旭化学工業[7928]は、プラスチック製の部品などを作っているものづくりの会社です。
株を持っていると、年に一度オリジナルデザインのクオカードがもらえる優待があります。
ただし、配当は今のところなく、株価もこの30年間であまり大きくは動いていません。
会社としてはしっかり経営されていますが、株を長く持つことで大きな利益を得るというよりは、じっくり応援したい人に向いている株と言えそうです。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
27倍 | 0.36倍 | 35.6% | 1.74% | – |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
1.63% | 0% | 1.63% | 8月 | 61,000円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
配当がなく、株価も大きな成長が見込めないため、資産を増やす目的の投資には向きません。一方で、財務は安定しており、長期保有を前提とした優待制度には誠実さが感じられます。利益重視よりも「企業を応援したい」という気持ちで静かに持ちたい人には、選択肢のひとつになるでしょう。 |
株主優待情報

株主優待の内容
旭化学工業株式会社の株主優待は、自社オリジナルデザインのクオカード(1,000円分)が年1回進呈されるという非常にシンプルな内容です。
保有株数 | 保有期間 | 優待内容 |
---|---|---|
100株以上 | 1年以上継続保有 | オリジナルクオカード1,000円分 |
ただし、この優待を受けるには「100株以上」かつ「1年以上継続保有」という条件があります。
クオカードはコンビニやドラッグストア、書店など全国の幅広い店舗で利用できるため、汎用性が高く、金券タイプの中では使い勝手のよい部類です。
長期保有を前提とした優待制度のため、株主として腰を据えて応援したいという方には親しみやすい仕組みといえるでしょう。
権利確定日と有効期限
項目 | 内容 |
---|---|
権利確定月 | 毎年8月末 |
保有条件 | 100株以上を1年以上継続保有していること |
発送時期 | 11月下旬~12月頃 |
優待の形式 | オリジナルデザインのクオカード(1,000円相当) |
有効期限 | 設定なし(ただし再発行不可) |
利用可能店舗例 | コンビニ、書店、ドラッグストアなど全国多数 |
優待を受けるための権利確定日は「毎年8月末」です。
ただし、条件としては「1年以上の継続保有」が必要となるため、権利付き最終日に買っただけでは対象となりません。
クオカードの発送は例年11月下旬~12月頃で、有効期限は特に設けられていませんが、紛失・破損による再発行はできないため取り扱いには注意が必要です。
証券会社をまたいで保有すると継続保有のカウントがリセットされる可能性があるため、同一口座での保有をおすすめします。
会社情報

旭化学工業株式会社は、愛知県碧南市と安城市に拠点を持つ、工業用プラスチック製品を作るメーカーです。
もともとは1962年に創業され、1966年に会社として正式に設立されました。
創業当初は家庭向けのプラスチック雑貨をつくっていましたが、今では自動車や電動工具、建築に使われる部品を作ることが主な仕事になっています。
1993年には株式を上場し、長い歴史をもつ上場企業となりました。
この会社の大きな特長は、製品を設計するところから、実際に作り、加工し、組み立て、最後に品質をチェックするまでを、すべて自分たちの会社の中で行っているという点です。
この「一貫生産体制」によって、高い品質を保ちながら、短い納期で製品を出荷することができます。
つくっている製品はさまざまですが、たとえば建築用のアンカー(壁などに取り付けるための部品)や、電動工具のカバー、自動車の内装・外装の部品などがあります。
また、プラスチック製品をつくるために必要な「金型」も自社で設計・製造しています。
海外展開もしていて、中国とタイに工場があります。
最近では、全体の売上のうち約半分が海外からのもので、グローバルな企業としての存在感も高まっています。
特に中国での生産と販売が大きな比重を占めています。
会社としては今後さらに成長していくため、最新の大型設備を導入したり、工場の改修を行ったりといった投資も進めています。
また、自社ブランドの製品開発にも力を入れており、今後は海外売上をもっと増やしていくという目標も掲げています。
ものづくりにこだわる姿勢や、時代の変化に対応するための柔軟な姿勢が、旭化学工業の強みだと言えるでしょう。
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株式情報にみる分析
旭化学工業の30年チャートを俯瞰すると、全体として「長期では下落傾向だが、周期的に突発的な急騰を繰り返している銘柄」と言えます。
特に2005年頃、2021年頃に1,000円を大きく超える急騰が見られますが、いずれも短期的で、その後は急落し、再び元の水準に戻るという動きが続いています。
つまり、長い目で見た場合、株価は成長しているとは言いがたく、「一時的な材料での上昇→反落」を繰り返してきたチャート形状です。
現在の株価水準(600円前後)は、過去30年の中でもやや高めの位置にあり、過去に安値だった300円台〜400円台と比べると割高感もあります。
こうした値動きから見ると、長期保有による安定した株価上昇は期待しにくく、むしろ「どこかのタイミングで突発的に上がったら売る」というスタンスの方が合っているように見えます。
しかし、ユーザーが前提としているように、今回の評価は短期売買ではなく長期保有を重視しているため、その観点から評価する必要があります。
そうすると、以下のような結論に至ります。
旭化学工業の株式は、長期保有することで資産が大きく増える可能性はさほど高くありません。
これは、会社の事業そのものが急成長型ではなく、どちらかというと安定した製造業の範囲にとどまっているからです。
また、配当が出ていない現状では、保有し続けても「毎年得られる収入」が少なく、持ち続けるインセンティブに欠けます。
財務面では自己資本比率が高く、倒産リスクは低めと考えられるため、極端に心配する必要はありません。
とはいえ、それは「買っても下がらない」という意味ではなく、「会社が急になくなることはない」という程度の安心感です。
チャートから判断できるのは、むしろ「定期的に投機的な動きがあるので、それを狙う短期勢が入ってくる場面もあるが、基本は値動きの乏しいボックス相場」だということです。
このような性質は、長期投資家にとっては「保有しても期待値が低く、優先順位は下がる」という評価になります。
総じて言えば、旭化学工業の株は「高リスクではないが、長期的に資産を増やすには非効率」という立ち位置の銘柄です。
株主優待にみる分析
旭化学工業の株主優待は、自社オリジナルのクオカード1,000円分がもらえるという、非常にシンプルでわかりやすい制度です。
一見すると、金額も小さく、派手さもないため、優待目的で投資するには物足りないと感じる方もいるかもしれません。
しかし、この優待制度には、長期投資家にとって意外と見逃せない特徴があります。
まず、最大の特徴は「1年以上継続保有しなければもらえない」という点です。
これは短期売買を前提とした人には向かない設計になっていて、企業としても「株を長く持ってくれる人」に報いたいという姿勢が見て取れます。
企業とのつながりを大切にする、いわば“じっくり派”の投資家にとっては、こうした設計は安心感につながります。
次に、もらえるのが「自社オリジナルデザインのクオカード」である点も注目すべきです。
一般的なデザインのクオカードよりも、企業らしさが感じられるため、コレクション的な魅力や応援している企業からのプレゼントという心理的な満足感も得られます。
金額は1,000円と決して高くはありませんが、「株主との関係を築こうとする姿勢」が見えることで、会社に対する信頼感や親しみが増す効果もあります。
ただし、注意すべき点もあります。
まず、優待の内容が100株以上の保有で一律であるため、株数を増やしてもリターンは増えません。
つまり、300株、500株と保有しても優待は変わらないため、優待目当てに大量に買うメリットはありません。
また、配当がない今の状況では、優待だけがリターンとなるため、「実質的な利回り」は決して高いとは言えません。
これは、他の外食系銘柄やクオカード銘柄と比べてもかなり低い部類に入ります。
たとえば、年2回優待がある銘柄や、2,000円以上の金額を提供している企業も多いため、それらと比較するとどうしても見劣りします。
さらに、優待の到着も11月下旬〜12月と少し遅めで、すぐに恩恵を受けたい人にとってはタイミングが合わない可能性もあります。
使えるお店は多いとはいえ、優待内容としては「やや控えめ」であることは否定できません。
とはいえ、旭化学工業のように地味でも長く事業を続けている企業が、わざわざ優待制度を設けているというのは、株主を大切にしようという意識のあらわれともいえます。
実際に、配当がない中でも優待を継続して提供している点は、企業の「株主還元の姿勢」が見える材料です。
その意味で、金額以上に「会社の誠実さ」に価値を感じられる投資家にとっては、一定の魅力がある優待ともいえるでしょう。
まとめると、旭化学工業の株主優待は、金額ベースで見ると利回りはかなり低めです。
優待内容も最小限に抑えられており、利便性重視の優待投資家には不向きかもしれません。
しかし、継続保有を条件にしていたり、オリジナルデザインを採用していたりと、株主との関係を重視する姿勢が見える制度設計は評価できます。
投資家としては、優待を金額換算するのではなく、「企業とのつながりを感じる手段」として捉えることで、長期保有の楽しみのひとつとして価値を見出せるでしょう。
総合評価
旭化学工業の株は、チャートの動きや会社の特徴を見る限り、長期的に大きく値上がりするような銘柄ではありません。
これまでの30年の株価の流れを見ても、何度か急に上がることはあったものの、すぐに下がってしまい、長く見れば横ばいか少しずつ下がっている傾向が見えます。
つまり、「安定はしているけれど成長はしにくい銘柄」と言えるでしょう。
唯一評価できる点としては、「企業の安定感」と「長期保有を前提とした優待設計」にあるため、急な下落が少ない守り型の銘柄として少額で保有するのは選択肢の一つです。
ですが、資産形成を目的とした本格的な長期投資の中では、優先順位は低めです。
結論としては、「大きく育てる株」ではなく、「応援する気持ちで静かに持つ株」そんな位置づけになる銘柄と言えます。