小田原機器[7314]は、路線バスの運賃箱やICカードリーダーなどを手がける公共交通インフラ向けの専門メーカーです。
ふだんバスに乗るときに何気なく使っている運賃箱や整理券発行機の裏側で、この会社の技術が全国の交通を支えています。
本記事では、株価指標や事業内容、優待内容を総合的にチェックしていきます。
派手な値上がりを狙うというより、インフラ系の安定したビジネスに投資しながら、配当と優待をコツコツ受け取りたい人向けの銘柄として、小田原機器をどこまでポートフォリオに組み込みやすいかを解説していきます。
株式情報
| 割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
| PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
| 32.4倍 | 1.08倍 | 42.0% | 7.25% | -倍 |
| 優待&配当 | ||||
| 総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
| 4.60% | 3.07% | 1.53% | 12月 | 130,500円 |
| 編集部おすすめ度 | 理由 |
| 公共交通インフラを支えるニッチトップ企業であり、安定成長と実用的な優待がそろった長期保有向き銘柄です。路線バス向け運賃箱・ICカード機器で高いシェアを持ち、キャッシュレス化や運行効率化の流れを追い風に、業績は中長期で着実な拡大が期待できます。配当と優待を合わせた総合利回りも中小型株としては十分魅力的で、「値上がり益だけを狙う」というより、公共交通を応援しながらじっくり保有したい投資家と相性の良い銘柄です。 |
株主優待情報

小田原機器では、毎年12月末時点で100株以上を保有している株主を対象に、QUOカードの株主優待を実施しています。
長く持てば持つほど金額が増える「長期保有優遇」が特徴で、公共交通インフラを支える企業をじっくり応援したい投資家にとってうれしい内容になっています。
株主優待の内容
| 保有株数 | 保有期間2年未満 | 保有期間2年以上 |
| 100株以上 | QUOカード 2,000円相当 | QUOカード 3,000円相当 |
| 300株以上 | QUOカード 3,000円相当 | QUOカード 4,000円相当 |
| 500株以上 | QUOカード 4,000円相当 | QUOカード 5,000円相当 |
100株から優待がもらえるうえに、2年以上の継続保有で金額がアップする仕組みになっています。
コンビニやドラッグストアなど、日常生活で使いやすいQUOカードなので、「届いたけれど使い道に困る」という心配が少ない実用的な優待です。
また、300株・500株と保有株数を増やすことで、もらえる金額も段階的に増えていきます。
配当と優待の両方を楽しみながら、長期で株数を積み増していく楽しみ方もできる設計といえます。
権利確定日と有効期限
権利確定日は毎年12月末日です。
その時点で株主名簿に100株以上を保有する株主として記載されていれば、翌年にQUOカード優待を受け取ることができます。
長期保有の判定は、「毎年6月末日と12月末日の株主名簿に、同じ株主番号で5回以上連続して記載されているかどうか」で判断されます。
つまり、おおよそ2年以上継続して保有していれば、長期保有の条件を満たし、ワンランク上の金額のQUOカードがもらえるようになります。
QUOカードそのものには大きな有効期限の制限はなく、コンビニや書店などで少しずつ使っていくことも可能です。
使い勝手の良さという面でも、初心者からベテランまで幅広い投資家に向いた優待といえるでしょう。
会社情報

小田原機器株式会社は、神奈川県小田原市に本社を置く、バスや鉄道向けの運賃収受機器を専門に手がけるメーカーです。
路線バスに設置されている運賃箱や、整理券発行機、非接触ICカード対応の読み取り機、運賃表示器などを開発・製造し、全国各地のバス事業者や公共交通機関に製品を供給しています。
歴史をさかのぼると、昭和30年代からバス業界向けの省力化機器の開発に取り組み、車掌と運転手の二人で運行していた時代から、運転手一人で運行できる「ワンマンバス」への移行を技術面で支えてきました。
自動計数式運賃箱など、当時としては画期的な製品をいくつも世に送り出し、バス運賃精算システムのパイオニアとして評価されています。
現在の主力製品は、ワンマンバス用の運賃収受システム一式です。
運賃箱、整理券発行機、ICカードシステム、運賃表示機、精算機などをトータルで提供し、これらを組み合わせることで、乗車から降車、精算までの一連の流れをスムーズに処理できるようにしています。
交通系ICカードの普及にあわせて、現金だけでなくICカードやQRコード決済などにも対応した機器の開発も進めています。
キャッシュレス化が進むなかで、バスの運賃収受をいかに効率よく、そしてミスなく処理するかという課題に対し、小田原機器の技術が重要な役割を果たしています。
車両位置情報システムやETC関連システムなど、交通とITを組み合わせた分野にも取り組んでおり、単なる「機械メーカー」を超えたソリューション提供企業として成長を続けています。
一人ひとりの技術者が、バス運転手や利用者の安全・安心・利便性を意識しながら製品を作り込んでおり、「開拓の精神で社会に奉仕する」という企業理念のもと、ニッチながら社会的意義の高い事業を営んでいます。
一般の消費者向けの店舗や有名ブランドロゴが街中に並ぶタイプの会社ではありませんが、毎日の通勤や通学でバスを利用する人にとっては、見えないところで生活を支えてくれている存在です。
バスに乗ったときに運賃箱や整理券機に目を向けると、「小田原機器」と書かれたロゴを見つけられることも多いでしょう。
売上の多くは国内の路線バス事業者向けですが、今後は地方交通の再編や人手不足の深刻化を背景に、自動運転支援や運行管理システムとの連携など、新たな需要も期待されています。
公共交通インフラに深く根ざしたビジネスモデルであるため、景気の波に左右されにくく、長期的な視点で安定した収益が見込める企業といえるでしょう。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
小田原機器の株式は、長期で安定した資産形成を目指す投資家にとって、コツコツ積み上げ型の銘柄といえます。
20年チャートの流れを見ると、短期的な上下はあるものの、大きく崩れる局面は限られており、時間をかけてじわじわと企業価値を高めてきたことがうかがえます。
事業内容が公共交通という生活インフラに直結しているため、景気の好不況による需要の振れ幅が比較的小さい点も、長期目線では大きな安心材料です。
路線バスは地域の生活に欠かせない足であり、人口減少や地方の課題はあるものの、すぐに無くなることは考えにくい分野です。
一方で、小田原機器は急成長を狙うタイプのグロース株というより、安定した受注を積み重ねるストック型に近いビジネスです。
評価指標を総合的に見ると、割安株というよりは「一定の期待を織り込んだ水準」に位置しており、超低水準で放置されているようなイメージではありません。
財務面では、自己資本比率がしっかり確保されており、借金に過度に依存した経営ではありません。
利益水準も安定しており、配当を支払いながら将来の投資にも回せるバランスの取れた状態が続いています。
配当利回りは、中小型株として見れば十分魅力的なゾーンにあり、「高配当株」とまではいかないものの、長期保有で受け取るインカムゲインとしては悪くない水準です。
配当性向も極端に高すぎるわけではなく、無理な株主還元で自社の体力を削っている印象はありません。
株価の動き方という点では、出来高がそこまで多くないため、短期的には値動きが軽くなりやすい面もあります。
しかし、長い目で見れば、公共交通インフラの維持やキャッシュレス化の進展といった構造的なテーマに支えられ、企業としての存在価値はむしろ高まりやすいポジションにあると言えます。
総合すると、小田原機器は「ドカンと一気に値上がりを狙う銘柄」というより、「インフラを支える安定企業に腰を据えて投資したい人向け」の株です。
配当と優待を受け取りながら、公共交通のデジタル化・キャッシュレス化の流れにゆっくり乗っていきたい人にとって、ポートフォリオの一角を任せるに値する存在と言えるでしょう。
極端な割安さを追い求めるのではなく、事業の安定性と優待・配当を総合的に評価するタイプの投資家に向いた銘柄です。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
小田原機器の株主優待は、「長く付き合うほど報われる」設計になっている点が大きな魅力です。
100株を2年以上持ち続けるだけで、毎年もらえるQUOカードの金額が増えるため、自然と長期保有を前提とした投資スタイルと相性が良くなっています。
QUOカードはコンビニや書店、ドラッグストアなど多くのお店で使えるため、株主優待の中でも使い勝手が非常に良い部類に入ります。
届いた優待をそのまま日々の買い物に回せるので、「生活の中で優待の恩恵を実感しやすい」という点は見逃せません。
さらに、300株や500株といった上位の株数を保有することで、もらえる金額も段階的に増えていきます。
配当と合わせて考えると、長く持つほど実質的な利回りは厚くなっていき、「少しずつ買い増ししながら将来の優待額アップを楽しみにする」という投資スタイルにも向いています。
優待内容がQUOカードであるということは、在庫の保管や賞味期限などの心配がないということでもあります。
食品や飲料の優待はうれしい一方で、人によっては使い切れなかったり好みが合わないこともありますが、QUOカードであれば自分の好きな商品に自由に使える点が大きなメリットです。
長期保有優遇が組み込まれていることで、「短期で優待だけもらってすぐ売る」といった行動とは相性が良くありません。
逆に言えば、企業側としても「長く応援してくれる株主」を大切にしたいという意思表示になっており、株主との関係性を重視する姿勢が見てとれます。
配当と優待を合わせた総合利回りは、中小型の優待株として十分魅力的なレベルにあり、「優待も欲しいけれど、配当もきちんと受け取りたい」という欲張りなニーズにも応えてくれるバランス型の設計です。
極端に高利回りを追い求めるタイプではなく、無理のない範囲で株主還元を続けている印象です。
将来的に優待制度がどの程度維持されるかという点も重要ですが、公共交通インフラを支える事業内容と企業規模を考えると、現時点では急に優待が打ち切られるリスクは高くなさそうです。
むしろ、長期保有株主を増やすことで株主層を安定させたいという狙いが感じられるため、中長期的にも継続が期待できる内容と言えるでしょう。
総合的に見ると、小田原機器の優待は「生活に役立つ実用型」であり、優待を楽しみながら長く株を持ちたい人にとって、満足度の高い制度です。
投資金額も中型クラスで手の届かない水準ではなく、「最初は100株からスタートして、長期保有優遇と配当を受け取りながらゆっくり増やしていく」という育てる投資にも向いています。
総合評価
株式情報と優待内容の両方を総合すると、小田原機器は「配当+優待+安定事業」がそろった、堅実な長期保有向け銘柄です。
株価指標だけを見て極端な割安感を追いかける銘柄ではありませんが、公共交通インフラという安定した土台の上に、キャッシュレス化やデジタル化という成長テーマも重なっている点が魅力です。
優待は、日常生活で使いやすいQUOカードに長期保有優遇が付いた実用的な内容で、配当と合わせた総合利回りもバランスの良い水準にあります。
短期売買よりも、「公共交通を支える会社を応援しながら、じっくりインカムゲインを受け取りたい」という投資家にぴったりの設計になっています。
ポートフォリオの中で「攻め」の銘柄ではなく、「守りとインカムを兼ねた中核〜サブ中核」の位置づけで組み入れるとバランスが取りやすい銘柄だと考えます。
200〜300文字程度でまとめると、小田原機器は「公共交通インフラを支えるニッチトップ企業」であり、配当とQUOカード優待を楽しみながら長期保有したい投資家向けの銘柄です。
株価指標は極端な割安ではないものの、事業の安定性と総合利回りのバランスが良く、ポートフォリオに一つ入れておくと全体の安定感が増すタイプの株と言えるでしょう。

![小田原機器[7314]20年株価チャート](https://kabulife.jp/wp/wp-content/uploads/2025/11/7314-20251126.png)