スポーツ用品やアウトドアグッズを扱うヒマラヤ[7514]は、全国に店舗を展開する身近な存在です。
そんなヒマラヤの株は、配当と株主優待の利回りが高く、長期でじっくり保有する投資スタイルに向いています。
一方で、株価の動きは長年にわたって低調で、値上がりを狙う銘柄としてはやや物足りない面もあります。
本記事では、ヒマラヤの株式について、30年チャートの動きや優待制度の中身、投資のおすすめ度を、長期投資の視点から詳しく解説していきます。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
26.6倍 | 0.65倍 | 47.43% | 1.25% | - |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
5.32% | 3.01% | 2.31% | 2月、8月 | 86,500円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
優待と配当による利回りが高く、生活に役立つ実用的な優待も魅力です。一方で、株価は長期的に下落傾向が続いており、今後の成長や値上がりはあまり期待できません。そのため、株主優待を目的とした長期保有には向いていますが、資産の成長を狙う積極的な投資にはやや不向きです。総合的に見て、守り重視のポートフォリオの一部としての保有を検討する銘柄です。 |
株主優待情報

株主優待の内容
ヒマラヤでは、株主向けに「ヒマラヤポイント」もしくは「優待買物割引券」が年2回贈られます。
このポイントは、同社が運営する「ヒマラヤ株主プレミアムメンバーズ」に登録することで受け取ることができ、1ポイント=1円としてヒマラヤ各店舗で利用できます。
登録していない株主には、代替として同額相当の買物割引券(1枚1,000円相当)が発送されます。
以下の表に、保有株数に応じた付与ポイントをまとめました。
保有株数 | 年間付与ポイント(相当額) |
---|---|
100株以上 | 1,000ポイント(1,000円相当) |
500株以上 | 3,000ポイント(3,000円相当) |
2,000株以上 | 6,000ポイント(6,000円相当) |
5,000株以上 | 15,000ポイント(15,000円相当) |
10,000株以上 | 30,000ポイント(30,000円相当) |
なお、ポイント・割引券ともに「ヒマラヤオンラインショップ(公式通販サイト)」では利用できません。
利用は実店舗に限られます。
ヒマラヤポイントを利用するには、専用の株主向けWebサイトに事前登録が必要です。
登録していない場合は自動的に「買物割引券」での提供となります。
権利確定日と有効期限(表)
項目 | 内容 |
---|---|
権利確定月 | 毎年2月末日・8月末日 |
発送時期 | 2月分 → 5月中旬頃 8月分 → 11月中旬頃 |
有効期限 | ポイント:発行から約6か月間 割引券:券面に記載(目安として半年) |
※発送スケジュールや有効期限は変更される可能性があります。
※詳細は到着時の案内や公式発表をご確認ください。
会社情報

ヒマラヤ株式会社は、岐阜県に本社を構えるスポーツ用品専門店の運営会社です。
スポーツ用品の専門店としては全国でもよく知られており、ランニング、アウトドア、野球、ゴルフなど幅広いジャンルの商品を取り扱っています。
店舗では道具だけでなく、ウェアやアクセサリー類も豊富にそろえており、初心者からベテランのスポーツ愛好者まで対応できる品ぞろえが特徴です。
会社は1976年に設立され、以来、地方を中心に店舗を展開してきました。
2024年現在では、直営店を全国に展開しており、店舗数は約90店舗前後となっています。
近年では、地方都市や郊外を中心に大型店舗を構え、スポーツ・アウトドア専門の「ヒマラヤ」、ゴルフ用品に特化した「ヒマラヤゴルフ」、アウトドア・キャンプに特化した「アウトドアステージ」など、目的やニーズに合わせた業態展開も行っています。
主なブランドは「ヒマラヤ」そのもののほかに、自社開発のプライベートブランドも複数あります。
たとえば、スポーツウェアでは「FILA(フィラ)」などの海外ブランドの取り扱いもあり、特定のスポーツに特化したラインナップも強みです。
また、自社ECサイトや楽天市場、Yahoo!ショッピングなど外部モールでのネット販売にも力を入れており、オンラインとリアル店舗の連携を強化する「オムニチャネル戦略」も推進しています。
さらに、ヒマラヤは地域密着型の運営を重視しており、地元のスポーツイベントや学校部活動との連携、地域クラブチームの応援なども積極的に行っています。
そのため、店舗は単にモノを売るだけでなく、地域に根ざしたスポーツライフの拠点としての役割も果たしています。
このように、ヒマラヤは「スポーツをもっと身近に」というビジョンのもと、商品の提供だけでなく地域とのつながりも大切にしながら、全国にスポーツ文化を広める取り組みを続けている企業です。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
ヒマラヤの株価推移を30年チャートで見ると、1996年ごろに急騰した後、そこをピークに長期的な下落トレンドに入ったことがはっきりとわかります。
その後、2000年代前半には大きく値を崩し、底値圏で低迷。
一時的に2006年、2013年、2017年、2020年と複数回の急騰はあったものの、いずれも長続きはせず、結果的には高値を切り下げる形で推移してきました。
長期チャートの全体像を見れば、上昇トレンドとは言えず、むしろ横ばいの動きに収まっているのが実情です。
株価は長期的に見て右肩上がりの成長はしておらず、むしろじわじわと力を失っている印象を受けます。
こうした推移を見る限り、この銘柄に対して長期的な株価上昇を期待するのは難しい状況です。
株価が急騰していた時期には、その背景にテーマ性や材料があったと考えられますが、それが持続的な収益改善や企業価値の向上につながったわけではありません。
現在の株価も、長年の平均から見れば低位に位置しており、市場の評価が高まっているようには見えません。
もちろん、一定の利回りや安定性を背景に「守りの銘柄」として保有する考え方もありますが、チャートから見えるのは「株価が継続的に落ち着きつつある姿」です。
かつてのような高値更新の再来を期待して保有するのは、現実的とは言えません。
値動きも全体的に重く、ボリュームが伴って急伸したとしても、すぐに押し戻されるような形が多く見られます。
つまり、ヒマラヤの株は「成長性」や「値上がり益」を狙う投資対象ではなく、企業としても成熟段階にある中で、株価の上値は重く、期待値は限定的だと言えます。
今後も新規出店や戦略の転換などがあったとしても、それがすぐにチャートに反映されるほどのインパクトを持つ可能性は高くありません。
このように、長期チャートを総合的に判断すると、ヒマラヤの株価は下向き傾向が基本であり、現在も回復の兆しが明確に見えているわけではありません。
したがって、成長を期待する投資というよりは、割安感や利回り目的で保有する場合に限って検討余地がある銘柄です。
株主優待にみる分析
ヒマラヤの優待制度は、見た目の利回りの高さだけでなく、その“中身の設計”にこそ注目すべき点があります。
単に金券を渡すのではなく、ポイントとしてデジタル管理を可能にし、事前登録者にはより利便性の高い方法で還元するという形式は、優待制度を通じて企業と株主の関係を継続的に保とうとする意図が見えます。
このような設計は、長期保有を前提とした投資家にとって安定したインカムを見込める材料として映ります。
また、優待の提供が年2回に分かれているという点も、長期での分散的な還元が意識されている設計であり、投資家心理の下支えとなる役割も果たします。
企業が短期的な業績に依存せず、優待制度を継続して提供しようとする姿勢は、投資家との長期的な信頼関係構築の一環と捉えることができます。
それが、たとえ株価の値上がりが期待できない局面であっても、保有を続ける判断材料の一つになります。
一方で、ヒマラヤの優待は実店舗での利用が前提となっているため、保有する投資家の生活スタイルや居住地によって、その恩恵の体感度に差が出る点は見逃せません。
たとえば近隣にヒマラヤの店舗がないエリアに住んでいる投資家にとっては、優待の実用性は大きく損なわれます。
この“地域偏差”をどう捉えるかが、投資判断において非常に重要です。
また、ポイントの取得にはWeb上での登録が必要な仕組みとなっており、シニア層やデジタルに不慣れな株主にとっては心理的なハードルがあるとも言えます。
これは、優待の実質的な使い勝手に差が出る原因となるため、長期保有するにあたって「制度のわかりやすさ」「継続的な手間の有無」なども含めて検討すべきです。
とはいえ、優待のコストは企業にとっても負担になるため、制度設計がしっかりしていて長年にわたって改悪されず維持されている点は、投資家にとって非常に評価できるポイントです。
これは企業の経営体力や、株主との向き合い方に対する誠実さの表れでもあり、今後大きく制度が崩れるリスクは相対的に低いと判断できます。
こうした総合的な観点から見ると、ヒマラヤの優待は“派手ではないが堅実で長く付き合える優待”と言えるでしょう。
株価の上昇が見込めない今の状況でも、生活に寄り添った実用的なリターンを継続的に受け取れる設計は、資産形成においてひとつの安定要素となり得ます。
結果として、優待目的の長期保有という文脈では、投資判断として十分「アリ」な銘柄と位置づけることができます。
総合評価
ヒマラヤの株式は、長期チャートを振り返ると横ばい基調が続いており、過去の高値からは大きく値を下げた状態が続いています。
成長株というよりは成熟企業の側面が強く、今後大きな株価上昇を期待するのは難しいのが実情です。
売上や利益も安定的とは言い切れず、事業環境も競争が激化しているスポーツ・アウトドア市場の中にあります。
そうした意味では、株価の値上がり益を狙って保有するには慎重な判断が必要な銘柄です。
そのため、ヒマラヤの株は「積極的に成長を取りに行く攻めの銘柄」ではなく、「配当+優待による堅実な利回りを得る守りの銘柄」としての位置づけが適しています。
ポートフォリオの中でリスクを抑えながらリターンを確保したい場合、またはスポーツ用品の利用が多い生活スタイルであれば、生活に寄り添う優待として価値が見出せます。
一方で、成長性を重視する投資家にとっては、あえて選ぶ理由がやや薄く、ほかにより高いリターンが見込める銘柄がある中では優先度が下がるかもしれません。
優待を目的とした長期保有には一定のメリットがあるものの、株価の値上がり益はあまり期待できないため、慎重に目的を定めたうえでの購入が求められる銘柄です。