マブチモーター[6592]は、自動車のミラー・ドアロック・エアコンダンパーなどに使われる小型モーターで世界トップクラスのシェアを持つ老舗メーカーです。
世界中の完成車メーカーに採用されているので、景気に左右される部分はありつつも、基盤となる需要はかなり底堅いのが特徴です。
直近では円安や自動車の電装化の流れが追い風になっており、2025年10月末には年初来高値をつけるなど、株価もやや強めのトレンドに入っています。
過去のマブチは「いい会社だけど株価は横ばい」という時期が長かったのですが、資本効率の改善・増配・自己株式取得など株主還元を意識した動きが増えてきており、長期で見たときの魅力が高まっています。
株式情報
| 割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
| PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
| 約20倍 | 約1.1倍 | 約90% | 約4〜5% | 約2.8倍 |
| 優待&配当 | ||||
| 総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
| 約3.0% | 約2.8% | 約0.2%(1年以上) | 12月末 | 約272,700円(100株) |
| 編集部おすすめ度 | 理由 |
| 自己資本比率が非常に高く、配当も年2回でじわじわ増やしているため長期で安心して持ちやすいです。世界シェアの高い製品を持っているので、急に「事業がダメになる」リスクは小さく、優待も毎年楽しめます。 |
株主優待情報
株主優待の内容
マブチモーターの株主優待は、地元である「千葉県」や海外拠点にゆかりのある「香川県」などの特産品から選べるカタログタイプです。
寄付も選べるので、実際に品物を受け取らなくても権利を無駄にしにくいのがポイントです。
最新の区分は以下のとおりで、基本的には「1年以上の継続保有」が条件になります。短期で取ってももらえないので注意してください
| 所有株式数 | 継続1年以上 | 継続3年以上 | 内容イメージ |
| 100株以上 | 1,000円相当の優待品 | (同左) | まずは最低単元で特産品をもらって、使い勝手を試せるボリュームです。 |
| 200株以上 | 2,000円相当の優待品または寄付 | (同左) | 家族分を1〜2品つけたいときにちょうどいい水準です。 |
| 400株以上 | 4,000円相当の優待品または寄付 | (同左) | 配当と合わせるとインカムの満足度が上がり、長期保有のモチベーションが作れます。 |
| 2,000株以上 | 4,000円相当の優待品または寄付 | 8,000円相当の優待品または寄付 | 大口で長く持つ投資家向けの区分です。優待だけで年1回ちょっとした贈答ができるイメージです。 |
※2025年12月31日に1→2の株式分割が予定されていますが、2025年12月権利分は分割前の株数で優待が行われる予定と案内されています。実際に投資する際は最新のIR・証券会社ページで必ず確認してください。
配当も年2回あるため、優待と配当を合わせて「生活にちょっと足せる」銘柄として長く付き合っていくのが良さそうです。
権利確定日と有効期限
権利確定日は毎年12月末です。12月末までに所定の株数を持っていると、翌年3月ごろに配当関連書類と一緒に優待の案内が届き、5〜6月ごろに選んだ品物が届く流れになります。
長期保有の判定は「6月末と12月末に同一株主番号で連続して記載されること」が条件なので、名義変更や端株処理をする場合はタイミングに注意してください。
期限切れで申し込めなくなることもあるので、案内が届いたら早めに手続きしておくと安心です。
会社情報

マブチモーターは、世界5極(日本・中国・アジア・ヨーロッパ・北米)で年間十数億個規模の小型DCモーターを供給しているグローバル企業です。
車のミラーやドアロックのように「1台に必ず入っているところ」で強く、ここで8割以上の世界シェアを持つ製品もあります。
製品が完成車メーカーに採用されると、その車種が売れている間は継続的に需要が出るため、1年ごとに売上が激しく上下するというより、モデルチェンジや電装化の進み具合に合わせてじわじわと伸びていくビジネスです。
近年は電動パーキングブレーキやパワーシートなど、自動車の快適・安全装備が増えているため、1台あたりに入るモーターの数も増えています。これがマブチの中長期的な成長ドライバーになっています。
また、経営計画ではROE・ROICの向上をはっきり掲げており、ただ作って売るだけでなく「投資したお金がどれだけ効率よく回っているか」を重視する方向にシフトしています。
現時点のROEはまだ4〜5%と高くはありませんが、ここを10%程度まで上げていくと公表しているので、株主としても成長の筋道を描きやすくなっています。
財務面は自己資本比率が90%台、有利子負債はほとんどなしという極めて健全な状態で、製造業の中でもトップレベルの安全性があります。
急な投資や買収をする余力もありますし、必要に応じて自己株式取得などの株主還元に回すことも可能です。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
マブチモーターの株価は、急成長株のようにドンと跳ねるタイプではなく、為替や自動車関連のニュースでじわじわ上下する「大人しい値動き」が基本です。
ところが2025年秋は、円安と自動車電装関連の好材料が重なって出来高が増え、2,700円台まで水準を切り上げました。
ポイントは配当が年2回、予想ベースで78円と着実に増えていることです。
今の株価でもそこそ取れるので、もし株価が一時的に調整して2,500円近辺まで下がると、配当利回りは3%に近づいてきます。
そこまで落ちたら、長期投資家としてはかなり拾いやすいゾーンです。
一方でROEはまだ4〜5%台と低めで、ここは「超安全なバランスシートをどうやってもう少し稼ぐ体質にしていくか」が今後のテーマになります。
この課題がクリアされ、10%近い資本効率が見えてくると、株価ももう一段評価されやすくなります。
総じて、今すぐ2倍・3倍を狙う銘柄ではなく、「為替と自動車の需給が悪くない間に配当と優待を受け取っておいて、資本効率が改善したときの株価上振れを待つ」という持ち方が合います。
ディフェンシブ株や高配当株をすでに持っている人が、もう少しグローバルな製造業を足したいときの1本としてちょうどいいです。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
マブチの優待は「金券でもらってすぐに使う」タイプではなく、特産品カタログから選ぶタイプなので、実利だけで言えば飛び抜けてお得というわけではありません。
ですが、1年以上の継続保有を前提にしているため、長期で持っている人が報われる設計になっているのは好印象です。
100株で約27万円と最低取得額がやや高めなので、優待だけを目的にするなら別の銘柄のほうが回転はしやすいです。
ただ、ここは「配当が年2回で安定している」「財務が極めて健全」「世界で使われている製品を作っている」という3点セットがあるので、優待はそのおまけとして考えるとちょうどよくなります。
また、2,000株以上・3年以上の区分までいくと8,000円相当が見えてくるので、家族や取引先にちょっとしたものを贈るときにも使えます。
製造業の優待でここまで長期前提の設計は実は多くないので、「なるべく同じ銘柄を出し入れせずに育てたい」人には相性がいいです。
口座開設が不要で、届いたカタログから選ぶだけなので、暗号資産系の優待よりハードルは低めです。
年代を問わず使いやすく、配当と合わせて「毎年マブチから何か届く」という状態をつくれるのは、長期保有のモチベーションとして強いです。
総合評価
マブチモーター[6592]は、株価の上下はそれなりにあるものの、超健全な財務・世界シェアの高さ・年2回配当・12月優待という4つがそろっている、長期保有向きのメーカー株です。
配当と優待を足した総合利回りはおおむね3%前後で、今の金利環境でも「まあ持っておこうか」と思える水準です。
ここに将来の資本効率改善や、電装化のさらなる進展が乗ってくると、株価の評価がもう一段上がる余地があります。
一方で、自動車向けの景気が一休みしたとき・為替が円高に振れたときは株価も素直に下がるので、ポートフォリオの中で比率を上げすぎず、2〜3割程度にとどめておくと長く付き合いやすくなります。
「優待を楽しみつつ、世界でずっと使われる部品を作っている日本メーカーを1社入れておきたい」という長期投資家には、マブチはちょうどいい落としどころの銘柄です。

