エルテス[3967]は、インターネット上のリスク対策やAIを使ったセキュリティなど、これからの社会で必要とされる分野に力を入れている会社です。
株価の動きは安定しているとは言えず、財務の面でも課題がありますが、事業内容の将来性には注目できます。
また、株主優待としてデジタルギフトを年2回受け取ることができ、長期で保有する株主にとっては楽しみのある制度です。
今回は、そんなエルテスの株価情報や会社の特徴、投資のおすすめ度について、わかりやすく解説していきます。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
24.4倍 | 2.21倍 | 24.7% | −39.3% | 0.00倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
1.82% | 0.00% | 1.82% | 2月、8月 | 約54.9万円(800株) |
編集部おすすめ度 | 理由 |
デジタルリスクやAIセキュリティといった将来性のある分野を手がけており、長期的な成長余地はあります。一方で、財務基盤の弱さや利益率の低さが課題となっており、短期的な株価上昇は期待しにくい状況です。株主優待は年2回受け取れる点は魅力ですが、800株以上とハードルが高く、実用性は人によって評価が分かれます。 |
株主優待情報

エルテスの株主優待は、自社グループのサービスに使えるデジタルギフトが贈呈されます。
優待を受け取るには800株以上の保有が条件となり、株数に応じて金額が変わります。
以下の表に具体的な内容をまとめました。
保有株数 | 優待内容 |
---|---|
800株以上~1,200株未満 | 1,000円相当のデジタルギフト |
1,200株以上~2,000株未満 | 2,000円相当のデジタルギフト |
2,000株以上 | 3,000円相当のデジタルギフト |
このデジタルギフトは、グループ会社が運営するECサイトや提携サービスで利用できるため、日常的に使いやすい優待となっています。
権利確定日と有効期限
権利確定日は2月末と8月末の年2回です。
権利確定日に株主名簿へ記載されている株主が対象となります。
有効期限はデジタルギフトの種類によって異なりますが、おおむね発行から半年程度が利用可能期間とされています。
年2回の優待があるため、長期で株を持つ株主にとっては楽しみが続く制度といえます。
会社情報
エルテスは、東京都千代田区霞が関に本社を置く、デジタルリスクマネジメントを主な事業とする会社です。
会社の主な事業は大きく四つに分かれています。
一つ目は「デジタルリスク事業」です。
これは、インターネットやSNSなどで問題になりそうな情報を監視したり、炎上や評判低下などのリスクを分析して防ぐサービスです。
二つ目は「AIセキュリティ事業」です。
従来の警備業務にデジタルやAIの技術を組み合わせて、安全性を高める取り組みをしています。
三つ目は「DX推進事業」です。
企業や行政のデジタル化を手伝い、業務を効率化したり新しいサービスを作ることをサポートします。
四つ目は「スマートシティ事業」です。
地域や街をテクノロジーでより便利で住みやすくするためのインフラやサービスをつくる仕事です。
エルテスにはグループ会社が多数あり、グループは全部で13社で構成されています。
AI技術に強い会社や警備関連の会社、DXを支援する研究型の会社など多様な事業を展開しています。
本社は東京都霞が関にあり、ほかにも岩手の紫波町や大阪、名古屋などにオフィスを持っています。岩手には本店としての拠点があります。
このようにエルテスは、デジタル技術を活用して社会のリスクを未然に防ぐことを目指し、幅広いサービスを展開しながら全国に拠点を持って活動している会社です。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
エルテスの株価は、上場から10年近くが経過する中で、大きな上下を繰り返してきました。
一時的に注目を集めた時期には株価が急騰したものの、その後は下落し、現在は落ち着いた水準にあります。
20年チャートを振り返ると、長期的には右肩上がりというよりも、むしろ下落傾向を示す局面が多く見られます。
つまり、現時点では成長株というよりも、事業の安定性や利益の積み上げを確認しながら評価すべき段階にあると言えます。
指標を見ると、PERはやや高めであり、将来の成長性を先取りした株価水準になっていることがわかります。
一方で、PBRも比較的高く、資産面から見ても割安感はあまり感じられません。
自己資本比率は低めであり、財務体質の強固さという点では安心感に欠ける部分があります。
さらにROEはマイナスとなっており、株主資本をどれだけ効率的に利益に変えているかという点で改善の余地が大きい状況です。
これらを総合すると、短期的に株価が大きく上昇する材料は少ないと考えられます。
ただし、同社の事業内容はインターネットの普及とともに重要性を増している分野です。
デジタルリスクやAIを活用したセキュリティ対策は、今後の社会にとって不可欠であり、需要の伸びしろは確実にあります。
そのため、すぐに業績に結びつかなくても、長期的に見れば成長の可能性を秘めていると言えるでしょう。
投資の観点から考えると、現状の指標や株価水準だけを見ると魅力は限定的です。
しかし、事業領域が今後の社会課題に合致している点を評価すれば、将来を見越して少しずつ投資を検討する価値はあります。
大きな成長を短期間で期待するのではなく、長期保有を前提に将来の社会需要と結びつけて考える銘柄だと評価できます。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
エルテスの株主優待は、800株以上の保有でデジタルギフトがもらえる仕組みになっています。
800株以上で1,000円相当、1,200株以上で2,000円相当、2,000株以上で3,000円相当と、保有株数に応じて内容が増える形式です。
このデジタルギフトは、自社グループのサービスや提携先で利用できるため、現金のように日常生活の一部として使うことも可能です。
利回りの面で見ても、配当がゼロのため優待利回りのみが投資家への還元となっています。
優待利回りは特出して高いわけではなく、優待内容を魅力的と感じるかどうかは投資家のライフスタイルに左右されます。
もしグループサービスを積極的に利用する人にとっては、毎年2回受け取れるメリットは大きく感じられるでしょう。
一方で、そのサービスを使わない人にとっては現金や汎用性のあるギフトカードに比べて利便性が劣る面があります。
長期的な視点で考えると、エルテスはまだ事業成長の途中にある企業です。
利益水準や配当性向に余裕が出てくるまでは、優待制度が株主還元の中心になると考えられます。
つまり、優待は株価下落時の支えとなる一方で、投資額に見合ったリターンを実感するにはやや時間がかかる可能性があります。
優待は年に2回あるため、継続して保有している株主には定期的に還元がある点は評価できます。
そのため、優待制度を「おまけ」として楽しみつつ、長期で成長を見守るスタンスが最も適していると言えます。
総合的に見れば、優待を主な目的に投資をするにはハードルがやや高い銘柄です。
しかし、企業の成長と合わせて中長期で保有し続けることができれば、投資妙味は十分にあると評価できます。
総合評価
エルテスの株式は、将来性のある事業分野を手がけている一方で、財務体質や収益力に課題を抱えている会社です。
株価指標を見ても割安感は小さく、ROEがマイナスであることから効率的な経営ができていないことがうかがえます。
そのため、短期的に大きな値上がりを期待する銘柄ではなく、長期的な視点で社会的な需要の拡大とともに育つ企業だと考えるべきです。
株主優待に関しては、800株以上の保有が条件となり、最低取得金額は50万円を超えます。
優待内容はデジタルギフトであり、使いやすい人にとっては利便性がありますが、生活スタイルによって評価が分かれる制度です。
利回りの面でも配当がないため、優待利回りだけが株主還元の柱になっています。
それでも年に2回受け取れる仕組みは長期保有の株主に安心感を与えており、持ち続けるモチベーションにはなります。
積極的に買うべき銘柄というよりも、事業内容に共感し、将来性を信じて長期で見守る投資家に向いた銘柄だと言えるでしょう。