プリントネット[7805]は、ネットを通じて名刺やチラシを注文できる印刷サービスを提供している会社です。
株主になると、Amazonギフト券などの電子ギフトがもらえる優待制度があります。
ただし、最近は優待制度を見直す企業も増えているため、今後も同じ内容が続くかどうかは慎重に見ておく必要があります。
配当と優待を合わせると利回りは高めで、長く持つことでお得になる設計にはなっています。
優待がなくなっても納得できるかを考えながら、バランスよく投資判断するのがおすすめです。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
11.4倍 | 0.87倍 | 55.9% | 55.9 % | 1.14倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
3.12% | 1.78% | 1.34% | 8月 | 74,700円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
堅実な経営と割安な株価が魅力の中小型銘柄です。配当と優待を合わせた利回りは高めですが、優待制度が今後も継続されるかはやや不透明です。そのため、優待目的だけでの投資は注意が必要です。ただ、優待がなくなっても配当や安定した経営を評価できるなら、長期保有に適した「守り」の銘柄としてポートフォリオに加える価値があります。 |
株主優待情報
株主優待の内容
プリントネットの株主優待は、毎年9月末時点の株主を対象に、デジタルギフトや鹿児島県の名産品が贈られます。
もらえる優待の内容は「保有株数」と「継続保有期間」によって変わります。
ギフトの種類はAmazonギフトカード、QUOカードPay、PayPayライト、Google Play、PlayStation Storeチケットなど、多岐にわたります。
保有株数 | 継続保有期間1年未満 | 継続保有期間1年以上 |
---|---|---|
100株 | デジタルギフト500円分 | デジタルギフト1,000円分 |
200株 | デジタルギフト1,000円分 | デジタルギフト1,500円分 |
500株 | デジタルギフト2,500円分 | デジタルギフト3,000円分 |
1,000株 | デジタルギフト5,000円分 + 鹿児島県名産品(1点) | デジタルギフト6,000円分 + 鹿児島県名産品(1点) |
印刷会社であるにもかかわらず、自社商品券ではなく誰でも使いやすい汎用性の高いデジタルギフトを優待とする点がユニークです。
長期保有の優遇制度もあり、1年以上継続保有することで、もらえる金額が大幅にアップします。
権利確定日と有効期限
項目 | 内容 |
---|---|
権利確定月 | 毎年9月末 |
優待送付時期 | 毎年12月下旬ごろ(予定) |
優待の有効期限 | 約6か月(交換案内に記載の期日まで) |
プリントネットの優待は、生活に直結するデジタルギフトを選べる点が魅力です。
特に長期保有による上乗せが大きく、100株を1年以上持っていれば倍の1,000円相当がもらえます。
電子決済やネット通販に馴染みのある人にとっては、非常に使い勝手のよい優待制度といえるでしょう。
会社情報

プリントネット株式会社は、鹿児島県鹿児島市に本社を置くネット印刷の会社です。
パソコンやスマートフォンを使って、チラシや名刺、ポスター、冊子などの印刷物を注文できるサービスを提供しています。
実際の店舗を持たず、インターネット経由だけで注文から納品までが完結するため、スピーディーかつ安く印刷ができる点が大きな特長です。
この会社は、ネット印刷専業としては国内トップクラスの生産体制を整えています。
鹿児島に本社と生産拠点を構えつつ、関東にも複数の工場と物流拠点を持ち、全国に効率よく商品を届けられるようにしています。
とくに印刷機械や自動化設備に力を入れており、24時間稼働体制を採用しています。
「プリントプロ」「冊子印刷ドットコム」「オダハラプリント」など、いくつかのブランドを使い分けてサービスを提供しています。
たとえば、冊子印刷に特化したサイトでは、パンフレットや会報誌などを専門に扱い、細かい仕様にも柔軟に対応しています。
一方で、名刺やチラシのような日常的に使うアイテムを注文しやすいブランドも展開しています。
ユーザー層は、個人事業主や中小企業、同人誌制作のクリエイターまで幅広く、少部数でも気軽に注文できる点が支持されています。
料金も比較的安く、納期も早いため、特に販促物を頻繁に使う業種からのリピーターが多いのも特徴です。
経営的には、過度な成長戦略は取らず、堅実に利益を確保しながら財務を安定させている企業です。
株主向けの還元にも力を入れており、毎年9月末を基準にデジタルギフトや地方特産品の優待を用意しています。
この優待は保有年数や保有株数によって内容が変わるため、長期保有を促す仕組みにもなっています。
総じて、ネット印刷市場の成長とともに、無理のないペースで業績を積み上げてきた企業です。
今後もIT技術と印刷技術を組み合わせながら、ユーザー目線に立ったサービス改善を続けていくことが期待されています。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
プリントネットの株価は、2018年に急上昇したあと、2019年以降は大きく下がり、その後は長く横ばいが続いています。
ただ、2021年頃からはじわじわと下値が切り上がってきており、直近の数年間はおおむね安定しています。
いわゆる「成長株」や「急騰株」のような派手さはないものの、底値が固まった銘柄という印象があります。
株価が落ち着いている背景には、同社の経営姿勢が関係していると考えられます。
プリントネットは、急激な事業拡大よりも、地道に利益を出し、堅実に経営を進めることを大切にしています。
そのため、一気に株価が上がるようなサプライズは少ないですが、長期で見たときに安心感のある企業と言えるでしょう。
財務状況も比較的健全です。自己資本比率は50%を超えており、借金に頼りすぎない経営をしていることがわかります。
また、純資産に対して株価がやや割安な位置にある(PBRが1倍未満)ことからも、今の株価は高すぎる印象はありません。
利益に対する株価の水準(PER)も低めで、一般的な水準と比べても過熱感はありません。
一方で、ROE(会社が持っている資金をどれだけ効率よく利益に変えているか)はやや低めで、もう一歩の成長力がほしいところです。
ただこれは、設備投資など将来への準備を進めている段階とも取れるため、すぐにマイナス要素とは言い切れません。
株価のボラティリティ(値動きの激しさ)も小さめで、急落のリスクが低く、精神的に安心して保有しやすい銘柄といえます。
また、ネット印刷という業界自体も今後一定の需要が見込める分野であり、EC市場の拡大とともに堅調に推移することが期待されます。
短期的に見ると大きな値上がりは期待しづらいかもしれませんが、長期でじっくり保有して、配当と優待を受け取りながら値上がりを待つという投資スタイルにはよく合います。
特に長期保有を前提とする投資家にとっては、「資産の置き場」としても検討しやすい銘柄だと思います。
総合的に見て、プリントネットは「急成長を狙う銘柄」ではなく、「安定を重視した長期投資に向いた銘柄」と評価できます。
リスクを抑えつつ、着実に資産形成を目指す人には、ほどよいバランスの取れた企業です。
株主優待にみる分析
プリントネットの株主優待は、使いやすい電子ギフトを中心とした内容で、個人投資家には比較的魅力的な設計になっています。
100株以上でAmazonギフト券やPayPayポイントなどがもらえ、さらに1年以上の継続保有で金額が増額される仕組みです。
また、1,000株以上の保有者には鹿児島県産の黒豚しゃぶしゃぶ肉が贈られるなど、地元とのつながりも感じられる優待となっています。
ただし、こうした優待制度が今後も「長く続くかどうか」については、正直なところやや不透明感があります。
その理由は、昨今の優待廃止・縮小の流れにあります。
東証の市場再編以降、企業は「株主還元の効率性」や「財務の健全性」を重視するようになり、特に中小型株では優待制度の見直しが加速しています。
プリントネットのような比較的規模の小さな企業では、優待のコストが重荷になる可能性もゼロではありません。
実際、優待内容の見直しやリニューアルを過去に数度行っている経緯もあり、「優待が株主の支持を得ているかどうか」を企業が慎重に見極めている姿勢も伺えます。
現時点では優待制度は継続されていますが、数年先も同じ内容が維持されるとは限らず、優待目当ての長期投資には一定のリスクがあると考えるべきでしょう。
とはいえ、現行の制度だけを見れば、利回りは配当と合わせて3%超と決して悪くなく、100株・7万円台から投資できる手軽さもあります。
「今の制度があるうちは活用し、優待が終了しても配当と業績で判断できるか?」という視点で考えると、比較的納得感のある水準にはあります。
つまり、プリントネットの優待は“今のところ”は魅力的だけれど、“将来的な継続性には注意が必要”というのが現実的な評価です。
優待がなくなったとしても業績と配当で投資判断ができるかどうかを、自分の中で整理してから保有を検討するのが良いでしょう。
「優待があるうちは持つ」「制度改定があれば売却も視野に」という柔軟な姿勢が、プリントネットとの付き合い方としては最適かもしれません。
総合評価
プリントネットの株式は、長期で見ると安定感のある値動きをしており、極端な値下がりリスクが少ない銘柄です。
自己資本比率も50%を超えており、財務面でも比較的安心できる水準にあります。
配当水準は高くはないものの、株価水準が割高でないことから、総合的に見て長期保有に適した特性を持つ企業です。
保有の際は、配当や企業の経営の安定性も含めて、優待がなくなっても持ち続けたいかどうかという判断軸を持つことが大切です。
「優待があればラッキー」「なくなっても他の要素で納得できる」──そんな余裕を持った投資先として、プリントネットは選択肢になり得る銘柄だと言えるでしょう。