ワールド[3612]は、全国に多くのお店を持つファッションブランドの会社です。
おしゃれが好きな人にはなじみのある名前かもしれません。
今回は、そんなワールドの株について、長く持ち続ける「長期保有」の視点から調べてみました。
株主優待では洋服などに使えるお得な券がもらえますが、株価の動きや会社の将来性もしっかり見ておくことが大切です。
どんな人に向いている株なのか、くわしく見ていきましょう。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
7.67倍 | 1.02倍 | 29.7% | 13.60% | 3.68倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
5.4% | 4.21% | 1.19% | 2月、8月 | 261,400円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
安定した優待制度とブランドの知名度を活かせる人には魅力があります。 とくにアパレルが好きで、店舗やオンラインショップをよく利用する方には実用的です。一方で、株価の成長性や利回り面では目立った強さはなく、他に魅力的な銘柄も多く存在します。総合的に見ると、優待を目的にじっくり保有するスタイルには悪くありませんが、積極的に買いたくなるタイミングではないため、「見送り」が妥当と言えるでしょう。 |
株主優待情報

株主優待の内容
株式会社ワールドでは、毎年2月と8月の年2回、株主優待として自社グループで使える優待券を贈っています。
この優待券は、アパレルブランドを中心としたワールドグループ各店舗や、ワールドオンラインストアで利用できます。
特にファッションに興味のある方や、普段からワールドのブランドを愛用している方にとっては、実用性の高い優待と言えるでしょう。
優待獲得株数 | 優待内容 | 長期保有特典 |
---|---|---|
100株以上 | 1,500円相当 | 3年以上で3,000円相当 |
300株以上 | 5,000円相当 | 3年以上で10,000円相当 |
500株以上 | 10,000円相当 | 3年以上で20,000円相当 |
※すべての条件において、6か月以上の継続保有が必要です。
※店舗および公式オンラインショップで使用可能です(利用条件あり)。
権利確定月と有効期限
権利確定月 | 権利付最終日 | 優待到着時期 | 有効期限 |
---|---|---|---|
2月 | 2025年2月26日 | 毎年4月下旬ごろ | 発行日から6か月 |
8月 | 2025年8月27日 | 毎年10月下旬ごろ | 発行日から6か月 |
※優待は半年ごとに2回届きます。
※優待券は「1会計2,000円(税込)ごとに1枚利用可能」などの使用条件があります。
会社情報

株式会社ワールドは、ファッションやライフスタイル関連の商品を取り扱っている大手のアパレル会社です。
本社は神戸市にあり、日本全国に店舗を持つだけでなく、オンラインショップも展開しているため、どこに住んでいても商品を購入できるのが特徴です。
設立は1959年と歴史があり、長年にわたって洋服を中心とした商品を開発・販売してきました。
ワールドは、ひとつのブランドだけではなく、たくさんのブランドを持っていることが強みです。
たとえば「UNTITLED(アンタイトル)」や「INDIVI(インディヴィ)」のような少し大人向けのブランドから、「index(インデックス)」「grove(グローブ)」といった普段使いしやすいブランドまで、幅広いラインナップがあります。
のため、若者からシニア世代まで、さまざまな年代の人たちに向けた洋服を提供しています。
さらに、ファッションだけでなく、ライフスタイル雑貨やコスメ、子ども向けの服なども扱っており、生活全体をおしゃれに演出できる商品づくりをしています。
近年では環境への配慮や、持続可能なものづくりにも力を入れており、企業としての社会的な姿勢も重視されています。
店舗は、ショッピングモールや駅ビルの中にあることが多く、日本全国に1,000店舗以上を展開しています。
また、近年はリアル店舗とネットショップの両方で買い物ができる「オムニチャネル化」を進めており、スマホやパソコンから気軽に商品を選べる仕組みを整えています。
公式通販サイト「ワールド オンラインストア」では、すべてのブランドの商品をまとめて購入でき、店舗で受け取ることもできます。
こうした取り組みにより、買い物の自由度が高まり、ユーザーにとって便利なサービスが充実しています。
今後もファッションだけでなく、ライフスタイル全体を提案する企業として、さまざまな商品とサービスを提供していく姿勢が見られます。
洋服を「売る」だけでなく、暮らしに「彩りを与える」存在を目指している企業と言えるでしょう。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
ワールドの株式は、長期での資産形成や優待目的の投資対象として考えたとき、やや慎重なスタンスを取りたい銘柄です。
その理由は、まず株価の長期チャートを見ればわかるとおり、大きな上昇と下落を繰り返しており、安定的な成長トレンドが見えづらい点にあります。
とくに2019年から2020年にかけて急落したあと、長い間低迷が続き、最近になってようやく持ち直してきたとはいえ、過去の高値を回復するには至っていません。
このようなチャートの形からは「業績の浮き沈みが激しい」「市場からの評価が安定していない」といった印象を受けます。
つまり、長期保有するには一定の覚悟とタイミングの見極めが必要ということです。
また、企業としての収益性はそれなりに確保されているものの、成長産業ではなく、構造的に競争が激しく、売上や利益が伸び悩む場面も出やすい業界です。
一方で、経営の安定感や資本政策に大きな問題があるわけではなく、倒産リスクなどの不安は現時点では感じられません。
また、アパレル業界にありがちな過剰在庫や収益性の低下といった課題にも、過去数年で一定の対応を行っており、企業努力は感じられます。
ただし、これらは株主にとって「積極的に買いたくなる決定打」にはなりにくいとも言えます。
株主にとって魅力的な優待制度がある点は好材料ですが、株価そのものの成長性や資産価値の増加を狙った投資先として見ると、積極的に買い増しをしたくなるような強さは感じません。
現在の株価水準も決して「安い」と言える位置ではなく、すでに織り込み済みの部分も多いため、今この価格帯で入る魅力はやや乏しいという印象です。
長期で株式を保有しながら優待をコツコツと受け取るスタイルの投資家にとっては、選択肢のひとつではあるものの、「代替の優待銘柄が豊富にある中で、あえてワールドを選ぶ理由」がやや弱いのも事実です。
「今は見送って様子を見る」という判断が現実的ではないかと思われます。
株主優待にみる分析
ワールドの株主優待は、アパレル業界の中でも比較的使いやすく設計されている点が評価できます。
とくに自社の人気ブランドを全国の店舗やオンラインショップで利用できることは、地方在住の投資家にとっても大きなメリットになります。
さらに、年に2回もらえるという点も、生活に少しうれしいリズムを与えてくれる制度だと思います。
また、この優待制度は「半年以上の継続保有が必要」であり、「3年以上保有すれば金額が2倍になる」という設計になっているため、短期売買ではなく長期保有をするインセンティブがしっかりと組み込まれています。
このような優待設計は、企業側としても安定株主を増やしたいという意思の表れであり、投資家との関係を長く続けようという姿勢が見えてきます。
長期で株を保有しようと考えている人にとって、優待がグレードアップする仕組みはモチベーションになりやすいです。
一方で、注意したい点もあります。
まず、優待の利回りは高すぎるわけではありません。
金額で見ると、100株で年間1,500円×2回=3,000円(長期で6,000円)なので、利回りの水準は高くありません。
また、優待券は「2,000円以上の買い物で1枚使える」という条件があるため、実際に使うにはある程度の出費が必要です。
つまり、優待券そのものが「割引クーポンのような性質」であるため、現金のような感覚で受け取れるわけではありません。
さらに、ワールドのブランドに日常的な親しみがあるかどうかも大きな分かれ目です。
ファッションに興味がなく、ワールドの店舗やオンラインストアをあまり利用しない人にとっては、使い道に困る優待とも言えます。
これは、QUOカードや食事券のような「万人向けの優待」とは違い、「使う人を選ぶ優待」だということを意味しています。
こうした点から考えると、この優待は「ワールドのブランドが好きで、今後も買い続けたいと思っている人」にとっては非常に魅力的です。
とくに長期保有によって金額が増える仕組みがあるため、普段の買い物と組み合わせて実用的に活用できる人にとっては相性の良い銘柄です。
ただし、投資先としての優待目的だけで見ると、より利回りの高い他の優待銘柄も多くあるため、「優待利回り重視」の投資家にはやや物足りなさも残ります。
そのため、ワールドの優待は「実用性と親しみやすさ」に重きを置く投資家向けであり、「金額的なリターン」を重視する投資家には向かない可能性もあります。
総合的に見ると、優待制度はしっかり整備されており、長期保有を前提とするスタイルには適していますが、使い道が限られることや、利回り水準の点からも「積極的に優待目当てで買いたくなる水準」とまではいえない印象です。
総合評価
株式会社ワールドの株は、長期で持つことを前提とした場合に「ちょっと考えどころが多い銘柄」といえます。
まず株価の動きを長い目で見ると、良い時もあれば悪い時もあり、上下の波が大きい傾向があります。
過去には業績が落ち込んで株価が大きく下がったこともあり、ずっと右肩上がりに成長している企業とは言えません。
総合的に考えると、ワールドの株は「ブランドや優待内容に親しみを感じている人」や「一定の安定感を重視する長期投資家」には、選択肢の一つになり得る銘柄です。
ただし、株価の上昇による大きな利益や、優待による高いリターンを求めている場合には、ほかの銘柄を検討した方が良い場面もあると思います。
無理に買いに行かずに少し様子を見ておくのが妥当なタイミングと言えるでしょう。