近鉄百貨店[8244]は、大阪を中心とした関西の人たちにとても親しまれている百貨店です。
あべのハルカスの中にある大きな本店をはじめ、地域に根ざしたお店をいくつも展開しています。
そんな近鉄百貨店の株には、買い物がもっと楽しくなる株主優待がついています。
しかも、長く持ち続ければさらにお得になる仕組みになっていて、長期投資にも向いているのが特徴です。
この記事では、近鉄百貨店の株の魅力や、株主優待の内容、長く持つことでどんな楽しみ方ができるのかをくわしく紹介します。
家族や自分の買い物に活用したい人や、安定した銘柄をじっくり持ちたい人にとって、きっと参考になるはずです。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
19.5倍 | 1.77倍 | 33.7% | 9.18% | 2.09倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
1.14% | 1.14% | – 割引カード | 2月、8月 | 175,000円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
関西で暮らしている方にとって生活に役立つ優待が魅力的な銘柄です。短期の値上がりはあまり期待できませんが、長く持ち続けて優待を育てていく楽しさがあります。安定感のある株価と、優待の実用性が両立しているため、長期保有を前提としたコツコツ型の投資にとても向いています。近鉄百貨店を普段から利用している方には特におすすめできる株です。 |
株主優待情報

株主優待の内容
近鉄百貨店の株主になると、「株主ご優待カード」がもらえます。
このカードを使うと、近鉄百貨店やグループ会社での買い物が10%割引になります。
優待の内容は保有株数に応じて利用限度額が決まっており、長く持ち続けると限度額が増える特典もあります。
以下は、株主優待の基本内容です。
保有株数 | 年間の限度額 | 割引率 |
---|---|---|
100株以上 | 30万円まで | 10%割引 |
500株以上 | 60万円まで | 10%割引 |
1,000株以上 | 100万円まで | 10%割引 |
3,000株以上 | 150万円まで | 10%割引 |
5,000株以上 | 180万円まで | 10%割引 |
10,000株以上 | 300万円まで | 10%割引 |
このカードは、近鉄百貨店全店で利用可能です。
また、グループ会社である「近鉄文化サロン」や「都ホテルズ&リゾーツ(直営ホテル)」などでも使える場合があります(一部施設除く)。
ただし、食品・レストラン・セール品などは対象外になることがあります。
さらに、「長期保有特典」も用意されています。
2年以上継続して300株以上を保有している場合、上記の限度額が2倍になります。
たとえば、1,000株を2年以上持っていると、限度額は200万円になるということです。
権利確定日と有効期限
優待を受けるには、2月末時点の株主名簿に名前が載っていることが条件です。
優待カードは毎年5月ごろに送付され、有効期限は翌年5月末までとなっています。
以下にスケジュールをまとめます。
項目 | 内容 |
---|---|
権利確定日 | 毎年2月末 |
優待発送時期 | 毎年5月中旬ごろ |
有効期限 | 翌年5月31日まで(約1年間) |
長期保有特典については、2月末時点で2年以上連続して300株以上を保有していることが条件です。
年数のカウントには、毎年の株主名簿への継続記載が必要となります。
会社情報

近鉄百貨店は、大阪に本社がある百貨店の会社です。
もともとは「百貨店」という名前のとおり、洋服や化粧品、食品などいろいろな商品を一つの建物で買えるお店を運営しています。
会社の本店は「あべのハルカス近鉄本店」で、これは日本で一番高いビル「あべのハルカス」にあります。
この店舗はとても大きくて、いろんなブランドの洋服や雑貨、食品売り場があり、観光客にも人気です。
また、百貨店の中に美術館やレストラン、展望台なども入っていて、一日中楽しめる場所になっています。
近鉄百貨店は、この本店のほかにも関西を中心にいくつかの店舗を持っています。
たとえば、奈良店、上本町店、橿原店、生駒店、和歌山店、草津店、四日市店、などがあります。
特に奈良や三重、滋賀といった近畿圏では、地元の人にとってとてもなじみのあるお店です。
また、近鉄百貨店は近鉄グループの一員です。近鉄グループといえば、電車やバス、ホテルなども手がける大きな会社で、いろいろな事業を行っています。
そのため、百貨店だけでなく、グループ全体としてお互いに協力しながら事業を展開しています。
近鉄百貨店の強みのひとつは、「地域密着」です。
地元の農産物やお土産などを販売したり、地域のお祭りやイベントと連携したりすることで、地元の人たちとのつながりを大事にしています。
これは、大型のショッピングモールとはちょっと違った魅力といえます。
また、最近ではネット通販にも力を入れています。
百貨店のギフトや食品などを、インターネットで買えるようにして、全国どこに住んでいる人でも近鉄百貨店の商品を楽しめるように工夫しています。
このように、近鉄百貨店は関西を代表する老舗百貨店として、地元に根ざした運営をしながら、時代に合わせて新しい取り組みにもチャレンジしている会社です。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
近鉄百貨店の株は、長期保有を前提とした安定型の投資先として、ほどよい魅力がある銘柄だといえます。
いまの株価の動きや、これまでの長いチャートの流れを見ていると、じっくり付き合っていける会社だという印象が強く残ります。
20年チャートを見ると、2000年ごろから大きく値下がりしたあと、しばらくは低迷が続きました。
その後、2013年ごろから少しずつ回復し、2015年から2019年までは比較的安定した水準で推移しています。
コロナ禍で再び株価は下がりましたが、その後の持ち直しも見られ、直近ではやや横ばいから緩やかに下向きという局面です。
こうした動きは、劇的な成長や爆発的な値上がりを狙う株ではなく、安定感を求めてじっくり保有する株だということを示しています。
業態としては、百貨店という業界そのものが右肩上がりの成長産業ではありません。
むしろ業界全体としては縮小傾向にあります。
そのなかで近鉄百貨店は、関西という地元に根ざしたポジションを強みに、堅実な経営を続けています。
いまも地域密着型の百貨店として、沿線に暮らす人たちの生活の一部にしっかり入り込んでいる点が特徴です。
この点はチャートの形にも反映されていて、急激な上昇局面は少ないものの、大きな崩れもあまりないという「守りが固い銘柄」としての顔が見てとれます。
近鉄グループ全体のネットワークを活かして、百貨店単独のビジネスにとどまらない取り組みも行われています。
たとえばホテルや鉄道との連携で観光需要を取り込んだり、地元の特産品や文化を生かした催事や企画を打ち出したりしています。
これにより、百貨店離れが進むなかでも、一定の集客力を維持しています。
こうした背景があるため、長期チャートでも大崩れせず、一定のレンジ内で株価が動いていると考えられます。
財務体質も過度なリスクをとっておらず、安定した運営を意識している姿勢が感じられます。
将来的に株価が劇的に跳ねる可能性は高くありませんが、大きく値を崩すリスクも比較的低い銘柄だといえます。
したがって、短期売買よりも、配当と優待を楽しみながら10年単位で保有していくスタイルに向いている株です。
長期の視点で見ると、生活圏で近鉄百貨店を利用する人にとっては、とても親和性の高い投資先になるでしょう。
優待をうまく活用すれば、株主であるメリットを日々の暮らしの中で実感できる点も、この銘柄の魅力です。
株主優待にみる分析
近鉄百貨店の株主優待は、長く持てば持つほどお得になる仕組みになっています。
だから、短期間だけ持って売買するのではなく、じっくりと長く持ち続けることに向いた株といえるでしょう。
まずこの優待の魅力は、とても実用的なところにあります。
買い物をするときに「株主ご優待カード」を使えば、普通にレジで10%割引が受けられます。
これは日々のお買い物でしっかり活用できる内容なので、とても分かりやすいです。
たとえば家族へのプレゼントや季節の贈り物、ちょっとしたごほうびの洋服やバッグなど、さまざまなシーンでこの割引は役立ちます。
しかも割引はその場で反映されるので、後から申請したりポイント還元を待ったりする必要がありません。
「すぐに得が実感できる」優待は、使っていて楽しいものです。
次に、この優待は「株を長く持つこと」がちゃんと報われる設計になっています。
2年以上株を持っていると、使える上限金額が一気に倍になります。
こうした長期特典があると「もうちょっと持っておこうかな」という気持ちが生まれやすくなります。
投資家側にとっては、持ち続けるインセンティブ(動機)が明確にあるのはうれしいことです。
逆にいえば、短期売買を繰り返すだけの人には向かないともいえます。
継続して保有しないと長期特典は受けられないため、優待狙いの一時的な参入はあまり意味がありません。
この点が「長期保有型の優待銘柄」という性格を強くしています。
優待を使う場所についても注目ポイントがあります。
近鉄百貨店の本店であるあべのハルカス近鉄本店はもちろん、関西を中心とした複数の店舗で利用が可能です。
とくに沿線に住んでいる方にとっては、生活の中で定期的に訪れる場所でもあり、使い勝手は非常に良好です。
地元密着の優待という性格が強いぶん、関西エリアに住んでいる株主にとっては恩恵が大きくなります。
また、近鉄グループ内のホテルなど一部の施設でも利用できることがあり、生活の幅広い場面で活用できるのはうれしいポイントです。
買い物に限らず、ちょっとした旅行や食事でも「株主だから少し得をした」と実感できる機会があるのは、長期保有の楽しみを広げてくれます。
一方、注意点としてはネット通販では原則使えないことや、食品や一部商品は対象外になることがあるという点があります。
ただ、それを差し引いても百貨店を利用する機会が多い人にとっては、年々優待の価値が「生活のなかにしっかり組み込まれていく」感覚が生まれやすいです。
さらに、優待だけでなく配当金も合わせて考えると、決して高利回りとはいえませんが「日々の暮らしの豊かさ」をサポートしてくれる銘柄として魅力があります。
特に株を持ち続けて優待を育てていくという楽しみ方ができるので、優待ファンや長期保有派の投資家には非常に相性の良い株といえるでしょう。
総合的に見て、生活圏で近鉄百貨店を利用している方にとってはかなりおすすめ度が高い優待です。
優待が実際の生活で活きる場面が多いため、数字以上の満足感が得られる銘柄といえるでしょう。
総合評価
近鉄百貨店の株は、短期的な利益をねらって売買するというよりも、長い目でゆっくりと付き合っていくのに向いている株です。
会社の事業内容も、いきなり大きな成長が期待できる業種ではありませんが、関西の地元にしっかり根付いた堅実な経営をしています。
この株は「すぐに儲けたい」という人にはあまり向いていません。
ですが、地元の百貨店を応援したい気持ちがある方や、生活に役立つ優待をコツコツ楽しみたい方にはとても相性が良い株だといえるでしょう。
長い時間をかけて優待を育て、会社とのつながりを感じながら投資を楽しめる、そんな一枚の株主カードがこの銘柄にはついているのです。