バリューHR[6078]は、企業や健康保険組合の健康管理業務をインターネットで代行・支援するヘルスケア×ITのサービス企業です。
自社開発の「バリューカフェテリア®」というポータルサイトを使って、健康診断の予約や結果管理、保健指導、ポイントを使った健康関連サービスの購入などを一括でできるようにしているのが大きな特徴です。
健康づくりのサービスを企業とその加入者に継続的に提供するストック型のビジネスのため、景気の波を受けにくく、長く保有しても事業内容がぶれにくい点は長期投資と相性がいい会社です。
株主優待では、この「バリューカフェテリア®」を株主も利用できるようにしており、年会費が無料になるうえに、サイト内で使えるポイントももらえます。
いわゆる「使わないともったいない」タイプの優待なので、日頃から健康サービスやヘルスケア商品を使いたい人、家族のためにポイントを活かしたい人にとっては、実質利回りが高くなりやすい銘柄といえます。
一方で、現在の株価水準は事業規模に対してやや評価が先行しているところがあり、全体としての総合評価は10段階の6(悩む水準)です。
株式情報
| 割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
| PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
| 50.3倍 | 6.86倍 | 37.3% | 12.21% | 0.20倍 |
| 優待&配当 | ||||
| 総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
| 6.92% | 1.54% | 5.38% | 12月 | 169,100円 |
| 編集部おすすめ度 | 理由 |
| 優待の実用性は高く、利回りも見た目以上に厚い一方で、株価には割高感があり、今すぐ強く買いにいくよりは押し目を待って組み入れたい銘柄です。成長余地はあるものの、直近の利益面がやや伸び悩んでいる点と、信用倍率が低く売りが多い点は注意材料です。総合的には10段階中6、長期優待派なら「アリ」、値上がり一択派なら「慎重に」という評価になります。 |
株主優待情報
バリューHRでは、毎年12月末時点で100株以上を保有している株主を対象に、健康管理サービス「バリューカフェテリア®」を優待として提供しています。
年会費が無料になるだけでなく、サイト内で使えるポイントも付くため、健康診断のオプション、スポーツジム・セミナー、健康食品などに実費負担なしでアクセスできます。
株主優待の内容
| 保有株数 | 優待内容 | 備考 |
| 100株以上 | バリューカフェテリア年会費(6,600円・税込)無料+カフェテリアポイント2,500ポイント | 継続保有1年以上でポイント増額あり |
| 200株以上 | 年会費無料+5,000ポイント | 1年以上でさらに増額 |
| 300株以上 | 年会費無料+7,500ポイント | – |
| 500株以上 | 年会費無料+10,000ポイント | – |
| 1,000株以上 | 年会費無料+15,000ポイント | – |
| 2,000株以上 | 年会費無料+30,000ポイント | 長期保有で最大35,000ptまで増額 |
権利確定日と有効期限
権利確定日は12月末です。
12月31日時点で株主名簿に記載されていれば、翌年4月1日から翌年3月31日までの1年間、カフェテリア年会費が無料で利用できます。
付与されたポイントは最長2年間有効で、継続保有すればポイント額が段階的に増える仕組みです。
健康サービスを継続して使う前提の優待なので、1年で売ってしまうより数年単位で保有した方が実質的なリターンは高くなります。
会社情報

バリューHRは2001年に設立された比較的新しい会社で、本社は東京都渋谷区・新宿寄りのエリアにあります。
東京本社のほかに、青森県弘前市に大きなオペレーションセンターを持っていて、ここで健康診断の予約受付や各種問い合わせ対応などをまとめて処理しています。
多店舗を展開するチェーン店型のビジネスではなく、ウェブシステムとコールセンターを中心にサービスを提供する形なので、店舗数がどんどん増えるタイプの会社ではありません。
事業の柱になっているのが、企業や健康保険組合向けに提供している「バリューカフェテリア®」です。
これは、社員や組合員が自分の健康診断の結果を見たり、再検査の申込をしたり、健康ポイントを使ってサービスを受けたりするためのオンライン上の窓口だと考えるとわかりやすいです。
企業側にとっては「社員の健康管理をまとめてできる」「福利厚生サービスを外注できる」というメリットがあり、利用者側にとってはいつでも自分の健康データを見られるという利便性があります。
グループ会社としては、福利厚生代行をする株式会社バリューネットワークス、医療・ヘルスケアサービスを手がける株式会社バリューヘルスケア、ベンチャー投資や新サービス開発を行う株式会社バリューHRベンチャーズ、そして健康診断の予約に特化した「健診予約.com」を運営する会社などがあります。
これらはすべて「健康をITで支える」という同じ方向を向いており、企業の健康経営が広がるにつれて、まとめて受注できるようになる構造です。
上場市場は東証プライムで、資本金は20億円超と中堅規模ですが、大企業の健康保険組合を相手にするビジネスのため、収益は比較的安定しています。
自己資本比率は3割台後半と健全で、有利子負債に頼るタイプの成長ではありません。
一方で、直近は売上が伸びている割に外注費や人件費も増えたため、利益の伸びがやや鈍っているのが気になるところです。
特に、システムを自社で開発し続ける会社なので、一定の開発コストや人材への投資が恒常的に発生しやすく、短期的に見ると利益率が上がったり下がったりする場面があります。
店舗というより、サービスの「ブランド」でみると、バリューカフェテリア®、健診予約.com、健康ポイントメニュー、福利厚生代行など複数のラインがあり、これを一つのプラットフォームに載せて企業に提供している形です。
日本はこれから高齢化がさらに進むため、企業が社員の健康づくりにお金と時間をかける流れは弱まりません。
そうした追い風を受けられる位置にいるのが、この会社の一番の強みです。
ただし、競合も少なくない分野なので、今後も積極的なシステム投資を続けて、サービスの使いやすさやラインアップの豊富さで選ばれ続けることが重要になります。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報から見る投資おすすめ度と根拠
バリューHRの株価は、現在の規模のサービス企業としてはやや「高めに評価されている」側にいます。
利益水準に対して株価が高いということは、投資家がこの会社の将来性やストック型ビジネスの安定性をある程度織り込んでいる、という見方ができます。
一方で、ここ数年の業績を見ると、売上は伸びているのに利益が思ったほど伸びていない時期があり、成長の勢いが少し落ち着いている印象もあります。
このような「売上は増えているけれど利益が伸びにくい局面」で株価が高めにあると、どうしても割高感が目につきやすくなります。
自己資本比率は3割台後半で、財務は健全です。
ROEも悪くなく、資本をそこそこ効率的に使えている会社といえます。
ただし、現状の株価水準はこうした財務の安心感もかなり織り込んだ価格になっており、「これ以上ぐいぐい買い上がる材料がすぐに出るか」というと、そこは慎重に見ておいたほうがいいでしょう。
信用倍率が低く、売りのほうが多い状態になっているのもポイントです。
これは短期的に上値が重くなる要因になりやすく、長期でゆっくり拾うにはいいのですが、短期での値幅取りには向きません。
30年チャート(実際には上場後の長期推移)を見ると、上場からの時間とともに右肩上がりの期間と、横ばいに近い期間がはっきり分かれています。
サービス内容が時代のニーズに合うときは一気に買われ、成長が一服すると横ばいで推移する、という動きを繰り返しているようなイメージです。
このパターンの銘柄は「安いところで仕込んで、また評価が高まるまで待つ」という持ち方が一番かみ合います。
今の株価は「悩む水準」で、割安ではないが、長く持っていても事業が大きく崩れるイメージは持ちにくいレベルです。
PERやPBRといった指標はどれも高めのゾーンにいますので、「安く買えた」という満足感は得にくいです。
そのぶん、買う側としては配当と優待をしっかり受け取りながら、サービスがさらに広がるタイミングを待つ、という構えが必要になります。
長期で見ると、企業の健康投資は後戻りしにくく、政府も「健康経営」を後押ししているので、需要そのものはなくなりません。
この「なくならない市場」ですでにシステムを持っているという立場は強みです。
その一方で、同業他社が似たようなサービスを提供しはじめると、価格競争や機能競争が起きやすくなります。
株価が高めにあるうちは、そうしたリスクが表面化したときに下げ幅が大きくなりやすいので、ポートフォリオの中での比率を上げすぎないようにするのが現実的です。
まとめると、株式情報から見たおすすめ度は「長期前提なら可、ただし今の株価では一気に買わない」という評価になります。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
バリューHRの優待は、金券や食事券のように誰でもすぐに現金同等で使えるタイプではありません。
その代わり、健康診断のオプションや人間ドックの一部負担軽減、専門家によるアドバイス、健康食品やスポーツ系サービスなど、健康に関することを幅広くカバーしています。
普段から会社の健康診断を受けていて「どうせなら少しグレードを上げたい」と思っている人や、家族の健康チェックを定期的にしたい人にとっては、金額換算以上の価値があります。
100株で年会費6,600円が無料になり、さらに2,500ポイントがもらえるので、取得額16万円台の銘柄としては実質利回りがかなり高い部類です。
ポイントは継続保有で増えていく仕組みになっているため、1年で売るよりも3年、5年と持っていたほうがリターンがじわじわ厚くなります。
企業としても「株主に自社サービスを実際に使ってもらい、ファンになってもらう」ことを目的にしているので、優待を簡単にやめるインセンティブは小さいと考えられます。
また、同社のサービスはBtoB(企業・健保向け)が中心なので、個人投資家と日常的に接点を作るのが難しいという事情もあります。
優待を通じてサービスを体験してもらうことは、マーケティング的にも理にかなっており、この構造が続くかぎり優待の継続性は比較的高いと見ていいでしょう。
もちろん、外部環境が大きく変わったり、業績が想定以上に悪化したりすれば、ポイントの水準や加算条件が見直されるリスクはあります。
しかし、現状の財務体質と事業規模であれば、すぐに「優待廃止です」というところまで追い込まれる可能性は高くありません。
優待の弱点を挙げるとすれば、「健康系のサービスをあまり使わない人には魅力が伝わりにくい」という点です。
もらったポイントを使いきれないと、どうしても「実質利回り6%台」という魅力が薄く見えてしまいます。
逆に、家族分も含めて毎年きっちり使い切れる人にとっては、配当と足して7%近い総合利回りになるので、同じ投資額の中ではかなりお得なポジションになります。
長期で見れば、健康意識の高まりとともに、こうした「選んで使う福利厚生型」の需要は落ちにくいので、優待の価値も維持されやすいです。
したがって、優待情報から見た投資おすすめ度は、実際に使える人にとっては高く、使えない人にとっては平均的、という「持ち主によって評価が大きく変わるタイプ」となります。
優待目当てで買うなら、今の株価でも十分に理由が立ちますし、できれば長期保有でポイントを増やしていく前提で考えるのがいいでしょう。
総合評価
株式情報から見ると割高感があり、優待情報から見ると実用性が高いという、良いところと気になるところがはっきりした銘柄です。
総合的には「健康サービスを使う家庭ならおすすめ度は上がるが、値上がりだけ狙う人には弱い」という位置づけになります。
10段階評価の6という「悩む水準」らしく、買うかどうかは自分や家族が優待を使うかどうかで決めるのがいちばん納得感が出ます。
ポートフォリオに入れるときは、守りの株や高配当株と組み合わせて、1銘柄あたりのバランスが崩れないようにすると安心です。

