ANAPホールディングス[3189]は若者向けのファッションブランドを展開している会社です。
株主になるとオンラインショップで使える割引券がもらえるのが特徴です。
一方で配当はなく、株価の動きも安定していません。
そのため投資として考えると、お得さを感じられるのは主にブランドのファンや買い物をする人に限られます。
長期保有を目的にするよりも、優待を楽しむことを中心に検討するのが現実的な銘柄です。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
― | 43.5倍 | ― | ― | 5.31倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
0.0% | 0.0% | 0.0% | ― | ― |
編集部おすすめ度 | 理由 |
投資として見ると長期的な成長性や安定感に乏しく、おすすめ度は低い銘柄です。配当もなく、株価の動きも不安定なため、資産形成を目的とした保有には向きません。ただし株主優待として30%割引券がもらえる点は魅力的で、ブランドのファンや実際に買い物をする人にとっては価値があります。したがって一般的な長期投資というよりは、ファッション好きが優待を楽しむために保有する銘柄と位置づけられます。 |
株主優待情報
株主優待の内容
ANAPホールディングスの株主優待は、「ANAPオンラインショップ」での買い物に使える30%割引券です。
保有株数によって割引券の枚数が変わり、100株以上で2枚、500株以上で3枚、1,000株以上で5枚がもらえます。
割引を使うには、1回の買い物で税込5,000円以上の購入が条件となり、利用できる上限は税込11万円までとなっています。
区分 | 内容 |
---|---|
優待内容 | 「ANAPオンラインショップ」で使える 30% 割引券 |
割引枚数(100株以上) | 2枚/500株以上:3枚/1,000株以上:5枚 |
割引対象 | 購入金額税込5,000円以上の買い物(上限:税込11万円) |
権利確定月 | 毎年8月末時点の株主が対象 |
有効期限・発送時期 | 優待券は毎年11月下旬頃に発送予定 |
権利確定日と有効期限
株主優待の権利確定日は毎年8月末です。
優待券は通常、11月下旬に発送されます。
有効期限については明確には示されていませんが、発送された年の利用に限られると考えるのが一般的です。
会社情報

株式会社ANAPホールディングスは、日本で生まれたファッション企業です。
1992年に東京・原宿で第1号店を若者向けのカジュアルファッションを中心に展開していて、いまではさまざまなブランドを抱えるグループ企業になっています。
2025年には持株会社体制となり、グループ全体をまとめる形に移行しました。
ANAPという名前を聞いたことがある人も多いかもしれませんが、実は一つのブランドだけでなく、たくさんのブランドを展開しています。
たとえば、子ども向けの「ANAP KIDS」や「ANAP GiRL」、リゾートやサーフテイストを取り入れた「ANAP MIMPI」、落ち着いた大人向けの「CHILLE」や「LATINA」、さらに「SETTIMISSIMO」「AULI」など、それぞれに違った世界観を持つブランドが揃っています。
ショッピングモールなどに出店しているため、親子で楽しめるファッションブランドとしても知られています。
店舗数は全国に点在していて、ショッピングセンターや駅ビルに展開することが多いです。
数年前の情報では40店舗近くが存在しており、時代の流れに合わせて出店や閉店を繰り返しながら規模を調整しています。
また、近年では実店舗に加えてオンラインショップの利用が急速に広がっており、自宅にいながら好きな洋服を選べる点も人気の理由です。
ファッション感度の高い若者層だけでなく、親子や大人世代まで、幅広いお客さんに届くようにブランドを多角化していることが特徴です。
さらに、ANAPホールディングスはファッション事業だけにとどまらず、新しい分野にも積極的に挑戦しています。
美容サロンの運営やリラクゼーションサービスの提供など、ライフスタイル全体を支える事業を展開しているのです。
最近では投資分野にも進出し、暗号資産であるビットコインの保有を拡大していることでも話題になりました。
単に洋服を売る会社という枠を超えて、人々の生活を豊かにするためにさまざまな取り組みを行っているのが特徴です。
従業員の平均年齢は30歳前後と比較的若く、社内は活気にあふれています。
ファッションという流行に敏感な業界にいることから、社員一人ひとりが常に新しいアイデアや発想を持ち込みながら、ブランドを進化させているといえます。
お客さんにとっても、若い感性を取り入れた商品が多いため、ショッピングの楽しさが感じられるでしょう。
こうした動きを通じて、ANAPホールディングスは「ファッションを通して人々の毎日を豊かにする」という姿勢を貫いています。
衣服だけでなく、美容や投資といった新しい価値を組み合わせることで、より幅広いライフスタイルに寄り添おうとしています。
中学生のみなさんから見ても、ただ洋服を売る会社ではなく、暮らしそのものを明るく楽しくする存在として成長を続けている企業と言えるでしょう。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
ANAPホールディングスの株式を長期的に見ていくと、投資対象としての魅力はやや低いと考えられます。
20年という長い株価のチャートを見ると、急激に成長して大きな上昇を続けるという流れはなく、むしろ値動きが不安定で、安定的な右肩上がりの成長を描けていないことがはっきりわかります。
短期的に株価が跳ね上がる時期もありますが、長く保有して利益を積み重ねていくという観点では、安定感に欠ける動きが多いのです。
指標面を見ても、投資家にとって安心して長期保有できる水準とは言えません。
PERは基準が算出されない状況になっており、これは利益が十分に出ていないことを意味しています。
つまり、会社が稼ぎ出す力がまだ弱いということです。一方でPBRは非常に高く、株価が会社の純資産に比べて割高に評価されていることを示しています。
このような状況では、投資資金を長期間預けるリスクが高いといえるでしょう。
また、配当が出ていない点も長期投資家には不利な要素です。
通常、長期保有を考える際には株価の値上がりだけでなく、配当による安定収入を得られるかどうかが大切になります。
しかしANAPの場合は配当がなく、保有するだけで得られるリターンは株主優待しか存在しません。
そのため、株価が下がってしまった場合に投資リスクを補う仕組みが弱いという問題があります。
さらに、自己資本比率やROEといった経営の安定性を示す指標も、十分に高水準で安定しているとは言えません。
これは、会社が利益を効率よく生み出して株主に還元できていないことを意味します。
信用倍率もやや高めで、短期的な需給によって株価が振れやすい傾向もあります。
投資家が安心して10年、20年と保有し続けられるかを考えると、不安定さの方が強調される状況です。
事業内容に目を向けても、会社の方向性は多角化を進めてはいますが、ファッションという流行に大きく左右される業界に依存しています。
特に若年層向けのブランドが多く、流行の変化や景気の影響を受けやすいという特性があります。
最近では暗号資産投資など新しい試みをしていますが、これは収益の安定性を高めるというよりは、リスクのある挑戦的な事業であるため、長期投資家にとっては安心材料にはなりにくい部分です。
総合的に考えると、ANAPホールディングスの株式は、長期保有に向く安定した投資先とは言いづらいです。
成長性の高さや収益の強さを裏付ける材料が乏しく、配当もないため、株主優待を目的とする以外では投資妙味が小さいと言えます。
株価水準が割安であれば一時的な見直し買いが入る可能性もありますが、10年以上の視点でじっくり保有して資産形成をするという観点から見ると、おすすめ度は低めです。
つまり、この銘柄に対しては「長期で保有して大きな利益を狙う」よりも、「短期的に優待や値動きを楽しむ」程度にとどめておく方が現実的です。
投資家が安心して長い期間持ち続けるために必要な、利益の安定性や成長への確信が現状では弱いといえるでしょう。
株主優待にみる分析
ANAPホールディングスの株主優待は、オンラインショップで使える30%割引券です。
100株で2枚、500株で3枚、1,000株で5枚と保有株数に応じてもらえる枚数が増えていきます。
割引は1回の買い物につき税込5,000円以上の購入が条件で、上限は税込11万円までと決められています。
ファッション好きの人にとっては魅力的な仕組みですが、投資全体の観点から見ると評価は少し分かれます。
まず良い点として、この優待は割引率が大きいことが挙げられます。
30%という数字は株主優待の中でもかなり高い水準で、洋服や小物をまとめて買うときには実質的に大きな節約効果があります。
特に若者や子ども向けのブランドを扱っているので、家族で利用すれば割引の恩恵を強く感じられるでしょう。
ファッションを楽しみながら株主としての特典を受けられるのは、ANAPならではの魅力です。
一方で、注意しておきたい点もあります。まず、この優待は配当と合わせて総合的な利回りを高めるものではなく、純粋に「買い物に行く人だけがお得になる仕組み」にとどまっています。
配当がゼロの状況では、優待が事実上の唯一のリターンです。
そのため、ANAPのショップで頻繁に買い物をしない投資家にとっては、優待を持っていてもあまり意味を感じられないかもしれません。
つまり、利用者が限られる優待だという点で汎用性に欠ける側面があります。
また、有効期限や利用条件にも制約があります。毎年8月末に権利が確定し、11月ごろに発送されるのですが、使えるのはその年の一定期間内に限られます。
しかも一度の買い物で税込5,000円以上という条件がついているため、少額の商品を買うときには利用しづらい面もあります。
これも日常的にANAPのブランドを愛用する人にとっては問題になりませんが、そうでない人にとっては「使いにくい」と感じやすい部分です。
さらに長期的な視点で考えると、ファッションブランドの優待は流行や会社の経営状況に左右されやすいという特徴があります。
ANAPは若者向けのトレンドブランドを多く展開していますが、流行は数年で変わってしまうことも少なくありません。
ブランドの人気が下がれば、割引券があっても使いたいと思う人が減ってしまいます。
こうした不確実性は、長期で投資を続けるうえではリスクになります。
加えて、会社は最近ファッション以外にも美容や暗号資産など幅広い事業に挑戦しています。
新しい取り組みは話題性がありますが、安定した利益をもたらすかどうかはまだ未知数です。
優待自体が今後も継続されるかどうかも確実ではなく、経営環境が厳しくなれば見直される可能性も考えられます。
優待を目的に株を持つ場合、その点は意識しておく必要があるでしょう。
総合的に見ると、ANAPの優待は「ブランドのファンで、実際に買い物を楽しむ人」には大きなメリットがあります。
特に30%という割引率は強力で、普段から利用している人にとっては十分に投資の動機になるでしょう。
しかし、そうでない人にとっては価値が小さく、投資理由としては弱いと言わざるを得ません。
長期保有の観点から考えると、経営の安定性やブランドの持続力といった背景が欠かせませんが、現状ではその点にやや不安が残ります。
つまり、ANAPの優待は「ユーザーを選ぶ」タイプの株主特典です。
ファッションを日常的に楽しむ層にとってはおすすめできますが、長期投資の主な柱として考えるには不安定さが目立ちます。
そのため投資おすすめ度は高いとは言えず、限定的な人に向いた優待と位置づけるのが妥当でしょう。
総合評価
株式と優待を合わせて見ると、株価の安定感や成長性といった投資の基本的な魅力は低い一方で、ブランドファンに限っては優待で満足感を得られる銘柄という位置づけになります。
投資全体の観点からは、おすすめ度は低く、一般的な長期保有の候補としてはあまりふさわしくありません。
むしろ、「ANAPの商品をよく買う人が、自分の買い物をお得にするために保有する」ケースに絞られる株と言えるでしょう。