INGS[245A]は、ラーメン店やイタリアンレストランなどを展開している外食企業です。
株主優待として、自社店舗やオンラインストアで使える電子チケットを用意している点が大きな特徴です。
投資家にとっては、優待を生活に活かせるかどうかで評価が変わるユニークな銘柄といえます。
一方で、株価はすでに成長への期待を織り込んでおり、割安感は感じにくい水準にあります。
財務面では不安も残りますが、ROEの高さや事業の成長性は大きな強みです。
この記事では、株価情報や会社の特徴、株主優待の内容を整理した上で、投資のおすすめ度を分かりやすく解説していきます。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
25.17倍 | 4.06倍 | 22.3% | 45.45% | 0.00倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
1.29% | 0.00% | 1.29% | 2月、8月 | 308,500円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
ラーメンやイタリアンを中心に急成長している外食企業です。株主優待として電子チケットを用意しており、店舗をよく利用する人にとっては実用性の高い内容になっています。一方で、配当はゼロであり、株価水準も割安感が薄い点は注意が必要です。そのため、投資のおすすめ度は10段階のうち5と中立的な評価になります。優待をしっかり活用できる人には魅力がありますが、配当を重視する投資家にはやや物足りない銘柄といえるでしょう。 |
株主優待情報
優待の内容
INGSの株主優待は、自社のラーメン店やその他飲食店、さらにオンラインストアで利用できる電子チケットです。
1枚あたり1,000円相当のチケットが年2回贈呈され、保有株数に応じて内容が変わります。
ただし、株式の継続保有期間が6か月以上であることが条件となっています。
利用代金が電子チケットの金額を下回った場合、差額は返金されない点には注意が必要です。
保有株数 | 優待内容(年2回) | 年間合計 |
---|---|---|
100株以上 | 2,000円相当 | 4,000円相当 |
300株以上 | 6,000円相当 | 12,000円相当 |
500株以上 | 10,000円相当 | 20,000円相当 |
電子チケットの使える場所と割引内容(2025年1月現在)
【ラーメン店(直営)】
1枚につき「券売機またはメニュー表の商品」が一品無料になります。
【そのほかの飲食店(直営店・ライセンス店)】
1枚につき「1,000円相当」の割引が受けられます。
【オンラインストア】
自社のらぁ麺の冷凍商品購入時に、1枚につき「1,000円相当」の割引が適用されます。
権利確定日と有効期限
権利確定日は2月末と8月末の年2回です。
電子チケットは権利確定後に順次発行され、有効期限は発行から半年程度となります。
そのため、普段の外食や通販を利用する中で計画的に使えば、しっかりと恩恵を受けられる仕組みになっています。
会社情報
株式会社INGSは、東京都新宿区に本社を置く外食企業です。
2009年に設立され、比較的新しい会社でありながら、短い期間で急成長を遂げてきました。
本社は新宿6丁目のビルにあり、経営の中心を担っています。
最新の決算では、年間売上高がおよそ64億円に達し、前年よりも2割以上増加しました。
営業利益も伸びており、会社の勢いが数字にも表れています。
これは新規店舗の出店が順調に進んでいることや、人気ブランドの売上が安定していることが背景にあります。
とくにラーメン事業とイタリアン業態の両方でバランスよく成長しているのが特徴です。
INGSは直営店舗だけでなく、ライセンス契約やプロデュース形態での展開も行っています。
2024年の時点で全体の店舗数は160店を超えており、2025年には200店舗に迫る見込みです。
短期間でこれだけの店舗を広げているのは、他社と比べても勢いがあると言えます。
新規出店も積極的で、ラーメン業態を中心に都市部での知名度を高めています。
ブランドの柱となっているのは、ラーメン店とイタリアンレストランの2つです。
ラーメン事業の代表は「らぁ麺 はやし田」で、東京を中心に複数の店舗を展開しています。
鶏や魚介のだしを使ったこだわりのスープが人気で、SNSでもよく取り上げられるブランドです。
そのほかにも「金目鯛らぁ麺 鳳仙花」「時は麺なり」「くろ渦」「鈴蘭」など、ラーメンブランドを複数立ち上げています。
スープや麺の種類を変えることで、ラーメン好きの幅広いニーズに応えています。
一方で「CONA」というイタリアン&ワインバーも主力ブランドです。
低価格でピザやワインを楽しめるため、若者を中心に人気を集めています。
「焼売のジョー」という居酒屋業態や「日本油党」という油そば専門店もあり、さまざまな客層を取り込んでいます。
外食のトレンドをとらえた新ブランドを積極的に展開している点が、INGSの強みです。
また、オンラインストアも運営しており、自宅でもラーメンを楽しめる冷凍商品の販売を行っています。
これにより、店舗に足を運べないお客さんにもブランドを広げることができています。
外食だけでなく通販まで含めたビジネスモデルを持つことが、将来的な安定につながると考えられます。
総じてINGSは、ラーメンを中心にした強いブランド力と、新しい業態を積極的に試す柔軟さを兼ね備えた会社です。
今後も店舗数を伸ばしながら、外食業界での存在感を高めていくことが予想されます。
成長の勢いを保てるかどうかが、投資家にとって注目すべきポイントです。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
INGSの株価を長期的な視点で見ていくと、ここ数年で大きな成長を遂げてきた会社であることが分かります。
まだ上場からの歴史は浅いですが、急速に店舗を拡大し、売上や利益を順調に伸ばしてきました。
株価も短期的には上下を繰り返していますが、全体の方向性としては右肩上がりの流れを感じさせます。
成長力がある一方で、投資家が注目すべき点もいくつかあります。
まずPERは高めの水準にあり、利益に対して株価が割高に見える状況です。
PBRも高く、市場が将来の成長性を強く織り込んでいることを示しています。
つまり、今の株価にはすでに期待が込められており、投資家はその期待を裏切らない成長が続くかを見極める必要があります。
自己資本比率は低めであり、財務的な安定感という意味ではやや不安を残します。
ただしROEは非常に高く、資本を効率的に活用して利益を上げていることは強みです。
外食業界は景気や消費者動向に左右されやすい分野ですが、INGSは複数の業態を持ち、店舗の形態も直営とライセンスを組み合わせることでリスクを分散しています。
この経営の柔軟さは、将来の成長を支える大きな要素です。
配当は現状ゼロですが、その分を成長投資に回していると考えられます。
優待利回りは一定の魅力がありますが、配当がないため総合利回りとしては低い水準にとどまります。
したがって、配当収入を重視する投資家には向かない銘柄ですが、株主優待を楽しみつつ成長に期待する投資家にとっては選択肢になり得ます。
総合的に見ると、現在の株価は割安感があるとは言いにくく、財務面の強さも十分とは言えません。
そのため投資判断としては中立的な立場になり、積極的に買い進めるよりも、ポートフォリオの一部に組み込むかどうかを慎重に検討するレベルです。
今後も店舗拡大や業績の成長が続けば評価が上がる可能性がありますが、期待先行で株価が高止まりしているうちは注意が必要です。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
INGSの株主優待は、自社のラーメン店やイタリアン業態、さらにオンラインストアでも利用できる電子チケットです。
1枚あたり1,000円分として使えるため、現金のような感覚で利用できるのが特徴です。
外食を日常的に楽しむ人にとっては、非常に使い勝手の良い優待といえます。
優待の利回りは、配当がゼロの状況を考えると投資の魅力を補う存在になっています。
たとえば100株の保有で年間4,000円分、500株まで増やせば年間20,000円分まで拡大する仕組みです。
これは普段の食事代を直接減らせるため、生活に密着したリターンがある優待といえるでしょう。
また、電子チケットはラーメン店では一品無料として使える形になっており、食券を購入する感覚で利用できます。
イタリアンや居酒屋業態でも金額分の割引として使えるため、ラーメンに限らず幅広いシーンで役立ちます。
さらにオンラインストアでも利用できるので、店舗に行くことが難しい人でも優待を享受できるのは大きな強みです。
これは外食優待の中でも、使い勝手がかなり高い部類に入ります。
一方で注意点もあります。
まず、保有期間が6か月以上でないと優待がもらえない点です。
短期で売買を繰り返す投資家には向いていません。
また、利用額がチケット額面を下回った場合に差額が戻らない仕組みになっているため、少額の利用ではやや不便に感じる場合があります。
ただし、日常的に店舗を利用する人にとってはほとんど問題にならないでしょう。
長期的な視点で見ると、この優待は「継続して株を保有してくれる株主」を増やす効果があります。
実際、外食企業にとってリピーターを確保することは安定した業績につながるため、会社側と株主の双方にメリットがあります。
つまり、優待を活用することで企業の成長を間近に感じられるとともに、自分自身も日々の生活で恩恵を得られる関係が築けるのです。
投資おすすめ度としては、株価が高めで配当がないことを考えると、優待をどれだけ活用できるかで大きく評価が分かれます。
日常的にラーメンや系列店を利用する人にとっては、実質的な利回りが高く感じられるため、評価は十分に高いといえるでしょう。
一方で、系列店舗を使う機会が少ない人にとっては魅力が弱まり、優待の価値が限定的になります。
つまり、この優待は「生活スタイルに合うかどうか」で投資価値が大きく変わる銘柄だといえます。
総合評価
INGSは急成長を続けている外食企業であり、ここ数年の業績も好調です。
株価の動きも長期的には右肩上がりの傾向が見られ、投資家の期待が強く込められています。
しかし、PERやPBRといった株価の割安度を示す指標は高めであり、現状では割安感を感じにくい水準です。
自己資本比率も低めで、財務面での安定性はやや心配が残ります。
一方で、ROEは非常に高く、資本を効率的に利益につなげている点は強みといえます。
成長企業らしく、配当を出さずに再投資を優先している姿勢も見られます。
このため、株主へのリターンは配当ではなく株主優待に重点が置かれています。
優待は自社のラーメン店やイタリアンなどで使える電子チケットであり、外食を楽しむ人にとっては実質的な割引効果があります。
さらにオンラインストアでも利用できるため、遠方の株主でも使いやすい優待となっています。
ただし、利用できる機会が少ない人にとっては魅力が薄れる可能性があります。
そのため、この株は「優待をしっかり使える人」かどうかで評価が大きく変わります。
投資家としては、財務面のリスクや株価の割高感を考慮しつつ、優待の実用性をどう感じるかが判断材料になります。
総合的に見て、投資おすすめ度は10段階のうち5程度です。
長期保有で店舗拡大の恩恵を受けつつ、日常生活で優待を使える人には魅力がありますが、配当を重視する投資家には向きにくい銘柄だと言えるでしょう。