求人情報サイト「バイトル」や「はたらこねっと」で知られるディップ[2379]は、就職や転職をサポートするサービスを運営する会社です。
毎年、株を持っている人にはQUOカードがもらえる優待制度もあります。
この記事では、ディップの株価の動きや会社の内容、株主優待のメリット・デメリットを、長期的な視点からわかりやすく解説していきます。
これから投資を始めたい人や、優待を楽しみにしている人にも役立つ情報をまとめています。
株式情報
割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
14.9倍 | 3.32倍 | 71.0% | 23.8% | 3.88倍 |
優待&配当 | ||||
総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
4.63% | 4.18% | 0.45% | 2月、8月 | 227,500円 |
編集部おすすめ度 | 理由 |
財務の安定性や知名度の高い求人サービスを展開している点で魅力があります。 しかし、株価は過去のピークから下落傾向にあり、現在は割高感が残っています。 優待はQUOカードで実用性はありますが、インパクトはやや弱めです。今の株価水準では、積極的に買いに行くよりも、様子見をおすすめしたい銘柄です。 |
株主優待情報

株主優待の内容
ディップ株式会社では、株主への感謝の気持ちとして、年2回QUOカードの優待を実施しています。
対象となるのは毎年2月末および8月末時点で100株以上を保有している株主です。
優待内容は保有株数と保有年数に応じて変わります。
また、長期保有優遇制度も導入されており、あ1年以上継続して保有している株主には、QUOカードの金額が増額される仕組みになっています。
この仕組みにより、長期保有者にはより大きなリターンが期待でき、長期的に保有するインセンティブが働くよう設計されています。
基本優待内容(通常のQUOカード)
保有株数 | 優待内容(年2回) |
---|---|
100株以上 | QUOカード 500円分 × 年2回 |
長期保有優遇制度(1年以上継続保有)
保有株数 | 優待内容(年2回) |
---|---|
100株以上 | QUOカード 1,000円分 × 年2回(合計2,000円分) |
1年以上の継続保有の条件は、「毎年2月末および8月末の株主名簿に、同一の株主番号で連続3回以上記載された株主」とされています。
つなぎ売りなどを活用して単発で取得するのではなく、継続して持ち続けることで、より有利な条件になります。
権利確定日と有効期限
項目 | 内容 |
---|---|
権利確定月 | 毎年2月末・8月末 |
有効期限 | 特になし(QUOカードは通常、期限なし) |
QUOカードは、コンビニや書店、飲食チェーンなど全国共通で使える汎用性の高い優待です。
使い道に困らず、生活のちょっとした出費に役立つため、実質的な「現金同等物」として人気があります。
また、有効期限が設定されていないため、貯めておいてまとめて使うことも可能です。
会社情報

ディップ株式会社は、東京都港区に本社を構える会社で、「バイトル」や「はたらこねっと」などの求人情報サイトを運営しています。
これらのサービスは、アルバイトやパート、派遣社員など、いろいろな働き方をしたい人に向けて、お仕事を探せるようにするものです。
スマートフォンやパソコンから簡単に求人を検索できるようになっていて、特に若い世代を中心に人気があります。
この会社が提供している「バイトル」は、街中の求人ポスターや電車広告などでもよく見かける有名な求人情報サイトで、動画で職場の雰囲気が見られる機能など、他のサイトにはない工夫がされています。
もうひとつの「はたらこねっと」は、主に派遣のお仕事を探したい人のためのサイトで、派遣会社との連携も強いのが特徴です。
また、正社員向けには「バイトルNEXT」というサービスも用意されていて、ライフステージに応じた働き方を支援するという企業理念に沿って、幅広い層の就職・転職をサポートしています。
ディップの特徴のひとつは、インターネットを活用した求人サービスに特化していることです。
全国に営業拠点を持ち、地域ごとの情報に強い点も強みです。
そのため、東京や大阪などの大都市だけでなく、地方都市の求人にも対応できており、日本全国にサービスを展開しています。
会社のビジネスモデルとしては、求人を出したい企業から広告費をもらうことで収益を上げる形になっています。
つまり、お仕事を探している人は無料でサービスを使うことができる仕組みです。
広告主である企業側も、バイトルなどの知名度の高いサイトに求人を出せば、より多くの応募が期待できるため、広告費を払うメリットがあります。
店舗というよりは営業所という形で全国展開しており、数十か所にオフィスがあります。
最近ではAI(人工知能)を活用した求人マッチングや、業務効率化のための新しいツール開発にも力を入れていて、テクノロジーを活用した成長企業としても注目されています。
このように、ディップは「人と仕事をつなぐ」ことを通じて、社会全体に貢献しようとしている会社です。
時代の変化にあわせて柔軟にサービスを進化させており、長期的に見ても今後の成長が期待できる企業のひとつといえます。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
ディップ株式会社の株式について、長期保有を前提とした視点で総合的に判断すると、現時点では「購入を見送る」という選択が妥当だと考えられます。
その理由は、業績や成長性に一定の強みはあるものの、株価の動きや投資指標に不安定さが見られるためです。
まず、株価の長期チャートを見てみると、2013年ごろから急激に上昇し、その後もしばらくは3,000円から4,000円台で高値圏を維持していました。
しかし、2022年をピークに徐々に下落傾向となり、直近では2,000円台まで値を下げています。
このように、10年以上の視点で見れば一時的に急成長したものの、最近はその勢いに陰りが出ていることがわかります。
成長が一巡した可能性があるとも言えます。
また、PER(株価収益率)はやや高めであり、投資家から見て「割高感」があります。
つまり、現在の業績に対して株価が高く評価されすぎているということです。
この水準では、仮に業績が少しでも下振れすれば株価がさらに下がるリスクもあり、慎重な判断が必要です。
PBR(株価純資産倍率)についても高めの水準で推移しており、会社の資産価値に対して株価が高く評価されている状態です。
これは人気銘柄に見られる特徴ではありますが、企業の実力以上に期待が先行している可能性があります。
自己資本比率やROEなどの財務指標は比較的優秀で、経営の安定性や収益性の面では安心感があります。
ただし、それが株価の下支えになっているとは言い切れず、株価がジリジリと下がっている現状を見る限り、割高な評価が修正されている途中とも考えられます。
さらに、信用倍率は標準的ではあるものの、特段買いが入っている状況ではなく、需給面でも魅力に欠ける印象です。
つまり、個人投資家や機関投資家のあいだで積極的に買われている銘柄とは言いづらいです。
加えて、ディップのビジネスモデルは求人広告が中心であり、景気の影響を受けやすい特徴があります。
景気が悪くなれば、企業は広告費を減らす傾向があるため、収益が落ち込むリスクも抱えています。
そういった意味で、安定配当銘柄というよりは成長期待に投資するタイプの銘柄であり、長期保有の安定性という観点では少し弱さを感じます。
これらを総合的に見ると、現在の株価水準や成長の鈍化、景気変動リスクなどを考慮して、あえて今のタイミングで保有を増やす理由は薄いと判断できます。
株価がさらに調整し、PERやPBRなどが割安と感じられる水準まで下がってくるか、もしくは事業モデルに新たな展開が見られるまでは、様子を見たほうがよいでしょう。
株主優待にみる分析
ディップ株式会社の株主優待は、全国で使えるQUOカードがもらえるという内容で、実用性の高い優待です。
特に100株を保有することでQUOカード500円分が年に2回、合計1,000円分もらえるので、優待目的で投資をする人にとっては手に取りやすい銘柄のひとつです。
さらに、1年以上継続して保有することで優待の内容がグレードアップし、1回あたり1,000円分のQUOカードが年2回、合計2,000円分に増えるというのも魅力的なポイントです。
この優待制度は、継続保有している株主を大切にしたいという会社の姿勢が表れており、「短期的に優待だけ取って売る」ような株主ではなく、「会社の成長を応援してくれる株主」との関係を大切にしているように感じられます。
その意味では、優待の内容自体は派手ではないものの、地味に嬉しいタイプの優待であり、長期保有するインセンティブにはなり得ます。
ただ、優待利回りはそこまで高くありません。
優待目当てに買うとしても「ものすごくお得!」と感じられるレベルではなく、あくまで「ちょっとしたおまけ」として捉えるのが自然です。
もうひとつ注意したいのは、QUOカードという優待の性質です。
QUOカードはどこでも使えて便利な反面、会社の事業と直接関係があるものではありません。
たとえば、飲食店であれば食事券、アパレルなら自社ブランドの商品券など、その会社でしか得られない優待であれば「会社を応援している実感」がありますが、QUOカードはあくまで汎用的な金券です。
このような「金券優待」は、企業にとっては一定のコスト負担になっており、業績悪化時などには改悪・廃止されるリスクもあります。
実際、過去にQUOカード優待を廃止した上場企業は数多く存在します。
このような点を考慮すると、魅力がないわけではありませんが、手放しで「この優待があるから買いたい」とまでは言えないのが実情です。
もちろん、配当とあわせて「ちょっとしたお得感」を得ながら、会社の長期的な成長に期待して保有する、という考え方もあります。
しかし、優待の内容だけを見て投資するにはやや力不足であり、むしろ事業内容や今後の成長戦略を慎重に見極めたうえで、最終的に「優待があるならちょっと嬉しいな」という程度に捉えるのが現実的です。
総合評価
ディップ株式会社の株式は、一時期はとても勢いがありましたが、最近はその成長に少しブレーキがかかっているように見えます。
求人情報サイトという社会にとって必要なサービスを提供している会社ではありますが、景気の影響を受けやすいビジネスでもあるため、今後の成長が安定して続くかどうかは少し不透明です。
ディップという会社自体は、しっかりと収益を上げていて、自己資本比率やROEなどの数字も良好です。
それだけに「株価がもっと割安になったら」「新しい成長戦略が打ち出されたら」といった条件がそろったタイミングで、あらためて検討する価値がある銘柄だとは思います。
今の時点では、「どうしても今買いたい」と思えるだけの強い材料がそろっているとは言えず、むしろ株価がもう少し下がるのを待つか、他のより魅力的な銘柄に注目するほうが、長期投資家としては納得のいく選択だといえるでしょう。