが、お釣りも出る実用的な優待となっており、生活費の節約にも直結します。
8月権利の優待では、選択制で「自社商品券」または「山形県産の新米(つや姫・雪若丸)」がもらえます。
特にお米は、毎年精米されたものが届く実用品であり、消耗品としてのありがたさは非常に高いです。
しかも100株で2kg、1,000株なら6kg、3,000株でなんと8kgもの量が届くため、家族持ちや自炊をしている方には実質的な食費の支援にもなります。
なお、山形・宮城・秋田県内の株主には商品券か米の選択権が与えられ、その他地域の株主には自動でお米が届く仕組みです。
注意点としては、優待を受け取るには「100株以上を6か月以上継続保有していること」が条件となっており、短期保有の投資家には優待が届きません。
つまり、本当に長期投資をしている人にだけ優待がもらえる仕組みになっていて、まさに「株主との信頼関係を大事にした制度」と言えます。
この条件があることで、株主構成も落ち着いており、優待目当てで短期売買を繰り返す投機的な動きが起きにくくなっています。
さらに、利回りだけでなく「内容のわかりやすさ・実用性・地域らしさ」という3つの点から見ても、ヤマザワの優待は非常にバランスがとれています。
優待が年2回という頻度で届く点も嬉しく、保有していて“楽しみ”がある銘柄のひとつです。
総合的に見て、優待制度の完成度は高く、配当とあわせて長期保有するメリットは大いにあります。
株価の成長性は限定的かもしれませんが、**「生活に使える」「もらってうれしい」「内容が安定している」**という点で、長期保有に向いた銘柄と言えるでしょう。
総合評価
ヤマザワという会社は、山形県や宮城県を中心にスーパーマーケットやドラッグストアを展開している、いわば「地元の生活に根ざした企業」です。
株価の動きを長い目で見てみると、ここ20年ほどは大きく上がることもなく、最近ではやや下がり気味となっています。
総合的に見て、ヤマザワは「大きく儲けたい人」よりも「毎年きちんと優待が届く安心感を大事にしたい人」におすすめできる銘柄です。
生活に役立つ優待をもらいながら、地域企業を応援するという気持ちで長く持つことが、この株との正しい付き合い方だといえるでしょう。