サカタインクス[4633]は、印刷用インキの国内大手メーカーとして知られる老舗企業です。
創業から100年以上の歴史を持ち、堅実な経営と安定した財務体質で知られています。
10年チャートを見ると、景気変動の波を受けながらも安定した推移を続けており、長期的な資産形成を目指す投資家にとって安心感のある銘柄です。
また、配当利回りが3%台後半と高く、減配のない安定的な配当政策を続けている点も大きな魅力です。
株主優待はQUOカードがもらえるシンプルな内容で、保有期間が長いほど優遇される仕組みになっています。
短期の値上がりを狙う銘柄ではありませんが、安定配当と実用的な優待を兼ね備えた“堅実な長期投資向け銘柄”といえるでしょう。
株式情報
| 割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
| PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
| 10.64倍 | 1.07倍 | 50.7% | 8.5% | 4.99倍 |
| 優待&配当 | ||||
| 総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
| 4.08% | 3.86% | 0.22% | 12月末 | 232,600円 |
| 編集部おすすめ度 | 理由 |
| 堅実な経営と高い財務健全性を持つ安定型の銘柄です。短期的な値上がりは期待しにくいものの、業績は安定しており、自己資本比率も高水準を維持しています。配当とQUOカード優待を合わせた総合利回りは4%を超え、長期保有でじっくりとリターンを得たい投資家に向いています。華やかさよりも確実性を重視する人にとって、ポートフォリオの安定要員として検討に値する銘柄です。 |
株主優待情報

株主優待の内容
対象は、毎年12月31日現在の株主名簿に記載または記録された、100株(1単元)以上を保有する株主です。
継続保有期間に応じて、QUOカードが進呈されます。
| 保有株式数 | 継続保有期間 | 優待内容 |
|---|---|---|
| 100株以上 | 1年未満 | QUOカード 500円分 |
| 100株以上 | 1年以上3年未満 | QUOカード 1,000円分 |
| 100株以上 | 3年以上 | QUOカード 2,000円分 |
継続保有期間の判定は、同一の株主番号で、毎年6月30日および12月31日現在の株主名簿に100株以上の保有が連続して記載または記録されている回数で行います。
1年未満は直近名簿の記載が2回以下、1年以上3年未満は連続3回以上6回、3年以上は連続7回以上が条件です。
贈呈時期は、毎年3月下旬ごろに送付される「定時株主総会決議ご通知」と同封で発送されます。
権利確定日と有効期限
権利確定日は毎年12月末です。
本優待は金券(QUOカード)のため有効期限は設定されていませんが、カード裏面や同封案内の注意事項に従う必要があります。
進呈基準および判定方法は会社の開示に基づきます。
会社情報

サカタインクス株式会社は、印刷用インキを中心に事業を展開する大手メーカーです。
本社は大阪市城東区にあり、創業は1896年。
すでに100年以上の歴史を持つ老舗企業です。
「色彩を通じて豊かな社会づくりに貢献する」という理念のもと、国内外で幅広い分野にインキ製品を供給しています。
主力事業は、紙媒体用の「オフセットインキ」や、包装資材に使用される「グラビアインキ」「フレキソインキ」など、印刷用途に応じた多様な製品の開発・製造です。
また、環境対応型インキや、デジタル印刷に対応した新素材の研究にも注力しており、サステナブルな印刷技術の普及を進めています。
これらは近年の脱プラスチックや環境保全の流れとも合致し、印刷業界の中でも高い評価を得ています。
国内では、東京・大阪・名古屋・福岡など主要都市に営業拠点や工場を設置しています。
海外にも広く拠点を展開しており、アジア、北米、ヨーロッパを中心に20か国以上に現地法人・販売会社を持っています。
特に東南アジアでは現地の需要が高く、海外売上比率は全体の50%を超えています。
グローバル展開を進めることで、国内需要の減少を補いながら安定した成長を維持している点が特徴です。
同社はブランドとして「サカタインクス」「INX」などを展開し、印刷インキだけでなく、パッケージ用材料や電子材料など新分野への進出も行っています。
特に、電子デバイス向けの導電インキや液晶ディスプレイ用インキなど、高付加価値分野の拡大に力を入れており、次世代の成長ドライバーとして位置づけています。
また、環境配慮型の製品開発にも積極的で、植物由来成分を使用したインキやVOC(揮発性有機化合物)を抑えた低環境負荷型インキなど、環境対応の強化を進めています。
従業員数は連結で約3,000名規模です。
研究・開発体制も強固で、大阪や東京に技術センターを構え、顧客ニーズに合わせたカスタマイズや新素材の研究を行っています。
安定した財務基盤を持ち、自己資本比率は50%超と堅実な経営を維持しています。
また、創業以来配当を途切れさせたことがなく、株主還元にも積極的な企業です。
このように、サカタインクスは印刷インキ業界における国内最大級のメーカーでありながら、海外市場での強みや環境配慮型製品の開発によって、時代の変化にも柔軟に対応しています。
長い歴史に裏打ちされた信頼性と安定した収益構造を背景に、今後も持続的な成長が期待できる企業といえるでしょう。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
サカタインクスの株式は、長期投資の観点から見て「安定性と成長性を両立した銘柄」といえます。
まず、10年以上の株価チャートを見ると、2010年代前半から緩やかな上昇トレンドを描いており、極端な乱高下が少ないのが特徴です。
景気循環の影響を受けつつも、底堅い業績と安定した財務体質を背景に、長期で見れば右肩上がりの基調を維持しています。
PERは、同業他社と比べても割高感はなく、むしろ堅実な利益水準を反映した適正価格帯にあります。
PBRも資産価値と株価のバランスが良く、企業としての安全性を重視する投資家にも向いています。
自己資本比率をみても、財務面では非常に健全です。
有利子負債の少なさや、安定したキャッシュフローの確保も評価できるポイントです。
また、ROEは業界平均を上回っており、資本を効率的に活用して利益を生み出す体制が整っています。
こうした堅実な経営基盤により、景気後退局面でも大きく業績を崩すことがなく、配当の安定性にもつながっています。
配当利回りは3%後半と高水準で、長期保有によるインカムゲインを狙う投資家にとって魅力的です。
特に注目すべきは、長年にわたり減配を行っていない点です。
業績に応じた増配の姿勢もみられ、株主還元に対する意識の高さがうかがえます。
このように、サカタインクスは短期的な株価上昇を狙う銘柄ではありませんが、景気変動に強く、長期的な安定配当と緩やかな成長が期待できます。
また、印刷用インキという安定した需要に加えて、近年は環境配慮型製品やデジタル印刷向け素材などの新市場にも取り組んでおり、将来的な成長余地もあります。
国内需要が縮小する一方で、海外売上比率が50%を超えていることから、為替や海外経済の影響も受けやすいものの、グローバルな分散がリスクヘッジにもなっています。
総合的に見ると、サカタインクスの株式は安定した財務、持続的な配当、そして堅実な成長戦略がそろった“守りながら増やす”タイプの優良株といえます。
長期保有でじっくりと利益を積み上げたい投資家にとって、ポートフォリオに加える価値のある銘柄です。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
サカタインクスの株主優待は、長期保有を重視する投資家にとって魅力的な内容になっています。
優待内容は、保有期間に応じてQUOカードがもらえるシンプルな設計です。
100株を保有していれば、1年未満で500円分、1年以上で1,000円分、3年以上で2,000円分のQUOカードが進呈されます。
株価が2,300円台で推移しているため、優待利回りは高利回りではありませんが、配当利回りが高いことを考えると、総合利回りでは十分に魅力があります。
注目すべきは、優待の条件に「継続保有期間」が明確に定められている点です。
短期的な保有ではなく、長く株を持ち続ける株主を優遇する姿勢が示されており、企業側が安定株主を大切にしていることがうかがえます。
また、QUOカードは全国のコンビニや書店、ドラッグストアなどで利用できるため、実用性が非常に高く、現金同様に扱える点も評価できます。
さらに、送付時期も毎年3月下旬と安定しており、定時株主総会の案内と一緒に届くため、株主とのコミュニケーションツールとしても機能しています。
優待額自体は小規模ながら、サカタインクスの堅実な経営姿勢や、株主を継続的に重視する姿勢が感じられます。
また、減配がほとんどない安定企業であるため、配当と優待を組み合わせた「トータルリターンの高さ」では同業他社を上回るレベルにあります。
このように、優待そのものの金額よりも、「長期保有によって得られる信頼とリターンの積み上げ」が最大の魅力といえます。
インフレや金利上昇局面でも、サカタインクスのように安定したキャッシュフローを持つ企業の優待は価値が下がりにくく、生活の中で使える実用性が強みになります。
また、優待基準の見直しリスクも低く、過去の履歴からも継続性が確認できる点は、長期保有を前提とした投資家にとって安心材料です。
優待制度を通して株主との関係を大切にしている企業文化は、財務の健全性と同じくらい信頼に値します。
総じて、サカタインクスの優待は派手さはないものの、長く保有するほど恩恵が増す「堅実で安定したタイプ」の優待制度です。
長期投資を志向する人にとって、配当とあわせて満足度の高い保有メリットが得られる銘柄といえるでしょう。
総合評価
サカタインクスは、堅実な経営基盤と株主重視の姿勢が際立つ、長期保有に適した優良企業です。
10年以上の株価推移を見ると、大きな急落局面でも下値をしっかりと支えながら回復しており、景気変動に強い安定型の銘柄といえます。
事業の中心となる印刷用インキ分野では国内トップクラスのシェアを誇り、加えて環境配慮型インキや電子材料分野など、成長が見込まれる新領域にも積極的に投資しています。
このバランスの取れた事業構成が、同社の強みを支えています。
財務面でも自己資本比率が高く、無理のない経営を維持しており、配当も安定的に支払われています。
PER・PBRともに割高感がなく、企業価値に対して株価が過剰に評価されていない点も好印象です。
長期的な視点で見ると、安定した業績、健全な財務体質、継続的な株主還元という3つの軸がそろっており、持っていて安心感のある銘柄といえます。
さらに、優待制度も長期保有を前提として設計されており、企業側が“短期で売買されない株主”を大切にしていることが伝わります。
金額としては控えめな内容ですが、保有年数に応じて段階的に増える仕組みは、継続保有のインセンティブとして非常に優れています。
また、国内市場の縮小リスクを海外展開で補っており、今後の成長余地も十分にあります。
派手さはないものの、地に足のついた経営を続ける同社は、長期的に「安心して保有できる銘柄」としてポートフォリオに加える価値が高いといえます。

![サカタインクス[4633]30年株価チャート](https://kabulife.jp/wp/wp-content/uploads/2025/10/4633-20251024.png)