ザ・パック[3950]は、紙袋やパッケージをつくる老舗メーカーです。
100年以上の歴史を持ち、街のショップ袋からギフトボックス、食品の包装資材まで、あらゆる場面でその製品が使われています。
派手な成長株ではありませんが、景気に左右されにくい安定したビジネスを展開しており、長期保有にぴったりの企業です。
株主優待では、自社製品である紙製品の詰め合わせが届き、季節ごとにデザインが変わるのも楽しみのひとつです。
配当と優待を合わせた総合利回りは4%を超え、株主への還元姿勢も魅力的です。
長く持つほどに安心感が増す、まさに“地味だけど強い”タイプの安定銘柄といえます。
株式情報
| 割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
| PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
| 11倍 | 0.9倍 | 72.09% | 8.68% | 0.44倍 |
| 優待&配当 | ||||
| 総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
| 4.53% | 3.33% | 1.20% | 6月、12月 | 124,000円 |
| 編集部おすすめ度 | 理由 |
| 堅実な経営と安定した収益構造を持つ長期保有向きの優良銘柄です。景気に左右されにくい包装資材という分野で着実に成長を続け、環境対応という新たな需要も追い風になっています。 |
株主優待情報

株主優待の内容
ザ・パックの株主優待は、年に2回(6月末と12月末)実施されています。
6月末の株主には図書カード500円分、12月末の株主にはQUOカード1,000円分が贈られます。
つまり、1年を通して保有していると合計で1,500円分のギフトカードがもらえる仕組みです。
どちらも全国の書店やコンビニなどで使えるため、使い勝手の良さが大きな魅力です。
優待を受け取るには、100株以上の保有が条件となっており、取得金額はおおよそ12万円台と比較的手の届きやすい水準です。
企業の自社製品ではなく、誰でも活用できる汎用性の高い優待内容のため、初めて優待株を持つ投資家にも人気があります。
| 権利確定月 | 保有株数 | 優待内容 |
|---|---|---|
| 6月末 | 100株以上 | 図書カード 500円分 |
| 12月末 | 100株以上 | QUOカード 1,000円分 |
権利確定日と有効期限
権利確定日は毎年6月末日と12月末日の2回です。
それぞれの基準日に100株以上を保有していれば、自動的に優待が送付されます。
発送時期は、6月分が9月頃、12月分が翌年3月頃です。
図書カードやQUOカードには使用期限がないため、手元に保管しておいて好きなときに使えます。
優待品の到着もスムーズで、金券系としては非常に実用的で分かりやすい内容です。
企業側としても、全国どこでも使える優待を採用することで、幅広い層の株主に喜ばれる仕組みを整えています。
会社情報

ザ・パック株式会社は、大阪市東成区に本社をおき、東京にも本部を持つ日本のパッケージメーカーです。
1878年創業と歴史が長く、1952年に会社として設立され、いまは東証プライムに上場している安定した企業です。
主な仕事は、お店や企業が商品を入れてお客さまに渡すときに使う紙袋や箱、段ボール、フィルム包装、ギフト用のラッピング資材などをつくって販売することです。
特に手提げの紙袋は国内シェアがトップクラスで、「お店の顔になる袋をつくる会社」として知られています。
食品向けの清潔な紙容器も工場でつくっていて、FSSC22000という衛生に関する国際的な認証もとっています。
全国にものを届けるためのネットワークも広くて、大阪の本社と東京本社ビルのほかに、北海道、東北、関東、名古屋、京都、神戸、岡山、広島、四国、福岡などに支社があります。
さらに青森や新潟、静岡、金沢、松本、九州各地などに営業所があり、直接お客さまの相談に乗れる体制になっています。
工場も大阪・奈良・東京・茨城に持っていて、設計から製造、印刷、納品までを自社でまとめてできるのが強みです。
いわゆる「店舗数」というよりは、「全国の支社・営業所・工場でお客さまをカバーしている会社」と考えるとわかりやすいです。
取り扱いのブランドやシリーズは、スーパーやアパレルの紙袋、アパレル用の不織布バッグ、EC発送用の宅配袋、食品パッケージ、ギフトボックス、環境にやさしいFSC材やバイオマス素材を使ったパッケージなど、用途ごとに分かれています。
お客さまのロゴや色を入れて「お店らしさ」を出すオリジナルパッケージも得意で、1店舗しかないお店から何百店舗あるチェーン店まで対応できるようになっています。
グループとしては、特殊印刷を行う会社や海外の関連会社も持っていて、売上は連結で1,000億円を超える規模になっています。
老舗らしい安定感がありつつ、新しい素材や環境対応品も出しているので、長く付き合いやすいメーカーという印象です。
長期で株を持つときに大事な「事業のわかりやすさ」「お客さまが途切れにくい業種」「全国に営業の入り口があること」という3点はそろっている会社といえます。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
ザ・パックの株式を総合的に見ると、長期的な安定成長を続けてきた「地に足のついた企業」といえます。
30年の株価チャートを見ると、景気の波や一時的な下落を経ながらも、全体としてはゆるやかに右肩上がりの流れを描いています。
この動きは、派手な成長ではなく着実な歩みを続けてきた企業の姿をそのまま映しています。
日常生活に欠かせない「紙袋・パッケージ」という分野は、景気変動に強く、需要が安定しているのが特徴です。
加えて、ザ・パックは100年以上にわたりこの分野をリードしており、企業としての信頼性と取引の広さが盤石です。
顧客には大手百貨店、アパレルブランド、食品メーカーなどが多く、単発取引ではなく長期的な継続取引が中心となっています。
つまり、景気に一喜一憂するよりも「社会の基盤を支える仕事」で成り立っており、経営の安定性は非常に高いといえます。
また、同社の強みは単なる製造業にとどまらず、デザイン・印刷・物流まで自社で完結できる一貫体制にあります。
これにより、景気が悪化しても自社でコストコントロールができ、一定の利益を確保しやすい構造になっています。
こうした仕組みが、長期間にわたって安定した株価推移を支える背景になっています。
近年では、環境意識の高まりを背景に、プラスチックから紙へのシフトが進んでいます。
このトレンドは同社にとって追い風であり、環境対応型パッケージやリサイクル素材を活用した製品の需要が拡大しています。
つまり、古くからある業種でありながら、社会の変化に合わせて新しい需要を取り込みつつある段階です。
この柔軟さが、成熟企業でありながらも「次の10年も伸びていく企業」であることを示しています。
さらに、経営姿勢も堅実で、急拡大を目指すのではなく、利益を着実に積み上げて株主に還元する方針が明確です。
派手さはありませんが、企業の土台がしっかりしているため、安心して長く保有できる銘柄です。
市場全体が不安定な局面でも、株価が極端に崩れにくいのは、この「安定した事業基盤」と「堅実な経営」があるからです。
総じて、ザ・パックは短期的な値上がり益を狙う銘柄ではなく、10年、20年と時間を味方につけてじっくりとリターンを積み上げていくタイプの株です。
安定した事業、確かな顧客基盤、社会的なニーズの継続という三本柱が揃っており、長期保有のポートフォリオに加えるにふさわしい企業といえます。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
ザ・パックの優待は、シンプルながら使い勝手が非常に良い内容です。
図書カードとQUOカードという2種類の金券がもらえるため、年2回のちょっとした楽しみがあり、長期で保有する動機づけにもつながります。
特にQUOカードはコンビニやドラッグストア、カフェなど多くの店舗で利用できるため、日常生活の中で自然に使えるのが魅力です。
優待品に有効期限がなく、いつでも使える点も実用的で、金券系優待の中でも満足度は高いといえます。
また、6月と12月の年2回という頻度もバランスが良く、年1回の優待に比べて楽しみが倍増します。
加えて、優待だけでなく配当も安定しており、総合利回りは4%を超える水準です。
株価水準も比較的落ち着いており、12万円前後で優待と配当の両方を受け取れるのは、長期投資家にとって魅力的です。
このような「安定+実用性」の組み合わせは、生活の中で活かせる投資として心理的にも保有しやすい特徴があります。
また、優待の内容が複雑でないため、初めて株主優待を体験する人にもわかりやすく、長く続けやすいのもポイントです。
企業側も長年にわたって同様の優待を継続しており、株主を大切にする姿勢がうかがえます。
特別な豪華さはありませんが、堅実で裏切らないタイプの優待であり、同社の経営方針とも一致しています。
総じて見ると、「高い実用性」「長期保有の安定感」「優待と配当のバランス」が取れた良質な内容です。
長期で安心して保有できる銘柄として、優待面からもおすすめ度は高く、10段階で8に相当します。
時間をかけてゆっくりとリターンを育てるタイプの投資にぴったりの銘柄です。
総合評価
総合的に判断すると、成長の爆発力よりも安定収益と社会的意義を重視する投資家にとって、ポートフォリオの中核を担える存在です。
長期的な信頼感と堅実な業績、そして優待を通じた株主との良好な関係性を考えると、「長く持って安心できる良株」として位置づけられるでしょう。

