井筒屋[8260]は、北九州を中心に展開する老舗の百貨店です。
派手に株価が上がるタイプではありませんが、安定した経営と使いやすい株主優待が魅力になっています。
特に7%の割引優待券は日常の買い物に役立ち、配当と合わせて着実にリターンを得ることができます。
普段から井筒屋を利用する人にとっては、お得を楽しみながら株を長く持つことができる銘柄です。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
6.7倍 | 約2.74倍 | – | 8.7% | 410倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
1.45% | – | 1.9% | 2月、8月 | 41,500円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
成長性よりも安定性と優待を重視したい投資家に向いています。株価は割安で、極端な下落リスクは少なく、長期保有で安心感があります。配当は控えめですが、7%割引の株主優待が大きな魅力で、日常の買い物に直結した実質的な利回りを得られます。地元で井筒屋を利用する人にとっては特におすすめ度が高く、生活に役立つ投資先といえるでしょう。 |
株主優待情報

株主優待の内容
株主お買物優待券(7%割引)として、以下の通り贈呈されます。
- 100株以上 10枚(年2回で合計20枚)
- 300株以上 20枚(年2回で合計40枚)
- 500株以上 30枚(年2回で合計60枚)
- 1,000株以上 50枚(年2回で合計100枚)
この割引券は、対象店舗(本店・山口店・サテライトショップ各店)で、1回の買い物(2,000円以上)につき1枚使え、税込金額の7%が割引されます。
ただし割引額の端数(1円未満)は切り捨てです。
支払い方法は現金・自社商品券・ギフトカード・百貨店共通券などが対象で、使えない商品や売場もあります(例:高級ブランド、家電、金券類、割引商品など)
また、井筒屋オンラインでも1回のお買い物(株主本人のクレジットカード1回払い限定)に対し、税抜金額から7%割引されます(端数切り捨て)。こちらも有効期限や除外品の範囲は店舗と同様です。
権利確定日と有効期限
権利確定月は2月末日と8月末日です。
それぞれの期間で取得した優待券の有効期限は以下の通りです:
- 8月末基準:翌年の5月31日まで有効
- 2月末基準:その年の11月30日まで有効
会社情報

株式会社井筒屋は、福岡県北九州市に本社を置く、百貨店業を中心とした老舗の会社です。1935年(昭和10年)に設立され、創業以来、地域密着の商いを続けてきました。
現在、本店である「小倉本店」のほか、山口県には「山口店」、さらに北九州や福岡、大分、山口に「サテライトショップ」という小型の店舗も展開しています。
井筒屋の主な事業は、もちろん百貨店運営ですが、その中でも衣料品、雑貨、家庭用品、食品の販売にくわえて、館内のレストランやカフェの運営も行っています。
さらに、ギフト券の共通利用や、国内外商品の卸売、クリーニングサービス、前払式カードによる会員サービス(友の会)など、多彩な関連サービスも提供しています。
元々は地元・北九州に根差した企業ですが、近年は店舗の絞り込みを進め、小倉本店と山口店に経営資源を集中する方針を取っています。これにより、より良い接客や品揃えでお客さまに応える体制を目指しています。
また、井筒屋ではオンラインショップの運営や、サテライトショップの展開など、デジタル戦略や小型店舗展開にも力を入れており、会員向けアプリの開発や登録者の増加にも注力しています。
こうした取り組みは、今後の地域に根差した百貨店としての可能性を広げる重要な柱といえるでしょう。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
井筒屋の株式を長期的な視点から見たとき、まず注目したいのは株価水準と企業の安定性です。
株価チャートを10年以上のスパンで眺めると、かつて大きな値動きがあった時期はあるものの、その後は落ち着いた水準で推移していることがわかります。
派手さはないものの、長期で保有するにあたり極端な下落リスクが少なく、一定の安心感がある銘柄といえるでしょう。
指標面では、利益に対する株価の水準を示すPERが低めで推移しており、市場の平均と比べて割安な水準にあることが評価できます。
また、資産に対する株価の評価を表すPBRも低く、こちらも割安感が意識されるポイントです。つまり、株式を購入する際に「値段に対して会社の持つ価値がしっかりある」と判断できるわけです。
一方で、自己資本比率はそれほど高くなく、資本の厚みには少し弱さも感じられます。財務的な安定性は盤石とはいえず、長期保有の際には業績の波に影響を受けやすい面を頭に入れておく必要があります。
ただ、ROEは一定の水準を保っており、会社としての収益力は大きく劣っているわけではありません。資本効率の面で安定した収益性を出している点は、長期的な投資判断にプラス材料となります。
また、信用倍率の高さから、個人投資家の注目度は一定程度あると考えられます。需給面では偏りが出る可能性があるため、短期的には株価の振れ幅が大きくなる場面もありますが、長期投資では大きな問題にはなりにくいといえるでしょう。
むしろ信用買いが集まりすぎた時期には株価が重くなる傾向があるため、長期で保有する投資家にとっては「買い増しのタイミングを見極めやすい」という側面もあります。
利回りの観点では、配当は決して高水準ではありませんが、ゼロではなく、安定的に継続していることは安心材料です。
配当性向に余裕があるため、今後業績が改善した際には増配の可能性も期待できます。株価が割安であるため、長期で持てばトータルの利回りは決して悪い水準ではないと考えられます。
総合的にみると、井筒屋は大きな成長株というよりも、「地元で安定的に事業を続ける老舗企業」という立ち位置です。派手に株価が上昇するシナリオは想定しにくいですが、長期でじっくりと株主優待や配当を受け取りながら保有するには悪くない銘柄です。
特に、株価が割安な水準にあることは長期投資の安心感につながりますし、急激な下落に巻き込まれにくい点も魅力です。
一方で、百貨店業界全体が構造的に縮小傾向にあることも事実です。ネット通販や大型ショッピングモールとの競争で売上を伸ばすのは難しい環境にあります。そのため、投資する際には「大きな成長」を求めるのではなく、「堅実な優待や安定的な配当を楽しむ長期保有」として捉えるのが現実的です。
まとめると、井筒屋の株式は派手さはないが安心感のある長期投資銘柄と評価できます。割安な株価指標、安定的な収益力、そして継続的な配当があるため、長期保有には適しています。業界の逆風や財務基盤の課題もありますが、総合的に見れば長期投資において「買いたいレベル」と言える銘柄でしょう。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
井筒屋の株主優待を投資の観点から考えると、長期的に楽しみながら保有できる魅力があるといえます。
優待の内容はお買い物優待券で、割引率は7%と高めです。しかも年に2回もらえるため、普段から井筒屋の店舗やオンラインショップを利用する人にとっては確かなメリットがあります。
たとえば100株を持っているだけで年間20枚の優待券が届きます。1回のお買い物で2,000円以上あれば使うことができるので、日常的に洋服や食品、贈答品を購入する人にはとても使いやすい仕組みです。
しかも現金だけでなく、井筒屋の商品券や百貨店共通券で支払う場合にも割引が適用される点は見逃せません。利用範囲が広く、株主にとっては優待を無理なく使える点が強みとなっています。
さらに、オンラインショップでも同じく7%割引が適用されるのは特徴的です。地方に住んでいて店舗を訪れるのが難しい人や、ネットで買い物をすることが多い人でも優待の恩恵を受けられます。
百貨店の株主優待は実店舗限定のことも多いですが、井筒屋の場合はオンラインにも対応しているので利便性は高いといえます。
優待の有効期限は2月末と8月末の年2回に分かれており、それぞれおよそ半年間使える期間が設定されています。
長期にわたって使えるわけではありませんが、定期的にお買い物をする人なら無駄にする可能性は少なく、毎年しっかりと活用できるでしょう。
投資家の立場から見ると、優待利回りは単純に数字では表しにくいですが、使う人にとっては実質的なリターンを高める効果があります。
配当金だけではやや物足りない部分を、この優待が補ってくれると考えると、総合利回りは決して低くありません。特に、株価が比較的手頃な水準にあるため、少額の投資で優待を得られる点は魅力的です。
一方で注意点もあります。優待は使う人にとっては大きな価値がありますが、井筒屋を日常的に利用しない人にとっては活用しにくい可能性があります。
利用できるのは北九州の本店や山口店、そして一部のサテライトショップやオンラインショップに限られているからです。全国に幅広く展開している大手百貨店と比べると、使える場所が限定されている点はデメリットといえます。
つまり、優待の価値は「井筒屋を利用するライフスタイルがあるかどうか」によって大きく変わるのです。
また、業界全体として百貨店事業は縮小傾向にあり、利用者数や売上の増加を期待するのは難しい状況です。そのため、優待を投資の主な目的とする場合には、会社の経営環境にも目を向けておく必要があります。
ただし、井筒屋は地域に根ざした企業であり、地元顧客からの支持は強いと考えられるため、一定の需要は今後も続くとみられます。
こうした背景を踏まえると、井筒屋の株主優待は長期投資の観点から「お得を楽しみながら株を持てる」タイプの魅力を持っているといえます。
大きな成長株ではないものの、割安な株価と配当、そして7%の割引優待が組み合わさることで、トータルでのリターンは十分に見込めます。
特に普段から井筒屋を利用する人にとっては、優待を使えば毎年着実に得をすることができるため、長期的に保有する価値は高いと考えられます。
まとめると、井筒屋の優待は「地元で井筒屋を利用する人にとって非常に魅力的な制度」であり、「利用する機会が少ない人にとっては価値が薄い」という特徴があります。
投資家としては自分の生活圏やライフスタイルに合うかどうかを判断した上で投資するのが良いでしょう。優待を積極的に使える人にとっては、長期で保有する十分な理由になる優待といえます。
総合評価
井筒屋は「大きな値上がり益を狙う株」ではなく「優待と配当を楽しみながら長期で安心して持てる株」として位置づけられます。
割安な株価と、生活に直結した優待の使いやすさが投資を後押しします。
井筒屋を普段使いする人にとっては、生活に密着したリターンが得られる点でおすすめ度は高く、長期保有する意義が十分にあるといえるでしょう。