鳥越製粉[2009]は、福岡・博多に本社を置く中堅の製粉会社で、九州を地盤に全国へ小麦粉・プレミックス・精麦製品を供給している老舗の食品メーカーです。
パンや麺だけでなく、焼酎・味噌向けの麦原料や、飲食店向けの冷凍食品・製菓材料まで扱っており、食品の中でも比較的安定した需要が見込める分野を押さえています。
原材料価格の上下で利益にブレは出るものの、国内需要がゼロになることは考えにくく、ディフェンシブ寄りに見られることが多い企業です。
今回はおすすめポイントを紹介します。
株式情報
| 割安度 | 安全度 | 値動き傾向 | ||
| PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | 信用倍率 |
| 25.5倍 | 0.73倍 | 79% | 2.7% | - |
| 優待&配当 | ||||
| 総合利回り | 配当利回り | 優待利回り | 権利確定月 | 優待最低取得額 |
| 4.7% | 4.0% | 0.7% | 6月、12月 | 553,000円 |
| 編集部おすすめ度 | 理由 |
| 財務が非常に厚く、配当も4%前後とわかりやすい一方で、PERはやや高めで大きな成長シナリオは描きにくいです。製粉という守りの事業に安定配当と自社製品の優待を組み合わせた「まったり長期向け」なので、ポートフォリオのサブ枠として7点評価にしています。 |
株主優待情報

株主優待の内容
鳥越製粉の優待は、とてもこの会社らしく「自社の小麦粉を使った特製そうめん」などを株主に送る内容です。
毎年12月31日時点で500株(5単元)以上を持っている株主に、翌年4月ごろ「非売品の特製そうめん(4,000円相当)」を1箱送ってくれます。
さらに2024年の制度拡充により、6月30日時点でも500株以上を「3年以上」継続保有している株主には、久留米ラーメン(非売品、約3,000円相当)が10月ごろに届くようになりました。これで長期株主は年2回、自社製品を楽しめます。
| 基準日・保有株数 | 優待内容 | 内容イメージ |
| 12月31日・500株以上 | 特製そうめん 1箱(4,000円相当) | お中元のような箱入り。自社小麦で品質をアピールする位置づけ。 |
| 6月30日・500株以上を3年以上 | 久留米ラーメン 1箱(約3,000円相当) | 九州らしさがある長期向け優待。年2回もらえると満足感が高いです。 |
どちらも自社製品なので、金券のようにすぐ現金化するタイプではありませんが、「この会社が何をつくっているか」を体験できる優待で、ファン化には向いています。家族に配るにも分かりやすい内容です。
権利確定日と有効期限
権利確定日は【12月末】と【6月末】の2パターンです。
基本は12月末時点での500株以上があればOKで、翌年4月にそうめんが届きます。6月末分は3年以上の継続保有が条件なので、長く持つ人向けの「ご褒美」枠だと考えると分かりやすいです。
送付時期は公式サイトでも「4月中」「10月中」と明示されているので、届いたらそのシーズン中に楽しんでしまうのがベストです。
会社情報

鳥越製粉株式会社は1935年創業の老舗で、福岡市博多区に本社を置き、福岡・広島・大阪・静岡・千葉に工場を持つなど、製粉から食品開発まで一貫して行う体制を持っています。
主力は小麦粉やプレミックスなどの製粉関連ですが、飲食店や製パン・製菓向けの原材料、さらに精麦や冷凍食品などにも展開しており、国内の食生活に広く関わるラインナップです。
九州に強い一方で東京・仙台にも営業拠点を持ち、全国で安定的に需要を取り込む仕組みをつくっています。
優待を「自社製品のおすそ分け」にしているのも、こうした食品メーカーとしての立ち位置を株主に知ってもらう意図が強く、長く持ってくれる株主を増やすことで、地味ですが安定した株主構成を目指している会社です。
編集部からのおすすめ情報
編集部のおすすめ:
株式情報にみる分析
足元の株価は1,100円台で、年初の700円台からはしっかり戻していますが、まだ一気に買いが殺到する水準ではありません。
出来高も3万株前後と落ち着いているため、一度に大きく買うより、指値でコツコツ拾うのが向いています。
PER25倍は「食品でここまでつけるか」と感じる人もいると思いますが、自己資本比率の安全性と、配当を同時に手に入れられる点をどう評価するかで妥当性が変わります。
配当が高めなため、将来の成長を過大に見積もらなくてもホールドしやすいのがポイントです。:
PBRは割安水準で、「資産はあるけど利益がそこまで伸びない」という典型的な食品・素材系バリューの姿です。ここに優待が乗ることで、実質的な総合利回りが引き上がっており、長期保有では意外と悪くない設計になっています。
信用取引残もほぼゼロで、需給面のノイズが少ないのは好材料です。短期で派手に上がるタイプではなく、「決算でコツコツ良い数字が出たら素直に反応する」くらいのイメージで見ておくと丁度いいでしょう。
優待情報から見る投資おすすめ度と根拠
この優待の一番のポイントは「500株必須」ですが、裏を返せば株主を絞っている分だけ内容を落とさずに続けやすいということです。
4,000円相当のそうめんは家族で食べるとちゃんと量があり、3年以上で久留米ラーメンも入ってくると「今年は2回も届いたね」と話題になります。これは配当では得られない楽しさです。
優待最低取得額は重く感じますが、総合利回りは5%付近まで上がります。3年以上ならラーメン3,000円も加算できるため、食品系としては十分に「持ちっぱなしを許す」水準です。
一方で、500株未満では優待がまったくもらえないので、端株+100株で様子を見る…という入り方がしにくいのは弱点です。
ここは予算に余裕のある長期派向けと割り切るところでしょう。
食品・ギフト系の優待は価格改定や原材料高で中身が薄くなりがちですが、鳥越製粉は自社製品を自社ルートで届ける形式なので、コストが急に跳ね上がりにくく、会社の規模感からしても長く続けやすいと考えられます。
長期で付き合うには安心材料です。
総合評価
鳥越製粉は、「高成長は求めないけど、食品で安定・高財務・自社製品優待をまとめて持ちたい」人にはちょうどいい銘柄です。
配当+優待が高水準を確保でき、自己資本比率も高いので、ポートフォリオのなかで守りのサブポジションを担わせるのがしっくりきます。
一方で、PERはやや割高で、ROEも低い水準にとどまっているので、「投資効率だけで見ればより魅力的な銘柄はある」というのも事実です。
長期保有を前提に、届いたそうめんとラーメンを楽しみながら、のんびり配当を受け取る。そんなゆるい付き合い方をしたい人には、とても相性のいい一社になります。

