カンロ[2216]は、「カンロ飴」や「ピュレグミ」など、身近なお菓子で知られる老舗メーカーです。
30年チャートを見ると、長い低迷期を経て、ここ数年で評価が大きく変わったことが分かります。
すでに急成長の初動は過ぎていますが、今は安定した成長と株主還元を続ける段階に入っています。
配当と株主優待を受け取りながら、じっくり会社を応援したい人に向いた銘柄です。
派手さはありませんが、長期保有で付き合いやすい一社として、落ち着いた投資をしたい人には検討する価値があるでしょう。
株式情報
| カンロ[2216] | 東証STD |
| 時価総額 667億円 |
株価 1,481 円
更新:2025年12月11日 14:25時点(終値ベース)

30年チャートを掲載
| 割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
| PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
| 18.5倍 | 3.46倍 | 57.8% | 約11.9% | 3.71倍 |
| 優待&配当 | ||||
| 総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
| 2.35% | 約2.1% | 0.22% | 12月 | 435,600円(300株目安) |
| 編集部おすすめ度 | 理由 |
| 長い低迷期を経て評価が一段階引き上げられた、いわば「再評価されたお菓子メーカー」です。すでに急騰局面は終わっており、これから大きな値上がりを狙う銘柄ではありませんが、事業基盤とブランド力は安定しています。配当と株主優待を継続しながら、長期保有を前提とした株主との関係づくりにも力を入れており、安心して持ち続けやすい点が魅力です。高利回りを求める人には向きませんが、身近な事業を応援しながら、落ち着いた資産形成をしたい人にとっては、5段階評価で3.5と評価できる、バランスの取れた銘柄と言えるでしょう。 |
株主優待情報

株主優待の内容
カンロの株主優待は、キャンディやグミなどの自社商品詰め合わせ、もしくは国連WFP協会への寄付を選べる仕組みになっています。
お菓子をもらって楽しむこともできますし、優待を通じて社会貢献を選ぶこともできるのが特徴です。
| 保有株数 | 優待相当額 | 備考 |
|---|---|---|
| 300株以上 | 1,000円相当 | 年1回 |
| 1,800株以上 | 2,000円相当 | 年1回 |
| 3,000株以上 | 3,000円相当 | 3年未満保有 |
| 3,000株以上(長期) | 5,000円相当 | 3年以上保有 |
優待でもらえる商品は、カンロ飴や健康のど飴、金のミルク、ピュレグミ、マロッシュなど、スーパーやコンビニでよく見かけるおなじみのブランドが中心です。
賞味期限も比較的長く、家族で少しずつ楽しんだり、来客用のお菓子に出したりと日常生活の中で使いやすい内容になっています。
また、寄付を選んだ場合は、国連WFP協会を通じて食料支援につながる仕組みになっており、「お菓子を作る会社として食の支援も行う」というカンロらしい優待と言えます。
自分で楽しむか、誰かの役に立てるかを毎年選べるので、ライフスタイルや気分に合わせて活用しやすい制度です。
権利確定日と有効期限
カンロの株主優待の権利確定月は12月末です。 12月末時点で株主名簿に300株以上保有している株主として記録されていれば、翌年春ごろに優待品が送られてきます。
長期保有優遇(3,000株以上を3年以上保有で優待額アップ)を受けるには、12月末と6月末の株主名簿に、一定株数以上を同じ株主番号で連続して記録しておく必要があります。
途中で売却して株数が減ったり、証券会社を乗り換えて株主番号が変わったりすると、長期保有のカウントがリセットされる点には注意が必要です。
優待品そのものには、有効期限が決まっている金券などは含まれておらず、基本的には「お菓子の賞味期限」だけを気にすればOKです。 到着したら、早めに家族や友人と分け合って楽しむのが良いでしょう。
会社情報

カンロ株式会社は、1912年に山口県で創業した老舗の菓子メーカーで、現在は東京都新宿区の東京オペラシティビルに本社を構えています。
社名にもなっている「カンロ飴」をはじめ、「健康のど飴」「金のミルク」「ピュレグミ」など、キャンディやグミを中心とした商品で知られています。
長い歴史の中で、時代ごとのニーズに合わせた商品を生み出し続けてきた結果、今では「のど飴といえばカンロ」「大人向けグミといえばピュレグミ」というイメージを持つ人も多いでしょう。
事業の柱は大きく分けて、キャンディ、グミ、素材菓子の三つです。 キャンディでは、しょうゆの風味が特徴的なカンロ飴や、のどをいたわる健康のど飴、濃厚なミルク感が人気の金のミルクなど、スーパーやドラッグストアの棚でおなじみのブランドを展開しています。
グミでは、ほどよいすっぱさと果実感が魅力のピュレグミを筆頭に、ハードな食感のカンデミーナ、ふわっとした新食感のマロッシュなど、食感の違いを楽しめる商品ラインアップがそろっています。
素材菓子の分野では、「まるごとおいしい干し梅」や「海苔のはさみ焼き」「サクポリ納豆スナック」など、原料にこだわったおつまみ系のお菓子も展開しています。
「甘いお菓子」だけでなく、「ちょっと体にやさしいおやつ」や「大人向けのおつまみ」といったポジションの商品も多く、健康志向の高まりに合わせた開発が進んでいる印象です。
カンロは自社ブランドの世界観を伝える場として、直営店ブランド「ヒトツブカンロ」を運営しています。
常設店は、東京駅構内の「グランスタ東京店」と、原宿の商業施設「ハラカド」内にある原宿店の2店舗。 ここでは、グミをプレッツェル型にした「グミッツェル」や、缶入りの限定キャンディなど、ギフトや手みやげ向きの商品が中心に並びます。
期間限定のポップアップストアも全国各地で展開しており、若い世代を中心にSNS映えするお菓子として話題になることも多いです。
販売チャネルは、スーパーやコンビニなどの量販店が中心ですが、自社オンラインショップ「Kanro POCKeT」やブランドサイトも整備されており、ネットを通じて限定商品や詰め合わせセットを購入することもできます。
また、国内だけでなく海外展開にも力を入れており、アジアや北米などの市場でグミを軸とした成長を目指しています。
企業としてのビジョンは、「素材と機能性を軸とする商品・サービスで、健康と笑顔に満ちた未来を創造する」というものです。 砂糖や素材の扱いに長けたメーカーとして、「おいしいだけでなく、体にも少しうれしいお菓子」を増やしていくことを掲げています。
中期経営計画では、キャンディとグミの市場でトップクラスのシェアを維持しながら、2030年に向けて売上拡大と利益率の向上を目指す方針が示されています。
編集部からのおすすめ情報
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株式情報にみる分析
カンロの株価を30年という長い目で見ると、この会社が最初から評価されてきた企業ではないことがよく分かります。
長いあいだ株価はほとんど動かず、投資家から大きな注目を集める存在ではありませんでした。
お菓子メーカーとしての知名度はあっても、成長性が見えにくく、どちらかといえば地味な企業だったと言えます。
しかし、2010年代後半から少しずつ流れが変わってきました。
グミ市場の拡大と、商品の付加価値を高める取り組みが進んだことで、利益の出し方が大きく改善していったからです。
売る量を増やすだけでなく、「選ばれるお菓子」「大人も楽しめるお菓子」へと方向転換したことが、市場の評価を変えるきっかけになりました。
この変化がはっきり株価に表れたのが、ここ数年の急上昇局面です。
長く横ばいだった株価が一気に水準を切り上げ、市場からの見方が大きく変わったことが30年チャートから読み取れます。
これは一時的なブームや話題性による上昇ではなく、事業内容と利益の質が改善した結果としての評価転換と考えるのが自然です。
ただし、すでにこの「評価が一気に上がるフェーズ」は通過しています。
現在の株価は、過去の低評価時代と比べて明らかに高い位置にあり、市場はすでにカンロを成長性のある企業として見ています。
そのため、これから短期間で何倍にもなるような初動の成長株ではありません。
一方で、それは決して悪い意味ではありません。
株価が一段高いレンジに移行したということは、事業の基盤が安定し、市場から一定の信頼を得た状態に入ったということでもあります。
業績が大きく崩れないかぎり、再び昔の低い株価水準に戻る可能性は高くないと考えられます。
現在のカンロは、高成長株と安定株の中間に位置するような存在です。
成長のスピードは落ち着いてきているものの、ブランド力や商品力が弱まっているわけではありません。
むしろ、利益を安定して出せる体制が整い、無理のない成長を続ける段階に入っていると見る方が現実的です。
財務面を見ても、借金に頼りすぎない健全な経営が続いており、会社としての安定感は十分にあります。
急激に売上が落ち込んだり、資金繰りに問題が出るような状態ではありません。
そのため、長期で保有するうえでの「倒れにくさ」という点では、安心感のある企業です。
一方で、お菓子業界全体としては、少子化や健康志向の高まりといった逆風も存在します。
その中でカンロは、グミや素材系のお菓子など、比較的成長余地のある分野に力を入れることでバランスを取っています。
この戦略が今後もうまく機能すれば、売上と利益は緩やかに積み上がっていくでしょう。
30年チャートを前提にした長期投資の視点で見ると、カンロは「これから急騰を狙う銘柄」ではありません。
すでに評価が一段上がったあと、その水準を維持できるかを見守る段階に入っています。
株価は高値圏で上下を繰り返しながら、業績に合わせてゆっくり動いていく可能性が高いと考えられます。
そのため、短期的な値動きを狙う投資スタイルとは相性が良くありません。
一方で、会社の方向性やブランドの成長を信じて、数年から10年単位で保有する投資には向いています。
配当や株主優待を受け取りながら、この会社がどこまで定着していくのかを見守る姿勢が合う銘柄です。
総合的に見ると、カンロの株式は、低迷期を経て評価転換が起き、その後は安定成長フェーズに入った中堅成長株と位置づけるのが適切です。
派手な値上がりは期待しにくいものの、事業が崩れにくく、長期でじっくり付き合える銘柄として、ポートフォリオの一角を担わせる価値は十分にあると言えるでしょう。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
カンロの株主優待は、利回りの高さを前面に出したタイプではありません。
もらえる金額だけを見ると控えめで、優待目的だけで株を買うと、正直に言って効率が良いとは言えない水準です。
そのため、「とにかくお得な優待がほしい」「優待利回りが高い銘柄を探している」という人には、あまり向いていません。
一方で、優待の中身そのものを見ると、評価は大きく変わります。
カンロの優待でもらえるのは、自社のお菓子の詰め合わせ、または国連WFP協会への寄付です。
どちらを選んでも、「会社の事業内容としっかりつながっている」点が、この優待の一番の特徴です。
自社商品をもらえば、実際にお菓子を食べながらカンロという会社を身近に感じることができます。
寄付を選べば、お菓子会社として食を支える活動に参加することができます。
どちらも、単なる金券とは違い、企業の考え方が伝わってくる優待と言えるでしょう。
また、カンロの優待は実用性が高い点も評価できます。
お菓子は日常生活の中で自然に消費でき、もらったあとに使い道に困ることがありません。
家族がいる家庭であれば、子どものおやつや来客用としてすぐになくなることも多いでしょう。
この「無駄になりにくさ」は、長期保有との相性がとても良いポイントです。
さらに、一定株数以上を長く保有すると優待内容が増える仕組みが用意されています。
これは、短期で売り買いする投資家よりも、長く会社を応援してくれる株主を大切にしたいという姿勢の表れです。
優待を毎年受け取りながら保有期間が伸びていくことで、「せっかくなら売らずに持っていよう」と思いやすくなります。
この心理的な効果は、長期投資において意外と大きな意味を持ちます。
金額以上の満足感があり、株主として会社との距離が近く感じられるからです。
総合的に見ると、カンロの株主優待は「高利回りを狙うための優待」ではありません。
その代わり、「事業内容と一体になった、長く付き合う人向けの優待」として完成度が高い制度です。
企業の成長を見守りながら、毎年ちょっとした楽しみを受け取りたい人にとっては、十分に魅力のある優待と言えるでしょう。
総合評価
株式情報と株主優待の両方を踏まえて考えると、カンロはとても分かりやすい性格を持った銘柄です。
短期間で大きな値上がりを狙うタイプではありません。
一方で、会社の方向性がはっきりしており、事業が急に崩れるリスクも高くありません。
30年チャートを見ると、すでに評価が一段階上がったあとのフェーズに入っていることが分かります。
これからは、急成長よりも「今の評価を保てるかどうか」が大切な段階です。
この局面では、安定した業績と、株主との関係を大切にする姿勢が重要になります。
その点で、カンロは配当を出し、優待を続け、長期保有を後押しする制度を整えています。
これは、長期投資家にとって安心材料になります。
株価が多少上下しても、配当と優待を受け取りながら待てるため、気持ちに余裕を持って保有しやすいからです。
また、優待の内容が自社商品であることも、会社の事業と投資がつながっている実感を持たせてくれます。
株を持つことで「お菓子を作る会社を応援している」という感覚が生まれやすく、投資が単なる数字の話で終わりません。
この点は、長期保有において意外と大切です。
総合的に見て、カンロは「値上がり益を狙う株」ではなく、「安心して持ち続ける株」として評価するのが自然です。
成長性と安定性のバランスが取れており、ポートフォリオの中で中核とまではいかなくても、しっかりした脇役を担える存在と言えるでしょう。
